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陸上イージス中止と抑止リスク 防衛大学校教授・倉田秀也(産経:正論)


 およそ2年半前の2017年末、北朝鮮が核実験と弾道ミサイル発射を繰り返す緊迫感のなか、陸上配備型イージス・システム-イージス・アショア-が、秋田県と山口県にある陸上自衛隊の演習場に配備される方針が固まった。それが今般、ブースターが演習場内に落下する保障はなく、周辺住民に及ぶリスクは否定できないとして配備中止となった。ミサイル防衛はコスト面で多くが語られるのに対して、リスク面で語られることは少ない。今般のイージス・アショアの配備中止の決定が、リスク面でミサイル防衛に示唆していることはないか。

 ≪抑止失敗と損害限定≫
 ミサイル防衛は、敵の攻撃を無力化することで攻撃を思いとどまらせる拒否的抑止に属する。拒否的抑止も抑止の一形態である以上、敵が攻撃を決意した時点で抑止は失敗したことになる。ところが、敵側の多くの人命を奪い、都市機能を奪う懲罰的抑止に対して、拒否的抑止は抑止失敗後、損害を限定する手段へと転化する。

 もとより、現有のミサイル防衛が突入する核弾頭の全てを迎撃できる保障はない。わけても、北朝鮮が日本への核攻撃を決意するとき、同時に、米国からの核による報復の可能性に直面する。だからこそ、北朝鮮は第1撃を受けてもなお生き残る第2撃能力で、米国からの核攻撃を抑止しようとする。それは同時に、日本に飽和攻撃の可能性を誇示する上でも必要と考えられたに違いない。

 ≪陸上ミサイル防衛のリスク≫
 第2撃能力を温存する手段-サイロ、移動式発射台はもとより、潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)でさえ、完全とはいえない。その手段をいずれかに絞り込めば、第2撃能力は限定される。北朝鮮は多様な手段を組み合わせることで、個々の装備がもつ限界を極小化しつつ、第2撃能力を拡大しようとしている。
 イージス・アショアは、その配備先に突入する核弾頭の迎撃を目的にしているわけではない。そもそも、北朝鮮が日本への核攻撃を決意したとき、人口稠密(ちゅうみつ)な都市部か、在日米軍の主要基地を標的にするであろう。イージス・アショアは、海上のイージス・アフロートと同様、迎撃は大気圏外で行われるため、核弾頭、迎撃体の破片が落下しても、大気圏通過の際の高熱で燃え尽きる。ブースターが演習所の外に落下するリスクがあるとして、それが核弾頭着弾のリスクを上回るとは考えられない。にもかかわらず、イージス・アショアが配備中止に至ったのは、核弾頭が着弾しうる都市部、在日米軍基地と、演習場の外でブースターが落下しうる範囲が隔絶しているからである。イージス・アショア配備を強行して、都市部と在日米軍基地の防衛のために地域住民が負うリスク-それがたとえ付随的なものであったとしても-等閑に付すことはできなかった。
 イージス・アショアの配備中止は、代替地が決まらない限り、イージス・アフロートへの負担を強いるとともに、大気圏外での迎撃失敗の可能性を相対的に高める。それは同時に、着弾直前の核弾頭の無力化のため、首都圏などに配備されるPAC-3が迎撃すべき核弾頭が増えることを意味する。PAC-3が迎撃に失敗する可能性を高め、迎撃に成功しても核弾頭の破片などが落下するなどの付随的リスクも拡大しうる。
 確かに、PAC-3は-イージス・アショアとは異なり-核弾頭が着弾しうる範囲と迎撃成功に伴うリスクが及ぶ範囲が重複しており、前者が後者をはるかに上回ることが明らかなため、その配備を中止する声は聞かれない。とはいえ、イージス・アショアもPAC-3も、陸上配備のミサイル防衛である以上、配備する地域が迎撃に伴って被りうるリスクと切り離して考えることはできない。

 ≪拒否的抑止と敵基地攻撃≫
 イージス・アショアの配備中止を受け、自民党内で上がったのは、敵基地攻撃論であった。いうまでもなく、敵基地攻撃は、敵地攻撃ではない。敵基地攻撃は、攻撃的な手段をとっても、敵の攻撃を無力化するという目的では、ミサイル防衛と同様、拒否的抑止に属する。そうだとすれば、敵基地攻撃は、敵が武力行使に踏み込んで抑止が失敗した際には、損害を限定する手段に転化する。
 今般の敵基地攻撃論も過去と同様、現有のミサイル防衛の限界を補うことから提議されているが、イージス・アショアの配備中止を受けて提議されているため、陸上配備のミサイル防衛が迎撃に伴って被りうるリスクとの関係でも意味をもつ。敵基地攻撃が日本の陸上から最も遠いところ-ミサイルを上昇段階で無力化するため、イージス・アショアのように、陸上から大気圏外の迎撃を行う上で地域社会が負うリスク、ひいては大気圏外での迎撃失敗の可能性を減らすことで、着弾直前の迎撃を担うPAC-3の負担、迎撃成功の際の付随的リスクを軽減しうる。敵基地攻撃にもまた、限界があるとはいえ、この議論を躊躇(ためら)うべきではない。(くらた ひでや)
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【主張】英の華為製品排除 「自由と民主」守る決断だ(産経:社説)


 全体主義の中国が追求しているデジタル覇権から、自由主義の国々を守ることにつながる英政府の判断を歓迎したい。
 英政府が、次世代通信規格「5G」の整備をめぐり、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)製品を今年から段階的に排除する方針を固めた。英有力メディアが一斉に報じた。
 今年1月に英政府は、5G網への華為製品の限定使用を認めた。米政府は華為製品使用による情報流出などのリスクを指摘し、排除を呼びかけていた。
 その後、新型コロナウイルスをめぐる中国政府の「情報隠蔽(いんぺい)」による被害拡大や香港国家安全維持法の施行があり、対中不信感を強めた英政府は方針を転換した。
 英国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)の報告書によると、5月に米政府が華為への米製品の輸出禁止措置を強化した影響で同社製品の安全性を保証できなくなったという。
 ジョンソン英首相が「潜在的敵対国の企業に重要インフラを支配されたくない」と発言したことも報じられている。中国を「潜在的敵対国」とみなしたのは、安全保障を重視する観点からだ。
 駐英中国大使は、「われわれを敵対国にするなら、報いを受けなければならない」と反発した。恫喝(どうかつ)的な言葉が中国の焦りを表している。

 華為に代えて、英政府は日本のNECなど中国以外の国の企業と連携したい意向だ。先進7カ国(G7)にオーストラリア、韓国、インドを加えた民主国家10カ国「D10」の枠組みを結成し、中国のデジタル覇権追求に対抗する構想も模索している。
 すでに、米国、日本、オーストラリア、台湾などが5Gで華為製品を排除している。英国が加わることで、この流れが加速することが期待される。
 カナダの通信大手2社は5Gでスウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキアと組むと発表した。ドイツの通信大手1社もエリクソン採用を決めた。フランスでも5Gでの華為製品使用や華為工場の建設を白紙に戻す検討が始まっている。
 5G機器などの開発に向けNTTとNECが資本・業務提携した日本は国産技術を確立させ、英国など自由主義の国々の通信網構築に寄与していきたい。

防衛相、南鳥島視察 中国の太平洋進出を警戒(東京新聞)


河野太郎防衛相は11日、日本最東端の南鳥島(東京都小笠原村)を救難飛行艇「US2」で訪問し、海上自衛隊員の活動状況を視察した。記者団に「中国の艦艇や飛行機が活発に進出してくる中で、太平洋の安全保障を真剣に考えなければならない」と強調した。
 南鳥島は本州から約1800キロ離れた約1・5平方キロの島で、海自は航空派遣隊十数人を置いている。河野氏は周辺にレアアース(希土類)の海底資源があることに触れ「日本の権益をしっかり守るための拠点として非常に重要だ」と述べた。視察には山村浩海上幕僚長が同行した。
 防衛相の南鳥島訪問は2014年の小野寺五典氏以来となる。

「敵基地攻撃」名称変更も 先制攻撃と混同回避―政府・自民(時事N)


 政府・自民党は、弾道ミサイルなどの発射拠点をたたく「敵基地攻撃能力」の名称変更を検討している。憲法や国際法に違反する「先制攻撃」と区別するとともに、専守防衛に徹する政府方針を強調し、国民の理解を得るのが狙いだ。「自衛反撃能力」などが候補に上がっている。
政府・自民は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」導入断念に伴い、新たなミサイル防衛策と抑止力強化の議論に着手。10日の自民関連会合では、有識者として呼ばれた谷内正太郎前国家安全保障局長は「一定の打撃力を持つべきだ」と提案した。

敵基地攻撃、課題山積み 拙速議論、歴代防衛相も懸念
 政府は「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨だとは考えられない」(1956年の鳩山一郎首相答弁)として、敵の攻撃を防ぐために他に手段がなければ、敵基地攻撃は自衛の範囲内との立場だ。
 それでも名称変更を検討するのは、憲法の枠を超えた先制攻撃との誤解を避けるためだ。自民党の佐藤正久参院議員は9日の参院外交防衛委員会で、「自衛反撃能力」の名称を提案。政府高官は「それも一案だ」と語る。
 ただ、自民党は2017年、防衛計画の大綱策定に向けた政府への提言で、「敵基地反撃能力」との表現を使ったが浸透しなかったため、名称を変えても定着するかは不透明。専守防衛の原則を逸脱するとの根強い慎重論を払拭(ふっしょく)できるかも未知数だ。

世界の感染者1255万8944人 死者56万1865人 新型コロナ(NHK)


アメリカ、ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、新型コロナウイルスの感染が確認された人は、日本時間の12日午前3時の時点で世界全体で1255万8944人となっています。また亡くなった人は56万1865人となっています。

感染者の多い国
▽アメリカが321万3902人、
▽ブラジルが180万827人、
▽インドが82万916人、
▽ロシアが71万9449人、
▽ペルーが31万9646人となっています。
死者の多い国
▽アメリカが13万4349人、
▽ブラジルが7万398人、
▽イギリスが4万4735人、
▽イタリアが3万4945人、
▽メキシコが3万4191人となっています。

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