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【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 「5条適用」明言を誤解するな(産経N)

尖閣諸島沖での中国漁船による海保船衝突事件が紛糾する中、過般の日米外相会談でクリントン米国務長官は、日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用されるとの米国の立場を語った。事件発生前の8月段階で米国務省は同趣旨の言明を行っていたし、長官発言と前後して、日米関係担当のキャンベル国務次官補も読売新聞に対し、尖閣諸島への条約適用について明確に「イエスだ」と述べた。1990年代に一時、米国の方針がぐらついた印象を与えたのと違い、今日、米国の見解は明確だ。

 ≪あくまで武力攻撃が要件≫

 それを受けて、仙谷由人官房長官は国務長官発言を「当然の前提だと考えている」と述べ、北沢俊美防衛相は「日米同盟の観点から極めて適切な発言をしていただいた」と語った由である。つまりは安堵(あんど)というわけだ。が、それだけでは困る。米国側発言には日中両国に問題の平和的処理を期待する旨が必ず添えられており、第5条適用の機会を待ち望んでいるのでも何でもないからである。

 現行条約下の50年間、第5条が発動されたことは無論、一度もなかった。発動の瀬戸際まで行ったことさえなかった。だから現行条約は成功作だったのだが、かえってそのため、日本は第5条発動事態の構成要件を緻密(ちみつ)に考えてこなかった。第5条にはこうある。「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」。よく読むべし。

 尖閣が「日本国の施政の下にある領域」であることは、米国も同意している。ゆえに尖閣諸島と周辺領海は第5条適用の対象領域たり得る。が、第5条発動要件は、この領域での日米いずれかに対する外部からの「武力攻撃」(アームド・アタック)の存在である。それがない限り、この領域でのわが国の統治がいかに危殆(きたい)に瀕(ひん)しようと、第5条は発動されない。

 外部勢力としては、直接に「武力攻撃」に訴えず、この領域を事実上、非日本領域化してしまうシナリオが描けないわけではないのだ。わけても尖閣領域が現状の無防備状態を続けている以上は。過般の尖閣での事件はこのシナリオの試行である可能性が高い。

 ≪サラミ戦術には発動できず≫

 それは中国版サラミ戦術と呼べる。サラミ戦術とは、第二次大戦後にスターリンが東欧諸国を共産化するために採った方法で、直接にむき出しの力を行使せず、非共産諸勢力を、サラミ・ソーセージよろしく薄切りしていって結局は食い尽くした戦術である。海洋権益確保を「核心的利益」と見る北京は、強大化する軍事力を背景にして、その故事に倣(なら)い、直接には戦わずして獲物を得るサラミ戦術に出ている。

 米政府の明確な「尖閣は第5条の適用対象」発言は、対尖閣武力行使を抑止する効果があり、私とてそれを評価する。が、仙谷長官や北沢防衛相のように安堵はしない。中国版サラミ戦術に対して第5条は発動できないからだ。

 問題は、「武力攻撃」以前の執拗(しつよう)なサラミ戦術の展開にどう対応するかなのだ。少なくとも現時点では、類似の事態が今後に発生する場合、政府は今回同様、「粛々と」国内法適用で対処するという以外には無策であるらしい。

 ≪局地対応へ自助努力を≫

 再度、第5条に戻ろう。日本領域で日米「いずれか一方に対する武力攻撃」がある場合、日米は「共通の危険に対処するように行動する」とある。つまり、言うも愚かだが、米国が第5条を発動する事態では、日本が自国領防衛の対処行動を取っていなければならない。尖閣の場合には、生じ得る「武力攻撃」は局地的だから、侵略排除の反撃も、均衡性の原則から局地的である。必要なのは局地的対処能力なのだ。

 だが、尖閣にはそれがない。一般にわが国の離島防衛態勢は貧弱、劣悪である。その点に頬被(ほおかぶ)りして尖閣有事の際、米国に第5条発動を期待するのは虫が良すぎる。忌憚(きたん)なく言うと、米国の「尖閣は第5条の適用対象」という保証と実際の「第5条発動」とは必ずしも同じではない。間にかなりの隙間(すきま)がある可能性がある。

 隙間をなくすには、日米の共同防衛行動を成り立たせるため、局地的な尖閣防衛に向けて、わが国が自助努力に励むほかない。現行安保条約下の50年間、わが国の自衛隊は見違えるほど成長した。だが、離島、特に中国が狙いを付けた尖閣を保全、防衛する自助努力は明らかに不足していた。海洋、海底資源が国家の将来を左右しかねない今日、安保、防衛政策の従来のこの欠落を補正する自助努力が不可欠である。

 安保条約第3条は「武力攻撃に抵抗するため」に「継続的かつ効果的な自助及び相互援助」の必要を謳(うた)っている。時代適合的なその「自助」を欠いては、第5条の趣旨である共同防衛は成り立たない。菅政権はそのことを理解しているのか。(させ まさもり)
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ジョンウン氏補佐に身内総動員、権力継承加速か(讀賣N)

【ソウル=仲川高志】北朝鮮の朝鮮中央テレビや朝鮮中央放送は28日午後の「重大放送」で、朝鮮労働党代表者会が同日開かれ、金正日(キムジョンイル)総書記(68)が再び党総書記に推挙されたことを伝えた。


 金総書記の三男ジョンウン氏(27)に関する党幹部人事については触れなかったが、1966年以来、44年ぶりの党代表者会で、ジョンウン氏が党中央委員などに選出されたとの見方もある。

 ジョンウン氏は27日、金総書記の実妹の金敬姫(キムギョンヒ)氏(64)や金総書記の側近らと共に朝鮮人民軍大将の称号を授与されており、今後、経験や実績が乏しいジョンウン氏を身内が支えながら権力継承を進める作業が加速するとみられる。

(2010年9月29日03時13分 読売新聞)

【主張】中国船集結 尖閣の守り不備正すとき(産経N)

中国の海洋調査船計10隻以上が尖閣諸島や東シナ海のガス田開発地域周辺に集結している。中国農業省の漁業監視船2隻も、漁船衝突事件で逮捕された中国漁船船長の釈放が決まった24日夕から、尖閣諸島近海にとどまっている。

 これらの活動は自国の海洋権益を守るための示威行動とみられる。退役した軍艦を改造した漁業監視船は6月、インドネシア周辺で他国の船に機銃を向けて威嚇したこともある。

 日本政府は外交ルートを通じ、監視船の活動に対して4回にわたり中止を申し入れたが、中国側は聞く耳を持っていないようだ。極めて遺憾である。

 日本は最悪の事態への備えを万全にしなければならない。戦後、こうした事態を考えてこなかったため、備えは極めて不十分なものになっているからだ。

 例えば中国政府公船の監視船が日本領海を侵犯しても、海上保安庁の巡視船は退去を要請するしかない。自衛隊にも領土や領海を侵害する行為を排除する領域警備の任務が与えられていない。海自に海上警備行動が発令されても保安庁と同じ警察行動しかとれず、尖閣の守りは危ういのが実態だ。

 こうした法的な不備や空白を早急に是正するよう、菅直人政権は総力を結集する必要がある。

 参考にすべきは、長島昭久前防衛政務官ら民主党の有志議員が、今回の衝突事件を受けてまとめた「建白書」だ。防衛計画大綱の見直しや日米同盟深化の協議を通じて、南西諸島方面の防衛や海自、海保と米海軍による海洋警備体制の強化を図ることなどを提言した。松原仁衆院議員らも、尖閣への自衛隊常駐の検討を政府に求める声明を発表した。

 自民党は新防衛計画大綱に対する昨年6月の提言で、領域警備の法制化などを求めている。喫緊の課題に超党派で取り組んでほしい。仲井真弘多沖縄県知事も尖閣周辺の警備強化を求めている。

 中国は力ずくで尖閣諸島に上陸を図ったり、付近領海に侵入したりしてくるかもしれない。

 そうなれば、日本ばかりでなく国際社会で中国への信頼は失墜しよう。中国自らがチャイナ・リスクの高さを世界に示していることに気付くべきだ。一方で日本は、中国の理不尽な行動をはね返すことのできる体制づくりを最優先の課題にすべきである。

【正論】評論家・西尾幹二 悲しき哉、国守る思想の未成育(産経N)

9月24日午後、中国人船長が処分保留のまま釈放される、との報を最初に聞いた日本国民は、一瞬、耳を疑うほどの驚愕(きょうがく)を覚えた人が多かったが、私も例外ではなく、耳を塞(ふさ)ぎたかった。日本政府は国内法に則(のっと)って粛々とことを進めると再三、公言していたわけだから、ここで中国の言い分を認めるのは自国の法律を否定し、自ら法治国家であるのをやめたことになる。尖閣海域は今日から中国領になるのだな、と思った。

 ◆アメリカ頼み、甘過ぎる

 まさか、中国もいきなり軍事侵攻してくるわけはあるまい、と大方の人が考えているが、私は、それは少し甘いのではないかと思っている。また、アメリカが日米安保条約に基づいて抑止してくれると信じている人も圧倒的に多いようだが、それは、さらに甘いのではないかと思っている。

 アメリカは常々、領土をめぐる他国の紛争には中立だとし、現状の実効支配を尊重すると言っている。だからブッシュ前政権が竹島を韓国領と認定したこともある。北方領土の範囲を最初に不明確に設定したのはアメリカで、日ソ間を永遠に不和のままに置くことが国益に適(かな)ったからだとされる。それが彼らの戦略思考である。

 クリントン米国務長官が23日の日米外相会談で尖閣に安保条約第5条が適用されると言ったのは、日本が実効支配している島だから当然で、それ以上の意味はない。侵略されれば、アメリカが直ちに武力行使するとは第5条には書かれていない。「自国の憲法上の規定及び手続に従って、共通の危険に対処するように行動する」と宣言しているだけだ。議会の承認を要するから、時間もかかるし、アメリカが「共通の危険」と思うかどうかは情勢次第である。

 だから、ジェームス・アワー元米国防総省日本部長は、日本が尖閣の主権を守る自らの決意を示さなければ、領土への正当性は得られず、竹島に対する日本の態度は悪い見本だと批判的である(9月24日付産経新聞朝刊)。

 言い換えれば、自衛隊が中国軍と一戦を交え、尖閣を死守するなら、アメリカはそれを精神的に応援し、事後承諾するだろう。しかし逆に、何もせず、中国に占領されたら、アメリカは中国の実効支配を承認することになるだけだろう。安保条約とは、その程度の約束である。日米首脳会談で、オバマ米大統領が尖閣を話題にしなかった冷淡さは、島嶼(とうしょ)部の領土争いに、米政府は関与しないという意思の再表明かもしれない。

 ◆善意に悪意でお返しされた

 そうであれば今回、わが国が、中国政府に対し何ら言論上の争いもせず、自国の固有領土たる理由をも世界に説明せず、さっさと白旗を揚げた対応は最悪で、第5条の適用を受ける資格が日本にないことをアメリカ政府に強く印象づける結果になっただろう。

 自分が善意で振る舞えば、他人も善意で応じてくれると信じる日本型ムラ社会の論理が国境を越えれば通用しないことは、近ごろ海外旅行をする国民には周知だ。中国に弱気の善意を示して強烈な悪意をもって報復されたことは、日本の政治家の未熟さを憐(あわ)れむだけで済むならいいが、国益を損なうこと甚大であり、許し難い。

 那覇地検が外交の領分に踏み込んだことは、多くの人が言う通り越権行為である。仙谷由人官房長官が指揮権発動をちらつかせて司法に圧力をかけた結果だ、と情報通がテレビで語っていた。それが事実なら、国家犯罪規模のスキャンダルである。検察官と官房長官を国会に証人喚問して、とことん追及することを要求する。

 ◆根本原因、占領政策にも

 日本の政治家に国家観念が乏しく、防衛と外交が三流にとどまる胸の痛むような現状は批判してもし過ぎることはないが、他方、ことここに至った根本原因は日米安保体制にあり、アメリカの、日本に攻撃能力を持たせまいとした占領以来の基本政策にある。

 講和条約作りを主導し、後に国務長官になるダレス氏は、アメリカが日本国内に基地を保持する所以(ゆえん)は、日本の自衛権に攻撃能力の発展を許さないためだ、と説明している。以来、自衛隊は専守防衛を義務づけられ、侵略に対してはアメリカの協力を待って排除に当たるとされ、独力で国を守る思想が育ってこなかった。日本に国防の独力をもっと与えようという流れと、与えまいとする流れとの2つがアメリカにはあって、日本は翻弄(ほんろう)され、方途を見失って今日に至っている体たらくを、中国にすっかり見抜かれている。

 しかし、アメリカも相当なものであり、尖閣の一件で、在日米軍の駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を、大幅に増額させる方針を固めているという。

 日本は米中の挟み撃ちに遭っているというのが、今回の一件である。アメリカに攻撃力の開発を抑えられたまま、中国に攻撃されだしたのである。後ろ手に縛られたまま、腹を足蹴(げ)りにされているようなものだ。そして、今、痛いと言ってうずくまっている姿、それがわが祖国なのだ。嗚呼(ああ)!(にしお かんじ)

尖閣沖で中国監視船2隻が活動、政府は中止要請(讀賣N)

仙谷官房長官は27日午後の記者会見で、尖閣諸島沖の日本領海周辺で中国の漁業監視船2隻が24日夕から活動していることを明らかにした。


 自国漁船の警護などが目的と見られる。同海域での侵犯行為の既成事実化を図り、日本を揺さぶる狙いがあるとみられ、政府は警戒を強めている。

 長官によると、監視船は2隻で、日本の領海に隣接する「接続水域」で活動している。海上保安庁が巡視船6隻を派遣して警戒に当たっているほか、外務省がこれまでに計4回、外交ルートを通じて中止を求めているが、27日午前6時の時点でも確認されたという。

 長官は会見で、「首相官邸を中心として、厳正に対応していく」と述べた。

 一方、前原外相は27日夕、中国の程永華駐日大使を外務省に呼び、中国で「フジタ」社員4人が拘束されている問題について、北京の日本大使館との面会継続と弁護士による接見、問題の迅速な解決を求めた。程大使は「至急、本国に正確に報告する」と応じた。

 ただ、この問題に関しては、丹羽宇一郎・駐中国大使が26日に中国外務省に会談を申し入れた際、中国側が明確な理由を示さないまま拒否していたことが27日、分かった。

(2010年9月28日01時40分 読売新聞)

【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 五星紅旗が翻る尖閣を見たいか(産経N)

菅直人首相は、尖閣諸島侵犯の中国人船長を中国の理不尽で無礼な恫喝(どうかつ)に屈して釈放、日本人を辱め、国威を失墜した。中国皇帝の足下に跪(ひざまず)く朝貢国使節のようで、小沢一郎元幹事長の朝貢団体旅行同様、許し難い。しかも、その突然の決定と発表は那覇地検次席検事によって行われ、仙谷由人官房長官は「捜査に当たっている那覇検察庁の独自の判断によって決定し、政府はこれを了とした」由。訪米中の菅首相も、所管大臣の前原誠司外相も柳田稔法相も官房長官も決定には関与していない、と記者会見で平然として述べた。

 ≪地検任せは政治主導の自殺≫

 あれだけ政治主導を高々と掲げて官僚を批判、官僚から国会答弁権も記者会見権も奪った民主党内閣が一体、どういうことか。大阪地検特捜部主任検事、前田恒彦容疑者の証拠改竄(かいざん)事件という信じ難い暗黒司法で国民の信頼を裏切ったばかりの検察庁に、国民の安危にかかわる国家危機管理を押し付けるなどまさに政治主導の自殺行為で国民を愚弄(ぐろう)するものだ。

 国家行政組織法の役割分担をどう読んでも、それは「那覇地検」の検事正でもない次席検事ごとき中級官僚の任務ではない。それは首相以下関係閣僚の職務放棄、「敵前逃亡」であり、那覇地検次席検事の小さな背中に検事総長も含む大勢の高官が折り重なり、ひしめき合って隠れようとしている、政治風刺漫画の題材である。

 恥ずべき決定は、暗黒検事を出した検事総長以下上層部の保身、生き残りのための親中派内閣への阿諛(あゆ)迎合も加わってのことか。昔懐かしい「巨悪を眠らせない」(故伊藤栄樹検事総長)と誓った検察庁だったら、「船長釈放は政治が決め、政治の責任で発表しろ」と峻拒(しゅんきょ)したはずだから…。

 ≪「安保適用」の金星も無駄に≫

 この日朝、前原外相は、ニューヨークでヒラリー・クリントン米国務長官から「日米安保条約第5条は尖閣諸島にも適用される」との確約を得る“金星”をあげていた。尖閣が日中の争点になりキナ臭い情勢下、日本外交の成果だ。昔、ビル・クリントン大統領時代のモンデール駐日米大使(元副大統領)の「適用されない」という大失言があった。今でも、それは未解決の重大課題で、オバマ大統領もクリントン長官も対中配慮で明言を避け、鳩山由紀夫前首相は全国知事会議席上で石原慎太郎都知事に追及され、「領有権については中国と協議」「第5条の適用についてはアメリカに聞いてみる」と重大失言をし、中国側に間違ったメッセージを送っていた。

 続くオバマ・菅会談でも暗黙の了解を得た。筆者は「これを後ろ盾に菅首相は対中強硬姿勢を貫くもの」と思い、拍手しかかっていたが、午後に舞台は暗転、同次席検事が「日本国民への影響と日中関係を考えて」中国人船長を釈放すると発表、落胆し激怒した。

 菅首相、仙谷官房長官は政治家失格だ。中国のアジア戦略、海洋覇権国への強い願望、13億人のための資源獲得努力、特に島を領有して漁業資源や海底油田などの資源を得ようとする民族のパワープロジェクション(力の投射)が目に入らないのだろうか。その担い手たる数億人は、江沢民前国家主席時代の教育で反日感情を刷り込まれたインターネット世代で、胡錦濤現国家主席の政権もその負の遺産に困り果てている。

 ≪志願制で島に自衛隊駐留を≫

 尖閣諸島騒動は一過性のものではなく、東シナ海、日本海への中国の脅威は今後、ますます増大すること必至だ。日本海は決して「友愛の海」などではない。

 その証拠に、事態沈静化を期待し、那覇地検のせいにして船長を釈放したのに、中国はくみしやすしと見て謝罪と損害賠償を求めてきたではないか。孫の代に日本が中国の属国にされないよう、国家危機管理の諸方策を提言する。

 一、温家宝首相声明に応え、菅首相が(1)尖閣諸島は日本固有の領土(2)再発防止努力をせよ、再発すれば、また検挙(3)謝罪と損害賠償は拒否(4)武器の相互不使用-との声明を出す。漁船体当たりビデオは公表する(親書は効果なし)

 二、(執拗(しつよう)な船長釈放要求との相互主義で)駐日中国大使を呼びつけ(午前零時でなくてもよいが)、不当逮捕されたフジタ社員の即時釈放と、会議延期、官民交流禁止、レアアース輸出禁止など全報復措置の即時解除を求める

 三、現在無人の(かつてかつお節工場もあり住民もいた)魚釣島(個人所有)を国有化、埠頭(ふとう)、ヘリポート、灯台などの諸施設を建設、志願制で自衛隊、灯台守、気象観測士などに給与倍額の僻地(へきち)手当、危険手当を支給し、3カ月交代などで駐留させ実効支配を行う。プレゼンスが主権の最大の証明で、急がないと中国人民解放軍兵士が漁民を装って上陸、五星紅旗を立てかねない情勢だ

 四、海上自衛隊のイージス艦を含む一個護衛隊群を、「演習」として近隣海域に定期的に派遣し、海上保安庁を後方支援する。中国は今や、東シナ海をも「核心的利益」を有する地域にしようとしていることを銘記すべきだ。(さっさ あつゆき)

強硬中国、根拠なき楽観論砕かれ手詰まり感(讀賣N)

沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件は、中国政府が求めた「謝罪と賠償」に対し、菅首相が26日、拒否する考えを公に表明するなど、日中間の対立は長期化の様相を深めている。


 首相らは26日も今後の対応について協議したが、25日の中国人船長釈放後、中国側が態度を軟化させると見ていた日本政府は、中国の真意の見極めに苦心している。

 前夜に訪米から帰国した首相は26日、中国政府が求めた「謝罪と賠償」について、「尖閣はわが国固有の領土だ。謝罪や賠償は考えられない。全く応じるつもりはない」と述べた。都内で記者団に語った。首相はさらに「(日中)双方とも冷静になって、大局的な観点に立って行動することが必要だ」と強調した。

 これに対し、中国側は強硬姿勢のままだ。省エネ家電部品などに不可欠なレアアース(希土類)の輸出停止が続いていることから、外務省は26日も中国側に再確認を求めたが、前日同様、措置を否定したという。予想外の展開に「政府は事実上、手詰まり状態なのでは」(民主党関係者)との指摘が広がっている。

 船長釈放を発表した24日、首相官邸には楽観論が満ちていた。政府筋は「中国の反発は一気にしぼむはず」と語り、首相側近は「この先の中国の動きを見て評価してほしい」と自信たっぷりだった。

 だが、事実上の「政治決断」は外務省幹部らにも事前に相談されていなかったため、結果的に「首相らは中国側と落としどころを調整せず、根拠なく事態が収拾すると楽観していた可能性が高い」(外務省関係者)との見方も出ている。

 首相は26日夜、仙谷官房長官らと首相公邸で今後の対応を協議した。同日夕に訪米から帰国した前原外相も、そのまま外務省に直行し、政務三役や同省幹部らと協議。外相は三役に「日中関係の再構築が外務省の仕事だ」と語った。

(2010年9月27日03時12分 読売新聞)

【主張】中国の謝罪要求 譲歩ではなく対抗措置を(産経N)

中国外務省が尖閣諸島沖の漁船衝突事件で、日本側に謝罪と賠償を要求するなど強硬姿勢をエスカレートさせている。

 これに対し、菅直人首相は26日、あらためて、「中国側の要求は何ら根拠がなく、全く受け入れられない」と拒否した。当然の対応である。だが、日本側は領海侵犯し、海上保安庁の巡視船に意図的に衝突した中国人船長を処分保留のまま釈放したことで、事態が好転すると甘く見ていたのではないか。

 一度譲歩すると、さらなる譲歩を迫られるのが常である。日本として、どういう対抗措置を取るのか、菅政権は態勢の立て直しに総力を挙げねばならない。

 中国側が尖閣諸島の領有権を主張したのは、東シナ海大陸棚で石油資源の埋蔵の可能性が指摘された直後の1971年12月である。日本が1895年に領有を閣議決定した後の七十数年間、中国は異論を唱えていない。こうした事実を日本政府は国際社会に発信し、理解を求めなければなるまい。

 一方で中国は、トウ小平氏が1978年、領有権の棚上げを語り、日本側も、これを容認した経緯がある。ただ、中国は領海法を制定するなど尖閣を自国領とすることに着々と布石を打っており、今回の漁船の侵犯と体当たりは、その一環と見ることもできる。

 それだけに日本側は、尖閣に施政権があることを明確にしなければ、日米安保条約の対象地域に該当しなくなることも考えておく必要がある。

 問題は、領土や領海に対する国家主権を菅政権が守ろうとしているのか、はっきりしていないことだ。今回の釈放についても首相は「検察が事件の性質を総合的に考え、国内法に基づき粛々と判断した」と、釈放は検察の判断だとする見解を繰り返しただけだ。民主党の岡田克也幹事長も「政治的な介入はない」と強調している。

 釈放は今後の対中外交に重大な禍根を残し、日本の国際的信用も失われた。首相がその責任を免れることなどできない。国民に十分な説明ができないなら、最高指導者の資格はあるまい。

 自民党の谷垣禎一総裁が「直ちに国外退去させた方が良かった。最初の選択が間違いだった」と、船長の逮捕そのものを批判したのもおかしい。毅然(きぜん)と主権を守る姿勢を貫くこととは相いれない。発言を撤回すべきである。

【敗北 尖閣事件】(下) 責任、検察に転嫁…「起訴すべき!」会議室に響いた声 (産経N)

■首脳会議一転

 「証拠も十分で事案も悪質。起訴すべきです!」

 24日午前10時すぎ。東京・霞が関の法務・検察合同庁舎19階の最高検会議室。中国漁船衝突事件で逮捕、送検された中国人船長に対し、起訴を主張する幹部の声が響いた。那覇地検が中国人船長の釈放決定を発表する、わずか4時間前の出来事だった。

 集まったのは、大林宏検事総長、最高検の伊藤鉄男次長検事、勝丸充啓(みつひろ)・公安部長と担当検事に加え、那覇地検の上野友慈(ゆうじ)検事正と福岡高検の岩橋義明次席検事。国会議員の逮捕など重要案件を最終決定する際に開かれた「検察首脳会議」ともいえる顔ぶれだ。

 この時点では、方針が釈放で一致していたわけではない。1時間に及んだ会議。出席者の一人の発言を契機に全員一致での釈放決定への流れが強まった。

 「4人の人命はどうなるんですか。(起訴したら)危ないんじゃないですか」

 準大手ゼネコン「フジタ」の邦人社員4人が軍事管理区域で撮影した疑いで中国当局に拘束されたことが前夜に発覚していた。ある幹部は「人命をてんびんにかければ、起訴という判断はできなかった」と悔しさをにじませた。

 

 ■潮目変わった日

 船長の10日間の勾留(こうりゅう)延長が決定した19日の時点で、検察当局は「起訴」に向け意気軒高だった。「異論を唱える人は誰もいなかった」(幹部)という。
 実際、検察当局は公判に備え、石垣海上保安部が衝突時の様子を撮影したビデオ映像の公開に「待った」をかけていた。「手の内を明かすわけにはいかない」(同)からだ。詰めの捜査のため、最高検は公安部の担当検事を那覇地検へ派遣する方向で調整していた。

 潮目が変わったのは21日だった。中国の温家宝首相が「釈放しなければ、中国はさらなる対抗措置を取る用意がある」と揺さぶりをかけた。間もなく、邦人4人が中国で行方不明との情報がもたらされる。

 「すぐに身柄拘束を想像した」とある検察幹部。このころから検察内では「船長にいい弁護士がつき、容疑を認めさせれば略式起訴で済ませられるのに」と弱気な声が漏れ出した。

 しかし、船長は否認を続け、連日、中国の在日大使館員と接見した。「何か吹き込まれたのは間違いない」と海保関係者。否認のままでは略式起訴にできない。流れは釈放に傾いた。

 

 ■官邸に2度も

 23日には那覇地検が外務省の担当課長から参考人聴取として状況を聞いた。起訴したら日中関係はどうなるか、影響を中心に説明を受けたとみられる。首相官邸からも法務省側に早期解決を望む意向が非公式に伝えられたという。24日には柳田稔法相が2回も官邸に入り、2回目は慰労会を中座して仙谷由人官房長官と1時間面会。帰り際、報道陣からの「尖閣は?」との質問を無視した。
 柳田法相が官邸を辞して1時間後の午後2時半すぎ、那覇地検の鈴木亨次席検事は釈放を発表。理由に「日中関係への考慮」を挙げた。検察当局が政治決断を負わされたこともにおわせる、異例の発言だった。

 一方、菅直人首相も仙谷長官も釈放は「検察の判断」と繰り返すのみだ。

 船長釈放から半日後の25日午後、拘束中の邦人4人は北京の日本大使館員と面会できた。検察が憂慮した人命の危機は脱した。

 しかし、検察当局に対し、「中国の圧力に屈した」との国民の失望感は広がっている。折しも大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)という前代未聞の事件も発覚。逆風にさらされる中で検察当局が下した今回の判断は、当面の危機を脱する役割は果たしても、さらなる国民の不信という禍根を残す結果となった。

(大竹直樹、千葉倫之)

中国、強気の対日外交「揺さぶれば一層の譲歩」(讀賣N)

北京=大木聖馬】中国の胡錦濤政権は、中国人船長の釈放を決めた日本に対して「謝罪と賠償」を求め、日本の拒否回答には同じ要求を繰り返した。

 執拗(しつよう)なまでの外交圧力をかけてくる中国側には「菅政権にさらに揺さぶりをかければ、一層の譲歩を引き出せる」(外交筋)との読みがある。

 中国も、日本が「賠償と謝罪」に応じるとは見ていない。ただ、「領土問題は存在しない」としてきた日本が、「謝罪と賠償」を巡る協議に応じることがあれば、「領土問題」の存在を事実上認めさせることになり、それだけでも大きな外交得点となる。

 姜瑜(きょうゆ)・中国外務省副報道局長が25日夜発表した談話では、前原外相が尖閣沖で同様の事案が再発した場合に毅然(きぜん)と対応すると発言したことに対し、「釣魚島(尖閣諸島)は中国固有の領土だ。中国政府は今までと同様、主権と領土を断固防衛する」と強調してもいる。再び中国漁船を拿捕(だほ)することは認めないとの警告だ。

 胡政権は、一連の報復措置に菅政権が屈したと自信を強め、「報復措置継続というオプションも残している」(中国筋)という。

 一方、中国のインターネット掲示板は25日、船長の帰国を受けて、対日「勝利」をたたえ、一層の強硬な措置を求める声で沸騰した。政権を「反日世論」が後押ししている形だ。

 「船長は抗日英雄だ」などの声が相次ぎ、「謝罪と賠償」要求については、大多数が「全面的な支持」。「海軍を出動させよ」と求める者も少なくない。

 目立つのが「日本には経済制裁が一番有効」とする意見だ。日本製品の不買運動や訪日旅行の自粛などの呼びかけも続出し、「愛国行動として支持する」との声が広がる。今後、経済面での民衆レベルの反日行動が表面化する恐れがある。

(2010年9月25日23時58分 読売新聞)

【敗北・尖閣事件】(中) 戦略なく思考停止の日本政府、「中国も冷静に」ばかり(産経N)

■一片の報道官談話

 沖縄・尖閣諸島沖での漁船衝突事件で、「白旗」を掲げて中国人船長を釈放した日本に、中国はどう応えたか。和解の握手を交わすどころか、くみしやすしとみて、図に乗ってきた。

 中国外務省が日本に「強烈な抗議」として、謝罪と賠償を要求したのは25日未明。緊張に耐えられず、すぐ「落とし所」を探す日本と違い、中国は弱い相手には、より強く出た。

 日本政府の対応は鈍かった。「尖閣諸島がわが国固有の領土であることは、歴史的にも疑いない。領有権問題は存在しない。謝罪や賠償といった中国側の要求は何ら根拠がなく、全く受け入れられない」

 ようやく一片の外務報道官談話が出たのは、半日過ぎた25日午後。しかも訪米中の前原誠司外相は24日(日本時間25日)、ニューヨークでこれを聞かれると「コメントは差し控えたい」と言及を避けた。

 「政治主導」を掲げる政権で、菅直人首相はじめ政権幹部には、決定的に発信力が欠けている。
■首相は“人ごと”

 24日午後(日本時間25日朝)、ニューヨーク市内で記者会見した菅直人首相は建前論を繰り返した。

 「(中国船長の釈放は)検察当局が、事件の性質などを総合的に考慮し、国内法に基づいて粛々と判断した結果だ」

 記者団との懇談で、準大手ゼネコン「フジタ」の社員4人が中国内で拘束されたことを聞かれた際も、人ごとのような反応だった。

 「なんか、そういうことがあるという知らせは、受けている」

 一方、中国はどうか。

 温家宝首相は23日の国連総会での一般演説で、国家主権や領土保全では「屈服も妥協もしない」と強調し、国際社会に明確なメッセージを発信した。

 国際社会では「沈黙は金」ではない。こんなありさまでは、尖閣諸島の歴史や事情を知らぬ諸外国に、中国側が正義だという誤解を生みかねない。

 今回の船長釈放劇で「判断に全然タッチしていない」(幹部)とされる外務省の中堅幹部がぼやく。

 「自民党政権時代なら、中国の次の行動に備え、対処方針を策定するよう政治家から指示があった。ところが今回は、ほとんど現場に話は来なかった」
■政治主導機能不全

 官邸サイドは否定するが、首相が「超法規的措置はとれないのか」といらだっていたとの報道がある。実際のところ官邸には「ただ、早く沈静化させたいという思いが先行していた」(首相周辺)ようだ。

 政府には、問題解決に向けた見通しも方針もなく、衆知を集める能力もノウハウすらもなかったことになる。これでは「人災」だ。

 「証拠として早く(漁船が衝突した時の)ビデオをみせるべきだった」。鳩山由紀夫前首相も25日、京都市内で記者団に、政府の段取りの悪さを指摘した。

 鳩山氏は続けた。「私が首相当時は、温首相とのホットラインがあった。事件直後に菅首相が腹を割って議論すればよかった」。嫌味を言われる始末だ。

 民主党の岡田克也幹事長は25日、奈良市で記者団に中国の謝罪・賠償要求についてこう語った。「全く納得がいかない。中国にもプラスにならない。中国は冷静に対応した方がいい」

 政府・与党幹部が判で押したように中国に「冷静な対応」を求める。だが中国は日本の慌てぶりを「冷静に」観察し、どこまで押せば、どこまで引き下がるかを見極めながら、強硬姿勢を強めたのではないか。

 25日夜、訪米から帰国した首相を最初に出迎えたのは、首相官邸前に陣取った市民団体の抗議のシュプレヒコールだった。

 そして、仙谷由人官房長官らが公邸に駆け込んだ。尖閣問題の「今後」を協議する中で、メディアが伝える厳しい世論も報告されたという。(阿比留瑠比)

なぜ釈放?怒る漁民「中国漁船、どさっと来る」(讀賣N)

なぜ今、釈放か――。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、24日、●其雄(せんきゆう)船長(41)の釈放を公表した那覇地検の判断には、周辺の漁業者らから戸惑いや憤りの声が上がった。(●は「擔」のつくりの部分)

 衝突時のビデオ解析で「立証は堅い」と信じていた海上保安庁の職員は落胆の表情を浮かべ、幹部からは、海上警備で海上保安官が萎縮(いしゅく)しないか、などの懸念も出た。

 「起訴して当然だと思っていたのに……。国に見捨てられた気分だ」

 沖縄県・与那国島の与那国町漁協の中島勝治組合長(44)は、那覇地検の判断に憤りを隠せない様子で語った。

 衝突事件以降、現場周辺海域で中国船を見かけることはなかったといい、「せっかく毅然(きぜん)とした対応を続けていたのに、甘い姿勢を見せた以上、すぐに中国の漁船がどさっと来るようになるはず。どうせ政治判断なのだろうが、政府にはがっかりだ」と不満をあらわにした。

 宮古島の小禄貴英(よしひで)・宮古島漁協組合長(61)も「今回の判断で、今度は尖閣周辺で我々が中国に拿捕(だほ)される恐れもある。国は尖閣が日本の領土という主張だけは、強く示し続けてほしい」と訴えた。

     ◇

 「こんなことならビデオを早く公開すべきだった」

 ある海保幹部は、そう悔しさをにじませる。海保が所持しているビデオ映像は、事件が起きた7日に、損傷した巡視船「よなくに」と「みずき」から撮影したもの。「よなくに」の船尾部分を、漁船が斜めに航行しながら接触した様子や「みずき」の右後方を平行に走っていた漁船が左側にかじを切って右舷の中心部付近に衝突した様子が鮮明に映っていた。海保は、この映像に漁船や巡視船の航跡データを組み合わせれば、漁船側が衝突してきた状況は立証できる、と自信を持っていた。

 海保内部では当初、積極的なビデオ公開の意見も出た。だが、中国側に配慮する官邸サイドの意向もあり、立件方針が決まった7日夜になり、一転して非公開に。

 映像公開については、24日夕、馬淵国土交通相が「今後の推移で判断する」と述べただけで、別の海保幹部は「海上の警備は危険と隣り合わせ。いざという時、現場の職員の士気が落ちなければいいが」と話す。

     ◇

 24日午後に行われた那覇地検の緊急記者会見。「今後の日中関係を考慮し、捜査を続けることは相当でないと判断した」。鈴木亨・次席検事は感情を押し殺したような口調でそうコメントを読み上げた。

 政治介入の有無についての質問も相次いだが、鈴木次席検事は「検察当局として決めた」「中国政府に配慮したものではない」と重ねて否定し、会見が進むにつれて「答えを差し控えたい」と口を閉ざした。

(2010年9月24日23時55分 読売新聞)

中国人船長釈放】これこそ「腰抜け外交」だ 政治部長・乾正人(産経N)

これが民主党の誇る「政治主導」の帰結である。

 那覇地検は、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で勾(こう)留(りゅう)した船長の釈放を決定したが、仙谷由人官房長官は「地検独自の判断だ」と繰り返した。これを真に受けるのはよほどのお人よしだろう。

 中国の要求を丸呑(の)みした今回の釈放劇は、尖閣諸島の危機のみならず、日本と日本人に多大の災厄をもたらすことになるが、民主党政権に国家を担う統治力がないことも明白になった。

 中国は今回の事件で、ありとあらゆる嫌がらせをやってきた。

 青年訪中団の突然のキャンセルや閣僚級の交流停止は序の口で、省エネ家電の部品に不可欠なレアアースの輸出を停止し、果ては何の関係もない「フジタ」の社員4人を拘束した。

 国家は、領土、人民、主権の3要素から成り立っているが、領土あっての国家である。尖閣諸島の実効支配を狙う中国が、船長逮捕を奇貨として山賊まがいの強硬策をとったのはある意味、当然のことだ。

 国家意思をむき出しにして攻勢を強めてきた中国に対して日本政府の対応は、あまりにもお粗末だった。東シナ海の権益をあわよくば独占しようという中国は、「なんとか冷静に、穏便に」という基本方針で通用する相手ではない。

 韓国の反日デモに参加した岡崎トミ子氏を国家公安委員長に起用した人事が象徴するように、菅直人首相をはじめ民主党幹部のほとんどが、国家意識があまりに希薄だったのも災いした。

 事件発生以降の首相の言動を追うと、領土、人民、主権を命がけで守ろうという気迫がまったく感じられないのだ。官房長官に至っては「偏狭なナショナリズムをあおらないように」と、何か日本側メディアに問題があるかのような発言を繰り返した。しかも、釈放の責任を那覇地検に押しつけるようないいぶりをみせた。これでは、命の危険を顧みず逮捕した海上保安官や連日取り調べに当たった現場の検事が浮かばれない。
フジタの社員が拘束されたのがわかったのは21日だが、外相や現地の大使が中国に強く抗議し、釈放を求めた形跡がない。これでは、無理が通れば道理がひっこむ中国外交にかなうはずがない。

 政府が「法と正義」を金看板とする検察に事実上、「政治判断」を強いた罪も重い。「日中関係を考慮」して容疑者が釈放されるなら、東京で中国人が事件を起こしても中国がねじこめば、釈放されかねない前例を残した。大阪地検特捜部の主任検事が逮捕された検察庁の足元を見たようだが、検事総長は何をしていたのか。

 明治以来、先人たちが営々として築いてきた法治国家の根幹を揺るがす事態を招いた責任は、菅政権が負うべきものである。

 ただ、一連の出来事で、教訓となったのは「日中友好」というスローガンがいかにまがい物かを国民に教えてくれたことだ。政治家や経済人の一部には、日本の首相が靖国神社に参拝さえしなければ、日中友好は盤石だと勘違いしていた人がいたが、まったくの間違いだったことが証明された。

 それともう一つ。「偏狭なナショナリズム」に沸く中国に観光でお出かけになるのは、しばらく控えた方がいい。どうしても行くのならビデオカメラは持って行かぬことだ。中国は、気に入らない日本人をいとも簡単に逮捕し、大使館もあてにならないのだから。

異例!検察が外交的配慮?「政治決着」で釈放か(讀賣N)

沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内での中国漁船衝突事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害容疑で逮捕され、拘置中の中国人船長の釈放を発表した。


 地検は日中関係への配慮などを理由としたが、検察当局が刑事処分の理由に外交的配慮を挙げるのは極めて異例で、事実上の「政治決着」と受け止められている。

 中国側が日本近海での海洋権益確保の動きを一段と強める可能性もあり、今後、菅政権の対応の是非が問われることになりそうだ。

 ●其雄(せんきゆう)船長(41)は石垣市の八重山警察署に拘置されており、同日夜に石垣空港に到着する予定の中国からのチャーター機で送還される見通し。(●は「擔」のつくりの部分)

 24日に記者会見した那覇地検の鈴木亨・次席検事は冒頭、●船長が漁船を左に急旋回させて第11管区海上保安本部(那覇)所属の巡視船「みずき」に衝突させたと指摘し、「故意に衝突させたことは明白である」「巡視船の乗員が海に投げ出される恐れのある危険な行為だった」と強調した。

 その一方、〈1〉「みずき」に航行に支障が生じるほどの損害はなく、負傷者もいない〈2〉追跡を逃れるためとっさにとった行為で計画性は認められない――ことを挙げ、国民への影響や今後の日中関係も考慮して釈放を決定したと説明。決定については「福岡高検、最高検と協議して判断した」と述べた。

 鈴木次席検事によると、●船長は公務執行妨害の容疑を否認しているという。

 11管や地検の発表によると、漁船は7日午前9時15分頃、尖閣諸島・久場島の北西約10キロの日本領海内で網を下ろしていたため、巡視船「よなくに」が停船命令を出したところ逃走。追跡する「みずき」の右舷中央部に衝突し、立ち入り検査を妨害した疑いが持たれている。

 ●船長は8日に11管に逮捕され、石垣簡裁が10日に10日間の拘置を認めると、中国政府は翌11日、東シナ海のガス田共同開発に関する交渉延期を発表した。19日に10日間の拘置延長が決まった後は、閣僚級以上の交流停止などの報復措置も表明したほか、20日には中国河北省石家荘市で、中堅ゼネコン「フジタ」の日本人社員4人が軍事施設保護に関する法規違反などで中国当局に拘束される事件も起きていた。

(2010年9月24日21時29分 読売新聞)

【中国人船長釈放】「われわれも悔しい」 苦情殺到で唇噛む海保職員(産経N)

沖縄・尖閣諸島沖の漁船衝突事件で、中国人船長を那覇地検が釈放するとの発表を受け、海上保安庁の政策評価広報室にはマスコミ各社の記者が続々と詰めかけた。

 中川高史室長は「われわれが判断できることではないから…。判断したのは地検ですから」と話しながらも那覇地検の次席検事の会見のニュースを見ながらどこか口惜しげな表情を浮かべた。

 石垣海上保安部にもマスコミからの問い合わせが殺到した。ある職員は「事前には知らされていなかった。容疑者の身柄も証拠物も地検に送ってあるので、何もこちらでコメントできない」と話した。

 一方、海上保安庁の広報室には市民から苦情の電話が殺到、電話回線がふさがった。「明白な領海侵犯ではないのか」「漁船がわざとぶつかったのに釈放とは…」という問い合わせに、職員が法的な理由を説明していた。

 石垣海保にもニュースの直後から電話が入った。1件は「釈放に賛成だ。安心した」というものだったが、もう1件は「海保が命をかけて頑張ったのに検察は何をしているのか」という怒気を含んだものだったという。

 関東地方の海上保安署に勤務する40代の職員は「われわれは忠実に任務を遂行しただけ。釈放したのは地検なのだから文句はそちらに言ってほしい。われわれだって悔しい」と話していた。別の職員も「那覇地検だけで決められる話ではないだろう。納得できないな」と唇をかみしめていた。

中国人船長釈放】柳田法相「指揮権は発動していない」(産経N)

尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で、那覇地検が中国人船長を処分保留のまま釈放することを発表したことを受け、柳田稔法相は24日夕、法務省でコメントを発表。「法相としての指揮権は発動していない」と強調したが、報道陣からの質問は一切受け付けなかった。

 法相は那覇地検の判断について、「福岡高検や最高検と協議の上での決定だったとの報告を受けた」と説明。「検察当局の決定後、発表する前に報告を受けた」として、「検察庁法第14条に基づく指揮権を行使した事実はございません」と述べた。

 釈放の理由については、船長が漁船を故意に石垣海上保安部所属の巡視船に衝突させたことは明白としながらも、(1)計画性が認められない(2)海上保安官が負傷するなどの人身被害がなかった(3)船長はトロール漁船の1船長で日本における前科がない(4)日中関係の重要性(5)関係当局による今後の再発防止の努力を考慮した、との報告を受けたことを明らかにした。

 その上で、「個別の事件での検察当局の処分について、法相としての所感を述べるのは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、検察当局において諸般の事情にかんがみ、法と証拠に基づいて適切に判断したものと承知している」と述べた。

【正論】拓殖大学大学院教授・森本敏 尖閣と普天間はリンクしている(産経N) 

中国漁船が9月7日に、尖閣諸島南端の久場島北西の領海内で巡視船に衝突した事件で、日本当局が船長を公務執行妨害の疑いで逮捕したことに対して、中国側が取ってきた強硬姿勢は、温家宝首相が即時、無条件釈放を求め、さもなければ、さらなる対抗措置を取ると警告する事態にエスカレートした。

 中国側の対応はこれまで、すでに、駐中国日本大使への抗議、日本大使館へのデモやいやがらせ、閣僚級交流やスポーツ・旅行・文化行事の停止、東シナ海ガス田開発交渉中断、全人代副委員長の訪日延期など急速に激しさを増し、全く冷静さを欠いている。

 ◆船長裁判阻止へ圧力かける

 中国側は、日本の司法当局が船長を日本の国内法で起訴して判決を下すと、尖閣諸島は法的に日本領土であるという既成事実ができてしまうので、それを阻止すべく、あらゆるルートから船長釈放を求める圧力をかけつつ日本側の対応を見極めようとしている。習近平国家副主席の陛下表敬の時のように、日本は圧力をかければ最後は何とかなる社会だと考えているのであろう。日本の司法当局には政治圧力が効かないことを理解していないのかもしれない。

 中国の究極の狙いは、周辺海域での海洋主権の拡大に向けて既成事実作りをし、領有権を唱え続けて日本との交渉に持ち込むことにある。だから、今後も尖閣諸島に漁船を近寄らせ、大型漁業監視船(海軍艦艇の改造船)で威圧して恒常的な活動実績を積み上げてゆき、いずれ実効支配という非常手段に出る可能性もある。

 中国は国内の反日デモが拡大しないよう統制する一方、反日感情を利用して日本側に圧力をかけてもいる。

 日米同盟が健全状態になく、日本の内政も安定していないのを見越し、日本が7月の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で南シナ海問題に関し中国批判をしたことに報復するという要素もあろう。

 日本としては、日中間に領土問題はないとの原則に立ち、国内法に照らして厳正に対応していくほかない。司法当局は勾留(こうりゅう)期間を延長して起訴する方向で、公判請求はあり得る。政府は中国に冷静な対応を要請し続けており、これまでの対応は妥当なものだ。

 ◆沖縄が対立の最前線に

 日本が今後取るべき対応は、第一に、普天間飛行場問題を速やかに解決し、日米同盟を再強化することだ。在日米軍は対中抑止力の役割をますます色濃く帯びるようになっており、対中戦略のうち喫緊の課題が尖閣諸島問題である。尖閣問題と普天間問題は密接にリンクしているのである。

 仮に、尖閣諸島が中国の領土になれば、沖縄の各基地を含む在日米軍基地は、米中対立の最前線になる。そんな状況を未然に防ぐためには、日米同盟に基づく抑止機能を再活性化するしかない。できれば、早急に沖縄周辺海域で日米海上合同演習を頻繁に行うといった着意が必要である。

 第二は、中国が対日抗議を激化させていることに対しては、あくまで法と正義にのっとって冷静に対応することだ。前述した通り、中国が日本社会には圧力をかければ、自らの意図を実現できると甘く見ているとすれば、なおのこと国内法を厳正に適用する姿勢を明確にする必要がある。

 その一方で、中国が、今回のような海洋行動を一段と日常化させてきて、そのうち、中国海軍艦艇が中国漁船を守りつつ、日本の領海に接近してきた場合、いかなる手段を取るべきかも検討しておかなければならないだろう。

 ◆施設建設と日米合同演習を

 備えのひとつとして、日本としては、現在私有地である尖閣諸島を国有地にする手続きを踏み、船舶の停泊施設や警戒監視施設、対艦ミサイル基地を建設するなど対応に万全を期しておくべきだ。

 また、南西方面戦略を進めて、鹿児島南端から与那国島に至る百九十余の離島を防衛する措置を取ることも急がれる課題だ。

 第三には、尖閣の問題を日中間の問題に狭めることなく、アジア・太平洋の多国間の問題に広げる努力を行うことである。

 10月にはハノイで東アジアサミットが、11月には横浜市でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議がそれぞれ開催される。これらの会合を通じて、アジア・太平洋における航行の自由や領有権問題について、各国の懸念を背にしたような外交的な働きかけを行う必要がある。中国は日本への対抗措置を、南シナ海問題を抱えるASEAN諸国に見せつけている。そして、ASEAN側は日本の対応を注視しているのだ。

 要するに、今回の問題ではっきりしてきたのは、中国の一方的にして強圧的かつ露骨な海洋主権拡大の意図であり、中国が今回のような海洋行動を常態化させることにより、目的を達成しようとする長いプロセスが始まったということである。日本の姿勢としては、法と正義に基づき正々堂々と振る舞うこと、それ以外にない。(もりもと さとし)

「尖閣は日米安保適用対象」クリントン長官、明言 日米外相会談で(産経N)

【ニューヨーク=酒井充】前原誠司外相は23日午前(日本時間同日夜)、ニューヨークでクリントン米国務長官と外相就任後初めて会談した。クリントン氏は沖縄・尖閣諸島付近で海上保安庁の巡視船と中国漁船が衝突した事件に関連して、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であるとの見解を強調した。今月7日の事件発生以来、米側がこうした見解を直接、日本側に明言したのは初めて。海洋権益を拡大する中国に対し、日米両国が足並みをそろえて牽(けん)制(せい)した格好だ。

 前原氏は約50分間に及んだ会談で、衝突事件について「東シナ海に領土問題はない。日本の国内法にのっとって粛々と対応する」と述べ、日本政府の対応を説明した。その上で、尖閣諸島を日米安保条約の適用対象としている米側の従来の立場に謝意を示し、日中間で問題解決に取り組む決意を示した。

 これに対し、クリントン氏は尖閣諸島について「明らかに日米安保条約が適用される」と語った。日米安保条約第5条は「日本国の施政の下にある領域」で「いずれか一方に対する武力攻撃」があった場合に、「共通の危険に対処するように行動することを宣言する」としている。

 ただ、クローリー米国務次官補(広報担当)は、尖閣諸島の領有権が日中両国のどちらにあるかについて、米国は立場を明確にしないとした上で、外相会談でクリントン長官が、日中両国の対話強化による衝突事件の早期解決を求めたことを明らかにした。
このほか、会談では日米同盟がアジア太平洋地域の平和と安定に欠かせないとの認識のもと、同盟深化を図ることで一致。米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)移設問題では、前原氏が同県名護市辺野古を移設先とする5月の日米共同声明の実現に向けて「しっかり対応していく」と述べ、米側の理解を求めた。

 これに対し、会談に同席したキャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は「移設問題も重要だが、もっとグローバルなテーマも日米の戦略対話でしっかりやっていこう」と語った。北朝鮮の核開発問題に対し日米が連携して解決に努力することや核開発を続けるイランへの制裁で協調することでも一致した。日本側が削減を求め、米側が難色を示す在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の問題は話題に上らなかった。

邦人取り調べは報復か 容疑は軍事区域侵入 建設会社関係者の4人(産経N)

23日の新華社電によると、中国河北省石家荘市の国家安全当局は、同省内の軍事管理区域に許可なく侵入し、録画をしていた疑いで日本人4人を取り調べていると明らかにした。4人が拘束されているのかどうかは不明。

 日中関係筋によると、4人は日本の建設会社フジタの関係者で、遺棄化学兵器関連事業を受注する準備のために下見に来ていたとみられるという。在北京の日本大使館は「事実関係を確認中」としている。

 新華社は一報配信の直前、軍事管理区域に入った4人の日本人を調べているとの「重要原稿」を間もなく送ると配信先に予告した。こうした事件をめぐって重要原稿の配信予告を行うのは異例。4人の取り調べは漁船衝突事件での船長逮捕に対する報復の可能性もある。

 今後、4人の身柄の扱いについて中国側が、日本で拘置中の中国人船長の釈放を求める取引材料にするのではないかとの見方も出ている。(共同)

「我々は冷静に対応」尖閣問題で前原外相(讀賣N)

【ニューヨーク=志磨力】前原外相は21日夕(日本時間22日朝)、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に関連し、「我々は冷静に対応している。それ以上でもそれ以下でもない」と述べ、中国側に暗に自制を促した。


 ニューヨークの国連本部で記者団に語った。

 前原氏は「尖閣は我が国固有の領土で、領土問題は存在しない。何かあった時には国内法にのっとって粛々と対応するだけだ」と強調した。さらに、「(米国滞在中に)中国側と対話の機会があれば、(日本の立場を)説明したい」と語った。

(2010年9月22日10時40分 読売新聞)

【主張】尖閣漁船事件 危険はらむ中国首相発言(産経N)

尖閣諸島付近での中国漁船と日本巡視船の衝突事件に関し、中国の温家宝首相が21日、ニューヨークで、日本に勾留(こうりゅう)されている漁船船長の即時無条件釈放を要求、応じなければさらなる対抗措置を取ると警告した。日本の法制度を無視した露骨な脅しで、きわめて遺憾というほかない。

 温首相の発言は、これまで戴秉国国務委員はじめ中国側が外交ルートで行ってきた要求と基本的に同じだ。だが温氏は共産党最高指導部の一員であって、中国の党、政府が一切譲歩しない方針を固めている表れといえる。

 中国側はすでに、閣僚級交流や東シナ海の天然ガス共同開発条約交渉の中止などに加え、日本ツアーの中止など民間交流にも影響が拡大しつつある。追加措置の検討にも入っており、そこには経済交流の制限や、尖閣諸島海域への艦艇派遣といった強硬手段も含まれていると伝えられる。

 日中関係は小泉純一郎政権の時代も、靖国神社参拝問題などで冷え込んだ。中国で大規模な反日デモが発生したが、実務関係や経済交流への影響はほとんどなく、日中貿易は拡大し「政冷経熱」といわれた。双方が、政治的対立が実務関係に及ばないよう、冷静に対処した結果だった。

 中国側が強硬姿勢を続ける理由の一つは、尖閣諸島の領有権の主張を含め、東シナ海での海洋権益確保である。日本固有の領土である尖閣諸島の日本の領有権を認めず、中国漁船の拿捕(だほ)、船長の勾留を非難する背景だ。

 しかし事件は、日本の領海内で中国漁船が不法操業し、巡視船に体当たりして逃亡を企てたという単純なものだ。日本当局は、公務執行妨害容疑で船長を取り調べる司法手続き中であり、それに中国が圧力を加えるのは内政干渉以外の何物でもない。

 中国の強い圧力に対し、日本政府が中国側に自制を求め、「粛々と法手続きを進める」のは当然である。しかし中国側の対抗措置に、手をこまねいているだけでよいのか。在外公館を通じて、各国に尖閣問題についての日本の立場を説明するなど積極的に発信して対抗する必要がある。

 日中が敵対関係に陥りかねない事態は双方にとって不幸である。司法の結論を待ち、政府は中国側との対話を模索し、事態の拡大を防ぐ努力をすべきだ。

【主張】菅・オバマ会談 日米で尖閣防衛確認せよ(産経N)

菅直人首相が国連総会出席とオバマ米大統領との首脳会談のために訪米した。米軍普天間飛行場移設問題で日米同盟の空洞化が深まる中、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件では中国首相が船長の「即時無条件釈放」を要求するなど強硬姿勢を一段と強めてきた。

 日本の領土と安全はかつてない危機にさらされている。アジア太平洋の秩序を守る公共財たる日米同盟の実効性に東南アジア諸国の懸念も高まっている。

 決定的に重要なのは、日米首脳会談と外相会談だ。中国の無法な行動に対抗するため、首相と前原誠司外相は米軍再編の着実な履行を柱に同盟の基盤を立て直し、尖閣防衛を貫く強力な意思を世界に発信すべきである。

 日米関係は昨年秋の民主党政権移行以来、普天間問題で迷走を重ね、菅改造内閣発足後も解決のめどは立っていない。この間、同盟空洞化の足元を見透かすように中国海軍は黄海、東シナ海、南シナ海で大胆な行動に出始め、海上自衛隊護衛艦に対する艦載ヘリの異常接近(4月)も起きた。

 その延長が今回の漁船衝突事件であり、日本の安全と領土・領海を守る同盟の意思と能力が試されているといわざるを得ない。周辺諸国が事態を注視するのもそのためだ。首相や外相はまずこの現実を強く認識する必要がある。

 尖閣諸島は日本固有の領土であり、日本政府は少なくとも「中国側が領海侵犯と違法操業を謝罪し、衝突の損害賠償に応じない限り、交渉には一切応じない」となぜ主張できないのか。日中が「戦略的互恵関係」を進めるには、相手の領土・領海を尊重することが大前提であることを中国は肝に銘じなければならない。

 米国務省は先月、尖閣諸島が日本の施政の下にあり、「日米安保条約の防衛対象」と言明した。首脳会談、外相会談では同盟の根幹につながる共同防衛の誓約を再確認し、国際社会にアピールすべきだ。一方で米国は「日中の対話が必要」(スタインバーグ米国務副長官)との立場も示しており、日米共通の対処を緊密にすり合わせる必要もある。

 首脳会談の翌日には米・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会談も開かれる。ASEANの懸念に応えるためにも、日米が「強い同盟」の回復に全力を注ぎ、信頼を取り戻してもらいたい。

沖縄海兵隊の移転延期、米国防総省が計画決定(讀賣N)

【ワシントン=小川聡】沖縄に駐留する米海兵隊約8000人のグアム移転について、米国防総省は20日、環境影響評価書最終版(FEIS)を踏まえた事業計画を決定した。

 詳細は21日に公表される予定だが、米海軍の統合グアム計画事務所は、地元に対して、基地建設の速度がインフラ(社会基盤)能力を上回らないように調節する「適応性のある計画管理」を導入する結果、「海兵隊の移転は遅れる」と説明している。日米両政府が2006年に合意した「2014年」の移転完了期限を断念する方針を改めて示したものだ。FEISでは「適応性のある計画管理」を導入した場合、2020年に移転を完了するシナリオを提示している。

(2010年9月21日21時48分 読売新聞)

思いやり予算増額要求 米政府、忍従から攻勢に転換 「緑の同盟」が布石 (産経N)

思いやり予算をめぐる日米協議は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題の迷走に忍従してきた米政府が攻勢に転じる構図となる。「ビタ一文、上積みは認めない」(民主党幹部)と息巻いても米側は対中抑止力提供の対価だと一蹴(いっしゅう)する公算が大きい。在沖縄海兵隊のグアム移転で追加負担を引き出すことも視野に入れており、口先だけで「同盟深化」を唱えてきた民主党政権は高い代償を求められる。(半沢尚久)

 米側が思いやり予算の大幅増額を求める背景には、深刻な国内事情がある。

 対テロ戦の影響で米国防費は10年で倍増し、財政を圧迫する。5年間で国防費を1千億ドル(約8兆6千億円)節減するリストラを余儀なくされ、在沖縄海兵隊のグアム移転についても経費削減を求める議会の圧力は強い。

 このため、米側には日本政府は日米防衛協力を強化するための努力を怠っているとの不満が渦巻いている。中国に対する抑止力と対処能力向上に向け、主体的な役割を果たそうとしないならば、「せめてカネを出せ」というのが米側の本音なのだ。

 そのための布石も打ってきた。5月の日米共同声明に「緑の同盟」というキャッチフレーズを盛り込み、環境対策を打ち出したことだ。「緑の同盟が何を意味するのか不明だ」(防衛省幹部)というほど米側は手の内を明かさなかったが、最近になって米軍基地でエコ対策を進める方針を非公式に伝えてきたという。

 共同声明には、日本国内のみならず、在沖縄海兵隊が移転するグアムの施設整備にもエコ対策を適用する根拠も埋め込んである。グアムの基地に太陽光発電など再生可能エネルギーの導入について「思いやり予算の『構成要素』として検討する」と明記したのが、その根拠だとされる。
緑の同盟には戦略的意義も込められている。日米の環境技術を太平洋島嶼(とうしょ)国のインフラ整備に生かし、そうした地域への中国の影響力拡大を抑えるという戦略だ。米側には米軍基地のエコ対策をその前段の取り組みと強調することで「実利」をオブラートに包む思惑もあるとみられる。

 一方、日本側は戦略的意義には賛同しても、思いやり予算の大幅増額は受け入れがたい。事業仕分けで思いやり予算の6割を占める基地従業員の労務費を「見直し」対象と判定するなど、削減は民主党政権にとって事実上の「公約」となっているからだ。

 あくまで削減に固執するならば、対中戦略で主体性を発揮できる防衛態勢を構築すると説得するしかない。思いやり予算に関する特別協定の日米協議と防衛力整備の基本方針「防衛計画の大綱」の改定はともに年末が期限となっており、菅直人首相の“現実主義”の真贋(しんがん)が試される。

国民の自衛官】(5)山岳救助とスキーの達人 陸自第5普通科連隊(青森) 大平千秋2等陸尉(53)(産経N)

スキー客ら10人が死傷した八甲田山系前(まえ)嶽(だけ)の雪崩事故(平成19年2月)。付近で遭難者救出訓練中に雪崩発生の一報を受け、別の部隊と合流、現場に向かった。視界が悪く猛吹雪の中、2次災害の恐れもあったが、的確な指示と迅速な救援活動で死傷者を収容した。

 「冬山での救援活動で大事なことは、周到な準備と日ごろから地形を観察しておくこと」。隊員には常に山を把握しておくように言っている。“八甲田を知り尽くした男”といわれるゆえんだ。

 連隊内の冬季山岳遭難救援隊長として数々の災害現場を指揮した。活動の源となっているのがプロ級の腕前のスキー。上級スキー指導官の傍ら、全日本スキー連盟指導員の肩書を持つ。「隊員相互のコミュニケーションと子供たちに少しでもスキーの楽しさを知ってもらいたい」と、隊員家族や地域の子供たちにボランティアで教えている。「スキー教室を通して団体行動の大切さも学んでほしい」からでもある。

 くしくも明治35(1902)年に199人が落命した八甲田雪中行軍遭難事件で、歩兵第5連隊が駐屯地を出発した日と同じ「1月23日」に生まれた。「冬山に縁がある…」。来年1月に退官。

 「自分があるのは自衛隊のおかげ。これからもスキーを通して何らかの形で恩返ししたい。私にはスキーしかないから」

 (青森支局 福田徳行)

防衛省、陸自1万3千人増検討 新防衛大綱で調整難航も(47N)

防衛省が流動化する東アジアの安全保障情勢や国際テロ、災害への対処能力を向上させるとして、陸上自衛隊の定員を現在の15万5千人から16万8千人へ1万3千人増やす方向で調整していることが分かった。複数の防衛省、自衛隊関係者が19日、明らかにした。年末に策定する新たな「防衛計画の大綱」に盛り込みたい考えで、来年度から増員すれば1972年度以来、38年ぶりの規模拡大となる。

 定員増は陸上幕僚監部の強い意向を踏まえ、防衛省内局で検討。陸幕は日本近海での中国海軍の動きの活発化に伴い、中国沿岸から距離的に近い南西諸島での島しょ防衛強化が特に必要と説明。天然ガスなど東シナ海の資源獲得をめぐる日中摩擦も生じており、政府、与党の理解が得やすいと判断したようだ。

 具体的には、中国が領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市)への対応を視野に、防衛態勢が手薄とされる同県の宮古島以西への部隊配備を検討。沖縄本島の陸自部隊は現在約2千人だが、これを2020年までに南西諸島を含めて2万人規模とする構想も浮上している。

2010/09/20 16:42 【共同通信】

中国、多方面で日本への報復検討…尖閣衝突(讀賣N)

【北京=佐伯聡士】尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件で、逮捕された中国人船長の拘置延長が決まったことを受けて、中国の胡錦濤政権は、経済、軍事、外交の各分野で具体的な対日報復措置の検討に乗り出した。


 船長の釈放が実現するまで、タイミングをはかりながら、報復措置を次々に打ち出し、「対日圧力」を強めていく方針だ。

 関係筋によると、胡政権は9月中旬に内部の対日工作会議を開いた。その場では、事件の長期化に備えて、経済、軍事、外交の各方面での報復措置が選択肢として挙がったという。

 経済面では、旅行社の訪日ツアー自粛、国家観光局による訪日渡航自粛勧告などが検討されている。いずれも、事件発生当時、国土交通相として海上保安庁を主管し、中国で「対中強硬派」とされる前原外相に対する圧力強化を狙ったものとみられる。実施されれば、中国人観光客で潤う日本には大きな打撃となる。

(2010年9月20日20時53分 読売新聞)
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【一筆多論】内藤泰朗 「北方領土」を書かぬ新聞(産経N)

ロシアは今年、日本が降伏文書に調印した9月2日を事実上の「対日戦勝記念日」とする法案を成立させ、ロシア極東各地で祝賀行事を開いた。だが、日本政府は、戦後65年間にわたり北方四島を不法占拠するソ連・ロシアの「侵略行為」に沈黙したままだ。新聞各社も一部を除き、この問題を社説で全く取り上げていない。言論機関に何が起きているのか。

 メドベージェフ露大統領が今年7月に署名して成立した法案は、9月2日を「第二次大戦終結の日」とする内容だ。法案提出時に「対日戦勝記念日」だった名称が変わったのは、クレムリン(大統領府)の意向によるもので、日本からの批判を封じ込める狙いがあった。

 だが、外務省はソ連の侵略行為の正当化に強く抗議するどころか、「対日戦勝」の表現を使わないよう働きかけた結果だとして「ロシア側の対応を評価している」(武正公一副大臣)とコメントする失態を演じた。

 ロシアは、北方領土の不法占拠を正当化して日露間の領土交渉を完全に凍結させても日本がロシアとの経済協力を止めることはないとふんだからこそ、法案制定に動いたのだ。領土交渉は風前のともしびといえる。

 そんな重大な事態に陥っているのに、新聞各社の反応は鈍い。朝日新聞や毎日新聞など大手新聞各社は、北方領土を管轄するロシア極東のサハリン州で「対日戦勝記念日」制定後初の祝賀行事を取材し、ルポなど一般記事の形では報道した。だが、北方領土問題について社説や主張で取り上げたのは、産経新聞と読売新聞だけだった。
産経新聞は記念日成立直後の7月28日、「『対日戦勝日』制定 歴史の歪曲(わいきょく)なぜ抗議せぬ」との主張を掲載。「歪曲された歴史観を放置すれば、ロシアがさらに増長してくることは火を見るよりも明らかだ」と結論づけ、8月8日には「ソ連対日参戦65年 『侵略の日』を心に刻もう」とする主張で、「ロシアの『対日戦勝日』創設の欺瞞(ぎまん)性を毅然(きぜん)として世界に訴える必要がある」と力説した。読売新聞は8月15日の「終戦の日」の社説「平和な未来を築く思い新たに」で触れただけだった。

 新聞が北方領土で主張しないことについて、大手新聞社のある論説委員は「大人の対応だ」と説明する。「自らの侵略行為を日本のせいにするロシアのむちゃくちゃな議論に付き合うのはばかげており、ことを荒立てる必要はない」と話す。また、ロシア情勢に詳しい通信社の幹部は「日露領土交渉が後退する中、北方領土は『ニュースにならない』と新聞社側が思っているからだ」と指摘した。

 だが、日本政府や新聞が沈黙しているうちに、歴史は着々とねじ曲げられ、歪曲の歴史があたかも「歴史の真実」として独り歩きする。日本には決して歓迎できる事態ではない。

 ただ、ロシアの「対日戦勝記念日」制定で歴史への関心は高まっている。そんなときだから反撃すべきだ。「社会の公器」である新聞は、国家主権の問題である領土問題にこそ敏感に反応してほしい。(論説委員)

中国人船長の勾留延長に中国は「強い報復措置」 日本政府「国内法の問題だ」(産経N)

沖縄・尖閣諸島周辺の日本の領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、石垣簡裁は19日、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検された漁船の船長、●其雄(せん・きゆう)容疑者(41)の勾留(こうりゅう)期限を、29日まで10日間延長することを認める決定をした。

 中国側は「強い報復措置」を警告するなど勾留延長に激しく反発した。外務省幹部は中国の反応について「遺憾だが冷静に対応するしかない。これは日本の国内法の問題だ」と述べ、中国が要求する船長の釈放には応じられないとの立場を強調した。

 閣僚級以上の交流停止などの報復措置について、日本政府は「事実関係を確認してから対応する」(福山哲郎官房副長官)考えだ。

 前原誠司外相は勾留延長が決まる前の19日午前、記者団に対し、衝突事件について「偶発的な事故だ」と指摘。今年は付近の海域が豊漁で、日本の領海内で操業する中国や台湾の漁船が多いとした上で「その都度追い払っていたが、1隻の船長がこちらにぶつかってきた」と説明した。

 前原氏は中国で18日に起きた衝突事件への抗議活動については「散発的で参加人員も少なかった。中国政府も冷静に対応していただいた」と評価していた。

 それだけに、今回の勾留湯延長に対する中国の反応について、民主党幹部は「偶発的な事故を政治問題と絡めるべきではない」と不快感を示した。

前原氏によると、国連総会に合わせた21日からの訪米中に中国の楊潔▲(よう・けつち)外相との会談は行われない。17日に外相に就任したばかりの前原氏は楊外相に直接見解をただす機会すら得られないことになる。日中首脳会談に続く見送りで、こじれた日中関係は対話の糸口すらつかめない状況にある。日中間の対立は長期化する可能性が高まっているが、日本側には揺るぎない姿勢が一層求められる。

 中国は東シナ海のガス田「白樺(しらかば)」(中国名・春暁(しゅんぎょう))の開発に向けた交渉を一方的に延期し、施設に掘削用とみられる機材を搬入するなど日本側に揺さぶりをかけてきている。

 ●容疑者の逮捕容疑は7日午前10時55分ごろ、巡視船「みずき」が立ち入り検査のため追跡した際、船のかじを左に大きく切ってみずきの右舷に衝突させるなどし、海上保安官の職務執行を妨害した疑い。乗組員14人は事情聴取後13日に帰国した。

 ▲=簾の广を厂に、兼を虎に

政府、中国側掘削なら対抗措置 ガス田問題で方針(朝日com)

菅直人首相は18日、首相公邸に前原誠司外相、仙谷由人官房長官らを呼び、東シナ海のガス田「白樺(しらかば)」(中国名・春暁)の施設に中国船が掘削作業用のドリルのような機材を運び込んだ問題への対応を協議した。中国側の動きを慎重に見極めつつ、掘削への動きが明確になれば、政府として何らかの対抗措置をとる方針を確認した。

 関係者によると、政府は運び込まれた機材を掘削用ドリルとは断定していない。ただ、少なくとも「これまでなかった機材」(関係者)と見ており、専門家らによる分析を進め、監視を強めている。

 日本側の説明によると、中国政府は機材運び込みについて、施設全体が傷んだことを受けての「修理のため」と説明している。日本側はそれを覆すだけの反証材料を得ておらず、当面は事態の推移を見守る構えだ。

 沖縄県尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突、漁船の中国人船長が逮捕された事件もあり、ここに来て日中関係は冷え込んでいる。菅首相は22日から訪米し、ニューヨークでの国連総会の演説のほか23日にはオバマ米大統領との首脳会談を予定しているが、中国から国連総会に出席する温家宝(ウェン・チアパオ)首相との日中首脳会談は開かれない見通しとなっている。

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