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邦人人質事件 ヨルダンとの連携を大切に(読売:社説)


 過激派組織「イスラム国」とみられるグループが指定した人質殺害の期限が過ぎた。今後の展開は予断を許さない。
 政府は、ヨルダンと緊密に連携し、後藤健二さんの救出に向けて総力を挙げるべきだ。
 犯行グループは、後藤さんの解放と引き換えに、ヨルダンで収監中の女死刑囚の釈放を要求した。実現しない場合、ヨルダン軍パイロットと後藤さんを殺すと脅している。死刑囚をシリア・トルコ国境に連れてくることも求めた。
 人質殺害を予告し、解放の条件や期限を次々に変え、揺さぶりをかける。人命を弄ぶ卑劣な手口には、強い憤りを禁じ得ない。
 ヨルダン政府は、パイロット解放を条件に、死刑囚釈放の用意があると表明した。死刑囚は同時爆破テロの実行犯だ。人質の命を優先し、超法規的措置を取るという厳しい決断をしたのだろう。
 後藤さんと死刑囚の「1対1」の交換を求めるイスラム国と、どう折り合うか。水面下でギリギリの交渉が行われている模様だ。
 ヨルダン情報相は「後藤さんの解放についても日本と協力して努力を続けている」と明言した。
 長年の日本との友好関係を重視したものだ。日本は、欧米とも協調する穏健なヨルダンの役割を高く評価し、計3000億円以上の経済支援を実施してきた。
 首脳の相互訪問も活発で、安倍首相とアブドラ国王は個人的な信頼関係を築いている。
 政府が、ヨルダンに事件の現地対策本部を設置し、強固な協力体制を維持しているのは適切だ。日本が独自にできることは限られている以上、ヨルダンとの連帯を大切にしたい。
 ヨルダン同様、日本との関係が良好なトルコの役割も重要だ。
 イスラム国の支配地域に近いトルコ南部の国境周辺は、過去にも人質解放の舞台となった。イスラム国に拉致されたフランス人記者や、トルコ外交官らは、いずれもこの近辺で解放されている。
 人質交換では、不測の事態もあり得る。人質を迅速に保護できるよう、トルコと十分協議し、万全の対策を講じる必要がある。
 後藤さん救出は今が正念場だ。日本政府は、情報収集や関係国との調整に、従来以上に緊張感を持って取り組んでほしい。
 野党の一部議員は、安倍首相の中東歴訪やイスラム国対策の2億ドル支援表明が過激派を刺激した、と批判する。だが、そうした批判は、日本の援助の趣旨をねじ曲げ、テロ組織を利するだけだ。
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「安倍談話」 国際平和への歩み唱えよ(産経:主張)


安倍晋三首相が検討している戦後70年談話をめぐる議論が、国会でも活発化した。
 談話は大きな節目に自国の歴史を振り返り、日本が今後歩もうとする道を内外に示すものとなる。多くの意見がかわされることは望ましい。
 過去への反省という観点から、「村山談話」を継承するかどうかが焦点となっている。
 だが、村山談話は当時の村山富市首相が「植民地支配と侵略」を一方的に謝罪したもので、政府内でもほとんど議論はなかった。
 作成経緯の検証が不可欠であり、それなしに歴代内閣が踏襲することは弊害が大きすぎる。根拠なしに慰安婦の「強制連行」を認めた河野談話も同様である。
 首相は衆院予算委員会で、村山談話について「全体として受け継ぐ」と述べるとともに「一つ一つの字句を論評するつもりはない」と語った。「全体として」というのは、村山談話の継承に一定の留保をつけたとも受け取れる。
 談話は過去の一時期の「国策の誤り」に言及したが、それがいかなる時代に限定したものなのかは、はっきりしていない。
 ロシアの帝国主義に立ち向かい、国の独立を全うした明治まで含めるかどうかは問題になっていた。そうしたことなども検証を急いでほしい。
 首相はまた、「今後、日本がどういう貢献をしていくかなどを明確に発信したい」と未来への歩みを盛り込む意向も示した。
 戦後、一貫して平和路線を歩んできた日本が、引き続き自由と民主主義の価値観を重視し、積極的平和主義で国際平和に貢献していくというのは当然の判断だ。
 首相は日本の抑止力強化に必要な集団的自衛権の行使容認をはじめ安全保障法制の見直しを図っており、憲法改正も視野に入れている。これらは、国際貢献路線に実効性を与える意味からも妥当なものといえる。
 慰安婦を「日本軍の性奴隷」と決めつけるなど、史実に基づかない日本批判が国連や米国内にも広がっている。日本の戦争責任を喧伝(けんでん)する中国や韓国などの歴史戦には、事実による反論でしっかり対抗しなければならない。
 日本は過去の教訓を忘れず、国際平和秩序を維持する役割を果たそうとしている。その点を丁寧に説明していくことも重要だ。

政府 解放に向け情報収集に努める(NHK)


イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織が後藤健二さんを拘束している事件で、組織側が最後に示した期限から1日以上が経過しましたが、政府は、新たな動きは確認できていないとしています。
政府は、後藤さんの解放に向けて、組織側の動向や後藤さんに関わる情報の収集などに努めることにしています。
イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織が後藤健二さんを拘束している事件は、最初の映像が公開されてから10日が過ぎ、組織側が最後に示した期限から1日以上が経過しました。
政府は、組織側が新たなメッセージをインターネット上に投稿することも予想されるとして、30日夜も、菅官房長官や3人の副長官らが深夜まで総理大臣官邸に待機したほか、安倍総理大臣も官邸と同じ敷地内にある公邸で、現地の情勢などについて随時、報告を受けるなど、対応に当たりました。
一方、深夜まで、外務省に待機した岸田外務大臣は、30日夜、記者団に対し、「ヨルダンをはじめ、さまざまなところで動きが存在しており、これからも情報収集に全力で取り組み、分析し、方針を考えていかなければならない」と述べました。
政府関係者の1人は、ヨルダン政府が、組織側に拘束されているパイロットの生存が確認されないかぎり、収監中の死刑囚の引き渡しに応じられないとしていることについて、「当然の対応だ」と理解を示す一方、事件が長期化することに懸念を示しました。
また、別の政府関係者は、「新たな動きや、後藤さんの安否は確認できていない。ヨルダン政府の対応や組織側の出方を見守るしかない」と話していました。
政府は、後藤さんを取り巻く厳しい状況に変わりはないとして、解放に向けて、引き続きヨルダンなど関係国と緊密に連携をとり、協力を働きかけるとともに、宗教指導者や部族の長などを通じて、組織側の動向や後藤さんに関わる情報の収集や分析に努めることにしています。

南シナ海の監視「歓迎」=自衛隊、地域安定に貢献-米(時事N)


【ワシントン時事】米国防総省のカービー報道官は30日の記者会見で、自衛隊が将来、南シナ海上空で監視活動を行うことを「歓迎する」と表明した。南シナ海のほぼ全域の権益を主張する中国の反発は必至だ。
 これより先、米第7艦隊のトーマス司令官はロイター通信に、自衛隊が監視飛行を南シナ海に拡大することに期待感を示していた。
 報道官はこれについて「(南シナ海での)監視活動を歓迎し、こうした活動は地域の安定に資するというトーマス司令官の見解に同意する」と強調。さらに「中国やその他の国が、これと異なる見方を取る理由はない」と指摘した。中国は自衛隊の活動を否定的に受け止めるべきではないと、くぎを刺した形だ。

南スーダンPKO、6カ月延長へ 国連の期間延長に伴い(朝日N)


 政府は、アフリカの南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)について、2月に期限が切れる自衛隊の派遣期間を今年8月まで6カ月間延長する方針を固めた。国連が派遣期間を延長したことに伴い、自衛隊も延長する。近く閣議決定する。
 自衛隊は現在、国連南スーダン派遣団(UNMISS)の司令部に4人と、施設部隊350人を派遣し、道路の修繕などをしている。中谷元・防衛相は今月、自衛隊が活動する首都ジュバを訪れた際、「国連のミッションが継続する中で、日本だけが中断して撤退することはない」と延長に前向きな姿勢を示していた。

海洋安保で連携強化 日比防衛相会談(産経N)


中谷元・防衛相は29日、フィリピンのガズミン国防相と防衛省で会談し、海洋安全保障分野での連携をさらに強化することで一致した。防衛協力と交流に関する覚書にも署名した。両氏は、中東の過激派「イスラム国」によるとみられる邦人人質事件を強く非難。ガズミン氏は日本の対応に支持を表明した。
 会談で両氏は、東シナ海や南シナ海での活動を強化する中国を念頭に、海洋をめぐる紛争は威圧ではなく平和的な方法で解決を図るとの方針を確認。連携強化のため、海上での危険行為を禁じる行動基準(CUES)に基づく共同訓練の年内実施で合意した。
 災害対策面におけるフィリピン軍の人材育成への協力、両国の防衛相会談や次官級協議の定例化も申し合わせた。
 ガズミン氏は30日に沖縄を訪れ、対領空侵犯任務などに携わる自衛隊部隊を視察する。

ヨルダンの難問と「国際協調」(産経:正論)


□フジテレビ特任顧問、明治大学特任教授・山内昌之
 私が一番最近にヨルダンを訪れた昨年11月のことを思い出す。首都アンマンのヨルダン大学において、「第一次世界大戦から100年」という英語講演を行った時のことだ。のべ200人くらいの教員や学生を相手に、2014年こそ国際政治と世界史の転換点になるかもしれないと話したのは、イスラム国(IS)のような疑似国家が戦争とテロによって中東秩序に正面から挑戦していたからだ。
 講演では、ISの出現こそ冷戦後の前提だった大国間の平和や国際秩序の枠組みを解体しかねない緊張を増大させ、「ポスト・冷戦期の終わり」を画する異次元の危機をもたらすと説いた。

 ≪無視できない米国の外交意志≫
 覇権国家アメリカの影響力が後退する一方、グローバルな多極化現象は中東から黒海に及ぶ旧ロシア帝国と旧オスマン帝国に属した領域の不安定化と内戦による非情な地域主義の台頭こそ、今回の後藤健二氏の解放をめぐる日本とヨルダンとISとの関係に複雑な要素をもちこむ要因なのである。
 ヨルダンとアブドラ国王の立場は難問だらけである。イスラエルとシリアとサウジアラビアなどに挟まれた中東の心臓部ともいえる地政学的位置、国と住民を構成している多元的要素、米国はじめ日本と欧州連合(EU)などの財政支援なしには維持できない国力、急増する難民の問題。ヨルダンの国内総生産(GDP)成長率は、2009年の5・5%から13年には2・8%に下がり、近年の歳入はGDPの24%なのに、債務は80%以上になる。この苦境のなかでは、最大援助国たる米国の外交意志を無視することはできない。
 原則上テロ組織との妥協を拒否する米国は、1999年から2013年にかけてヨルダンに90億ドルの経済軍事支援を実施してきた。14年の対ヨルダン援助は10億ドルに上り、内訳は経済支援3億6千万ドル、軍事支援3億ドル、シリア人難民対策2億6800万ドルであった。オバマ大統領は15年もヨルダンに6億7千万ドルの援助供与を議会に求めている。こうした支援はISはじめ各テロ組織の脅威や破壊への対応にほかならない。

 ≪初めてではないテロ対策支援≫
 日本やEUによる毎年数億ドルの援助は、テロに備えた国内治安やインフラの強化にも関連しており、今回の安倍晋三首相による総額2億ドル支援の約束を最初のテロ対策と言うのはあたらない。無償資金協力だけでも、平成21年のアンマン空港治安対策強化に14億3700万円、平成24年のアル・カラマ国境治安対策強化に5億4200万円などを提供しているのは、ヨルダンにおける国際テロ対策への協力なのだ。またヨルダンは、シナイ半島のガスパイプラインへのテロの結果としてエネルギー価格が上昇した折、2014年9月にイスラエルに150億ドル相当のガス取引を求めて危機の打開を図ったこともある。
 外国の支援を受けながらも、ヨルダンの所得税率は無税から14%の範囲内に収まり驚くほど低い。年収1万2千ヨルダン・デイナール(約1万7千ドル)以内の年収なら50%の免税措置を受けられる。1人あたりの平均年収5千ドルの国としては、税の低負担と同時に所得格差の是認という面も感じられるという。これは、ハーシム家の王朝存続を支える基盤の維持強化策とも関係している。

 ≪内政の安定こそが重要課題≫
 ヨルダン国家の住民は、4つの要素から成っている。第1は、ハーシム家の伝統的な藩屏(はんぺい)たるヒジャーズ出身のアラブ人とチェルケス人などカフカース出身者(空軍にも多い)。第2は、ヨルダン王国の建設以来、ハーシム家に忠実なヨルダン川東岸の部族に由来する住民。第3は、人口の7割に近いパレスチナ人。第4は、イラク人難民40万に加え70万のシリア人難民。人口630万の国に相当数の難民が流入し、王国の設立に利益のなかったパレスチナ人が多数を占める国家統合の難しさは、アブドラ国王ならずとも想像を超えるものだ。税は社会の不満解消や統合強化の有力手段であり、人口の3割を占める東岸出身者を課税や増税の対象にするのは王制の死命を決しかねない。
 アブドラ国王が直面する問題は、空軍機操縦士を生んだ東岸住民の不満をかわしながら、日本の国民と政府の要望を叶(かな)える国際信義だけではない。死活なのは、国内で民主化要求を強めるパレスチナ人の圧力を宥(なだ)めながら、「次はリヤド」と呼号していたISの戦略的目標を「次はアンマン」と言わせないために内政を安定させることだ。国王が11月に来日された折に私がISについて質問したとき、“分析官”のようにパワーポイントで状況を説明された熱弁には出席者の全員が圧倒された。
 日本国民としては今、ヨルダン国王と政府の誠意を信じて静かに事態を見守る他ない。プルタルコスではないが、「用心のために鍵や門や門扉がつけられているような事柄を、暴きたてたり、他人に大っぴらに触れ回ったりする」(『モラリア6』)のは、難問解決に役立たないことが多いのだ。(やまうち まさゆき)

首相、「自衛隊の能力生かす」…在外の邦人救出(読売N)


安倍首相は29日の衆院予算委員会で、自衛隊による在外の邦人救出について、「領域国の受け入れ同意があれば、自衛隊の持てる能力を生かし、救出に対して対応できるようにすることは国の責任だ」と述べ、今国会に提出予定の安全保障関連法案の成立に意欲を表明した。
 ただ、昨年7月の閣議決定では、邦人救出の際の自衛隊の活動範囲は「その領域において権力が維持されている範囲」と限定しているため、日本人人質事件が起きた「イスラム国」は対象外となるとみられている。
 また、首相は、原子力発電所の安全対策に関連し、「安全神話から決別し、安全対策を構築しないといけない。安全対策を日々更新する決意だ」と述べた。そのうえで、「厳しい規制基準に合致したものについて再稼働を進めていく」と改めて強調した。

期限過ぎる「後藤さん解放へ努力続ける」(NHK)


藤健二さんを拘束しているイスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織が、ヨルダンで収監中の死刑囚をトルコ国境に連れてくるよう求めていた期限とされる日本時間の29日午後11時半が過ぎました。
ヨルダン政府は、「イスラム国」に拘束されているパイロットの生存を確認できず、死刑囚を引き渡していないと明らかにしたうえで、後藤さんの解放に向けて努力を続けているとしています。
日本時間の29日午前8時ごろ、「イスラム国」とみられる組織に拘束されている後藤健二さんを名乗る男性の声で、新たな音声メッセージがインターネット上に投稿されました。
メッセージは英語で、現地時間の29日の日没まで、日本時間の29日深夜までに後藤さんと引き換えになるサジダ・リシャウィ死刑囚をトルコ国境に連れてくることを求めていて、応じなければ、「イスラム国」が拘束しているヨルダン軍のパイロットが直ちに殺害されるとしています。
この期限は、日本時間の29日午後11時半とされていましたが、すでにその時間を過ぎました。
これを前に、ヨルダンのモマニ・メディア担当相は、政府として対応を協議したうえで会見を行いました。
この中で、モマニ・メディア担当相は、「ヨルダン政府は、パイロットと引き換えにリシャウィ死刑囚を釈放する用意がある。しかし、現時点でパイロットの生存を確認できるような証拠を受け取っていない。このため、われわれは次の段階に進むことができない。リシャウィ死刑囚は現在、ヨルダン国内にいる。パイロットの生存が確認され次第、次の段階に進む」と述べました。
そのうえで、モマニ・メディア担当相は「日本側とは連携をとり続けており、日本人の人質を取り戻すために努力を続けている。われわれは困難に直面しているが、一致団結しなければならない」と話し、後藤さんの解放に向けて努力を続けていることを明らかにしました。

政府、人質解放交渉を注視=岸田外相「具体的情報なし」(時事N)


過激組織「イスラム国」による日本人人質事件で、政府は29日、ヨルダン政府と犯行組織による人質解放交渉の行方を注視しつつ、拘束されている後藤健二さんの安否確認に全力を挙げた。新たな交渉期限とされた現地の日没時刻(日本時間午後11時半ごろ)をすぎ、緊張感が高まる中、後藤さんの救出に向け、情報収集と分析を継続した。
岸田文雄外相は30日未明、外務省で記者団に「さまざまな働き掛けや情報収集を行っている。しかし、解放等の具体的な情報には何も接していない」と述べた。
 安倍晋三首相は公務を終えると、午後8時前から首相官邸に隣接した公邸で待機。首相周辺は「何かあっても官邸にすぐに駆け付けられる」と語り、即応態勢を取っていることを強調した。
 菅義偉官房長官と岸田外相は29日、衆院予算委員会を冒頭から退席し、それぞれ首相官邸と外務省で情報収集に当たった。菅長官は同日午後4時すぎの記者会見で、「現時点で具体的な動きを掌握していない」と述べた。
 人質交渉に関し、菅長官は「日本とヨルダン政府は緊密な連携、連絡を取りながら取り組んでいる」と説明したが、ヨルダン側とどのようなやりとりをしているかは一切明かさなかった。
 イスラム国は、後藤さん解放の条件としてヨルダン収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を要求。ヨルダン側は、イスラム国が人質とする空軍パイロットの解放を最優先に求めている。日本はヨルダン政府の交渉努力に頼らざるを得ず、後藤さんの解放につながるよう協力要請を続けている。

アウシュビッツ 解放70年から得る教訓の重さ(読売:社説)


ナチス・ドイツによるユダヤ人大量殺害の象徴であるアウシュビッツ強制収容所が第2次大戦末期、旧ソ連軍に解放されてから70年を迎えた。
 ポーランド南部の現地では27日、記念式典が行われた。ガウク・ドイツ、オランド・フランス両大統領など欧米諸国の首脳・閣僚と約300人の元収容者らが出席し、犠牲者を追悼した。
 戦後70年に「ホロコースト(大虐殺)を繰り返すな」という教訓を改めて確認する場となった。
 ナチスは、ユダヤ人に対する差別政策を取り、大戦中、組織的な抹殺に乗り出した。殺害されたユダヤ人は約600万人とされる。アウシュビッツは、ガス室による「殺人工場」と言え、ユダヤ人ら110万人が亡くなった。
 従来の戦争犯罪の域を超えた、言語を絶する残虐行為である。
 ガウク氏は独連邦議会演説で、「ホロコーストに思いをはせることは、全ドイツ国民にとって重要であり続ける」と強調した。
 西独、統一ドイツは、ナチスの蛮行への深い反省に基づき、人権尊重や民主主義の確立に努め、国際的地位を築いた。ガウク氏の言葉は、この基本姿勢を今後も堅持しようという呼びかけだろう。
 世界では今なお、民族、宗教に根ざす紛争や過激派のテロが頻発している。今回の記念式典にも影を落としたのは残念だ。
 ウクライナ紛争を巡って米欧と対立するロシアのプーチン大統領は、招待されなかったことを理由に、式典を欠席した。
 安倍首相は中東歴訪中の19日、イスラエルのホロコースト記念館で演説した。「このような悲劇を二度と繰り返させない」との決意を表明し、「世界の平和と安定に貢献していく」と語った。
 ナチスの迫害から逃れたユダヤ人約6000人に独断で日本通過ビザを発給し、命を救った外交官、杉原千畝の功績にも言及した。
 一部の欧米メディアは、安倍首相を「歴史修正主義者」と問題視する。中国は、ホロコーストと旧日本軍の南京事件を同列に扱い、ナチスとイメージをだぶらせて日本批判を繰り返す。
 首相の演説には、歴史に正面から向き合い、その教訓を重視する姿勢を示すことで、欧米の誤解を正し、中国の宣伝戦に対抗する狙いもあったのだろう。
 日本は、過去への反省、戦後の平和国家としての歩み、そして将来にわたり、国際社会と協調するという明確なメッセージを海外に発信していくことが大切だ。

反テロへ不抜の意志が問われる 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛(産経:正論)


 ≪政府が闘う高度の心理戦≫
 安倍晋三首相の中東歴訪、なかんずくイスラエル訪問に照準を合わせるかのように、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」のテロ集団がかねて拘束していた2人の日本人を殺害するとの警告を発した。日本政府が2人の釈放を望むのならば2億ドルの身代金を払えとの要求付きだった。1月20日のことだ。その後、1人の「殺害」が伝えられた。
 降って湧いたようなこの事件でメディアは大騒動となった。日頃は政治ダネでは対極的な論調を掲げる新聞も、この問題に関する限りは区別するのが難しいほどに似た紙面である。
 26日には通常国会が始まった。ここでも状況は似ている。質問に立った民主党の前原誠司議員は冒頭に事件を据えた。後続の質問者たちも、それに右にならえの姿勢である。
 私は菅直人政権時代の東日本大震災時を思い起こす。あのとき、民主党政権の面々は皆、同じ方向を見つめ、同じような議論をしていた。私にはそれが無意味だった。だから、よそ見する閣僚や議員がいてもいいのではないか、いや、その方が望ましいのだとの趣旨を本欄に書いた記憶がある。
 今回の政府与党の対応はそれぞれ少し違っている。事柄が違うからといってしまえばそれまでだが、閣僚全員が無理に一方向だけ見ているのではない。テロリスト側に手の内を見せるわけにはいかぬとして、いくつかの点で政府の見解や情勢分析を語るのは差し控えるとの姿勢が貫かれている。
 そうでなくてはなるまい。政府が闘っているのは高度の心理戦であるからだ。安倍内閣のこの態度がぶれることのないよう望みたい。

 ≪模範となる西ドイツの事例≫
 オバマ米大統領の対応に適切さが欠けていたこともあり、「イスラム国」はシリアを中心に着実に勢力を伸ばしてきた。ここへきて、いささかかげりが出てきたとの報道もあるが、経験則の働かない現象であるから、確かなことは言えないだろう。
 しかし、イスラム教徒がそのまま「イスラム国」の主張に賛同しているわけではないのだから、中東の政治地図が塗り替えられ、カッコ付きではないイスラム国が君臨することになるのかどうかは、現段階では誰も明言できまい。
 必要なのは、常時観察を怠らず、この種の事例研究に基づく危機管理体制の整備に努めることだ。他に王道はない。
 わが国にはかつて、国産テロリストの脅しの前に「人命は地球よりも重い」と名句、いや迷句を吐いた政治指導者がいた。そして犯人たちの要求をいれて獄中犯を釈放しただけでなく、多額の追い銭まで与えた事例もあった。危機管理思考はきわめてお粗末だった。
 それとはまるきり違うケースがかつて西ドイツであった。ミュンヘン・オリンピックの開催中、パレスチナ・ゲリラがイスラエル選手団を襲い、多数の犠牲者が出た。かつてユダヤ人大量虐殺の過去をもつだけに、ドイツ人の受けた衝撃ははかり知れないものがあった。これが学習のはじまりとなる。二度あることは三度あるとの命題に学び、対テロ特殊任務を帯びた国境警察が訓練を積み、有事に備えた。数年にしてそれは役立った。人質ぐるみの航空機乗っ取り犯たちは、この特殊任務警察により制圧されたのである。

≪イスラム世界とは共存可能≫
 われわれはこの種の成功例に謙虚に学ぶべきだろう。国情が違うから他国のやり方をそのまま模倣するわけにはいかないが、発想そのものから吸収できる事柄は多々あるはずだ。そうすればわが国の経験を他国が学ぶというときも将来にはあり得よう。要は日本に不抜の意志があるかないかである。
 宗教を異にするからと言って、われわれはイスラム世界を敵視したりはしない。「イスラム国」は日本もついに反イスラム「十字軍」に加わったとの宣伝に躍起のようだが、実態に反すること甚だしい。理不尽なテロを断固排斥するという点でわが国はキリスト教団とも他の宗教とも、いや穏健なイスラム教徒とも連帯するのだ。
 私は現在もなお、拓殖大学の研究所の客員教授身分をもっている。そこではイスラム世界の研究に従事する優れた学究がいる。
 その人たちから随分多くのことを学んだ。あたり前のことだが、独自の文化をもつイスラム世界は他宗教の国々と平和的な共存が可能なのである。
 今回の事件に先立って起きたパリの風刺漫画週刊紙襲撃事件をとってみても、「イスラム国」勢力のテロ行為は簡単に終息するとは思えない。息長い対応こそが求められる。しかも、経験則の働かない対応が。
 その際、曲げることのできない原則がある。それは、テロには屈しないという不抜の意志が必要なことだ。それは猪武者よろしくテロリスト集団に力ずくで立ち向かうという意味ではない。柔軟性を伴っての対抗、柔軟反応こそが求められているのである。(させ まさもり)

メディアのヘイトスピーチ(産経:阿比留の極言御免)


 またかとうんざりし、気がめいった。安倍晋三首相が今夏に発表する戦後70年の首相談話をめぐり、27日付の東京新聞が平成7年の「村山談話」継承を求める社説でこう書いていたからである。
 「首相はかつて『侵略の定義は定まっていない』と国会答弁した。侵略を正当化する意図を疑われ、国際社会の一部から『歴史修正主義的』と厳しい視線が注がれている」
 朝日新聞と毎日新聞の4日付社説もそれぞれ、同様のことを指摘していた。
 「自民党議員の質問に、『侵略の定義は定まっていない』と応じて批判を浴びた」(朝日)
 「首相自身も『侵略の定義は定まっていない』と述べて物議を醸したことがある」(毎日)
 自分たちが率先して首相を批判しておきながら、第三者が問題視しているように書く手法もいかがなものかと思うが、問題はそれだけではない。
 これらの社説を座視できないのは、何よりこれが首相への偏見や無知に基づく不公正で不適切な見解の表明だからだ。
 以前から当欄で繰り返し指摘してきたことだが、馬の耳に念仏のようなのでもう一度書く。村山談話の発表者である村山富市元首相自身が7年10月の衆院予算委員会で、次のように答弁しているのである。
 「侵略という言葉の定義については、国際法を検討してみても、武力をもって他の国を侵したというような言葉の意味は解説してあるが、侵略というものがどういうものであるかという定義はなかなかない」
 つまり、安倍首相はあくまで従来の政府見解をそのまま述べたにすぎない。現に第1次安倍内閣当時の18年10月にも、こんな政府答弁書を閣議決定している。
 「『侵略戦争』と『戦争責任』の概念について、国際法上確立されたものとして定義されているとは承知していない」
これだけではない。麻生太郎内閣時代の21年4月の衆院決算行政監視委員会では、外務省の小原雅博大臣官房参事官(当時)もこう答弁した。
 「さまざまな議論が行われていて、確立された法的概念としての侵略の定義はない」
 さらに、民主党の野田佳彦内閣時代の24年8月の参院外交防衛委員会では、玄葉光一郎外相(現民主党選対委員長)もこう述べた。
 「何が侵略に当たるか当たらないかというのは論争があるところで、そこにはある意味、価値観、歴史観が入り込む余地があるのだろう。だからなかなか明確な定義というものができないのかなと」
 一方、毎日新聞は25年12月27日付社説でも安倍首相を批判して「首相は国会で、大戦について『侵略の定義は定まっていない』と侵略を否定したと受け取られかねない発言をした」と記している。
 全く同じ趣旨のことを述べているにもかかわらず、安倍首相に限って「侵略否定」の問題発言で、村山氏や玄葉氏や外務官僚だったら問題ないというのは筋が通らない。東京、朝日、毎日各紙はこの二重基準をどう考えているのか。
 こんなことを執拗(しつよう)に何度も繰り返すのだから、特定個人を標的にした悪意あるヘイトスピーチ(憎悪表現)だといわれても仕方あるまい。差別的ですらあると感じるし、少なくともフェアではない。猛省を促したい。(政治部編集委員)

ヨルダン 「イスラム国」との交渉難航か(NHK)


イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織がヨルダンで収監されている死刑囚を釈放しなければ、後藤健二さんを殺害するとした画像と音声をインターネットに投稿してからすでに24時間が経過しました。
ヨルダン当局は死刑囚を釈放する用意があるとしていますが、交渉は難航しているもようで、後藤さんに関わる新たな動きや情報は確認されていません。
後藤健二さんを拘束しているイスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織は27日夜、インターネット上に画像と音声を投稿し、後藤さんを名乗る男性の声で24時間以内にヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚を釈放しなければ、後藤さんと、先月から「イスラム国」に拘束されているヨルダン軍のパイロットを殺害するとしていました。
ヨルダンの国営テレビは28日夜、モマニ・メディア担当相の話しとして、「ヨルダン軍のパイロットが無事に解放されれば、リシャウィ死刑囚を釈放する用意があると」と伝えました。
このあと日本時間の29日午前4時すぎ、ヨルダンのジュデ外相はアメリカのCNNテレビのインタビューで、後藤さんの解放も含めて「イスラム国」側と交渉をしていることを認めました。
ただ、ヨルダン側が釈放の条件として求めている「パイロットが生きている証拠が今のところ示されていない」と述べ、交渉が難航していることをうかがわせました。
一方、「イスラム国」側はこれまでのところ、拘束している後藤さんに関連する新たな声明などは出していません。
27日、後藤さんとみられる画像と音声が投稿されてから24時間以上が経過するなか、日本の現地対策本部ではヨルダン政府と緊密に連携を取りながら、引き続き情報の収集と分析に当たっています。

期限切れ後も声明なし=「捕虜交換」交渉難航か-邦人人質事件(時事N)


【アンマン時事】過激組織「イスラム国」とみられるグループが後藤健二さん(47)の解放条件として、イラク人女死刑囚の釈放を求めて期限とした「24時間」が28日夜に経過した後、イスラム国側から声明は出されていない。日本政府は29日、ヨルダン政府への協力要請や情報収集を続けたが、事態は切迫の度合いを強めており、政府関係者らは焦りの色合いを強めている。
 ヨルダン国営テレビは28日、イスラム国に拘束されたヨルダン空軍パイロットのムアス・カサスベ氏を解放するため、当局がイラク人のサジダ・リシャウィ死刑囚を釈放する用意があると伝えた。その後、ジュデ外相はツイッターで、証拠を求めたイスラム国側からパイロット生存の情報が得られていないと述べた。
 一部で死刑囚が釈放されたとの情報も流れたが、モマニ・メディア担当相は「彼女(死刑囚)が釈放されたというのは事実でない。彼女の釈放はパイロットの解放と結びついている」と語った。
 イスラム国とみられるグループは27日の声明で、死刑囚と後藤さんの交換を要求した。これに対し、ヨルダン政府は死刑囚とパイロットを交換する意向を示してイスラム国側の要求を直接的に受け入れる構えを見せておらず、「捕虜交換」交渉は難航している可能性もある。
 後藤さんとみられる人物の音声メッセージ付き画像がインターネット上に公開されたのは27日夜。メッセージは最後通告だとし、死刑囚の釈放を要求。期限は24時間以内だとして、応じなければ、パイロット、後藤さんの順に殺害すると警告した。

「表現の自由」に潜む言論の劣化(産経:正論)


□社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋
 金正恩(キム・ジョンウン)暗殺を描いた映画に対する報復で、北朝鮮が米国にサイバー攻撃をしかけた。続いてパリの週刊紙がイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載したことで、死傷者を出す襲撃を受けた。
 サイバー攻撃やテロ攻撃はもちろん許されるべきではないが、今回の風刺画を転載するかどうかを巡って、日本を含めて世界の新聞社の対応がまちまちだったことに象徴されるように、改めて表現の自由が問題の焦点となっている。

 ≪検閲時代に錬磨された技術≫
 表現の自由となると、公序良俗に反するかどうかの線引きをどこでするかの議論がなされることが多い。だが、表現の自由がかかえる問題がそれに尽きるわけではない。たとえ公序良俗に反しなくとも別の問題もあるはずである。ここでは「表現の自由」がかえって「表現の劣化」を伴いやすいという逆説を取り上げたい。
 このことを考えるときに、私は希代の文筆家だった清水幾太郎がいまから30年以上前に書いた「検閲とレトリック」(1977年)という論稿を思い出すのである。
 清水は、福田恆存や丸山眞男と並んで戦後を代表する思想家だったが、戦前から多くの論説を新聞雑誌に発表してきた。その経験から清水はこう言っている。
 人類の歴史のほとんどが言論(表現)の自由がなかった検閲の時代だった。著述家と検閲官は別れることができない仲の悪い夫婦みたいなものだった。だからこそ著述家は、憎い配偶者相手になんとか自分の文章(表現)が陽の目をみるように表現技術を磨いてきた。憎い配偶者の顔を立てながらも、それとは食い違う考えをできるだけ弱い言葉で挟んだ。
 強い言葉は「読者の心に入る前に爆発してしまう」のに対し、「弱い言葉はソッと心の中に入った後に小さな爆発を遂げることがある」。かくて、検閲の時代、つまり表現の自由がない時代に、文章(表現)技術やレトリックがかえって錬磨された。

 ≪過激と刺激が大手振って闊歩≫
 ところが敗戦後のアメリカ占領軍による検閲もなくなった。言ってみれば、あの憎い配偶者(検閲官)がぽっくり死んでしまった。そうなると、苦心の末生まれたレトリックや「弱い言葉」を用いて、読者の心の中で爆発する文章を書く必要がなくなった。最初から「強い言葉」を気安く使うことがはじまった。言葉のインフレがはじまり、暴力的な言葉にエスカレートするまでになった。こう清水は、言っていた。
 むろん、清水は表現に大幅な制限があった検閲の時代がよかったと言っているわけではない。表現の自由を得たことによってかえって、表現における工夫や機智を磨くことが少なくなってしまった、と表現劣化の問題を提起しているのである。
 表現への制限がなくなったことで、刺激の強い言語(表現)が使用されるだけではない。同じ意見を持つ仲間内にのみ通じる単調な文体や陰影のない表現法に傾きやすくなる。表現者と考えや嗜好(しこう)がちがう読者や視聴者の心にも届くようなレトリックの妙味が影をひそめる。ややもすると、表現はアジビラやアジ演説による異議なしの世界になってしまう。
 揚げ句の果てが、動画投稿における過激映像アップ競争。表現の自由や「アート」活動と言い募りながら、繰り出されるヘイトスピーチや耳目を驚かせるだけが取りえの「芸術」作品。表現における過激と刺激の一本調子が大手を振って闊歩(かっぽ)するにいたっている。

  ≪「強い言葉」だけの極論競争≫
 翻って、敗戦後から70年代あたりまでに書かれた総合雑誌の論文を考えてみたい。当時の左派論客の名論文といわれたものの、かなりが、今ではほとんど読むに堪えない。そう思えるのは、イデオロギーのせいとばかりは言えない。そのころの論壇は左派論客の独壇場だった。
 「左派にあらずんばインテリにあらず」で、著作家や読者(インテリ)の世界は左派が席巻していた。そうである分、多数派の左派論客は身内言語と身内文法だけを用いた一本調子で書いたり、発言したりしていたが、それがそのまま通用したからである。主流派を形成した左派論客の論説の多くが時代の空気が変われば、ほとんど読むに堪えないものとなる所以(ゆえん)である。
 それに対して、当時の保守派などの非左派論客の論文のほうには、今読んでも示唆の多いものが意外とある。左派イデオロギーがみえざる検閲、つまり言論を拘束する空気となっていたからこそ、非左派論客は、レトリックを張り巡らしながら論述を展開した。そのことで表現と思考に深さと奥行きをもたらしたからである。
 言論や風刺が身内化すればするほど、「強い言葉」だけの極論競争になり、表現技術が劣化する。風刺においてはもとより、言論も敵対陣営の人々の心にも染みいるべく表現技術を錬磨したいものである。そうでなければ、ペンは剣より強し、といわれる言論(表現)の力は生まれない。(たけうち よう)

前原氏9年ぶり代表質問も空回り…低投票率は首相の責任 「イスラム国」対応で疲弊の官僚、なのに質問通告遅れに自民苦言(産経N)


岡田克也代表の下、新体制で臨んだ民主党の国会質問の先陣を切ったのは前原誠司元外相だった。約9年ぶりの衆院代表質問に「鋭く頑張る」と意気込んだ前原氏だが、質問の事前通告のルールも破り、気合は空回り気味だった。
 前原氏は代表質問で、昨年の衆院選を「大義なき解散だった」と指弾。投票率が過去最低の52・66%だったことを挙げ「安倍晋三首相は責任をどう考えるか」とただした。
 首相は「大変残念だが、国民の政治への関心を高めることに与党も野党もない」と答えたが、そもそも前原氏の指摘は世論と乖離(かいり)しているといえる。昨年12月末の産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、自民党大勝の理由として「野党に魅力がないから」が70%と圧倒的多数だった。前原氏は低投票率の責任を首相に押しつけるが野党にも責任の一端はある。
 前原氏には27日の衆院議院運営委員会の理事会でも自民党が「ルールを守ってほしい」と苦言を呈した。質問の事前通告が遅れたためで、民主党は「質問に慎重を期していた」などと釈明した。
関係者によると、政府の「イスラム国」対応などを含む前原氏の質問通告が届いたのは27日朝。外務省の官僚らは26日深夜まで待機したが、空振りとなった。岡田氏は「政府の足を引っ張らない」と強調するが、間接的に政府の負担を重くした形となった。
 与野党は質問日の2日前の昼までに通告すると申し合わせている。答弁を作成する官僚の深夜勤務を軽減するためだ。民主党も政権時代の平成23年1月、当時幹事長の岡田氏が各党に「事前通告のルール厳格化」を要請していた。
 前原氏は代表質問で、衆院定数削減を実現しない首相を「約束不履行だ」と批判し「過去の発言への責任をどう考えているか」と訴えたが、同じことが民主党にも問われている。(酒井充)

衆院代表質問 人質事件で与野党は結束せよ(読売:社説)


麻生財務相の財政演説に対する各党の代表質問が衆院で始まった。第3次安倍内閣の発足後、初の本格的な論戦だ。
 野党は、批判一辺倒でなく、具体的な対案を示し、建設的な議論を展開してほしい。
 民主党の前原誠司元代表は、シリアでの邦人人質事件について、過激派組織「イスラム国」と戦う周辺国への2億ドル支援に言及し、「(敵視される)リスクをどう想定していたのか」と追及した。
 安倍首相は、「周辺国への人道支援は、国際社会の一員として当然の責務だ」と反論した。「我が国は決してテロに屈しない。今後も、人道支援を積極的に実施する」とも力説した。
 残忍なテロを繰り返すイスラム国には十分な警戒が必要だが、国際協調を前提とする人道支援には前向きに取り組むべきだろう。
 前原氏と、維新の党の柿沢未途政調会長は、人質の早期救出に向けた政府の対応には協力する考えをそろって表明した。
 イスラム国との難しい人質解放交渉に臨むには、政府と与野党が足並みを乱さず、結束することが欠かせない。
 前原氏は、昨秋の消費税率10%への引き上げ先送り決定について「増税できる環境を作れなかった責任、経済政策が間違っていたことを、率直に認めるべきだ」と安倍首相に迫った。
 首相は「経済の好循環が着実に生まれ始めており、批判は当たらない」と強調した。2017年4月の消費増税を確実に実施するため、経済政策「アベノミクス」を前に進めるとも言明した。
 アベノミクスは、円安・株高、企業業績や雇用の改善などで、一定の成果を上げている。先の衆院選では、まだ恩恵を受けていない国民にも、その方向性がある程度支持されたのではないか。
 民主党も、消費増税の延期に賛成した。アベノミクスの修正を求めるなら、何をどう変えるのか、具体策を提示しなければ、説得力を持つ主張とはならない。
 前原氏は、今年度補正予算案について、商品券発行などで自治体を支援する総額4200億円の交付金の経済効果が乏しいと批判した。「統一地方選前のバラマキの典型だ」とも決めつけた。
 首相は、「過去の施策を検証し、効果的な取り組みとなるよう工夫をこらした」とかわした。
 確かに、交付金の経済効果は限定的だとの見方は少なくない。政府と自治体がより効果的な使い方を検討することが大切だろう。

グレーゾーン事態 米艦以外の防護も検討(NHK)


政府は、安全保障法制の整備の一環として、いわゆるグレーゾーン事態の際に、アメリカ軍だけでなく、オーストラリア軍などとの共同対処を念頭に、アメリカ以外の国の艦船なども自衛隊が防護する対象にできないか検討を進めています。
安全保障法制の整備では、日本の周辺で弾道ミサイルを発射する兆候がある場合などに、それに対処するアメリカの艦船の自衛隊による防護が課題の一つとされています。
政府は、去年7月の閣議決定に、こうした、武力攻撃に至らない、いわゆるグレーゾーン事態の際に、自衛隊によるアメリカ軍の防護を可能とする法整備を行うことを盛り込んでいます。
しかし、政府は、その後の法整備に向けた準備の中で、グレーゾーン事態の際、アメリカ軍だけでなく、防衛協力を進めているオーストラリア軍などとも、警戒監視などで、共同で対処する可能性があるとして、アメリカ以外の国の艦船なども、自衛隊が防護する対象にできないか検討しています。
ただ、閣議決定で、防護の対象として明記しているのはアメリカ軍で、政府内にも、ほかの国に対象を広げれば、野党だけでなく、与党内からも異論が出る可能性があるという指摘もあり、政府は今後、与党との調整を経たうえで、慎重に方針を決めることにしています。

ヨルダンと緊密連携=日本政府、人質交換目指す-新画像「本人」とほぼ認定(時事N)


 過激組織「イスラム国」によるとみられる日本人人質事件で、後藤健二さんとヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚との交換を求める新たな画像が27日夜にインターネットに投稿されたことを受け、日本政府は28日未明、後藤さんの早期解放に向けてヨルダン政府に引き続き協力を求めていく方針を決めた。画像は後藤さんについて「24時間」の期限を設けており、アンマンの現地対策本部を通じ、ヨルダン側と緊密に連携しながら「人命最優先」で慎重に対応する。
 政府関係者によると、政府は27日午後11時すぎに画像を確認。首相官邸で菅義偉官房長官が加藤勝信官房副長官らと情報収集するとともに対応を協議した。菅長官はこの後、隣接する公邸に待機する安倍晋三首相に対処方針を報告。菅長官はこの後、対処方針を現地対策本部に伝達するよう岸田文雄外相に指示した。また、政府高官は画像の信ぴょう性について「後藤さん本人に大筋間違いない」と認定、別の高官は画像について「イスラム国によるものとみられる」と語った。
 日本政府は、イスラム国側の支配下にある後藤さんとヨルダン空軍パイロットの2人と、ヨルダンが収監しているリシャウィ死刑囚を含む受刑者2人との一括交換による解決を目指し、ヨルダン側に協力を要請。菅長官は27日午後の記者会見で、ヨルダン側から「理解をいただいている」と説明していた。
 イスラム国側は24日に、後藤さん解放の条件としてリシャウィ死刑囚の釈放を要求。一方、ヨルダン政府が自国パイロットとの交換を最優先とする方針を示したことから、一括交換が浮上した。ただ、イスラム国側は後藤さんと同死刑囚の「1対1」の交換にこだわる姿勢を示しており、今後の調整は予断を許さない状況だ。
 アンマンの現地対策本部で指揮を執る中山泰秀外務副大臣は日本時間の27日未明、記者団に「ヨルダン人パイロットと後藤さんの2人が無事にそれぞれの国に笑顔で戻れる日をつくり出すため、力を合わせていけたらいい」と語った。
 首相も同日午後の衆院本会議で、「極めて厳しい状況だが、関係各国と一層緊密に連携しつつ、人質の早期解放に向けて全力を尽くしていく」と強調した。

テロ対策へ日本の心構えを問う 杏林大学名誉教授・田久保忠衛(産経:正論)


≪日本における不可思議な議論≫
 安倍晋三首相は中東訪問を繰り上げて帰国し、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人人質事件に対して不眠不休で陣頭指揮に当たっている。首相は「人命を第一に、テロには屈しない」決意を表明している。
 野党政治家の中には首相の中東訪問自体がイスラム国を刺激したといった心ない発言をする人物もいる。奇怪なのは、元防衛庁高官で、内閣官房副長官補を務めた柳沢協二氏の「唯一、人質の生命を救う手段があるとしたら、イスラム国に対する対決姿勢を表明した安倍首相自身が辞任することだ」との放言だろう。
 「人命尊重」と「テロリストとの闘争」は今回の人質問題が絡んでくると、どちらが重要なのか曖昧になってくる。「人命は大切だが、テロリストとはいっさい妥協しない」「テロリストとは戦うが、人命は尊重しなければならない」という2つの文章で分かる通り、主語と従属文を入れ替えると、意味はがらりと変わってくる。
 それを取り違えたうえで、さらに、テロリストを刺激してはいけない、などとの議論が新聞やテレビで行われているのは、日本以外の国では珍しいのではないか。
 イスラム国と関連があるのか、ないのか定かではないが、直前にフランスで週刊紙「シャルリー・エブド」、次いでユダヤ系食料品店がテロリストによって襲撃された。痛烈な風刺で知られるこの週刊紙の編集部員ら12人が殺害された事件は、とりわけ世界の言論、報道関係者に一大衝撃を与えた。私は米欧諸国の主要英字紙に掲載された社説、評論類に目を通して感ずるところが少なくなかった。

 ≪爽快感を覚える米欧の論調≫
 第1に、言論・表現の自由とテロとの関係で「言論は自由だが、さりとてシャルリー・エブド紙の漫画はひどい」といった右も悪いが左も悪いといった論調は皆無だった。自由な社会では行き過ぎの表現はあっても社会の良識で自然に修正されていくのが望ましいのであって、自己による、あるいは他者による規制はいっさい認めないと説くエコノミスト誌1月15日号の論調などは爽快感を覚える。当然ながら、テロを正当化するものは何もないとの結論だ。
 第2は、20年近く前にハーバード大学のハンチントン教授が書いた「文明の衝突」にならって、キリスト教文明とイスラム教文明がぶつかり合っていると説く議論に対する強い批判である。
 人口の約10%という最多のイスラム系移民を持つフランスをはじめ欧州諸国はこの問題に頭を悩ませてきたから、大規模な宗教的、民族的対立は何としても回避したいとの配慮も働くのだろうか。
 テロリストには中東、アフガニスタン、パキスタンなどで訓練を受けた分子がいるのは事実だが、イスラム全体を危険視する材料は乏しい。エジプトのシーシー大統領は1月1日にアル・アズハル大学で聖職者の前で演説し、自分たちだけが聖なるものとする観念が世界全体に殺害、破壊の不安を与える源になっていると警告した。中東の大国からの反省である。
 第3は、移民政策に関連した欧州各国の右翼政党への警戒心が、すこぶる強い事実である。欧州の経済的な低迷を背景に、イスラム系移民によって自分たちの職が奪われているとの気持ちが一般労働者には強く、その不満をかき立てるポピュリズム政党が超右翼と称されていることを、恥ずかしながら私は初めて知った。

 ≪もっと大切なものがある≫
 1月11日にはパリで犠牲者を悼む大行進が行われ、オランド・フランス大統領、メルケル・ドイツ首相、ケイタ・マリ大統領、トゥスク欧州連合(EU)大統領、ネタニヤフ・イスラエル首相、アッバス・パレスチナ自治政府議長ら約120万人が参加した。
 しかし、ここにはフランスの右翼、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首は招かれなかった。ルペン党首が対抗して主催した会議にはそこそこの人数が集まっているし、昨年5月に行われたEU議会選挙では25%の得票率を得て、2017年の大統領選の有力候補である。
 ドイツ、英国、オランダ、ギリシャ、スウェーデンなどでも同じ傾向の政党が勢いを増している。ルペン党首が2年後の大統領選に当選したら、EUを支えてきた独仏関係に亀裂が入るだろうし、EUは危機に陥る。欧米のすべての新聞がとは言わないが、大方はテロがすでに深刻化している移民問題に火をつけ、EUの崩壊につながる危険な先行きに警鐘を乱打していると考えられる。
 テロの背景、連鎖反応などに目配りをしたうえで世界は本格的なテロ対策に入った。シリアやイラクからこの1、2年に3千人が帰国し、欧米各国は「国産型テロ」に備えなければならなくなった。彼我の事情は異なるが、日本のテロに対する心構えは次元が低い。人命第一の掛け声だけでなく、この世の中には人命より大切なものがあると私は考えている。(たくぼ ただえ)

有志連合支援のため「自衛隊活用すべき」 英紙タイムズ「小切手外交見直す時」(産経N)


英紙タイムズは26日付の社説で、過激派「イスラム国」によるとみられる日本人人質事件を機に、日本は「イスラム国」に対する有志国連合を支援するため、自衛隊を活用すべきだと呼び掛けた。
 同紙は、湯川遥菜さんが殺害されたとの見方を前提に、事件は「日本への直接の挑戦」だと指摘。自衛隊の海外活動を制約し「小切手外交」に頼ってきた従来の政策を見直す時だと主張した。
 その上で、自衛隊にはさまざまな「専門技術がある」と指摘。また自衛隊が海賊対策に使ってきたアフリカ東部ジブチの拠点は、中東での民間人避難支援にも利用できると訴え「日本はイスラム国に対する軍事的な有志国連合に加わるべきだ」と結論づけた。(共同)

朝日新聞の「慰安婦」報道巡り、8749人提訴(読売N)


朝日新聞社のいわゆる従軍慰安婦問題の報道で「日本の国際的評価が低下し、国民の名誉を傷つけられた」として、渡部昇一・上智大名誉教授やジャーナリストら8749人が26日、同社に1人1万円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、原告らは朝日の報道について、「『日本軍に組織的に強制連行された慰安婦』というねじ曲げられた歴史を国際社会に広め、日本が激しい非難を浴びる原因になった」と主張している。原告はインターネットなどで募り、2月にも追加提訴する予定で、最終的に1万人を超える見通し。
 同社広報部は「訴状をよく読んで対応を検討する」とコメントした。

きょうから代表質問 本格論戦へ(NHK)


国会は、27日と28日の2日間、財政演説に対する各党の代表質問が安倍総理大臣も出席して行われ、安倍政権の経済政策・アベノミクスの是非や財政再建など巡って与野党の本格的な論戦が始まります。
第189通常国会は26日に召集され、安倍総理大臣は党の両院議員総会で、経済の好循環を実現するため、新年度・平成27年度予算案の早期成立を図り、医療や農業などの改革を断行する国会にしたいという考えを示しました。
国会では、今年度の補正予算案が提出されたのを受けて、麻生副総理兼財務大臣が財政演説を行い、これに対する代表質問が、27日と28日の2日間、衆参両院の本会議で安倍総理大臣も出席して行われます。
27日は衆議院本会議で、自民・公明両党と、民主党・維新の党・共産党が質問に立ち、このうち、自民党は、安倍政権の経済政策・アベノミクスの恩恵を地方や中小企業に届けることが国の最重要課題だとして、補正予算案で講じた施策や、経済の好循環の実現に向けた政府の取り組みなどを尋ねることにしています。
公明党は、東日本大震災の集中復興期間が平成27年度までとなっていることを踏まえ、その後の政府の取り組みや財源の確保について方向性を示すよう求めることにしています。
一方、民主党は、アベノミクスで格差が拡大し、消費税率の引き上げを延期したことは経済政策の失敗だと指摘するとともに、補正予算案もバラマキが目立つとして、財政再建に向けた政権の考えをただすことにしています。
維新の党は、歳出の膨張と赤字国債に頼った財政が続いているとして、財政再建に向けて議員定数や公務員の人件費を削減するとともに、道州制など地方分権を進めるよう求めることにしています。
共産党は、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画を中止するよう主張することにしています。
また、各党は、イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織に日本人が拘束されている事件を巡る政府の対応についても説明を求めることにしていて、第3次安倍内閣が発足してから初めてとなる与野党の本格的な論戦が始まります。

新たな国際テロ呼び掛け=過激組織「イスラム国」(時事N)


 【アンマン時事】過激組織「イスラム国」のスポークスマンは26日、インターネット上に録音メッセージを掲載し、欧米各国のイスラム教徒に「新たな攻撃実行」を呼び掛けた。AFP通信が伝えた。
 スポークスマンは、フランスの風刺紙シャルリエブド本社銃撃事件などの連続テロに加え、オーストラリア、カナダ、ベルギーと昨年、イスラム過激派によるテロが起きた国名を挙げ「異教徒が住む欧米で暮らすイスラム教徒たちよ、自分が今居る場所で十字軍を攻撃せよ」と訴えた。十字軍は、イスラム過激派がキリスト教徒中心の欧米諸国への敵意を示す際に使う表現。
 また、こうしたテロ攻撃を実行可能であるにもかかわらず、実行しないイスラム教徒は「敵」と見なすとメッセージは脅迫している。

蛮行は日本の生き様への挑戦だ(産経:正論)


□キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦
 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人人質事件で、湯川遥菜(はるな)さんとされる男性の写った写真がネット上に投稿された。殺害が事実とすれば、罪のない日本の同胞への無慈悲な行為はおよそイスラムの名に値しない、許し難き蛮行だ。

 ≪反テロへの連帯と団結を≫
 そもそも今回の犯行は中東のスタンダードに照らしても異常だった。日本を「十字軍」に含めたり、巨額の身代金を期限付きで要求するごときは、ロジックを欠いた「言いがかり」に過ぎない。
 これまで日本は中東地域の平和と民生安定のため、非軍事的手段を通じて、一貫して国造りへの協力と人道支援を続けてきた。
 今回の事件は人質の2人だけでなく、日本人全体、ひいては戦後70年間に生まれ変わった日本という民主国家の生き様そのものに対する挑戦ともいえるだろう。されば、今われわれに必要なことは犠牲となった同胞への連帯と、テロに強く反対する国民全体の団結を示すことである。
 残念ながら、日本国内では当初から国論が割れた。一部識者は安倍晋三首相の中東訪問と演説内容に問題あり、などと声高に批判した。しかし、冷静に考えてほしい。「イスラム国」は国家ではなく、宗教を隠れみのにした「ならず者」集団に過ぎない。
 彼らは昨年来、世界の主要国に対する数々の犯罪を計画・実行してきた。日本人人質奪取もその一環に過ぎない。
 であれば、日本の首相が誰であろうと、またどこで何を語ろうと、今回の事件はいずれ実行されたということである。
 この関連で筆者が驚愕(きょうがく)したのは事件翌日のある有力紙の見出しだ。「敵視された日本の中東支援」「『イスラム国』身代金で解放の例も」というヘッドラインに筆者は強い違和感を覚える。
 「イスラム国」とは自ら以外を「すべて敵視する」特異な政治軍事的宗教活動だ。それにもかかわらず、見出しで日本の支援だけが敵視されたかの如(ごと)く示唆したり、身代金による人質解放の可能性を暗示することは、意図的ではないにせよ、一種の利敵行為と言わざるを得ない。

 ≪憎しみと怨念のグローバル化≫
 一方、これとは正反対の極論も散見された。11年前にイラクで起きた日本人人質事件の際に燃え上がった、いわゆる「自己責任論」だ。
 しかし、現在の国際テロ情勢は当時とは様変わりしている。今や無差別殺人を繰り返す宗教テロはグローバル化しており、中東だけのものではなくなりつつある。
 その意味でも、今回の人質事件は日本にとって「9・11事件」だ。残念ながら、一部中東諸国政府の統治の正統性は急速に失われつつある。情報化の進展により中東で生まれた憎しみや怨念がグローバル化し、世界各地のイスラム教徒が、リアルタイムで共有・増幅しつつある。そうなれば、日本やその周辺地域も聖域ではなくなるだろう。
 既に影響は中国に及んでいる。1月7日のフランスの週刊紙襲撃テロ事件直後の10日、中国政府は、新疆ウイグル自治区のウルムチ市内の公の場でブルカの着用を禁止した。中国は欧州での事件に便乗して、国内ウイグル人に対する弾圧を強めているのだ。
 これに対し、ウイグル人はキルギスなどを経由してシリアに向かう。「イスラム国」に参加して戦うためだ。宗教的情熱を持った、ひ弱なウイグルの若者が筋金入りのテロリストに変身する。中国にとっては空恐ろしい事態だ。ソ連がアフガニスタンに軍事介入した際に起きた現象に似ている。

 ≪事件から汲み取るポイント≫
 こうした事態は日本にとって対岸の火事ではない。今、日本人が考えるべきことは、この事件を政争の具とするのではなく、事件から正しい教訓を汲(く)み取り、さらなる人質事件発生を未然に防ぐためにも、長年の懸案であった“宿題”を処理することではないか。
 いくつか重要なポイントを挙げよう。第1は、先に述べたテロのグローバル化現象を踏まえ、日本内外の日本人・日本企業の安全確保について今一度再点検することだろう。今回の事件はシリア国内で起きたが、将来、これが東南アジアや日本国内で起きないとはもはや言えなくなったからだ。
 第2は、国際レベルの情報分析能力を備えた対外情報機関を、既存の官僚組織の枠の外に、早急に設置することだ。現在の外務・警察の官僚的発想だけでは、国際的に通用するインテリジェンス・サービスなど到底作れないと思う。
 第3は、国家安全保障会議(NSC)と危機管理の分業体制を改めて構築することではないか。今回のように邦人保護・危機管理と、国家安全保障が幾層にも交錯する事件こそ、オペレーションと政策立案実施を分けて立体的に実務を処理すべきだからだ。
 冒頭に述べたとおり、今回の事件は戦後70年間の日本人と日本国家の生き様に対する挑戦だ。悲劇を風化させてはならない。(みやけ くにひこ)

戦後70年談話、首相「歴代政権の表現こだわらず」 (日経N)


安倍晋三首相は25日のNHK番組で、夏までにまとめる戦後70年の首相談話に関して「今まで重ねてきた文言を使うかどうかではなく、安倍政権としてどう考えているのかという観点から談話を出したい」と述べた。過去の植民地支配と侵略を認めた戦後50年の村山富市首相の談話などの表現をそのまま継承することにはこだわらない考えを示した。
 村山談話と戦後60年の小泉純一郎首相の談話をあげて「歴代の談話を全体として受け継いでいく」という意向を重ねて表明した。「今までのスタイルをそのまま下敷きとして書いていくことになれば、今まで使った言葉を使わなかった、新しい言葉が入ったというこまごまとした議論になっていく」と訴えた。
 談話の内容について「日本の70年の歩み、これから世界にどのような貢献をしていくのか、どのような地域、世界をつくっていこうとしているのか日本の未来に対する意思をしっかりと書き込んでいきたい」と語った。
 民主党の岡田克也代表は同番組で「過去の反省がとんでしまうと、戦後70年の歩みを否定することになりかねない。許せない」と首相の発言を批判した。維新の党の江田憲司代表も「文言は基本的に継承しないといけない。変えると近隣諸国に誤ったメッセージを送ることになる」と指摘した。
 共産党の志位和夫委員長は「(反省とおわびという)一番の核心的な部分は曖昧にして後退させていこうという考えが出た。非常に重大だ」と反発した。

米印首脳 安全保障・原発協力で合意(NHK)


アメリカのオバマ大統領とインドのモディ首相が会談し、海洋の安全やテロ対策など安全保障面での連携を強化することで一致したほか、懸案となっていたインドでの原子力発電所の建設に向けても協力を進めることで合意しました。
インドを3日間の日程で訪問しているオバマ大統領は25日、首都ニューデリーでモディ首相と会談しました。
会談で双方は、イスラム過激派組織「イスラム国」や「アルカイダ」によるテロへの対策や、海洋進出を続ける中国を念頭に南シナ海やインド洋での安全確保に向けて連携を強化していくことで一致しました。
そして、アメリカがインド海軍の空母の建造を技術的に支援していくなどとしています。
さらに双方は、両国の間で2008年に原子力協定を結んだものの進展がなかった、アメリカの企業によるインドでの原子力発電所の建設に向けても協力を進めていくことで合意しました。
会談後の記者会見でオバマ大統領は、「インドとの関係強化は21世紀のアメリカの成功にとって決定的に重要だ」と述べたのに対し、モディ首相も「両国の関係は新たな段階に達した」と応じ、両国の緊密ぶりをアピールしていました。
オバマ大統領とモディ首相は共に両国の関係を重視する政策を掲げており、オバマ大統領は26日、アメリカの大統領として初めてインドの「共和国記念日」の式典に主賓として出席する予定です。

イスラム国拘束:交渉を示唆…要求「身代金」から変更(毎日N)


「もはや金は要求していない」。「イスラム国」を名乗る犯行グループは24日の声明で、人質のジャーナリスト、後藤健二さん(47)に主張を代弁させる形で身代金の要求を撤回。代替条件として、後藤さんと2005年の自爆テロ事件に絡んでヨルダンで収監されている女との「捕虜交換」を要求した。「条件はシンプルだ。要求は容易に、そして公正になった」。声明からは、交渉の主導権がイスラム国にあるとの優越感がにじむ。【カイロ秋山信一、パリ宮川裕章】
20日の殺害予告映像では「72時間以内」と期限を設けて2億ドル(約235億円)の身代金を要求。24日の声明で「湯川さんを殺害した」と主張したのは、期限が経過したことを受け、脅迫の本気度を示し、交渉を有利に進める狙いがあったとみられる。イスラム国は人質を主に▽身代金要求▽敵対勢力との人質交換▽殺害映像公表による広報宣伝−−に利用してきた。交渉過程で要求を変えることもある。昨年8月に米軍の空爆への報復として殺害された米国人記者の場合、最初に家族に身代金を要求。実現できないと判断すると殺害を実行して映像を公開し、広報宣伝に利用した。
 今回、人質解放の条件を変更したことは「イスラム国」が交渉に応じる意思があることを示唆する。身代金2億ドルは、日本政府が表明した非軍事分野での対「イスラム国」支援の規模と同額で、多くの専門家は「象徴的な意味合いが強く、身代金より広報宣伝効果を狙った」と分析していた。
 「イスラム国」が「捕虜交換」に応じた例も伝えられている。昨年6月にイラク北部モスルで拘束されたトルコ領事ら49人は、トルコ当局が拘束していた「イスラム国」戦闘員を釈放する見返りとして解放された可能性が指摘されている。
 「イスラム国」に拘束され、身代金を支払い解放されたとされる仏人記者のニコラ・エナン氏(39)も毎日新聞の取材に「イスラム国のメンバーは(人質解放の見返りとして)仏の同盟国に拘束されている囚人の釈放や身代金のことを話していた」と証言した。
新たに後藤さんの解放条件と指定されたサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放は、イスラム国が以前から狙っていたとの情報がある。イスラム国の内情に詳しいイラク人安全保障専門家、ヒシャム・ハシミ氏は「要求は現実的になった。イスラム過激派には『女性は男性が保護すべき存在』との考えが強く、女性の救出を図ることは支援者へのアピールになる」と分析する。エナン氏も「真剣に交渉を進める意思の表れだ。『金目当ての集団』との批判をかわす狙いもある」と指摘した。

湯川氏「殺害」写真、信ぴょう性高い…安倍首相(読売N)


イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループが拘束した日本人の殺害を予告している事件で、安倍首相は25日、湯川遥菜はるなさん(42)とされる男性が殺害されたとみられる写真を含む映像について、「信ぴょう性は高い」との認識を示した。
 映像では、拘束されているジャーナリストの後藤健二さん(47)解放の交換条件として、ヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を要求しており、日本政府はヨルダン政府に事態打開に向けた協力を要請している。
 インターネット上に投稿された映像は、写真を持つ後藤さんの静止画に、後藤さんらしき男性の声で「彼ら(イスラム国)はもう金銭を要求していない。サジダ(・リシャウィ死刑囚)を彼らに渡せば、私は解放される」などと英語の声明が付けられていた。
 この映像の真偽を巡り、首相は25日のNHKの番組で、「残念ながら今の時点で、信ぴょう性は高いと言わざるを得ない状況になっている」と認めた。
 菅官房長官もこの後の記者会見で、「現時点で、(湯川さんの)殺害を否定する根拠は見いだせない」との認識を示した。映像に加工された形跡がないとみられることなどを総合的に判断したという。
 また、リシャウィ死刑囚釈放という新たな条件への日本政府の対応について、首相は同じ番組で、「事態が動いているので、答えは控えたい。人命第一の観点から(死刑囚を収監中の)ヨルダンとも緊密に協議、連携して対応したい」とし、明言を避けた。
 政府関係者によると、リシャウィ死刑囚の釈放を求めるイスラム国の意向について、政府は映像がインターネット上に投稿される以前に、未確認ながら情報を得ていたという。菅氏は記者会見の中で、「様々な情報があったが、確たることを申し上げる状況にはなかったということだ」と述べた。
 首相が24日夕にヨルダンのアブドラ国王と電話で会談した際に、死刑囚釈放要求についても対応を協議したとの見方が出ている。政府は、ヨルダンの首都アンマンの現地対策本部で指揮を執る中山泰秀外務副大臣らを通じ、ヨルダン政府との連携をさらに強めていく方針だ。
 一方、首相は25日、オバマ米大統領と約10分間、電話で会談し、「(イスラム国に対し)後藤さんに危害を加えないよう、直ちに解放するよう、強く要求している。米国と連携していきたい」と協力を求めた。大統領は支援を約束した。両首脳は「テロに屈することなく、世界の平和と安定に協力していく」ことも、改めて確認した。
 首相はこれに先立ち、首相公邸で岸田外相らと対応を協議した。岸田氏はその後、外務省で記者団に対し、「あらゆるルートを活用して、後藤さんの解放に向けて全力で取り組むことを確認した」と語った。

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