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日韓防衛相会談 安保協力強化の一歩となるか(読売:社説)


 北朝鮮が核・ミサイル開発を続ける中、停滞している日韓の安全保障協力を強化する一歩となるのだろうか。
 中谷防衛相はシンガポールで韓国の韓民求国防相と会談した。自衛隊と韓国軍の共同訓練や、韓国軍艦船の日本訪問など、防衛交流の拡充を目指す方針で一致した。
 冷え込んだ日韓関係の影響で、防衛相会談の開催は4年ぶりだ。軍事面の連携が大きく前進したとは言えないが、閣僚会談が実現したことは前向きに評価したい。
 中谷氏は、国会で審議中の安全保障関連法案について説明し、理解を求めた。韓氏が、「韓国に関係することは相談してほしい」と要請したのに対し、中谷氏は、事前同意なしに自衛隊を韓国領域に派遣しない方針を強調した。
 日韓の安保関係がぎくしゃくしたままでは、北朝鮮に誤ったメッセージを送りかねない。今後も様々なレベルで対話を重ね、防衛協力を再構築することが重要だ。
 中谷、韓両氏は会談後、カーター米国防長官を交えた日米韓防衛相会談を行った。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射実験に成功したとする北朝鮮の発表などを踏まえ、3か国の情報共有を強化する方針を確認した。
 残念なのは、日韓が幅広い防衛秘密を共有する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結問題に進展がなかったことだ。
 韓国は2012年6月、いったん締結する方針を決めたが、世論の反発を受けて、延期した。現在は、北朝鮮関係の情報に限って、米国を通じて共有する仕組みがあるだけだ。
 自衛隊と韓国軍による水や食料などの相互提供を可能にする物品役務相互提供協定(ACSA)の締結も、めどが立っていない。
 両協定は、日韓双方にとってメリットが大きい。韓国は、大局的な観点に立ち、協定締結を前向きに検討することが求められる。
 韓国は、安全保障と経済分野の対日協力は、歴史問題と切り離して進める方針だという。
 韓国国会は、安倍首相の米議会演説に韓国への謝罪がなかったことを糾弾する決議を採択した。朴槿恵政権は、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録について、戦時中の強制労働問題を理由に反対する運動も展開する。
 こうした一方的な反日姿勢を継続しながら、実務的な協力を強化しようとすることには、無理がある。このままでは、日韓関係の改善は簡単ではない。
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安保法制、日本の敵は日本か 古森義久(産経:緯度経度)


 日本の最大の敵は日本なのか-日本の安全保障関連法案の国会質疑やその報道は、そんな疑問を感じさせる。
 「暴走」「思うがままに武力を」「ナチスの手口」など、同法案の核心の集団的自衛権行使容認に反対する朝日新聞の記事の見出しは、日本が自ら他国に戦争を仕掛けるためにこの措置を取る、と思わせようとしているのは明らかだ。
 同法案の目的を「日本を戦争をする国にする」と断じる日本共産党の主張も日本がいかにも侵略戦争を始めるかのような暗示がにじむ。なにしろ議論の最大焦点が日本を守るはずの自衛隊の手足を縛る「歯止め」だから、日本はそれほどに危険で自制のない国なのか、といぶかってしまう。日本を軍事的に威嚇し、侵略しようとする勢力への「歯止め」がまず語られないのだ。
 集団的自衛権自体を危険視する側は日米同盟がそもそも集団自衛であることは無視のようだ。日本領土が攻撃され、日本がいくら個別的自衛だと称しても、現実は米国に日本との集団的自衛権を発動してもらうのが日米同盟の抑止力そのものなのである。自国防衛は集団自衛に全面的に依存しながら、その集団自衛の概念に反対するという日本の従来の姿勢は米側ではあまりに自己中心で他者依存とみなされてきた。
米国側は超党派でもう20年も日本の集団的自衛権解禁を切望してきた。米国が想定するアジア有事、つまり朝鮮半島有事や台湾海峡有事に対しては国防総省にはいつも「ジャパン・イン(内)」と「ジャパン・アウト(外)」という2つのシナリオが存在してきた。
 「イン」は日本が米国の軍事行動に対し同じ陣営内部に入り、味方として行動する見通し、「アウト」は日本が集団的自衛権禁止を理由に米軍の後方支援も含めて完全に非協力、外部に立つという意味だという。
 歴代の米国政権はもちろん「イン」を望んだが、常に「アウト」をも想定しなければならず、アジア戦略では大きな悩みだった。そして現実の有事で、もし「ジャパン・アウト」となった場合、「日米同盟はその時点で終結する」と断言する米側関係者が多かった。日米安保条約の米側からの破棄という意味だった。
 だから軍事にはあまり熱心ではないオバマ政権も今回の日本の動きは大歓迎するわけだ。米国側全体のいまの反応について大手研究機関AEIの日本研究部長のマイケル・オースリン氏は米紙への5月中旬の寄稿で「日本のいまの動きは自衛隊を他国の軍隊と同様な機能を果たせるように正常化し、米国との安保協力を深め、他のアジア諸国との安保連携をも可能にし、日本がアジアでの責任ある役割を果たせることを目指す」と歓迎の総括を述べた。
米国政府は日本政府に正面から集団的自衛権行使を求めることはしない。主権国家同士の礼儀だろう。だが本音としてのその要望は政府周辺から長年、一貫して発せられてきた。しかも日本の集団的自衛権は禁止のままだと日米同盟の崩壊につながりかねないとする警告が多かった。
 超党派の研究機関「外交問題評議会」が1997年に日本の集団的自衛権禁止を「日米同盟全体にひそむ危険な崩壊要因」と位置づけたのもその一例だった。
 こうした米国側の意向や状況は日本でのいまの論議ではまったく欠落したままなのである。(ワシントン駐在客員特派員)

日米豪防衛相:中国を名指しで批判「深刻な懸念」(毎日N)


 【シンガポール飼手勇介】シンガポール訪問中の中谷元防衛相は30日、米国のカーター国防長官、オーストラリアのアンドリュース国防相と日米豪防衛相会談を行い、南シナ海で岩礁埋め立てを進める中国を名指しし「深刻な懸念」を表明する共同声明を発表した。東南アジア諸国に対する海上安全保障分野での協力を強化していく方針も確認した。
共同声明は「東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更に対し強く反対する」とし、「南シナ海における中国による埋め立てに対する深刻な懸念を表明した」と明記した。
 一方で、南シナ海での領有権を巡って中国と対立するベトナムやフィリピンなども念頭に「南シナ海において領有権を主張するすべての当事者に対し、自制し、埋め立て活動を中止し、挑発的な行動を控えるように促す」ことも確認した。
 中谷氏は会談後、記者団に、中国による岩礁埋め立てについて「中国も大国にふさわしい立場でやらないと地域の安定を崩すことになる」と語った。
 中谷氏は日米豪防衛相会談に先立ち、カーター長官とも個別に会談した。中国の海洋進出を念頭に、力を背景とした現状変更の試みに反対する方針を確認。中谷氏は、ハワイで17日に起きた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの着陸事故についての情報提供を求めた。
 両氏はまた、サイバー攻撃に対する日米協力の共同文書を発表し、両国のいずれかが攻撃を受けるなど「重要な事案」が発生した場合は「緊密に協議し、適切な協力行動をとる」ことを確認した。

豪国防相「潜水艦選定を推進」=日本の受注手続き参加受け(時事N)


【シンガポール時事】中谷元防衛相は30日、シンガポールでオーストラリアのアンドリュース国防相と会談し、豪州が計画する次期潜水艦の共同開発計画について意見交換した。日本政府は先の国家安全保障会議(NSC)で共同開発の受注手続きへの参加を正式決定しており、アンドリュース氏は「日本のNSCの決定に基づいて進めていく」と述べ、豪州政府内での選定手続きを加速させる考えを示した。中谷氏が会談後、記者団に明らかにした。
 次期潜水艦の共同開発をめぐり豪州政府は日本、フランス、ドイツの3カ国から選ぶ方針を示している。6月のアンドリュース氏訪日時に、日豪間で具体的な協議が行われる見通しだ。

南シナ海の監視強化を 防衛相 安保会議で中国に警鐘(東京新聞)


【シンガポール=大橋洋一郎】中谷元・防衛相は三十日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議で演説し、南シナ海の安全保障に関し、中国の海洋進出を念頭に、航行の自由や安全を守るためとして「東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の警戒監視能力の向上が極めて重要だ」と表明した。
 中国は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で岩礁の埋め立てを進めており、「今この瞬間も南シナ海で大規模な埋め立てや港湾、滑走路の建設が急速に進められている」と指摘、周辺国の不安をあおっているとして強く自制を求めた。
 中国は東シナ海の沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返している。中谷氏は「東シナ海でも現状の変更を試みる動きがある」と中国の動向に警戒感を示し、日本には「圧力でなく、対等の立場から協力して未来を切り開く責任がある」と中国をけん制した。
 さらに、マレーシア航空機の行方不明事件を例に挙げて、航空機の飛行に関する常時監視システムの必要性も強調し、日本がこれらを積極的に支援する姿勢を示した。
 国会で審議中の安全保障関連法案については「積極的に国際的な協力を進め、世界の平和と安定に貢献するための取り組み」と説明した。その上で「専守防衛に徹し、軍事大国とはならず、非核三原則を守る」との基本方針を堅持する姿勢は揺らがないと強調した。

退席の野党に自民党議員「仕事しろよ!」 TV中継ない日狙って審議止める?(産経N)


安全保障関連法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会は29日、実質審議入り3日目で早くもストップした。岸田文雄外相の答弁に反発した野党が退席したためだが、同じ時間帯には鹿児島・口永良部(くちのえらぶ)島で噴火が発生。緊急事態をよそに与党は審議続行を求め、「徹底した審議」を求める野党が“審議拒否”するという政争が展開された。
 審議開始から約1時間後の午前10時前。民主党の後藤祐一氏が岸田氏の答弁に納得せず、審議が止まった。ほぼ同じころに口永良部島で噴火が発生したが、その後も与野党の理事は委員室で協議を続行。約10分後に決裂し、民主、維新、共産の野党3党は退席した。特別委は休憩となり、与党が野党に出席を求め続けた間、中谷元(げん)防衛相らは待機せざるを得なかった。
 その間も首相官邸の対策室設置、全島民への避難指示、鹿児島県による自衛隊の災害派遣要請と、噴火対応は時々刻々と進んだ。事態の深刻さが伝わったのか、休憩中に民主党の枝野幸男幹事長は記者団に「防衛相は災害対応を優先して万全を期すのが適切だ」と語り“災害休戦”を提案。自民、民主、維新3党の理事協議でも野党は特別委の散会を提案した。
しかし、浜田靖一委員長(自民)は首をタテに振らず、午後1時の再開直後に出席していた野党は、自民党議員の「仕事しろよ!」との怒号を浴びながら再び退席。結局散会となった。
 民主党の長妻昭理事は記者団に「災害もあるので散会したいと言ったが、浜田氏が継続したいと言った」と説明した。自民党の佐藤勉国対委員長は「岸田氏はまじめに答弁した」と記者団に述べた上で「自分の考えにそぐわないといって国会を止めるのは、いかがか」と野党を批判した。
 双方が正当性を強調するが、民主党の退席には伏線があった。高木義明国対委員長は審議が止まる前の記者会見で「今日も審議の妨げになることがあれば、時間を止めて対応を迫る」と退席を予告していたのだ。
 民主党は28日の特別委の安倍晋三首相のやじに反発しつつ、出席を続けた。同日はNHKが全国中継を実施。中継は野党の主張を伝える貴重な機会でもある。審議が止まった29日は中継がなく、野党は中継がある6月1日の集中審議には出席する方針だ。このため、与党には「民主党は最初から中継のない日に審議を止めるつもりだったのだろう」(自民党国対幹部)との疑念が広がっている。

中国最新鋭機の秘密が米軍に筒抜けに 南沙諸島進出の封じ込めに効果?(産経:軍事ワールド)


 米国製の戦闘機とロシア製の戦闘機が5月10日、南シナ海上空で激しい“空中戦”を繰り広げた-。とはいっても実戦ではない。南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島の埋め立てと恒常的な基地化に突き進む中国に対抗するため、米軍とマレーシア軍が協力。中国軍と同じロシア製戦闘機「Su-30フランカー」を持つマレーシア軍が“練習試合”で中国軍戦闘機を制する秘策を明らかにしたのだ。(岡田敏彦)

敵役は本物
 米海軍によると、訓練に参加したのは原子力空母カールビンソン(ニミッツ級・約10万1千トン)を中心とした第7艦隊とその戦闘機群、そして、マレーシア空軍の「Su-30MKフランカー」と「Mig-29N」。マレーシア空軍機はいずれもロシア製で、特にSu-30MKは中国の新鋭戦闘機と同型機。冷戦時代なら「鉄のカーテン」に隠されていたはずの東側戦闘機の性能を、マレーシア空軍が米軍に出し惜しみなく提供したのだ。その方法は、DACT(異機種間空中戦訓練)。映画「トップガン」で一躍有名になった、違う機種同士での戦闘訓練だ。
 同映画では、主人公の乗る当時の新鋭戦闘機F-14トムキャットが、空中戦訓練で教官の乗る旧式の小型攻撃機A-4スカイホークに翻弄されるシーンが展開されたが、米軍がこんな訓練を行うのは過去の苦い経験によるものだ。

ミサイル万能論を覆したベトナム戦争
 1950~60年代、米中仏ソの軍事大国はいずれも大陸間弾道ミサイル(ICBM)を頂点とした「ミサイル万能論」にどっぷり浸かっていた。戦闘機同士が空中戦を行い、機関砲を撃ち合うなどという第一次大戦以来の古くさい戦闘はなくなり、お互いに遠くからミサイルを撃ち合って勝負が付くとみていた。その予測を覆したのが64~75年のベトナム戦争だ。
 ベトナム戦争では新鋭機としてF-4ファントムII(ショートノーズ型=初期型)が海空軍部隊で使用された。機関銃を積まず、ミサイルだけを積んだファントムIIは、空対空戦闘で思わぬ苦戦を強いられる。ミサイル誘導に関わる電子装備は、まだ発達途上にあったからだ。
 当時のパイロットの回顧録などによると、レーダー誘導のミサイルは、敵戦闘機の激しい動きなどで目標を“見失う”トラブルが多発。一方の赤外線誘導ミサイルは、敵戦闘機の排気口から放出される赤外線を追うはずが、水田に映る太陽をめがけて突っ込んでいくなど散々な結果に。

禁じ手まで使い…結局、最後は空戦能力勝負に
 結局は敵の真後ろ、しかも至近距離に迫ってミサイルを撃つのが撃墜への最短条件となった。
当時の米海軍のパイロット、ランディ・カニンガム大尉は、ミサイルだけを積んだファントムIIに搭乗。ベトナム軍のベテランパイロットとの空中戦で後ろを取り合う壮絶な空中戦を展開し、最後は双方ともバーティカル・ローリング・シザースという自滅的な空中機動を展開した。
 互いに螺旋(らせん)状に旋回しつつ、速度を落としながら垂直方向へ降下するという、位置エネルギーと運動エネルギーを同時に失う機動で、危険すぎるため軍が禁じ手としていたほどだった。
 こうした現場のパイロットたちからは、どうせ敵の後ろにつかなきゃならないなら、機関砲を積んだ方が良い-との要求が続出。応急措置で胴体下に機関砲ポッドを積み、その後は機首に機関砲を内蔵したF-4ロングノーズ型が登場。後に開発されたF-15、F-16とも開発段階から機関砲が内蔵された。
 ミサイルのレーダーや電子装備、機動力が大幅に向上し、母機の誘導を不要とした“打ちっ放し”が可能となった現代でも、ステルス戦闘機F-22さえ機関砲は搭載されている。最後は敵機の後ろにつくことが必要になるのでは-との「空戦能力信奉」は消えていない。

トップガン学校
 こうした空戦能力を磨くため、ベトナム戦争後期以降にパイロットの学校や専門の部隊が設立された。
米海軍の「トップガン」は、世界の海に展開する空母艦載機部隊から優秀なパイロットを定期的に本国カリフォルニア州の基地に集めてDACT(異機種間空戦訓練)で鍛え、卒業生が部隊に戻って同僚らにそのテクニックを教えるというもの。また空軍ではアドバーサリー(敵役)部隊が設けられ、一般部隊に訓練を施している。
 これは、同じ部隊の同機種同士で空中戦訓練をしても、お互い手の内を知っているだけに進歩が少ないうえ、勝ちパターンの固定化が懸念されるなどの考え方による。実戦では敵は思いもかけない戦術、予想外の機動を仕掛けてくる可能性があり、敵機の空戦性能を知り、シミュレートする“敵役”は重要な存在なのだ。
 とはいえ、正確に敵役を演じるのは難しい。冷戦下では仮想敵国の戦闘機を手に入れるのは至難の業で、飛行特性の似た自軍の戦闘機(A-4など)で我慢せざるを得なかったのだが、時代は変わった。冷戦の終結で「本物」を使えるようになったのだ。

仮想“中国軍機”があちこちに
 冷戦終結とドイツ統一で、旧東独の旧ソ連製兵器は統一ドイツ軍のものとなり、Mig-29など新鋭機の性能は広く西側世界の知るものとなった。またソ連崩壊後のロシアは、武器輸出を主要産業のひとつとし、旧ソ連時代からつながりのある国に兵器を輸出し外貨をかせぐことに。そうした輸出先の一つが中国であり、マレーシアだった。
中国では1990年代から、ロシア製のフランカーシリーズを購入。自国でコピー品を製造するなどロシアとのトラブルも抱えているが、シリーズ最新のSu30MKKフランカーも多数導入している。電子装備はともかく、空戦機動力では西側の戦闘機を凌ぐとも言われるフランカー系の空戦能力は西側各国の脅威だったが、その秘密のベールをあっさり公開したのがマレーシアだ。

暗礁を中国に奪われ
 政治と軍備は分けて考えるべきとの考えから、マレーシアは西側、東側双方の兵器を導入している。空軍ではロシア製のSu-30MKMを18機にMig-29を14機と、米国製のF/A-18ホーネット8機を混成装備。うちSu-30MKMは中国のSu-30MKKとほぼ同一の機体だ。共通してロシアの兵器を装備するという政治的な特色がありながら、南沙諸島をめぐって中国とマレーシアの関係は悪化している。
 両国は伝統的に良好な関係を保っていたが、2014年1月、マレーシアの排他的経済水域(EEZ)にあるジェームズ礁(暗礁)の近くで中国海軍が、領土主権を守る決意を示す「主権宣誓活動」を行い、領有を宣言。マレーシアは中国に反発するベトナムやフィリピンなどと連携するとともに、同礁に最も近い町ビントゥルに海兵隊基地の建設を決定するなど、中国の拡張主義に懸念を抱いている。
 とはいえ戦力ではマレーシアは中国の足下にも及ばない。そこで頼みの綱となったのが米国との連携というわけだ。

敵を知り、己を知れば
 米海軍公式サイトやカールビンソンのフェイスブックによると、訓練には米海軍からF/A-18の新旧両型(レガシーホーネットとライノ)、マレーシアからSu-30やMig-29Nなど計3機種が参加し、1対1、多対多などのシナリオで空戦訓練を実施。「マレーシアのSu-30はマッハ1に近い推定速度で操縦され」るなど、空戦訓練としては非常に充実したものだったという。もちろんレーダーや火器管制装置、電子戦装備などの極秘の性能が“筒抜け”になった可能性は高い。
 中国軍では、海軍の虎の子の空母「遼寧」の艦載機さえフランカーシリーズの劣化コピー機だ。
 5月17日には北京を訪問したケリー米国務長官に対し、中国の習近平国家主席は、南シナ海のスプラトリー諸島の岩礁埋め立てに関連して、「広大な太平洋には中国、米国という2つの大国を受け入れる十分な空間がある」などと発言し、南シナ海の問題に米国が干渉すべきではないと高圧的に主張したが、主力戦闘機が丸裸とされたとあっては威圧の効果にも疑問符がつきそうだ。

安保法案審議 専守防衛の本質は変わらない(読売:社説)


安全保障関連法案を巡る衆院特別委員会の審議が本格化している。与野党は、いかに日本と世界の安全を維持するかという観点から、建設的な議論を展開してもらいたい。
 安倍首相は、集団的自衛権の行使の限定容認に関して「専守防衛の考え方は全く変わらない。新3要件で許容される武力行使はあくまで自衛の措置だ」と語った。
 集団的自衛権の行使が可能なのは、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険があるケースに限られる。
 さらに、政府は、「国民の生死にかかわるような深刻、重大な影響」の有無などを総合評価し、行使の可否を判断する方針だ。相当、厳格な歯止めがかかっている。
 世界平和のための自衛隊の活動も、後方支援や人道復興支援に限定され、武力行使は含まれない。憲法の精神に基づく専守防衛の原則は堅持される、と言えよう。
 民主党の岡田代表などは、自衛隊の活動の拡大に伴い、自衛隊員のリスクが高まると主張した。
 首相は、「切れ目のない法制と日米同盟の強化で抑止力が高まれば、日本が攻撃を受けるリスクが下がる」と反論した。
 野党は、自衛隊員のリスクばかりを強調するが、安全保障環境の悪化による日本人全体のリスクも冷静に直視する必要がある。
 集団的自衛権の行使容認や、有事に至らないグレーゾーン事態での米艦防護は、切れ目のない日米共同対処を可能にする。日本が「守るに値する国」との認識を米国に広めることが、抑止力を高め、日本人全体のリスクを下げる。
 自衛隊の海外派遣について、首相は3項目の判断基準を示した。「紛争解決の外交努力を尽くす」「日本が主体的に判断する」「自衛隊の能力、装備、経験にふさわしい役割を果たす」である。
 法律上、自衛隊が可能な任務が拡大しても、実際に派遣するかどうかは、政府が、自衛隊の能力などを勘案し、慎重に判断するのは当然である。
 首相が、過激派組織「イスラム国」と戦う有志連合に自衛隊を参加させない、と明言しているのも、一つの政治判断だろう。
 野党は、基準があいまいで活動が広がりすぎる、などと批判する。だが、どのような国際情勢の下、どんな危機が発生するかを事前に網羅的に想定するのは困難だ。
 国会の承認を前提に、政府に一定の裁量範囲を与えなければ、自衛隊が柔軟かつ効果的な活動をすることはできない。

日EU、南シナ海問題で懸念表明 首脳会談、中国念頭に(東京新聞)


安倍晋三首相は29日、欧州連合(EU)のトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長と官邸で会談し、中国による南シナ海での岩礁埋め立てなどを念頭に、現状を変更し、緊張を高めるあらゆる一方的な行動に懸念を表明した。ウクライナ情勢について全ての当事者に停戦合意の完全履行を要求。経済、安全保障分野での連携強化も確認した。
 会談後、これらの成果を盛り込んだ共同プレス声明を発表した。
 共同プレス声明は、中国の海、空軍の台頭などを踏まえ「全ての国際法や、主権と国家の領土保全の原則の違反を非難する」と言明。公海の航行と上空飛行の完全な自由を求めた。

日中防衛次官級が協議(時事N)


 防衛省は29日夜、シンガポールで徳地秀士防衛審議官と中国人民解放軍の孫建国副総参謀長による日中防衛当局の次官級協議を行ったと発表した。両氏は、自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を避けるため、海上連絡メカニズムの早期運用開始の必要性で一致した。
 徳地氏は国会で審議が進む安全保障法制や日米防衛協力の指針(ガイドライン)について説明。これに対し、孫氏は日中関係改善のために具体的な措置をとっていきたいと述べた。

日本はアジアではなく太平洋だ 東洋学園大学教授・櫻田淳(産経:正論)


 ちょうど1カ月前、安倍晋三首相が米国連邦議会上下両院合同会議で行った演説(以下、「希望の同盟」演説と略)は、戦後70年を経た日米両国の「和解」を確定させる意義を持つものであった。
 もっとも、この「希望の同盟」演説の意義を半減させないためにも、具体的な政策上の裏付けが用意されなければならない。集団的自衛権行使を織り込んだ安全保障法制整備の落着、そして環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の樹立は、そうした裏付けにおける当面の双璧であろう。

 ≪海を基準にした位置付けを≫
 こうした政策上の推移は、日本の国家としてのアイデンティティーに関わる一つの重要な問いを突き付けている。それは、「日本が国家としての軸足を置くのはアジアなのか、それとも太平洋なのか」という問いである。
 そもそも、世界地図上、日本を含む領域は、どのように呼ばれるのか。従来、「陸」を基準にして、日本は「東アジア」や「北東アジア」を成す国として位置付けられるのが、一般的であった。特に中韓両国が向ける複雑な対日視線の底流には、日本が彼らと同類の「東アジア」や「北東アジア」の国であるという認識がある。
 ただし、こういう認識は、物事の「重心」が中国大陸に引っ張られた感じになる。それは、結局のところは、「中国-中心、日本-周縁」という、近代以前の国際認識の焼き直しでしかないのである。
 故に、今後は、「海」を基準にして、「日本は『北西太平洋』の国である」と定義するのが適切であろう。
 この定義に拠(よ)るならば、日本にとっての多くの「可能性」を考えることができる。「海」を基準にして考えれば、たとえばインドネシア、マレーシア、タイ、シンガポールに代表される東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国は、アジア大陸の一部としての「東南アジア」ではなく、「北西太平洋とインド洋のリエゾン(連結)国家群」であると定義できる。

 ≪南シナ海は北西太平洋の縁海≫
 川勝平太静岡県知事が20年近く前に著した『文明の海洋史観』によれば、東南アジア多島海が自由貿易体制と呼ばれるものの発祥の地であり、17世紀以降にインド洋を経て当地に進出した英国は、それを自らの帝国運営のイデオロギーとして吸収したのである。
 TPPは、20世紀に英国から米国に移った自由貿易体制という「理念」が、再び故地である東南アジア多島海を含む西太平洋に戻っていくのを告げる枠組みである。「北西太平洋の国」としての日本には、TPP樹立に尽力し、それを後々、インド洋にまで広げる構想を考える大義が十分に備わっているのではないか。
 加えて、「海」を基準にして観察すれば、目下、米中両国の相克の焦点になっている南シナ海は、北西太平洋の一部を成す「縁海」の一つでしかない。
 先刻、ジョン・F・ケリー米国国務長官が中国の王毅外相に続き范長竜・中央軍事委員会副主席と会談した折、南シナ海での岩礁埋め立てに懸念を表明したケリー長官に対して、范副主席は、「米国は客観的で公平な態度でみるべきだ。中国の政策の意図を正確に理解し、言行を慎むべきだ」と語った旨、報じられている。
 この范副主席の発言にせよ、「主権と領土を断固守る。われわれの立場は今後も何ら変わらない」という王外相の発言にせよ、そこに表れるのは、「南シナ海情勢に関して、『外野』は容喙(ようかい)するな」という中国政府の姿勢である。それは、東シナ海や南シナ海が「中国大陸に付属する海」であるという「陸」中心の視点を反映したものである。

 ≪日本人の模索の幕開け≫
 しかし、「北太平洋の国々」である日米両国には、太平洋の「縁海」としての南シナ海情勢に関心を寄せるべき十分な大義がある。少なくとも、北西太平洋の「外縁」に位置する中国には、「『外野』が容喙するな」と公言する資格はないであろう。「海」を基準にすれば、中国こそが北西太平洋にじかに接することのない「外野」なのである。
 安倍首相が訪米時に献花した第二次世界大戦記念碑はちょうど11年前の本日、除幕式が執り行われた。「希望の同盟」演説中、この記念碑訪問に触れながら安倍首相が示した「深い悔悟」と「永遠の哀悼」は、「昔日の敵」であった米国の将兵というよりも、永井陽之助(政治学者)の言葉にある「太平洋という海洋を挟んで相対峙(たいじ)した二大海軍国が、心から手を握るために、支払わねばならなかった巨大な代償」に対して向けられたと解すれば、その意義が深まるであろう。
 日本が「北東アジア」ではなく、「北西太平洋」に位置するという明確な自覚の下、その永井の言葉にある日米両国共通の「代償」の上に何を築き上げていくのか。日本の人々にとっては、そうした模索の歳月が本格的に幕を開けたのは、間違いないであろう。(さくらだ じゅん)

どうなる戦後70年談話…「個人」「集団」「神」 世界で異なる〝責任の取り方〟(産経:宮家氏)


最近日本内外の多くの方々からお便りを頂くようになった。この場をお借りして心より御礼申し上げたい。ご批判もあれば激励もあるのだが、特に目立つのが戦後70周年総理談話に関するご意見だ。この談話に関する有識者会議「21世紀構想懇談会」のメンバーという立場上内容の公表は控えるが、これら力作に目を通し、過去の膨大な内外関連文献の一部を改めて読み返してハッとしたことがある。それは基本的に同じだと考えていた「責任の取り方」が国や地域で微妙に異なる可能性があることだ。今回は懇談会での議論をしばし離れ、あくまで一般論としてアジア、欧米、中東での「責任の取り方」につき考えてみたい。
 まずはアジアから。いわゆる村山談話では、「多大な損害と苦痛」を与え、過去を繰り返さない主体が「わが国・私たち」となっている。責任を負う主体が日本国民だから国民全体が反省しているとも読める。中国でも昔のような「日本軍国主義者責任論」は影を潜めた。最近(ネットのニュースサイト)人民網が「第二次大戦の『被害者』を装うとし、戦争の原因と結果は反省せず、最も基本的な歴史の責任感を欠く」と批判した対象も「日本側」だった。やはり責任を負うべき対象は個人ではなく、集団という前提なのだろうか。
続いて、一部識者が礼賛するドイツの例を見てみよう。有名なワイツゼッカー独大統領の演説の一部を引用したい。1985年に同大統領はこう述べている。

 ●暴政の根源はヒトラーのユダヤ同胞に対する憎悪である

 ●このような犯罪は少数の人々の手によるものである

 ●民族全体が有罪または無罪ということはない

 ●有罪とは、無罪と同様、集団ではなく、個人的なものだ

 同演説で一貫しているのは欧米特有の徹底した個人主義だ。ドイツ式責任論の本質は「ホロコーストなどの犯罪はヒトラー一派の少数によるものだが、ドイツ民族はその記憶を決して忘れない」という論理であり、だからこそ演説中にドイツ民族としての正式の謝罪はないのだろう。このドイツの姿勢を、米ソ対立が深まる国際政治環境の中、同じく個人主義的発想が徹底する周辺国やイスラエルが受け入れ、許し、和解した。仮に日本の首相が同様の論理で同様の発言をすれば、一部隣国はもちろんのこと、日本国内でも大騒ぎになるだろう。
最後はイスラム諸国。個人的トラウマに属する話だ。カイロでアラビア語を研修していた頃、エジプト人には何度もだまされた。問い詰めると相手は「マレイシュ(気にするな)」と言う。「冗談じゃない、アラビア語にはアースィフ(おわびする)という立派な言葉があるだろう」と求めても相手は絶対に謝らない。それどころか「人間の行動は全て神様が決めるのだから人間に責任はない、だから謝る必要もない」と開き直る始末だ。中東では決して「謝罪すべきでない」と心に誓ったことは言うまでもない。
 賢明な読者はもうお分かりだろう。責任論を集団主義で考える人々には集団主義的な解決があり、これを個人主義的に捉える人々には別の解決手法があり得る。されば責任の最終的帰結を神に委ねる人々には和解のための独自プロセスがあって当然なのだ。それぞれの解決策には長短があり、もちろん相互に参考となることも少なくない。同時に単純な比較による早急な結論が逆効果となるケースすらあることも忘れてはならない。
責任論を克服し和解する場合、欧米流の個人主義に基づく解決の方が容易なのかもしれない。他方、個人の責任や神の審判に帰すことが難しい集団主義の世界では、一度こじれれば和解により多くの時間と手順が必要なのだろう。これ以上書けば懇談会メンバーとして矩(のり)を越える。国民の間で「責任と和解」の議論が深まることを切に希望したい。

安倍首相、重要影響事態の基準示す=発生場所など総合的考慮-衆院特別委(時事N)


 安倍晋三首相は28日の衆院平和安全法制特別委員会で、日本の防衛に当たる米軍などの後方支援が可能となる「重要影響事態」を認定する際、事態の発生場所や外国軍の活動内容などを総合的に考慮する方針を示した。その上で「わが国に戦禍が及ぶ可能性、国民に及ぶ被害など影響の重要性から客観的、合理的に判断する」と説明した。公明党の北側一雄副代表の質問に答えた。
 安全保障関連法案のうち重要影響事態法案は、朝鮮半島有事を想定した周辺事態法を改正し、「日本周辺」の概念を取り除いて自衛隊活動に地理的制約をなくした。
 首相は、重要影響事態を考慮する要素として、当事者の意思、能力▽事態の発生場所、規模、態様、推移▽事態に対処する米軍その他の外国軍の活動内容-を挙げた。 
 中谷元防衛相は北側氏への答弁で、政府が1999年に示した周辺事態の6類型は、重要影響事態にも適用されるとの見解を示した。6類型は、(1)日本周辺で武力紛争が発生している(2)紛争停止後も秩序が回復されていない(3)ある国の政治体制の混乱などで大量の避難民が発生し、日本への流入の可能性が高まっている-など。いずれも「わが国の平和と安全に重要な影響を与える場合」と定義されている。
 一方、首相は「一般に憲法上許されない」とする海外派兵の「例外」として行う戦時下の機雷掃海に関し、「今、私の念頭にあるのはホルムズ海峡が封鎖された際だけだ」と改めて表明。「日本にやって来る石油の8割が、あの狭い海峡を通過する。封鎖されたら出口がない」と説明した。
 南シナ海のシーレーン(海上交通路)に機雷が敷設された場合の対応に関しては「南シナ海には、さまざまな迂回(うかい)路があり得る」と述べ、自衛隊派遣の必要性は低いとの認識を示した。民主党の緒方林太郎氏への答弁。
 国外の弾道ミサイル基地をたたく敵基地攻撃に関し「(ミサイル発射前の)着手から武力攻撃が発生している。武力攻撃が発生した段階でわれわれは武力行使できる」と述べ、発射前でも可能との認識を示した。維新の党の小沢鋭仁氏への答弁。

安全保障関連法案 対立点が浮き彫りに(NHK)


安全保障関連法案は、28日までの3日間、衆議院で論戦が行われ、安倍総理大臣は、他国の領域での集団的自衛権の行使は、中東のホルムズ海峡での機雷掃海以外、今は念頭にないとする一方で、柔軟性を失いたくないと含みを持たせました。これに対し野党側は、自衛隊の海外での活動が際限なく広がりかねないと懸念を示すなど、対立点が浮き彫りになってきています。
3日間の論戦の中で、他国の領域での集団的自衛権の行使について、自民党の高村副総裁は、「安倍総理大臣は『一般に海外派兵は行わないが、ペルシャ湾での機雷掃海は例外的に認められる場合がある』と述べた。『例外に当たる場合がそんなに中東であるか』ということだが、私はほかには想定できない」と述べました。
これに対し安倍総理大臣は、「武力行使の新3要件に当てはまれば、法理上ありうると今まで申し上げてきたが、現在、他の例というのは念頭にはない」と述べました。
ただ一方で、安倍総理大臣は、「安全保障上の対応は事細かに事前に設定し、柔軟性を失ってしまうのは避けたほうがよい」とも述べ、含みを持たせています。
これに対し野党側は、新3要件の「存立危機事態」の基準があいまいで、自衛隊の海外での活動が際限なく広がりかねないと懸念を示しています。
また外国軍隊への後方支援を行う自衛隊の活動範囲が広がることについて、民主党の岡田代表は、「もっと近くまで行ってやりたいのだけど、できなかったという意味なのか。だから、『非戦闘地域』という概念を取り外したということか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は、「現に戦闘行為が行われている現場以外で行う補給や輸送などの活動は、他国の武力行使と一体化するものではないと判断した。攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことは、従来といささかの変更もなく、自衛隊員のリスクを高めることは考えていない」と述べました。
そして政府側は、法律では、活動できる地域を「戦闘現場以外」としているものの、法律の運用を通じて、自衛隊が現実に活動を行う期間、戦闘行為が発生しないと見込まれる場所に活動地域を絞り込むことで、安全を確保するとしています。
一方、野党側は、戦闘現場に近づき自衛隊員のリスクが高まることは確実だとして、政府側は、リスクが高まることを認めたうえで、国民の理解を求めるべきだなどと批判しています。
このように対立点が浮き彫りになってきたことに加え、野党側は、政府側の審議への対応を巡っても、「答弁が長すぎる」と指摘したり、「質問に的確に答えていない」などと反発したりしていて、29日以降の特別委員会の審議でも、厳しいやり取りが交わされる場面が予想されます。

集団的自衛権:「存立危機事態」依然あいまい(毎日N)


衆院平和安全法制特別委員会の28日の審議では、集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」とは具体的にどういう状況なのかが焦点となった。中谷元防衛相は「必ずしも(日本で)死者が出ることを必要としていない」と説明。野党は実際に国内で被害が出ていない段階での行使が可能になるとして批判を強めている。
 この日の審議で繰り返し取り上げられたのが、安倍晋三首相が行使の一例として挙げてきた中東・ホルムズ海峡での機雷掃海。同海峡は日本が輸入する原油の8割が通るシーレーン(海上交通路)。政府は機雷で封鎖されれば「日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」のある存立危機事態に該当する可能性があり、そうなれば集団的自衛権を行使して機雷を取り除けるとしてきた。
 中谷氏はホルムズ海峡の機雷封鎖が存立危機事態に当たるかについて「単なる経済的影響にとどまらず、国民の生死に関わるような深刻、重大な影響が生じるかどうか」で判断すると説明。そのうえで「そのままでは日本が武力攻撃を受けた場合と同様の被害が及ぶのが明らかな状況」とも述べ、その時点では被害が出ていなくても、将来的に燃料が不足し、凍死者が出るなど人的・物的被害が出ることが確実視されれば、認定されるとの考えを示した。
 ただ、判断基準があやふやなことから、民主党の後藤祐一氏は「石油を求めて戦争をするための法案ではないか。太平洋戦争に極めて近い」と反発。首相は「単に石油が止まったからクリアするということではない。石油を求めて戦争をすることは全くない」と反論したが、後藤氏は「全く明快ではない」と批判した。
 維新の党の太田和美氏も「基準があいまいでどんどん広がることを心配している」と指摘。共産党の志位和夫委員長も集団的自衛権行使の範囲が「無限定になる恐れがある」と懸念を示した。
 政府は安全保障関連法案成立後も、「専守防衛」という防衛政策の基本方針には変更がないと繰り返し強調している。だが、民主党の辻元清美政調会長代理は、現行法では「日本への武力攻撃が発生する明白な危険が切迫している」状況でも武力行使は認められていないことを指摘したうえで、「日本が戦争に踏み切る基準の変更ではないか」と批判した。【青木純】

平和の反対は 5月28日(産経抄)


湾岸戦争が終結したのは、1991(平成3)年だった。まもなく、ペルシャ湾の機雷除去のために、海上自衛隊の掃海部隊が派遣される。
 ▼多国籍軍に参加しなかった日本は、「金は出しても汗はかかない」などと、国際社会から非難を浴びていた。そこで「人を出す」国際貢献として、自衛隊発足以来の海外派遣が実現したのだ。
 ▼一方、湾岸戦争でハイテク兵器が発揮した絶大な威力に大きな衝撃を受けたのが、中国だった。軍の近代化を急ぐとともに、従来の地上軍偏重から海洋進出への戦略転換を進めていく。目指しているのは、南シナ海、そして東シナ海での覇権だ。20年以上たって、当時の小紙の記事が懸念した通りになった。
 ▼中国は今や、南シナ海の大半を自国の領海と言わんばかりである。米国が「砂の万里の長城」と呼ぶ埋め立て地の面積は、8平方キロ、東京ディズニーランドの約16倍に達した。26日に発表した国防白書では、「海上軍事闘争への準備」などと、米軍との軍事衝突も辞さぬ姿勢をあらわにした。東シナ海では、中国公船による尖閣諸島周辺への領海侵犯が、もはや常態化している。
 ▼そんな危機的状況をよそに、国会では安全保障法制をめぐる不毛な論議が続いている。「戦争法案」のレッテルを貼って関連法案に反対する野党と一部メディアは、何をもって日本の安全を担保するというのか。平成3年当時も、自衛隊より憲法9条を海外へ、との主張があった。まさか今も神風のように万能だと、信じているわけではあるまいに。
 ▼「愛の反対は憎しみではなく、無関心である」。マザー・テレサの言葉はこうも言い換えられる。「平和の反対は戦争ではなく、今そこにある危機への無関心である」と。

米、南シナ海での警戒監視続行 関係国との連携強化も(産経N)


【ワシントン=青木伸行】米政府は26日、「海上軍事闘争への準備」などを明記した中国の国防白書に対する見解を表明した。踏み込んだ批判や論評は控え、中国を過度に刺激することは避けたが、米政府は南シナ海での米軍偵察機などによる警戒監視を継続しつつ、外交を通じて中国への牽制(けんせい)を強める方針だ。
 国防総省のウォーレン報道部長は「米軍の航空機と艦船は国際空域や公海上を航行し、航行の自由を支援している」と述べ、南シナ海での米軍の活動に関する白書の批判に反論した。
 国務省のラスキー報道部長は「白書の判断は示さない」としたうえで、「中国の軍事力の発展を注意深く監視し、中国に透明性を求め続ける」と述べた。
 一方、有識者からは「地域の覇権を達成するための青写真だ」(新アメリカ安全保障センターのパトリック・クローニン氏)など、明確な警戒感と批判の見解が示されている。
 今後の主な外交日程としては、カーター国防長官が27日、ハワイでフィリピンのガズミン国防相と会談する。フィリピンは、中国が造成中の人工島の12カイリ以内で、米軍に偵察活動などの「一層強力な関与を求める」(ガズミン氏)としている。米側に中古の航空機、艦船、レーダーなどの追加供与も要請する。
カーター氏はまた、29~31日にシンガポールで開かれるアジア安全保障会議で演説する。中国からは孫建国・軍副総参謀長が出席し、火花を散らすことになりそうだ。カーター氏は31日にベトナムも訪問する。
 一方、米政府は26日、米中戦略・経済対話が6月22日から3日間、ワシントンで開かれると発表した。9月に予定される習近平国家主席の訪米も見据えての双方の出方が注目される。
 また、ベトナムの最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長が7月に訪米する方向で調整中で、オバマ大統領は会談を通じ対中国で連携を強化する。

中国国防白書 海洋の緊張高める「強軍戦略」(読売:社説)


南シナ海での島嶼とうしょ支配の一方的な拡大へ、海軍力の増強を加速させる。そんな中国の「強軍戦略」が鮮明になった。
 中国は、2年ぶりの国防白書に「海上の軍事闘争とその準備を最優先し、領土主権を断固守り抜く」と明記し、海上衝突を想定した「軍事闘争準備」を急ぐ方針を示した。公海での「航行の自由」に対する威嚇に等しい。
 中国は、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で岩礁を埋め立てた巨大な人工島の軍事基地化を急いでいる。地域の緊張を高めるものであり、容認できない。
 白書は、米国との名指しを避けながら、「南シナ海問題に介入し、高い頻度で中国に対して海と空で偵察を続けている」と非難した。哨戒機などによる人工島の監視を牽制けんせいする狙いとみられる。
 フィリピンなどを念頭に、「一部の海上隣国が違法に『占拠』した中国の島で軍事的プレゼンスを強化している」と批判した。だが、その中国は、国際法の根拠のない9本の境界線を設定し、南シナ海の大半の領有権を主張する。
 中国海軍について白書は、従来の「近海防御」型から「近海防御と遠海護衛の結合」型へ転換する方針を打ち出した。より遠方の西太平洋でも、潜水艦などの活動を常態化させる可能性が高い。
 日本については、「戦後体制の脱却を追求し、安全保障政策を大幅に調整している」として、安倍政権の安保政策や日米同盟の強化に警戒感を示している。
 しかし、強引な海洋進出で戦後の地域秩序に挑戦しているのが中国だということを自覚すべきだ。菅官房長官が「我が国は地域の安定と平和のために歩んできている。指摘は全く当たらない」と反論したのは、当然である。
 日本は、安保関連法案の早期成立を図るとともに、先に合意した新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)に基づき、抑止力を高めなければならない。
 米国など関係国と協調し、偶発的な衝突につながりかねない危険な挑発行動を自制するよう、中国に促すことも重要である。
 白書は依然、中国軍の低い透明性の向上を求める周辺国の声に応えていない。前回の白書にはあった兵員数などデータ類の記載も一切なくなった。極めて問題だ。
 中国の国防予算は日本の約3・4倍に膨らんでいるが、核戦力や海空軍装備の実態は見えない。透明性を高め、周辺国との信頼を醸成することが、経済・軍事大国としての責任ではないか。

首相「機雷掃海のみ念頭」…安保法案、実質審議(読売N)


衆院平和安全法制特別委員会が27日午前、安倍首相と関係閣僚が出席して開かれ、安全保障関連法案の実質審議が始まった。
 首相は、中東地域での集団的自衛権の行使について、ホルムズ海峡での機雷掃海を挙げ、「現在、ほかの例は念頭にない」との考えを示した。
 首相は、武力行使を目的に外国領域に自衛隊を派遣する「海外派兵」について、憲法9条に違反するため原則として認められないとの従来の立場を改めて説明。「私の意思や政策判断ではなく、憲法上認められないということだ」と述べた。その上で、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に必要最小限度の武力を行使できる、などとした「自衛権行使の新3要件」を満たす場合には、外国領域であっても例外的に武力行使が可能と指摘し、現時点での具体例として、中東のホルムズ海峡が機雷で封鎖された場合の掃海を挙げた。

海外派兵の「例外」論点に=安倍首相、対象拡大否定できず(時事N)


憲法解釈の変更に基づく安全保障関連法案をめぐる本格論戦が27日、衆院特別委員会で始まった。安倍晋三首相が「一般に憲法上許されない」と認める他国領域での武力行使の「例外」が論点となり、首相は機雷掃海以外「念頭にない」と明言。これに対し、民主党の岡田克也代表は、例外はさらに拡大し得ると追及した。首相は武力行使の新3要件に基づいて慎重に判断するとかわしたが、対象が広がる可能性は否定できなかった。
 岡田氏は、政府が集団的自衛権を行使する事例に挙げた、紛争地域から避難する邦人を輸送中の米艦防護を取り上げた。「米国と戦っている相手国の領海で襲われることもある」と指摘し、「新3要件に該当する点では同じだ。(他国の)領海と公海でどこが違うのか」と、他国の領域で武力行使に及ぶ可能性をただした。
 首相は「まさに3要件に当てはまるかだ」と強調。横畠裕介内閣法制局長官が「他国領域の活動については例外的に認められる場合があるが、慎重に行うべきだというのが憲法で認められている武力行使の考え方だ」と答弁したことを引用し、「極めて慎重な当てはめを行う」と、状況に応じて判断する可能性は認めざるを得なかった。
 岡田氏はまた、「米国の先制攻撃で戦争状態になった場合はどうするのか」とも質問。首相は「国連憲章上認められない行為であり、わが国がそのような国を支援することはない」と答えたが、岸田文雄外相が「着手の時点がいつなのかなど、厳密な議論はある」と注釈を付けたため、岡田氏は「かなり後退した。もう1回議事録を精査して質問したい」とさらに追及する考えを示した。
◇維新、共産も党首質問
 27日の特別委では、維新の党と共産党も党首自ら質問に立った。維新の松野頼久代表は、首相が海外派兵の例外とする中東・ホルムズ海峡での機雷掃海に関し、「経済(の問題)で武力行使ができるという考え方は行き過ぎではないか」と指摘。首相は「国民生活に死活的な影響が生じるか否かで、状況によっては存立危機事態に該当する場合もあり得る」と反論した。
 共産党の志位和夫委員長は、自衛隊による他国軍の後方支援について「兵たんはより軍事攻撃の格好の目標になる」と語り、自衛隊員のリスクが高まると追及。首相は「しっかりと補給の安全が確保されている場所において後方支援をする」と説明したが、志位氏はこの後の記者会見で「戦争行為の一部であり、武力行使と一体不可分だ。それを再確認した」と主張した。

安保法審議入り 国民守り抜く論戦深めよ(産経:主張)


 日本や日本国民を守り抜くために何が必要か。そこに重きを置いた論戦こそ聞きたい。
 集団的自衛権の限定行使の容認を柱とする安保関連法案の審議が衆院で始まり、安倍晋三首相は「分かりやすく丁寧な説明を心掛け、今国会における確実な成立を期す」と語った。
 激変する日本の安全保障環境を考えれば、抑止力の強化を図る関連法案の成立は急務である。
 野党側は安保法制見直しへの国民の理解が深まっていないとみて、「戦争に巻き込まれる」といったレッテル貼りをする。
 だが、安全保障の議論を矮小(わいしょう)化する姿勢では、国民の安全と平穏な生活を守る政治の責任を果たすことにならない。
 国会審議で、政府はとくに2つの点を国民に伝えてほしい。
 1つは、政策の転換を迫る安保環境の激変だ。首相が本会議で「中国の台頭と東シナ海、南シナ海における活動」に言及したことに注目したい。
 軍事力を背景に、尖閣諸島の奪取をねらい、南シナ海で岩礁の軍事基地化を強行する中国の動きに目をそむけてはならない。
 次いで、関連法案の成立がもたらす効果をより丁寧に説明する必要がある。
 自衛隊の活動範囲が広がれば、リスクが増すという点を野党側は強調するが、実際には日米同盟の抑止力が強化されることにより、かえって平和が保たれる。
 首相は「日本が攻撃されるリスクはいっそう下がる」という言葉で説明した。「備えあれば憂いなし」の側面が大きいことを分かりやすく国民に語るべきだ。
 首相はまた、「日本有事はいうに及ばず、海外派遣など従来の任務も、命がけで自衛隊員は限界に近いリスクを負っている。新たな任務も命がけだ」と明言した。
 リスクはあるが、誰かがやらなければならない任務があるからこそ、高度に訓練された自衛隊が出動する。
 当たり前のことであり、一部野党がその是非ばかりに焦点をあてるのはおかしい。今後は政府側も批判を恐れ、ことさらリスクがないと強調すべきでない。
 野党側には、日米同盟の抑止力向上の問題意識が希薄だ。米軍艦船が日本を守る警戒監視の活動中に攻撃されても助けないのか。明確な態度を示してほしい。

韓国衰退化の病理としての反日 拓殖大学総長・渡辺利夫(産経:正論)


 韓国は、鉄鋼や石油化学などの重要産業で、欧米や日本が生産開始から先発国の生産量に到達するまでに要した歴史的時間を「圧縮」する、急速な発展過程をたどった特有の後発国である。私はこれに「圧縮型発展」と名づけたことがある。圧縮型発展の結果、韓国の1人当たり所得水準は、各国の国内物価水準で調整された為替レートで測れば日本とさして変わらないレベルにまで達している。

 ≪就業期待が持てない若者たち≫
 しかし、この韓国も2010年代に入って衰退化への道に踏み込み、成長率3%台の恒常化を余儀なくされている。しかも、その衰退化の速度が先発国を「圧縮」しているのである。少子高齢化問題解決の緊急性を最も強く抱えもつ国が日本だといわれて久しい。しかし、韓国の少子高齢化は日本をさらに「圧縮」しており、政策対応の暇(いとま)もないままに社会は閉塞(へいそく)状況に追いこまれつつある。
 1人の女性が生涯を通じて産む子供の数が「合計特殊出生率」である。この比率が2・1近傍を維持して一国の人口数は長期的に安定する。韓国の同比率は1990年代に入るや急降下し、2005年には1・08という最低水準に達し、同年の日本の1・26を下回った。高齢化の進行も加速度的である。総人口に占める65歳以上人口の比率が7%を超えれば「高齢化社会」、14%を超えれば「高齢社会」と称される。高齢人口比率が7%から14%へと「倍加」する時間をみると、最速の日本は1970年から94年までの24年間であったが、韓国は2000年から2018年までの18年間となることが確実視されている。
 韓国は他の先進国に例をみない速度で少子高齢化が進んでいるにもかかわらず、この問題に対する政府の認識が甘かったために政策的対応が遅れてしまった。加えて旧来の財閥系企業主導の成長モデルが機能不全となって低成長となり、政策原資の確保に見通しが立っていない。
 何よりも一国の将来を担う若者に就業への期待を持たせることができていない。学歴偏重社会の伝統はなお根強く、大学進学率は71%の高さにあって教育費支出はすでに厳しい家計負債を一段と深刻化させる要因となっている。苛烈な受験競争に打ち勝って大学に入っても財閥系企業に就業の場を見いだすことは難しい。

 ≪劣悪な高齢者の生活保障≫
 韓国の財閥系企業は、中国など新興国を舞台にグローバルな事業展開を推進してきた。しかし、事業所の海外移転によって国内雇用が萎縮し、新興国の景気低迷により事業収益が悪化、国内新規採用の減速は厳しい。高学歴化を反映して韓国の15~24歳人口の就業率は経済協力開発機構(OECD)加盟の先進国中最も低い水準にある。加えて若年層の失業率が最も高く、しかも就業した若者の34%が非正規労働者である。少子化はその不可避の帰結なのである。
 朴槿恵大統領は、選挙戦に際して「65歳以上のすべての高齢者に月額20万ウォンの基礎老齢年金を支給する」と公約して当選した。1世帯の月額平均所得が452万ウォンの社会において20万ウォン程度のバラマキが選挙民の支持の要因となること自体が、韓国の高齢者の生活保障がいかに劣悪な状況下にあるかを物語る。にもかかわらず、この基礎年金制度を公約通りに実施するだけの財政的余力は乏しく、下位所得者のみへの限定支給という修正を余儀なくされている。

 ≪かつてない社会の閉塞感≫
 韓国の高齢者の相対的貧困率(所得分布における中央値の2分の1に達しない貧困層比率)はOECD諸国中で最も高く、現在もなお上昇中である。高齢者の10万人当たりの自殺者数は82人に及び、日本の18人を大きく上回る。家産の継承者たる長男が同居する両親を扶養するという伝統的な男子単系制社会の家族維持機能は、もはや不全化の過程にある。
 韓国の社会保障費の対GDP(国内総生産)比は8%に満たず、OECD諸国中で最低のレベルにある。国民医療保険において本人負担は5割に近く、国民年金においては、年金制度の導入が遅れたために制度に加入できなかったり、加入年限が短かったりする高齢者が多い。彼らの年金不足に対応するものが基礎年金であるが、貧困高齢者を救済できるレベルをはるかに下回っている。
 韓国は所得水準からみれば先進国であり、現にOECD加盟国である。しかし、先進国というにふさわしい内的成熟を経ないまま衰退化に向かい始めた奇妙な先進国なのである。長らくこの国を眺めてきた私も、韓国社会の閉塞感がこれほどまでに高まった時期を他に知らない。国民の政治的凝集力を強めて辛くも社会の崩落を免れるには、無謀と知りつつも反日運動というポピュリズムに努めるより他に選択肢はないのであろう。
 「明治日本の産業革命遺産」の登録に対するいかにも度量を欠いた韓国政府の反対などには、日本人はもう嫌悪感しかない。韓国の反日は社会に深く潜む病理的閉塞の表れなのである。(わたなべ としお)

安保法案審議 自衛官のリスクを克服したい(読売:社説)


安全保障関連法案が衆院で審議入りした。
 日本と世界の平和と安全を確保するため、自衛隊の役割を拡大する、極めて重要な法案だ。
 安倍首相は、集団的自衛権の行使の限定容認について、「従来の憲法解釈との論理的整合性と法的安定性に十分留意した。解釈改憲、立憲主義の逸脱という批判は全く当たらない」と強調した。
 政府・与党は、建設的な議論を通じて、法案の意義と必要性を積極的に発信し、国民の理解を広げる努力を尽くすべきだ。専門的な内容だけに、丁寧で分かりやすい説明を心がけてもらいたい。
 民主党の枝野幹事長は、他国領域での集団的自衛権の行使に関する統一見解を示すよう求めた。
 「一般に、武力行使を目的として海外の領土に入ることは許されない」との過去の首相答弁と、新3要件に合致すれば他国領域での行使も可能とする中谷防衛相らの発言の違いを追及したものだ。
 首相は、「海外派兵は一般に憲法上許されない」としつつ、「受動的、限定的な行為」である機雷掃海は他国領域でも新3要件を満たす場合があり得ると答えた。
 集団的自衛権の行使は、あくまで正当防衛的な行為だ。他国領域での行使を法的に可能にすることに問題はない。敷設された当事国が日本に期待するような機雷掃海を、他国への侵略的な海外派兵と区別するのも合理的である。
 無論、これは法律上の整理だ。実際に掃海を実施するかどうかは機雷の敷設状況などを踏まえ、総合的に判断する必要がある。
 自衛隊の他国軍に対する後方支援の活動範囲の拡大に関して、枝野氏は、「自衛官のリスク」が高まるはずだ、と主張した。
 維新の党の太田和美氏も、「自衛官の活動地域が戦闘地域に近づくことで、戦闘に巻き込まれる恐れも格段に高まる」と述べた。
 中谷防衛相は、「自衛隊はこれまでも任務を拡大し、厳しい訓練を重ね、リスクを極小化してきた。今回の法改正でも、リスクをゼロにはできないが、与えられた任務を着実に果たす」と反論した。
 国際平和協力活動に完全に安全な活動はあり得ない。だからこそ、組織的な訓練を受け、武器を使える自衛隊を派遣するのである。危険な任務は一切引き受けないのでは他国の信頼を得られまい。
 現地情勢を慎重に調査し、機動的に対策を取るなど、部隊の安全確保に万全を期しながら、国際社会の安定のための一翼を担う。それが日本が取るべき道だろう。

「他国で戦わず」首相発言焦点 「法案にない」野党追及(東京新聞)


 二十六日の衆院本会議で審議入りする安全保障関連法案は、「他国の領土、領海、領空で戦闘行為を行わない」とした安倍晋三首相の発言が焦点となる。首相は戦時の機雷掃海はあくまで例外で、これを除くと他国の領域で武力行使することはないと受け取られる発言を繰り返す。しかし、野党側は法案にそのようなことは明記されておらず、他国での武力行使の例外が広がっていく可能性がある、と反論している。 (金杉貴雄)
 野党側が疑問視するのは、他国での武力行使の範囲が不明確な点だ。
 安倍政権は他国を武力で守る集団的自衛権の行使を認める条件として、武力行使の新三要件を閣議決定した。(1)日本の存立と国民の生命、権利に明白な危険がある(2)他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる-との内容で、安保法案にも盛り込まれた。
 首相は二十日の党首討論で「『一般に』海外派兵は認められていない。他国領域で戦闘行為を行うことを目的に武力行使しない」と明言した。その理由として、新三要件に定められた「必要最小限度」を超えると説明した。中東・ホルムズ海峡を想定した戦時の機雷掃海は「一般に、の外だ」として認める考えを示した。
 しかし、新三要件にも法案にも「他国領域での武力行使はしない」と明記されていない。民主党の岡田克也代表が党首討論で「法文のどこを見てもそんなことは書いていない。間違っている」と反論したのはそのためだ。
 しかも、菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十五日、「新三要件に当たれば、他国での戦闘も、敵基地への攻撃もあり得る」と明言した。中谷元・防衛相も同様の発言を繰り返していて、首相の発言と食い違っている。
 もう一つの疑問は日本の直接の武力行使ではないが、他国軍の戦闘支援を大幅に拡大することで事実上、他国での戦闘参加と同じことになるのではないか、ということだ。
 自衛隊は周辺事態法を改正する「重要影響事態安全確保法案」と新法「国際平和支援法案」であらゆる国の領土を含む世界中で他国軍の戦闘を支援できるようになる。
 さらに自衛隊が活動できる地域を従来の「非戦闘地域」から「現に戦闘を行っている現場以外」にまで拡大し、自衛隊が戦闘現場になり得る場所でも活動できるようにする。弾薬など人を殺傷することにつながる物資も提供、輸送する。後方支援の内容をここまで拡大すれば、他国での戦闘参加になるのでは、との指摘が野党側から出ている。

仏軍艦輸入断念=代替艦を独自開発へ-ロシア(時事N)


 【モスクワ時事】タス通信は26日、ロシアがフランスからのミストラル級強襲揚陸艦2隻の輸入を最終的に断念したと伝えた。ロシアの軍需産業幹部によると、代替のヘリコプター搭載艦を独自開発するという。強襲揚陸艦は、フランスがウクライナ危機をめぐる制裁の一環で輸出を凍結していた。
 強襲揚陸艦のうち1隻は極東ウラジオストクへの配置が想定され、日本を含む東アジアの安全保障環境に影響を与えるとの見方も出ていた。

安保法制の「大業」を成就させよ 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛(産経:正論)


≪胸突き八丁迎えた法整備≫
 当時、私は東大大学院で国際関係論を専攻していました。岸信介政権はアイゼンハワー大統領との間で結んだ日米安全保障条約の国会通過を目指し、悪戦苦闘中。首相官邸も国会議事堂も連日「安保ハンターイ」を叫ぶ抗議デモに十重二十重と取り囲まれます。
 安保賛成派でも反対派でもなかった私はそれでも気がかりだったので、地下鉄で官邸前に行き、形勢視察を試みました。その翌日の夜、東大女子学生の樺美智子さんがデモ隊と警察の衝突の中で死亡する悲劇が起きたのです。ショッキングでした。
 その頃、岸首相の孫、安倍晋三氏は祖父の住む渋谷区南平台の近くで暮らしていました。ここもくだんの「安保ハンターイ」のシュプレヒコールに取り囲まれ、家人をうんざりさせていました。ただ当時6歳の晋三坊やはその意味が分からず「アンポ、ハンターイ」を連呼、両親を苦笑させます。そして祖父、信介に「アンポって、なあに」と聞く始末。安倍首相は平成18年刊の「美しい国へ」(文春新書)で往時、つまり1960年をそう回顧しています。
 それから55年後の今日、安倍政権は集団的自衛権の限定的行使を中心とする、新しい安全保障関連法制の最後の胸突き八丁に差し掛かっていると言えましょう。それはひどく骨の折れる作業です。
 つい先日、そのほぼ全容が明らかになりました。私は第1次、第2次の「安保法制懇」のメンバーだったため、ごく最近、官邸から「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案要綱」なる長い文章を受け取りました。全体で147ページ、長文であるうえ、すこぶる重いのです。

 ≪有志連合への参加に紛糾も≫
 頭の痛さを覚えながら読み進めてみたものの、はかどりません。さらにもう一つ別の文書も同封されていました。「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案要綱」がそれです。これが42ページ。
 法律にかかわる文書なのでスラスラとは読めません。後者の「要綱」の冒頭にはこうあります。「第一 目的 この法律は、国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの(以下「国際平和共同対処事態」という。)に際し、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行うことにより、国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とすること」。砂を噛(か)む思いなしには読めない代物です。
 この2本の法律案のうち、私見では後者、つまり国際平和支援法の方が国会で紛糾を呼びやすいでしょう。なぜなら、その国際連携平和安全活動、換言すると、「非国連統括型の国際的な平和協力活動」(傍点引用者)の法制化には民主党をはじめとして多くの野党が難色を示すからです。有志連合型の行動への参加は我が国では嫌われてきました。国会の外でもそうです。各種の世論調査の結果が何よりもそれを物語っています。

 ≪今こそ冷静な議論が必要≫
 安倍政権に対する世論の支持は調査主体により多少のバラツキはあるものの、総じて高止まっているといえるでしょう。が、それに比べると、国連が直接に関与しない国際的平和協力活動への自衛隊参加には国民の抵抗が大きいのです。この点で世論の賛成を問うと、政府は敗れます。国連憲章が自明視する個別的、集団的自衛権の限定的行使についてやっと賛成多数の見通しがたっているのとは、大違いなのです。
 安倍首相の言う「積極的平和主義」を一般庶民は「おせっかい介入主義」だと曲解し、背を向けたがります。そうでなくとも、かつて非武装中立を唱えた日本社会党の末裔(まつえい)たる某党は政府提出法案を「戦争法案」だと罵(ののし)っているではありませんか。この種の口吻(こうふん)は俗耳に入りやすいのです。
 安倍首相は会期を多少延長してでも今国会で新しい安全保障法制を成立させたいと明言しています。いまの与野党の勢力比に照らせば、それは可能でしょう。ただし、問題は世論の動向です。その特徴はムラ気さにあります。一部の「進歩的」新聞は、いっそう煽動(せんどう)色を強めている気配です。本当は今秋にかけて、いまこそ冷静な議論が必要だというのに-。
 1960年、反安保デモに苦しんだ岸首相は、マスコミの取材に対して「キミ、後楽園球場は熱心な野球ファンで一杯だよ」と語ったと伝えられています。そして世論争奪戦に立ち向かいました。60年安保改定は時代の大きな転換点でした。戦後日本に、吉田茂政権によるサンフランシスコ平和条約及び旧日米安保条約の締結と岸首相による現行安保条約の調印という2つの優れた判断がありました。いま安倍政権は第3の大業成就の直前です。健闘を祈ります。(させ まさもり)

首相「木を見て森を見てない」 枝野氏「支離滅裂だ」 集団的自衛権の地理的範囲「他国領域入る? 入らない?」で激論(産経N)


産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、安全保障法制に関する国民の理解が深まっていないことが浮き彫りになった。“わかりにくさ”を端的に示すのが、「集団的自衛権の行使で、自衛隊は他国の領土に入れるのか、入れないのか」という、これまでにも繰り返されてきた論争だ。民主党は政府答弁に矛盾があると主張して、26日からの関連法案の国会審議で追及する構え。政府側は矛盾がないことを国民に丁寧に説明する必要がありそうだ。(千葉倫之)
 「木を見て森を見ない議論が多い」。安倍晋三首相は25日の自民党役員会で、安保関連法案への野党からの批判にこう反論した。
 今回の論争の発端は20日の党首討論だ。民主党の岡田克也代表が、集団的自衛権を行使する際に自衛隊が他国の領域(領土、領海、領空)に入る可能性を質したのに対し、首相は「一般に海外派兵は許されない。武力の行使を目的に、あるいは戦闘行為を目的に海外の領土や領海に入ることは許されない。機雷の除去は『一般に』ということの外だ」と答弁した。
 この首相発言を、岡田氏は「他国領域での武力行使は一切行わない」との意味だと解釈。“言質”を取ったとばかりに「明確な答弁をいただいた」と討論を締めくくった。
 一方、中谷元(げん)防衛相や菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官らは他国領域での武力行使について「新3要件に合致すれば、憲法上は許されないわけではない」と記者会見などで述べ、他国領域での武力行使もあり得ると説明。機雷掃海に加え、他国領域内のミサイル発射元をたたく「敵基地攻撃」も、新3要件に合致すれば可能だとした。
 武力行使のため、武装した部隊を他国領域に派遣する海外派兵が「一般に許されない」という見解と、他国領域での武力行使は「新3要件を満たせば許されないわけではない」との見解は一見、矛盾しているようにも見える。民主党の枝野幸男幹事長は25日、記者団に、「首相と防衛相の言っていることが支離滅裂だ。もう1回頭を冷やして勉強し直し、整理し直す必要がある」と主張した。
 しかし、この2見解は従来の憲法解釈でも両立していた理論だ。「一般にできない」は例外を想定しており、「できる場合がある」とは矛盾しない。「表から言うか、裏から言うかの違い」(礒崎陽輔首相補佐官)というわけだ。
 当然、民主党もその理屈は承知している。しかし「首相は『海外派兵は一般に禁止される』とは言ったが、『他国の領土、領海、領空での武力行使は一般的に認められていない』とは言っていない」(岡田氏)として、あくまで矛盾はあるとの立場だ。
 与野党は25日の衆院平和安全法制特別委の理事懇談会で、27、28両日に首相出席の審議を行うことで合意。いよいよ実質的な国会審議が始まるが、こうした学術論的な争いが、国民の理解を妨げてしまう可能性は否めない。

力による現状変更に反対=斉藤空幕長がベトナム訪問(時事N)


【ハノイ時事】航空自衛隊の斉藤治和航空幕僚長は25日、ベトナムのハノイでド・バー・ティ国防次官兼人民軍総参謀長らと会談した。双方は中国の東シナ海での防空識別圏設定、南シナ海での埋め立て作業などを念頭に、力による現状変更に反対するとの認識で一致した。
 会談後、斉藤氏は記者団に対し、「東・南シナ海における航行の自由は極めて重要だ。偶発的な事態は絶対に防がなければいけない」と述べ、ベトナムとの協力を進める考えを強調した。 
 斉藤氏はフィリピンも訪問し、28日にガズミン国防相と会談する。南シナ海の島々の領有権をめぐり中国と対立する両国の軍幹部と会談することで、中国をけん制する狙いがあるとみられる。

イラク政府軍 各地でISと激しい戦闘(NHK)



イラク政府軍は、過激派組織IS=イスラミックステートに制圧された西部の主要都市ラマディの奪還に向け、シーア派の民兵組織などからなる部隊を前進させているほか、北部のISの拠点に対しても新たな攻撃を仕掛けて、各地で激しい戦闘が続いています。
イラク西部アンバール県の当局者によりますと、政府軍は、過激派組織ISに制圧されたアンバール県の中心都市ラマディの奪還に向け、イスラム教シーア派の民兵組織などからなる部隊をラマディの東およそ10キロほどの町まで前進させ、25日にはISが補給路に使っていた幹線道路を封鎖したということです。
また、政府軍は北部のISの拠点ベイジに対しても、アメリカ軍などによる空爆の支援を受けながら新たな攻撃を仕掛けています。
これに対しIS側は、爆弾を積んだ車で政府軍に突っ込む自爆攻撃を繰り返すなどして抵抗し、各地で激しい戦闘が続いています。
一方、隣国のシリアでは25日、世界遺産の巨大遺跡があるパルミラを制圧したISに対して政府軍が市街地に激しい空爆を加え、国営メディアによりますと、ISの複数の拠点を破壊し多数の戦闘員を殺害したということです。
ISの戦闘員は、パルミラの巨大遺跡の辺りにも拠点を築いているとみられていて、戦闘の激化によって中東有数の貴重な文化財に被害が及ぶことが懸念されています。
.
アメリカも全面支援
アメリカのホワイトハウスによりますと、バイデン副大統領は25日、イラクのアバディ首相と電話で会談し、過激派組織IS=イスラミックステートと戦うイラク政府軍をたたえました。そのうえでバイデン副大統領は、西部の主要都市ラマディをISから奪還するため、イラク政府軍に対する訓練の実施や武器の供与を加速させるなど全面的に支援することを約束しました。
ラマディがISに制圧されたことを巡っては、アメリカのカーター国防長官が「イラク政府軍に戦う意志があるかどうかが問題だ」と懸念を示し、これにアバディ首相が反論したことから、両政府の足並みの乱れが浮き彫りになっていました。
このためバイデン副大統領としては、アバディ首相との電話会談で関係修復を図るねらいもあるものとみられます。

安保法案:海外派兵・リスクが焦点 26日審議入り(毎日N)


安全保障関連法案は26日の衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りする。法案は、政府の憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認するほか、米軍や他国軍への後方支援活動を世界規模に広げるなど、自衛隊の活動を大幅に拡大する内容。政府は7月末の成立を目指すが、野党は集団的自衛権の行使の範囲や、活動拡大に伴う自衛官のリスク増大の可能性を追及する方針だ。
 安保法案は、集団的自衛権の行使を容認する自衛隊法改正案など10本の改正法案をまとめた「平和安全法制整備法案」と、国際紛争に対処する他国軍への後方支援を定めた新法「国際平和支援法案」の2本。
 与野党は25日、法案審議を行う特別委員会を26日の衆院本会議後に開催し、趣旨説明を行うことで合意。27、28両日と6月1日に安倍晋三首相と関係閣僚が出席する総括質疑を行うほか、今月29日に関係閣僚が出席する一般質疑を行うことを決めた。
 安保法案では、自衛隊は戦争を行っている米軍など他国軍への後方支援を「現に戦闘行為を行っている現場」以外では行えるようになり、活動範囲は従来より戦闘の最前線に近づく可能性がある。
 首相は20日の党首討論で、リスクが高まる可能性について「リスクとは関わりがない」と述べるにとどめたが、中谷元防衛相は22日に「隊員のリスクが増大することはない」と明言。野党は政府内の発言が食い違っているとして追及する方針だ。
 首相は25日の自民党役員会で「自衛隊員のリスクが高まるといった『木を見て森を見ない』議論が多い。切れ目のない法整備で抑止力を高め、国民のリスクを低くするための法整備だ」と野党をけん制したが、政府内にも「当然リスクは高まる」との見方がある。
 集団的自衛権では、首相は党首討論で「一般に海外派兵は認められない。外国の領土に上陸して戦闘行為を目的とした武力行使、大規模な空爆などはしない」と語った。だが、中東・ホルムズ海峡などでの機雷掃海は例外的に可能との認識を示しており、機雷掃海をなぜ例外とできるのか、論争が繰り広げられそうだ。
 敵基地攻撃についても議論になりそうだ。中谷氏は24日のNHK番組で、北朝鮮が米国への弾道ミサイル発射を準備している段階でその基地を攻撃できるかについて「新3要件に合致すれば他国の中で(武力を)行使しうる」と説明。菅義偉官房長官も25日の記者会見で「他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法律的には自衛の範囲に含まれ可能だ」と述べ、集団的自衛権の行使の場合でも可能との認識を示した。
 敵基地攻撃は1956年に鳩山一郎内閣が可能とする見解を示した。その後の政権も、敵基地攻撃は個別的自衛権の範囲内で「法的に可能」としてきたが、集団的自衛権の行使でどこまで可能なのかも議論になるとみられる。
 26日の衆院本会議では、自民党の稲田朋美政調会長、民主党の枝野幸男幹事長、共産党の志位和夫委員長の党幹部が質問に立つほか、維新、公明両党も質問する。【飼手勇介、水脇友輔】

 ◇安全保障関連法案と主な内容

<新法>

・国際平和支援法案

  外国軍への後方支援(国際社会の平和と安全)

<現行10法の改正>

・武力攻撃事態法改正案

  集団的自衛権の限定的行使(存立危機事態)

・自衛隊法改正案

  武力攻撃がなくても米艦などを防護

  在外邦人の救出

・重要影響事態法案(周辺事態法を改正)

  外国軍への後方支援(日本の平和と安全)

・国連平和維持活動(PKO)協力法改正案

  国連主導以外の活動にも参加

  武器使用基準を拡大

・船舶検査活動法改正案

  大量破壊兵器運搬船などを検査対象に追加

・国家安全保障会議(NSC)設置法改正案

  今回の法改正の内容を審議事項に追加


→以下の法案にも、集団的自衛権行使に関する規定を追加

・米軍行動関連措置法改正案

・特定公共施設利用法改正案

・海上輸送規制法改正案

・捕虜取り扱い法改正案

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