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100万人割った出生数の衝撃 憲法第24条に家族保護規定を導入せよ 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫(産経:正論)


≪次世代再生産が難しくなる≫
 厚生労働省が昨年12月に発表した人口動態統計年間推計によれば、2016年の出生数は98万1千人で、1947年の統計開始以来初の100万人割れとなった。決定的要因は未婚率の上昇であり、出生率低下の8割が未婚化に起因する。同推計によれば2016年の婚姻率(人口総数に対する婚姻件数の比率、千人当たり)は過去最低の5・0となった。
 2010年の国勢調査によれば、同年の生涯未婚率(50歳時の未婚率)は男性20・1%、女性10・6%である。1980年の2・6%、4・5%に比べて劇的な増加である。厚労省の別の統計によれば2015年の同比率は男性22・8%、女性13・9%である。高い生涯未婚率は、日本の社会において、次世代再生産のプロセスが毀損(きそん)されつつあることを意味する。
 日本の人口ピラミッド図には2つの出っ張りがある。1つは1947~49年生まれの団塊世代であり、もう1つが71~74年生まれの団塊ジュニア世代である。団塊ジュニアが生む子供の増加により2000年あたりで第3次ベビーブームが到来するはずであり、旧厚生省もそう推計していたのだが、そうはならなかった。未婚率の顕著な上昇のゆえであった。

≪仕事と育児支援では解決しない≫
 未婚率はなぜ予測を裏切る速度で上昇したのか。一つには、この間に進められた新自由主義的市場改革により終身雇用・年功序列の慣行が崩れ始め、バブル崩壊も加わって雇用環境が極度に不安定化したことがあげられる。非正規雇用の増加はその象徴である。もう一つには、男女雇用機会均等法などが女性の労働市場参入を促進し、非婚、晩婚、無子化をもたらした。新自由主義的な市場改革は、少子化の定着により日本の人口構造に手ひどい負の遺産を残してしまったのである。
 政府とてこの歴史的失敗に気づいていないわけではない。子育て支援とワークライフバランスの適正化という、つまりは仕事と育児の両立支援策を提唱してすでに久しい。しかしこの間、少子化は深刻の度を増す一方であった。婚姻率の上昇、未婚率の減少により家族の再生をいかに図るか、この的に矢を射ていないのである。
 結婚、出産、育児などは本質的に「個の自由」に関わる問題であり、これへの国家の介入は許されないかのようなセンチメントに呪縛されて、政府も「家族政策」には手が出せなかったということなのであろう。
 両立支援策では少子化は解消できない。少子化の原因が婚姻率の減少、未婚率の上昇だからである。結婚をどう考えているのかを妻に問う厚労省の第5回全国家庭動向調査(2014年)によれば「結婚後は、夫が外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」「子どもが3歳くらいまでは、母親は仕事を持たず育児に専念したほうがよい」のアンケート項目に、それぞれ59・7%、84・6%の専業主婦が同意している。この調査結果は仕事と育児の両立支援よりもっと踏み込んだ「家族政策」の必要性を訴える。

≪「家族の生存権」を保障せよ≫
 この点に関し、明治大学の加藤彰彦教授を座長とする「国土強靱(きょうじん)化×地方創生総合ワーキンググループ」が画期的な提言を試みている。その基礎概念は、社会保障の「世代間格差」ならびに子育てコストの「世代内格差」の2つである。年間200万人出生の分厚い団塊ジュニア世代が高齢者となるのは40年前後である一方、この世代の3割が無子である。未婚率の高い若年現役世代が彼らを養わねばならないコストは耐え難く重い。これが世代間格差である。
 無子の団塊ジュニア高齢者は子育ての費用を一切支払うことなく、有子世代が支払う社会保障費によって支援される「フリーライダー」であり、これが世代内格差である。子供1人を育て上げるのに必要な費用は2千万円から3千万円だといわれる。
 これだけのコストを費やし、なお他人の社会保障費の一部まで負担しなければならないとなれば、結婚に希望をもてず、出産・育児に消極的にならざるをえないのは当然であろう。
 政府は昨年6月の閣議で決定した「ニッポン1億総活躍プラン」において「希望出生率1・8」を標榜(ひょうぼう)した。その実現には第3子以上を希望する夫婦の増加が不可欠である。現状では有配偶者の多くが経済的理由のために第3子以上の希望を果たせないでいるという。彼らに累増的な加算支援を施すことで「多子志向・家族志向」の夫婦を増加させ、同時に低所得者層に対して第1子、第2子への加算給付を行う、というのが提言の骨子である。
 憲法第24条に家族保護規定を導入せよ。さらに憲法第25条の「個人の生存権」を実質的に担保しているものが家族である以上、家族再生産の権利、つまりは「家族の生存権」を保障する旨を書き込むべし、とも提言している。このきわめてまっとうな提言に沿う対応を政府は急がねばなるまい。(拓殖大学学事顧問・渡辺利夫 わたなべとしお)


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独立戦争を戦った残留日本兵 2月28日(産経抄)


天皇、皇后両陛下は、さまざまな事情で海外に出てその地に留(とど)まった日本人と家族に、長年心を寄せられてきた。昨年1月にフィリピンを公式訪問した際も、陛下の強い希望で、日系人と懇談されている。両陛下にとって初めてとなる今回のベトナム訪問では、「残留元日本兵」の家族と面会される。
 ▼日本軍がフランスの植民地だったベトナムに進駐したのは、1940年である。終戦時約8万人いた軍人の大半が撤収するなか、約600人が留まった。ホー・チ・ミンらが率いる「ベトナム独立同盟」(ベトミン)に参加するためだ。再植民地化をもくろむフランスとの戦いで、約半数が亡くなったとされる。
 ▼「新ベトナム人」と呼ばれた旧日本兵は、各地の士官学校の教官となって戦争の知識を教えた。54年にベトナムがフランスを破った「ディエンビエンフーの戦い」では、司令官の参謀の半分を日本兵が占めていた。
 ▼昨日の社会面で紹介されていた元日本兵はその後、現地で結婚した妻を伴って帰国を果たした。ただ、家族同伴が認められず、帰国した日本兵とベトナム人の妻や子供が離ればなれになるケースも多かった。ベトナム戦争で米国側を支持した日本への反感が強まると、残された家族は差別や嫌がらせに苦しんだ。
 ▼日本との関係が改善されるのは、90年代に入ってからだ。今やベトナムにとって最大の援助国であり、両国は「戦略的パートナーシップ」を謳(うた)う間柄である。日本語学習熱も高まり、日本に留学する学生は、中国に次いで2番目に多いそうだ。
 ▼新ベトナム人が果たした功績も、正当に評価されるようになった。両陛下は、家族の苦難の歴史を熟知されている。どんなねぎらいの言葉をかけられるのだろう。

北朝鮮、保衛省幹部を粛清か 省内の正日氏銅像も撤去(朝日N)


 韓国・国家情報院は27日の国会情報委員会で、最近解任されたという北朝鮮の金元弘(キムウォノン)前国家保衛相が1月末まで調査を受けた後、軟禁状態にあるとした。国家保衛省の次官級幹部5人以上が高射砲で処刑され、同省にあった金正日(キムジョンイル)総書記の銅像も撤去されたという。

 保衛省が党幹部らを拷問し、虚偽の報告をしたことで金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が激怒したという。銅像撤去は、住民の保衛省に対する恨みの声に配慮したという。北朝鮮内部では最近、体制を中傷する落書きが職場や学校、軍部隊で見つかったり、壁画や銅像などが傷つけられたりしている。
 また、北朝鮮北東部・豊渓里(プンゲリ)の核実験場では、過去実験したことがない南側の3番坑道がいつでも実験可能な状態になっているという。2~5回目の実験があった北側の2番坑道でも維持管理活動が続いているという。寧辺(ヨンビョン)の核施設では昨年、兵器用プルトニウム10キロを生産。年末から再び、使用済み燃料棒の再処理が可能になるとした。

米、国防予算10%増へ…他省庁予算削減し確保(読売N)


【ワシントン=小川聡】米ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)高官は27日、電話で記者会見し、トランプ政権として国防予算を2018会計年度(17年10月~18年9月)に10%と大幅に増額する方針を明らかにした。

 金額にして約540億ドル(約6兆1000億円)の増額となる。
 同高官によると、増額分の財源は、他省庁の事業予算を削減することによって確保するという。
 米国防総省が昨年2月に公表した17会計年度(16年10月~17年9月)の国防予算案では、人件費や調達費などの基本予算は5239億ドル(約59兆2000億円)。別枠の国外作戦費用は588億ドル(約6兆6400億円)だった。

谷内国家安全保障局長 米へ出発 大統領補佐官と意見交換(NHK)


政府の国家安全保障局の谷内局長は、北朝鮮による核や弾道ミサイルの開発など地域情勢について、アメリカの安全保障担当の大統領補佐官に新たに起用されたマクマスター氏と意見を交わすため、27日午前、ワシントンに向けて出発しました。

政府の国家安全保障局の谷内局長は先週、アメリカの安全保障担当の大統領補佐官に新たに起用されたマクマスター氏と電話で会談し、谷内氏が早期にアメリカを訪れ会談することで一致しました。
これを受けて、谷内局長は27日午前11時すぎ、成田空港からアメリカのワシントンに向けて出発しました。谷内局長は来月1日までの日程でマクマスター氏などと会談し、北朝鮮による核や弾道ミサイルの開発や、海洋進出を強める中国の東シナ海や南シナ海での動向など地域情勢について意見を交わすことにしています。
これに関連し菅官房長官は午前の記者会見で、「地域情勢を議論するとともに、先般の日米首脳会談の結果をフォローアップする。そうした意見交換を行う予定だ」と述べました。

人工島のミサイル 「中国の海」にはさせない(産経:主張)


 中国のあくなき海洋覇権の追求を、抑えていけるか。そこにアジア太平洋地域と世界の平和と繁栄がかかっている。
 南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島の3つの人工島で、中国が長距離地対空ミサイル用とみられる格納施設を建設している。その数はおよそ20カ所に達し、完成間近だという。
 そもそも人工島の造成自体が国際法違反である。中国は撤収すべきであり、地対空ミサイル配備などは到底認められない。
 中国外務省は「自らの領土に必要な施設を建設している」と強弁しているが、あきれてはいられない。ミサイル配備が強行されれば、人工島にある機関砲どころではなく、南シナ海上空の多くの航空機に脅威が及ぶからである。
 フィリピンのヤサイ外相が「挑発的であり、抗議も辞さない」と批判したのは当然である。
 中国は今年1月、中国南部や南シナ海を管轄する南部戦区の司令官に海軍出身の中将を充てた。5つしかない戦区のトップに陸軍以外の将官を起用するのは異例だ。南シナ海の制覇にこだわっていることがうかがえる。
 昨年2、3月には、南シナ海の西沙(パラセル)諸島で、地対空ミサイルや対艦巡航ミサイルを配備したことも明らかになった。
米海軍は南シナ海で今月18日から、空母カール・ビンソンを中心とする艦隊(第1空母打撃群)による定期哨戒(パトロール)を始めた。航行の自由を守る上で適切な行動である。
 中国は主権侵害だと反発したが、「力による現状変更」をはかっているのは中国である。それに最も効果的に圧力をかけられるのは、米軍の存在である。
 安倍晋三首相とトランプ米大統領は先の首脳会談で、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の開催で合意した。
 日米の役割分担の見直しでは、南シナ海での新たな連携を打ち出す好機とすべきである。海上自衛隊の艦船、航空機による哨戒活動の将来的な実施は、検討に値するものだ。
 トランプ政権はアジア太平洋での米軍の前方展開を維持する方針だ。それには日本など地域の同盟国、友好国の協力が不可欠だ。
 南シナ海での緊密な日米協力が、東シナ海での尖閣諸島防衛に資することも言うまでもない。

五輪サイバー攻撃対処で司令塔創設 6月にも強化策(東京新聞)


 政府は二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに備え、インターネットの安全確保を図る「サイバーセキュリティ戦略」を見直す方針を固めた。サイバー攻撃で大会が妨害を受けた際の司令塔「オリパラ対処調整センター」(仮称)を政府内に創設するのが柱。内閣を中心に官民による体制を整え、複雑で高度化する脅威に対抗する狙い。六月をめどに決定する。関係者が二十五日明らかにした。
 現行の戦略は一五年九月に閣議決定された。その後、サイバー攻撃は国境を越え同時多発的に起こるなど手法が急速に高度化。鉄道や電力など重要インフラをはじめ、社会のIT化も進み、リスクが広がった。
 新たな対策では、五輪に合わせオリパラ対処調整センターを設け、インフラ事業者、関係府省庁を統括し、大会組織委員会とも緊密に連携する。インターネット上に「バーチャルサイバー脅威情報集約センター」(仮称)も常時構築。警戒監視能力を高め、攻撃された場合に被害を迅速に食い止める総合的な体制を整える。
 一二年のロンドン五輪の際には二億回超のサイバー攻撃を受けた経緯も踏まえた。政府は、菅義偉官房長官が本部長を務めるサイバーに関する戦略本部会合を六月にも開き、戦略に新たな対策を盛り込むことを決める。

中国初の国産空母、進水へ 2020年までに就役か(朝日N)


 中国遼寧省大連で建造が進んでいる中国初の国産空母の最新の様子が、朝日新聞の入手した写真から明らかになった。進水に向けた準備が進んでいるとされ、2020年までに南シナ海を管轄する南海艦隊に配備されるとの情報もある。

 この空母は、旧ソ連の空母を改修して配備された訓練用の「遼寧」に続くもので、国産としては初。今月中旬に撮影された写真では、先端がそり上がった「スキージャンプ方式」の飛行甲板や艦橋など、排水量約5万トンとされる艦体のほぼ全容が確認できる。
 共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」(英文電子版)は21日、軍事専門家らの話として、レーダーや防空システムの取り付けや試験航海を行う必要があると指摘。「20年までに就役する」との見方を示した。(大連=平賀拓哉)

発足1カ月の米政権(朝雲:時の焦点)


 過激な言動や異色の経歴もあって国際社会から警戒心を持って注視されるトランプ米大統領だが、就任から1カ月がすぎ、この間の英国、日本を含む首脳会談での対応やマティス国防長官の就任早々の日韓歴訪、ティラーソン国務長官ら主要閣僚の指名公聴会での証言から、型破りが売り物の新政権の特徴や内外政策の方向性が徐々に明らかになってきた。
 端的に言えば、雇用拡大を狙った経済・通商政策、主要公約の移民対策など大統領のこだわりが強い分野では自説を押し通す一方で、日本など同盟国との関係や対中国、対ロシアといった外交・安全保障分野では専門家の助言を取り入れ、柔軟かつ堅実に対応しようという姿勢がうかがえることだ。懸念はイラン核問題への対応などを含む中東政策の展開だが、現実主義的な国務、国防両長官らの影響力に期待したい。
 こうした中、側近の一人だったフリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が昨年末の駐米ロシア大使との電話会談をめぐる虚偽発言が問題視され、更迭に追い込まれた。この一件に限らず、公職経験がないトランプ氏が率いるホワイトハウスでは側近らの主導権争いに絡む不協和音も聞こえ始めている。
 トランプ氏は権力監視役を任じるメディアを「敵」と呼び、特に有力紙など既存メディアと厳しい対立関係にあるが、報道対応の責任者のスパイサー大統領報道官、議会関係で実務を取り仕切るプリーバス大統領首席補佐官ら一部側近にも不満を持っているとの情報がある。だとすれば、フリン氏解任劇は今後予想される米政権内の混乱拡大の序曲にすぎないのかもしれない。
 イスラム圏7カ国からの入国禁止令などで米社会と世界の分断に拍車をかけたトランプ政権の先行きで憂慮されるのが、大統領選勝利の功労者でもある側近のバノン首席戦略官兼上級顧問の存在だ。ナチス台頭の歴史があるドイツの有力誌シュピーゲルは、「バノン首席戦略官の野望」と題した論考で、ポピュリスト(大衆迎合主義者)のバノン氏は現在の米国で最も危険な人物だとやり玉に挙げている。同誌記事は特に、大統領の後ろで糸を引くバノン氏が本来ならメンバーにならないはずの国家安全保障会議(NSC)の一員となる一方、機密情報を統括する国家情報長官と軍制服組トップの統合参謀本部議長の2人の専門家をメンバーから外したことについて、「狂気の沙汰」という元米高官の言葉を引用して批判し、警鐘を鳴らした。
 フリン氏辞任問題では、共和党からの支持を受けるペンス副大統領やマティス国防長官らの党主流派と、トランプ氏の重用組であるバノン首席戦略官やミラー大統領補佐官(政策担当)ら側近グループの対立の構図が浮き彫りになった。新政権指導部から漏れてくる不協和音がさらに高まるのか、それとも収まっていくのか。米国内外で有事の危機対応が待ち受けるトランプ政権の今後を見ていく上での大きな注目点の一つとなろう。
伊藤 努(外交評論家)

ジョンナム氏 大量のVX使用 “あらゆる臓器に影響”(NHK)


北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム氏(金正男)が殺害された事件で、司法解剖を行ったマレーシアの保健省は、犯行に猛毒のVXが大量に使われ、短時間で心臓や肺などあらゆる臓器に影響を及ぼしたという見方を示しました。

キム・ジョンナム氏は今月13日、クアラルンプールの国際空港で女2人に襲われたあと、めまいなどを訴え、病院に搬送される途中で死亡し、マレーシアの警察は猛毒のVXで殺害されたと断定しています。
マレーシアのスブラマニアム保健相は26日、記者会見を開き、遺体を司法解剖した結果から心臓や肺などあらゆる臓器が影響を受けており、大量のVXが使われたとの見方を示しました。
そのうえで、「襲撃を受けてからおよそ15分から20分の間に死亡したと思われる」と述べ、短時間で中毒症状に陥り、死亡したと見られると説明しました。
一方、マレーシアの警察などによりますと、実行犯として拘束されたインドネシア人とベトナム人の2人の女は犯行の後、おう吐や頭痛などの体調不良を訴えていたということです。
警察は、今週中にも保健省から司法解剖の結果について報告を受け、猛毒のVXが使われた時の状況について、さらに詳しく調べることにしています。

北とASEAN 友好から圧力へ転換せよ(産経:主張)


北朝鮮の金正男氏暗殺事件は、犯行グループを組織した国家犯罪としての態様が、日ごとに明らかになっている。
 猛毒のVXが使われたことも判明した。化学兵器禁止条約の対象である神経剤の使用は、国家テロの証左ともいえよう。入手経路を追及し、凶行の全容解明につなげることが重要である。
 一義的には、北朝鮮の妨害を受けながら捜査活動を展開するマレーシア警察当局に、大きな期待がかかる状況に変わりない。
 その活動を日本や周辺諸国が強く支援したい。とくに東南アジア諸国連合(ASEAN)の動向はカギを握るものとなろう。
 マレーシアの警察当局は、すでに在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官らを重要参考人に挙げ、北朝鮮国籍の男1人を逮捕した。平壌に逃げたとみられる4人の男の身柄引き渡しも求めている。
 北朝鮮は捜査への妨害、批判を繰り返し、北朝鮮が暗殺に関与したとの見方について韓国の「陰謀」だと非難している。
 こうした主張に対し、ナジブ首相が「無礼」と不快感を表明したのはもっともである。
 クアラルンプールの空港で、VXを使い、正男氏を襲撃した実行犯の2人の女は、インドネシア国籍とベトナム国籍だった。
 北朝鮮とビザ(査証)なし渡航が可能なマレーシアはじめ、ASEAN10カ国は北朝鮮と国交があり、友好な関係を維持してきた。このうち3カ国が事件に巻き込まれたのは、偶然ではあるまい。
 北朝鮮はASEAN諸国の国境管理の甘さを突き、外貨調達のために合法、非合法の経済活動をしている。工作活動の拠点も置いているようだ。国連安全保障理事会の対北制裁の「抜け穴」になっていることもかねて指摘される。
 21日のASEAN外相会議では、正男氏暗殺事件への懸念が表明されたと、フィリピンのヤサイ外相が明らかにした。
 暗殺事件を契機に、北朝鮮の異常性、危険性についてASEANが認識を共有すべきだ。同時に、核・ミサイル開発の阻止や拉致問題解決に向けて積極的な役割を果たすことを求めたい。
 日米韓や中国などと北朝鮮が顔をそろえる数少ない安保対話の場として、ASEAN地域フォーラム(ARF)もある。北朝鮮への国際圧力を強める場としたい。

「北朝鮮 化学兵器5000トン保有」 正男氏殺害で韓国側が非難(東京新聞)


 【ソウル=島崎諭生】北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏が殺害された事件で、マレーシア警察が正男氏の遺体から猛毒の神経剤VXを検出したことについて、韓国外務省は二十四日、「化学兵器禁止条約や関連の国際規範に対する露骨な違反であり、国際社会とともに強い対応を取る」と非難するコメントを発表した。
 韓国の国防白書は、北朝鮮がVXを含めた化学兵器を最大で五千トン保有していると推定。北朝鮮が一九八〇年代から化学兵器の製造を開始し、同国北東部の清津(チョンジン)や、北西部の新義州(シンウィジュ)など八カ所に化学兵器の製造工場があると指摘してきた。
 韓国国防研究院は昨年、北朝鮮が保有する神経剤はVXやサリンなど六種類あると発表。窒息剤や催涙剤などを合わせると、化学兵器は二十五種類に上るとしていた。VXをノドンミサイル十基に搭載してソウル中心部で拡散させた場合、約四十三万人が死傷するとの専門家の分析もある。

米、北朝鮮高官のビザ拒否=ミサイル、正男氏暗殺が一因か-報道(時事N)


【ニューヨーク、ワシントン時事】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は24日、米国務省が北朝鮮外務省幹部への査証(ビザ)発給を認めず、ニューヨークで3月初めに計画されていた北朝鮮高官と元米当局者らの協議が流れたと報じた。複数の関係筋の話として、ソウル発で伝えた。

 同紙は、トランプ政権が北朝鮮外務省の崔善姫北米局長のビザ発給を認めなかった理由は不明とする一方で、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験や、金正男氏暗殺事件が米側の態度を硬化させる一因となった可能性を指摘した。
 今回の協議が実現するかどうかは、トランプ政権の対北朝鮮外交を占うものとして注目されていた。トランプ大統領は、北朝鮮による今月12日の弾道ミサイル発射について「非常に憤りを覚える」と非難を強めている。 
 報道によると、崔局長が訪米し、3月1、2両日に国連本部近くのホテルで協議が行われる予定だった。米側からは元当局者2人が出席し、北朝鮮で拘束されている米国人2人の解放を求めるとみられていた。
 関係筋によると、トランプ氏が大統領選に勝利した昨年11月以降、北朝鮮側が複数回にわたり米側に接触していたという。
 ワシントンでは27日、6カ国協議の日米韓3カ国首席代表会合がトランプ政権発足後初めて開かれ、北朝鮮への対処方針について意見を交換する。

日米韓、北朝鮮のテロ支援国家再指定も議論か (日経N)


【ワシントン=吉野直也】日米韓3カ国は27日にワシントンで開く北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の日米韓首席代表会合で、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するかどうかの問題も話し合う見通しだ。北朝鮮が新型弾道ミサイルを発射し、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件に関与しているとの見方が強まっているためだ。
 3カ国の高官の一人は「米国が再指定する将来の可能性は否定しないが、すぐには考えにくい」と指摘した。テロ支援国家は資金や武器の提供などで国際テロ活動を支援しているとみなした国。経済援助の対象から外れ、武器輸出の禁止や、技術・製品の輸出制限を科される。
 北朝鮮は1987年の大韓航空機爆破事件をきっかけに翌88年からテロ支援国家のリストに入った。北朝鮮は窮乏する経済から米国に解除を求め続け、米国は2008年10月に北朝鮮国内の核施設の停止などを理由に解除した。

中国の軍事動向「台湾侵攻の演習も想定」防衛研究所が報告書(NHK)


防衛省のシンクタンク、防衛研究所は、中国の軍事動向に関する報告書をまとめ、中国と台湾の関係について、台湾が自衛に力を注がなくなると、中国の海洋進出などがさらに進み、台湾侵攻を企図した演習の実施も想定されるなどと指摘しています。

防衛研究所は、中国の軍事動向を詳細に分析するため、毎年度、報告書をまとめて公表しています。
平成28年度の報告書では、中国と台湾の関係を初めて取り上げ、「台湾は中国にとって、統一すべき対象であるとともに、アメリカと対じする前線であり続けている。台湾問題をめぐって、米中衝突が起きる可能性は冷戦期から継続している」としています。
そして、「中国は大国化の中で海洋進出が可能となり、非常に強硬な行動を伴うことで、地域の安定に影響を与えている。台湾が自衛に力を注がなくなると、中国の行動がさらに拡張的になる可能性もある」と分析しています。
そのうえで、「台湾は海上交通上の要衝に位置し、東アジアでの地政学的対立が深まる中で、戦略的重要性は上昇している。中国軍の台湾侵攻を企図した演習の実施や武器の増強、サイバー攻撃の強化などは十分に考えられる」と指摘しています。報告書は、防衛研究所のホームページに掲載されています。

尖閣守る計画策定 日米統合作戦で中国の冒険主義を砕け ヴァンダービルト大学名誉教授 ジェームス・E・アワー(産経:正論)


≪安保環境悪化への正当な対応≫
 環太平洋合同演習(リムパック)は、太平洋地域の国々の海軍との演習の機会を最大限にする経済的に効率のよい方法として、米海軍主催で1971年から隔年で実施されてきた。海上自衛隊は今日では定期的に参加しているが、国会議員の一部や文民の官僚、メディアから、リムパックは集団的自衛の形態の一種であるとの非難があったせいで、長い間、参加を阻まれてきた。
 やがて日本も参加が認められるようになったのは、海上自衛隊と米海軍が非常に注意深く理屈を組み立て、自衛隊の艦船や航空機は米国や他の外国の参加者の指揮下に入らず、他国の海軍の近くで特定の敵を想定しない訓練をしているだけである、と強調することにしたためだ。
 このような注意深い筋書きは、米当局者からは極めて硬直的だとみなされたものの、海上自衛隊との訓練の機会を増やすため、米海軍によって調整された。
 ところが、2011年の東日本大震災の直後に、東京の防衛省、米空軍横田基地の在日米軍司令部、仙台の陸上自衛隊東北方面総監部の3カ所に日米調整所が設置された。
 これらの3調整所は、救援活動を調整するための統合指揮所として機能し、日本の利益に資することとなった。国会やメディアからも、これが日本が集団的自衛権の行使を禁じられていることに違反するものだと難癖を付けてくる者は誰もいなかった。
 もちろん、リムパックが過去も現在も集団的自衛権の行使に違反していないのと同様、日米調整所も違反とはならない。
 そして2014年、安倍晋三内閣はさらに踏み出し、政府が1972年に自ら課し、戦略性の欠如した「集団的自衛権行使の全面禁止」を明確に修正し、日本の安全保障に直接関わる特定の条件下において行使できるようにした。
 この決断は、東シナ海と南シナ海での中国の軍事的増強が、南西太平洋の日本のシーレーンと日本の領土である尖閣諸島(沖縄県石垣市)への直接の脅威になっており、安全保障環境が一層厳しくなっていることへの正当な対応と見なされた。

≪歓迎すべき在日米軍との連携≫
 この戦略的に有意義である大きな前進は、同盟調整メカニズム(ACM)の設置を盛り込んだ「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」へとつながった。ただし、少なくとも公式には(自衛隊と米軍の平時からの一体運用という)ACMの目標に対して、具体的で意義のある進展はまだないとされる。
 今年1月初めの日本の新聞報道によれば、防衛省は尖閣諸島を守るため、在日米軍とも連携した陸海空自衛隊の統合合同計画をようやく策定する方針であるという。
 冷戦が終結し、日本への脅威が旧ソ連による北海道攻撃から南西諸島を脅かす中国にシフトしても、3自衛隊は連携を欠いたままだった。ただし、海上自衛隊と米海軍は極めて密接だ。
 従って、中国の冒険主義の抑止に向けた、防衛省による自衛隊の統合防衛計画は、遅すぎたとは言わないし、適切であると思われる。
 自衛隊の設備は質的に素晴らしく、今後さらに良くなるだろう。陸上自衛隊のMV22オスプレイや水陸両用強襲車両AAV7、海上自衛隊のP1哨戒機、そして航空自衛隊のF35ライトニングIIなどは、最近の(進行中を含む)調達事例のほんの一部だ。だが、自衛隊が特に必要とするのは、有意義で効果的な統合作戦に向けた合同駐屯と合同訓練だ。

≪共同配置で軍事侵略を困難に≫
 現状の脅威環境を考慮すれば、沖縄で能力の高い陸海空自衛隊の任務部隊を編成し、沖縄の米海兵隊の第3海兵遠征軍司令部群と一緒の場所に配置することは、日本の領土に対する中国の脅威への抑止強化に、日本が一層貢献する絶好の機会であると思える。
 (中国が称する)第1列島線上の北部に位置する重要拠点で、自衛隊の統合任務部隊と第3海兵遠征軍が共同配置されれば、中国による軍事侵略計画を極めて困難にする。これこそが抑止の本質だ。
 日本での最近の2つの成果であり数年前には考えられなかった、集団的自衛権をめぐる2014年の閣議決定と、新ガイドラインによって、日本は前進する絶好の機会を得た。政治的承認を得て作戦の運用を行うことは可能であろうし、その機会を失ってしまわないことを望む。
 2月10日のワシントンでの(日米首脳会談を受けた)共同声明で、安倍首相とトランプ米大統領は「米国と日本は、東シナ海の平和と安定を守るために協力を深める」と述べた。
 日本が米国と連携して尖閣諸島を守るための統合計画を策定することは、用心深い中国の指導者たちに重大な警告を与えるだけではない。トランプ政権に、日本が太平洋の安全保障に、より意義深い負担を担っていくのだと確信させるのに役立つだろう。(ヴァンダービルト大学名誉教授 ジェームス・E・アワー)

2月25日(産経抄)


 陸軍将校らがクーデターを起こした昭和11年の二・二六事件から、もう81年がたつ。「あのころ、マルクス理論の本などを読んでいる将校がかなりおりましたよ」。地方紙、夕刊フクニチ(現在は休刊)の創設者、浦忠倫は日本新聞協会のインタビューに、東京の歩兵第一連隊に勤務していた当時の空気をこう証言している。
 ▼浦は「青年将校の思想などは、一種の国家社会主義に近い」とも語っている。イデオロギーや正義感、動機の純粋性にとらわれると、人は時に暴挙に出る。現代社会にも通じる貴重な教訓が読み取れるが、今や二・二六事件は遠い昔の話として風化しつつあるようだ。
 ▼一方、お隣の台湾では、1947年に起きた「二・二八事件」70周年が、蔡英文政権により国家的事業として位置づけられている。日本に代わり、台湾の統治者となった国民党政府による台湾人弾圧・虐殺事件のことである。犠牲者総数は2万人を超える。
 ▼台北でたばこ売りの寡婦が警察に殴打されたことをきっかけに、事件は勃発した。抗議の民衆デモに警察が機銃掃射を行い、「中国人を追い出せ」と民衆蜂起は広がり、台湾全島が大混乱に陥った。
 ▼ノンフィクション作家の門田隆将さんの著書『汝、ふたつの故国に殉ず』によると、そんな中で混乱の沈静化を図り、多くの台湾人の命を救った1人の日本人がいた。日本人の父と台湾人の母の間に生まれた坂井徳章(とくしょう)である。
 ▼「台湾人、バンザーイ」。最期に日本語で叫んで銃殺された坂井の姿は台湾人の感動を呼び、国民党政府の戒厳令下でもひそかに語り継がれた。2014年には台南市が、坂井の命日を「正義と勇気の日」に制定した。こちらの「事件」が風化しなかったことがうれしい。

南スーダン日報:混乱招く9条の「矛盾」(朝雲:時の焦点)


 「憲法9条の存在こそが護憲派・改憲派双方の自己矛盾と欺(ぎ)瞞(まん)を生み、本格的な安全保障論議を妨げてきた」
 法哲学が専門の井上達夫・東大教授はリベラルの立場だが、「9条削除論」を唱える。
 井上氏は護憲派に対して、「憲法を擁護しているように見えて、実際は形骸化させてしまっている」と手厳しい。護憲に固執するならば、非武装を主張するのが筋だ。
 「専守防衛であれば自衛隊も安保も合憲である」として、解釈改憲に甘んじてきた立場の人へも、「修正主義」などと批判の矛先を向ける。
 安倍政権を「対米従属」と非難するなど、井上氏の主張への異論はある。それでも、9条に関する指摘はうなずける。
 南スーダンのジュバで国連平和維持活動(PKO)に当たる陸上自衛隊部隊が、昨年7月の南スーダン軍と前副大統領派の衝突について、「戦闘」と日報に記した。
 野党や左派メディアは、「法的には『戦闘』ではない」とする政府の見解と食い違うと問題視した。「廃棄した」とされた日報が防衛省内で見つかった問題と合わせ、追及している。これも9条があるが故の混乱といえよう。
 自衛隊が海外で衝突に巻き込まれ、やむなく武力行使した場合、憲法違反に問われる恐れがある。
 このため、政府は「国または国に準じる組織(国準)の間の紛争の一環として、人を殺傷し、物を破壊する行為」を「戦闘」と定義。それ以外は「武力衝突」などとし、仮に巻き込まれたとしても違憲に当たらない、との解釈を編み出した。
 南スーダンの前副大統領派を「国準」とみなすのは無理がある。政府が昨年7月の衝突について、法的な「戦闘」ではないとしたのは妥当だ。
 一方、日報は、現地部隊が見たり感じたりしたことを書き留めるものである。それでこそ貴重な一次情報となる。表現の制約はかえって不正確な報告になりはしないか。
 9条の足かせがあるから、苦肉の策で整合性を取らざるを得ないのだ。戦前の「撤退」→「転進」のような言い換えとは全く異なる。
 問題なのは、現実と乖離した憲法条文を放置し続けた、国会の怠慢そのものだ。9条が続く限り、自衛隊の活動に、野党などから言いがかりをつけられる余地が残る。
 「人道支援に限定を」との主張がもっともらしく唱えられる。しかし、情勢が不安定で民間人の活動が困難であり、なおかつ国際貢献が求められている状況では、自衛隊以外に出番はあるまい。
 自衛隊が何ら後顧の憂いなく活動に当たれるよう、条文を変えなければならない。
 野党などは、自衛隊に寄り添っているように振る舞う。しかし、不安をあおりたてること自体、現地で汗を流す自衛隊員や日本で見守る家族にいらぬ心配を強いていることに気づかないのか。
植田 高直(政治評論家)

正男氏遺体からVX、猛毒神経剤を犯行に使用(読売N)


 【クアラルンプール=田尾茂樹、児玉浩太郎】北朝鮮の金正男キムジョンナム氏(45)殺害事件で、マレーシア警察は24日、猛毒の神経剤である「VX」が犯行に使用されていたとする暫定分析結果を発表した。

 化学兵器に使われる毒物が検出されたことで、北朝鮮の関与が極めて濃厚となった。
 警察は今月15日に遺体の司法解剖を実施。発表によると、綿棒で顔の表面や目の粘膜から採取した物質を政府の検査機関で分析したところ、VXを検出したという。VXは大人の致死量が約4ミリ・グラムとされる猛毒。
 殺害現場となったクアラルンプール国際空港第2ターミナル出発ロビーの監視カメラの映像によると、犯行は、実行犯として逮捕された女2人によって一瞬のうちに行われていた。自動発券機の近くに立っていた正男氏の背後からベトナム人のドアン・ティ・フオン容疑者(28)が肩越しに両手を顔に伸ばし、インドネシア人のシティ・アイシャー容疑者(25)が正面から正男氏に近づいたとみられている。正男氏はその後、空港内のクリニックに歩いて向かい、病院に搬送される途中、死亡した。VXは、皮膚に塗られて数分から数十分で死に至る。

ジョンナム氏殺害 VXの入手経路解明に全力(NHK)


北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム(金正男)氏が猛毒のVXで殺害された事件で、マレーシアの警察は、化学兵器に指定され、製造や保有を禁じられているVXを容疑者たちがどのように入手したのか、経路の解明に全力を挙げる方針です。

この事件で、マレーシアの警察は、24日、猛毒のVXがキム・ジョンナム氏の遺体から検出されたと発表し、警察のハリド長官は、殺害にはVXが使われたと断定したことを明らかにしました。
殺傷能力の高いVXは、国際的な条約で化学兵器に指定され、製造や保有が禁止されており、マレーシアの警察は、容疑者らが、一般には入手できないVXをどのように手に入れたのか、経路の解明に全力を挙げる方針です。
地元のメディアによりますと、これまでに警察は、この事件で身柄を拘束されている北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル(46)容疑者の自宅からおよそ2キロの場所にあるクアラルンプール郊外の高層マンションの部屋を捜索し、数種類の化学薬品や、薬品を扱うための手袋などを押収したということです。
また、実行犯として拘束したベトナム人とインドネシア人の女2人が、ジョンナム氏の顔に素手で液体を塗りつけたにもかかわらず、重い症状が出なかった理由についても調べています。

マレーシア 北朝鮮との関係見直し検討へ
キム・ジョンナム氏が殺害された事件で、マレーシア国営のベルナマ通信は24日、マレーシア政府として北朝鮮との外交関係を見直すべきかどうか検討するためザヒド副首相が外務省に対して、政府が取り得る選択肢と、それを実施した場合の影響をまとめるよう指示したと伝えました。政府は、この報告書をもとに北朝鮮との外交関係を見直すのかどうか、近く判断するとみられます。
今回の事件をめぐっては、北朝鮮のカン・チョル大使が「捜査はでっち上げだ」などと警察を非難したことを受けて、マレーシア政府は、北朝鮮に駐在する大使を一時帰国させるなど両国の対立が深まっています。

脱北者団体がジョンナム氏接触
イギリスのロンドンを拠点に活動する脱北者の団体、いわゆる「国際脱北者連帯」は、NHKの取材に対して、去年までキム・ジョンナム氏に接触し、「今後、北朝鮮の亡命政府の設立を目指すのでリーダーになってほしい」と協力を求めていたことを明らかにしました。
この団体は、ヨーロッパで暮らす脱北者らが中心となって北朝鮮の人権問題などに取り組んでいて、団体の代表によりますと、各国の脱北者の団体とも連携しキム・ジョンナム氏に連絡をとっていたということです。ただ、キム・ジョンナム氏は、「関心がない」と話し、応じなかったとしています。
キム・ジョンナム氏が殺害された事件のあと、この団体は声明を出し、亡命政府のリーダーになってほしいともちかけたことが、今回の事件の引き金になった可能性があるという見方を示しています。

3月号 論説委員・井伊重之 米中が激突する日は来るか(産経:論壇時評)


 国際政治学者のイアン・ブレマーが率いる米ユーラシア・グループは、毎年1月に「世界の10大リスク」を公表している。世界各地で政治・経済・社会的なリスクの可能性を独自の視点で評価しており、各国の外交官たちが注目するリポートだ。
 そこで今年最大のリスクとして挙げたのが「わが道を行く米国」だ。「米国第一」を掲げるトランプ大統領が誕生し、米国がこれまで果たしてきた国際的な役割から手を引く事態の危険性を指摘した。
 そして2番目のリスクが「過剰反応する中国」である。今年秋には中国指導部の交代が予想されている。米国などからの対外的な圧力をはね返す強いリーダーシップが求められる中で、国際的に強硬姿勢を示す恐れがあるという。
 こうした両国の動きを暗示したのが、昨年12月の米台首脳による対話だ。大統領選に勝利したトランプが台湾の蔡英文総統と電話で会談したものだが、米国は中国と国交を樹立した1979年以降、台湾とは外交関係を持たなかった。就任前とはいえ、次期米大統領が台湾のトップと異例の会談をしたことは中国には衝撃的だった。
 これを受けて中国は今年1月、空母「遼寧」を台湾海峡に向かわせた。遼寧は台湾を取り囲むように航行する動きをみせたが、これは米台に対する明らかな示威行動だろう。その後、大統領に就任したトランプは今月、中国の習近平国家主席と電話で会談し、中国側の求めに応じる形で「『一つの中国』政策を尊重する」と確認した。
 中国の面目は一応保たれた形だが、米中という2つの大国が今後、どのように向き合うかは、日本の外交・安全保障とも密接に関係する。今月の論壇誌は、緊張感が高まる米中関係をこぞって取り上げた。
 安全保障戦略コンサルタントの北村淳は「南シナ海ではアメリカが劣勢」(Voice)で、中国が南沙諸島で人工島を相次ぎ建設したことで米中の軍事バランスが崩れ、「米国は南シナ海で中国との軍事衝突を極力避けなければならない立場にある」と分析する。
 中国は南沙諸島で7つの人工島を建設し、3つの本格的な航空基地をつくり出した。国際司法はこれを不法と断じたが、軍事上は中国が優勢だという。このため、北村は「当面は米中が南シナ海で激突する可能性は限りなく小さい」と予測する。
 文芸春秋は「米中が激突する日」で、軍事面を含めた中国の動きを対談形式で分析した。渡部悦和元陸将は「米軍にはもはや1996年の台湾海峡危機当時のような圧倒的優位はない。(中台関係が緊迫化しても)本当にトランプ氏が台湾のために来援するのだろうか」と疑問を投げかける。
 一方で日本の尖閣諸島周辺でも中国の脅威が高まっている。伊藤俊幸元海将は「一番想定されるのが中国の武装漁民が上陸してそのまま居座るパターンだろう。平時でも一定の武力行使ができる『領域警備法』のような法律を整備すべきだ」と提案する。
 外交評論家の岡本行夫は「(中国との衝突などの)事態が生じないようにする意味で、日米安保体制の強化が重要だ」と強調する。そして「日米安保の抑止力の根幹は、周辺諸国にどのような心証を与えるかという問題だ。日米が緊密に協力していれば、誰もが『下手な真似をすれば安保条約が発動される』と思うだろう」と訴える。
 トランプは安倍晋三首相との首脳会談で、尖閣諸島も安保条約の適用範囲であると明言した。その意味で日米外交は上々のスタートを切ったといえるが、米国が安全保障を貿易の取引材料に使う懸念は払拭されていない。
 それをトランプ政権の人脈から検証したのが「覇権国の宿命」(WiLL)だ。国際政治学者の中西輝政は「ティラーソン国務長官は中国に警戒的な動きをみせるが、人脈的には共和党中枢の親中派につながる人物だ」と警鐘を鳴らす。
 対中強硬派を演じながら、実は「隠れ親中派」だったレーガン大統領の役割をトランプが意識しており、中国を本当に抑えられるかが注目されるという。中西は「日本は『台湾や南シナ海では中国と取引するな』と声を上げないとならない」と注文する。
 中国の脅威を韓国との関係で論じたのが評論家の江崎道朗だ。「中韓接近!済州島に中国基地ができる日」(正論)で「韓国の朴槿恵政権が倒れれば、さらに反日反米を強める左派政権が誕生し、日米韓の同盟から韓国が離脱する恐れが出てくる」と警戒する。
 江崎は「済州島で建設中の海軍基地を中国海軍が使用する可能性がある」とも指摘する。そうなれば今後、日本にとって対馬海峡が防衛ラインとなり、新たな防衛戦略を迫られることになりそうだ。(敬称略)


北方領土と露軍 「共存の島」とは相いれぬ(産経:主張)


ロシアのショイグ国防相が下院の演説で、北方領土と千島列島へ新設の1個師団を年内配備する方針を表明した。国後、択捉両島への展開が想定される。
 旧ソ連・ロシアは、70年以上にわたって日本固有の領土である北方領土を占領してきた。そのうえ、大規模な部隊の増強を図ろうという暴挙は到底、認められない。
 日露間では、北方領土における共同経済活動の協議が3月から本格化しようという矢先だった。直前のこうした言動は、協議の前提を崩すものでしかない。
 政府がなすべきは、足元を見られながら協議を始めることではなく、国防相発言の撤回と謝罪要求である。
 重要な協議を前に、相手にあいくちを突き付けるのはロシアの常(じょうとう)手段である。そこに信頼関係を築く意思など見当たらない。
 相手が態度を改めることもないまま、なし崩しに協議入りするのは愚策であり、日本を見つめる世界の目も変わりかねない。
 今回の問題について、菅義偉官房長官は「わが国の立場と相いれず遺憾だ」と述べた。外交ルートで抗議もしたというが、通り一遍の抗議などロシア側は何の痛痒(つうよう)も感じまい。
日露首脳会談を控えた昨年11月にも、ロシアは新型地対艦ミサイルを北方領土へ配備した。首脳会談で、ミサイル配備についてどれだけ抗議したのかは不明だ。
 むしろ、首脳会談の成果として強調されたのが、共同経済活動を始めることの意義だった。
 安倍晋三首相は「北方四島の未来図を描き、その中から解決策を探し出す新たなアプローチ」だと説明し、「対立の島」ではなく「共存の島」にできると強調してきた。
 ロシアが軍拡をさらに進めようという地域で、なぜ共存が可能なのか。政府は共同経済活動について、日本の法的立場を損なわないのが前提だとしている。言葉遊びをしている間に、ロシアによる実効支配はさらに強まる。
 3月には日露の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)も開かれるが、軍備増強を図る相手との間で開催する意味は不明だ。せめて、その場で方針の撤回を確約させるべきである。それをロシアが断るなら、共同経済活動の協議を進めることはできない。

地対空ミサイル配備可能な施設、中国が南沙の人工島に(朝日N)


中国が南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島に造成した人工島で、長距離地対空ミサイルを配備できる20以上の建造物を建設していることがわかった。ロイター通信が21日報じた。建造物は開閉式の屋根が付いたコンクリート製で、ほぼ完成しているという。
 2人の米政府当局者の証言として伝えた。中国は西沙(パラセル)諸島で地対空ミサイルを配備したことがわかっており、南シナ海のほぼ全域で軍事拠点化を進めていることが裏付けられた。南シナ海の広い範囲で制空権を握ろうとする姿勢の表れとみられ、米国や周辺国からの反発が強まるのは必至だ。
 ロイター通信によると、建設が確認されたのは、ミスチーフ礁やファイアリー・クロス礁、スビ礁。建造物は長さ約20メートル、高さ約10メートル。米情報機関の当局者は「これらの建造物は、別の場所にある中国軍の地対空ミサイル発射台用の建造物に似ている」と指摘する。
 トランプ大統領は、中国による南シナ海の人工島造成を批判。米軍は今月18日、原子力空母カール・ビンソンを南シナ海に投入し、演習を展開している。 中国外務省の耿爽副報道局長は22日の定例会見で、南シナ海の島や岩礁に中国の主権が及ぶと主張した上で、「自国領土に、必要かつ適度な国防施設を建設することは国際法が賦与する主権国家の正常な権利だ」と述べた。さらに、「中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)と努力し、現在の南シナ海の情勢は安定した方向に発展している。域外国は地域国の努力を尊重することを願う」と述べた。(ワシントン=峯村健司)

金正男氏殺害 北朝鮮の責任逃れは見苦しい(読売:社説)


 北朝鮮による国家ぐるみの凶行の可能性が濃厚になった。友好関係にあった東南アジア諸国さえも敵に回し、国際的な孤立が一段と深まろう。
 北朝鮮の金正男氏殺害事件で、マレーシア警察当局は、北朝鮮大使館の2等書記官と国営・高麗航空の職員を含む3人が関与した疑いがあるとして、出頭させるよう北朝鮮に要請した。
 実行犯とされるベトナム人とインドネシア人の女2人のほか、北朝鮮国籍の男を逮捕している。残りの容疑者4人は北朝鮮に帰国したと見て、引き渡しを求めた。
 初期捜査は、犯行グループの輪郭をつかむ成果を上げた。空港の監視カメラの画像が身元の特定につながったのが大きい。
 実行犯の容疑者らがクアラルンプールの商業施設で、毒物使用の予行演習を行っていたことも判明した。周到に準備された計画的犯行だったことをうかがわせる。
 殺害に使った毒物は不明だ。当局は、事件の全容解明に全力を挙げてもらいたい。
 看過できないのは、北朝鮮が遺体の早期引き渡しを要求するなど、露骨な捜査妨害を試みたことだ。その結果、マレーシアとの対立が先鋭化している。
 北朝鮮の駐マレーシア大使は、「政治目的の捜査だ」と非難した。マレーシア政府は「捜査は国内法に基づき公正に行われている。侮辱だ」と反論し、駐北朝鮮大使を召還する事態に発展した。
 朝鮮中央通信は、北朝鮮犯行説は韓国が台本を書いた「陰謀」だと喧伝けんでんした。客観的な根拠は何も示していない。
 自国に嫌疑がかかると、他国に難癖をつけて責任逃れを図る。これは北朝鮮の常套じょうとう手段である。
 マレーシアは1973年に北朝鮮と国交を樹立した。ビザなし渡航を許し、外貨稼ぎが目的の労働者も受け入れていた。
 こうした寛容な姿勢が仇あだとなり、北朝鮮工作機関の活動拠点として利用されている。対北朝鮮政策の見直しが急務だろう。
 自国民が逮捕されたベトナムとインドネシアも、北朝鮮の伝統的な友好国だ。不信感が他の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国に広がるのは避けられまい。
 ヒトやモノの移動規制が甘い東南アジアは、核・ミサイル開発を巡る国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁の抜け穴になっているとの指摘がある。
 ASEAN各国は、今回の事件を機に、対北包囲網の強化に積極的に協力せねばならない。

北方領土にロシア軍師団に抗議 日ロ閣僚で協議へ(NHK)


菅官房長官は午前の記者会見で、ロシアが北方領土を含む島々に軍の新しい師団を配置する方針を示したことについて、抗議したことを明らかにしたうえで、来月開催される日本とロシアの外務・防衛の閣僚協議で、この問題を取り上げる考えを示しました。

この中で、菅官房長官は、ロシアのショイグ国防相が、北方領土を含む島々に軍の新しい師団を配置する考えを明らかにしたことについて、「北方領土におけるロシア側の動向は注視しており、今般の発言を受けて、情報収集を行っている」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「ハイレベルを含む外交ルートを通じて、北方四島でロシア軍の軍備を強化するものであるならば、『北方四島はわが国固有の領土である』とのわが国の立場と相いれず、遺憾である旨、抗議している」と述べました。
そして、菅官房長官は、領土交渉に与える影響について、「こうした問題の根本的な解決のためには、北方領土問題自体の解決が必要だ。双方受け入れ可能な解決策を作成すべく、粘り強く交渉していく」と述べ、来月開催される日本とロシアの外務・防衛の閣僚協議、いわゆる2+2でこの問題を取り上げる考えを示しました。

自ら首絞めた北の正男氏暗殺 中国と関係悪化、国際的孤立が深化した 東京基督教大学教授・西岡力(産経:正論)


 北朝鮮の独裁者・金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が暗殺された。捜査にあたっているマレーシア警察はインドネシア国籍とベトナム国籍の2人の女、リ・ジョンチョルという北朝鮮国籍の男を容疑者として逮捕し、事件直後に出国した北朝鮮国籍の4人の男を指名手配した。
 これまでも北朝鮮は多くのテロを行ってきた。今回のテロと比較すると、共通点は「国家テロ」を行いながら、それを隠すために外国人が行ったと偽装することだ。特異な点はあまりに拙速でミスが多いということだ。以下、具体的にそのことを論じ、最後にこのテロが意味するものを考える。

≪金正日が下した工作方針≫
 金正日は1974年に金日成から2代目に指名された直後、党の組織指導部に検閲部門を発足させた。党、政府、軍の幹部らをつるし上げて忠誠を誓わせ、最後に予算と人材が最優先で回されていた党の工作機関の検閲を行った。
 工作機関の老幹部を容赦なく批判し、これまでの工作の成果はゼロだと結論づけた後で76年に新しい工作方針を下達した。そのなかに「工作員の現地化を徹底的に行え。そのために現地人の教官を拉致せよ」という命令が含まれていた。この命令の直後の77年と78年に世界中で拉致が多発する。
日本でも政府認定17人のうち13人がこの2年間に拉致された。「工作員の現地化」とは工作員を外国人に偽装することだ。それには2つの方法があった。第1が北朝鮮工作員に現地化教育を授けるケースだ。大韓航空機爆破テロの実行犯である金賢姫は田口八重子さんから日本人化教育を受け、マカオから拉致された中国人女性から中国人化教育を受けていた。
 第2は外国人を洗脳して工作員として使うというもので、実は横田めぐみさん、田口さんらは当初、工作員になるための教育を受けさせられた。ところが、同じ教育を受けていたレバノンの拉致被害者が海外で活動中に逃走したため計画は頓挫し、彼女らは北朝鮮工作員の現地化のための教官にさせられた。一方、よど号ハイジャック犯とその妻らは完全に洗脳され、朝鮮労働党の下部機関である「自主革命党」を結成して日本人拉致や自衛隊工作などを行った。

≪洗脳教育とは違った「手口」≫
 現地化にはテロなど国家犯罪を行う際、北朝鮮の犯行であることを隠すという目的があった。今回の暗殺テロもベトナム人とインドネシア人が実行犯として使われた。これも外国人が犯人であるように偽装するという点で、これまでのテロと共通している。
 ただし、外国人を工作員として使う場合、これまでは徹底した洗脳教育を実施していたが、今回はテレビのいたずら番組の撮影などとだまして実行犯に仕立てた。これが大きな違いだ。
 監視カメラが多数設置されている空港では金正男氏が警戒を緩め、外国人記者らをすぐ近くまで接近させているという事実に注目して、外国人をだましてテロに使うという「新しい手口」を考えたのではないだろうか。素人女性を数日間、訓練しただけで殺人を成功させたテロはある意味、見事だった。逮捕されたのが女性2人だけだったら、北朝鮮とは関係ないという主張がより説得力を持ち、その意味で危なかった。

≪独裁者の拙速なミスを突け≫
 しかし、今回のテロの特徴は、これまでのテロと異なり、あまりにも拙速でミスが多いということだ。4人の犯人は犯行直後、出国している。それは計画通りだろう。しかし、実行犯をリクルートしたとも言われているリ・ジョンチョルは、家族と住むマレーシア国内の自宅に帰ったため、マレーシア警察に逮捕された。これが分からない。なぜ、犯行直後に4人と一緒に出国しなかったのか。なぜ、警察が来たとき自殺を図らなかったのか。
 また、4人の犯人も実行犯の女と一緒に空港で予行演習をしているところを、監視カメラで撮影されている。そのため、すぐ氏名などが特定され、顔写真付きで指名手配された。なぜそのような証拠を残したのか。
この拙速さの背景について論じよう。2011年12月、金正日が死亡したとき、その葬儀の日に合わせて私たちは東京で「金正日による犠牲者に思いを寄せる集会」を開いた。金正日によって犠牲になった多くの人々を悼むべきだという趣旨だった。そこで北朝鮮軍人出身の金聖●・自由北朝鮮放送代表はこう語った。「金正日が築き上げた個人独裁システムは強固だから、金正恩政権はすぐに崩壊することはない。しかし、20代の若造が全てのことを決裁する独裁者の地位に就いたのだから、必ずミスをする。そのミスをいかにうまく利用するかが、拉致被害者救出運動の鍵を握るだろう」
 まさにその通りのことが今回起きた。このテロの結果、中国との関係悪化や、国際的孤立が深化し、金正恩政権は大きなダメージを受けるだろう。それを賢く利用して拉致問題解決に結びつけるために皆で知恵を絞るべきときだ。(東京基督教大学教授・西岡力 にしおかつとむ)

座して死を待つなかれ 敵基地攻撃能力の保有へ機は熟している(産経:阿比留氏の極言御免)


 「わが国土に対し、誘導弾などによる攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨だとは考えられない」
 鳩山一郎首相(当時)が衆院内閣委員会でこんな政府統一見解を示し、敵基地攻撃能力の保有は合憲だと表明したのは、さかのぼることはるか61年、昭和31年2月のことである。統一見解は次のように続く。
 「誘導弾などによる攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくことは、法理的に自衛の範囲に含まれ、可能である」
 まだ日本が、現在のように北朝鮮や中国の弾道ミサイルの脅威にさらされていなかった時代でも、そうだったのである。
 それからミサイル技術は日進月歩し、正確性も破壊力も比べものにならない。にもかかわらず、情けないことに「わが国は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、保有する計画もない」(今年1月26日の衆院予算委、安倍晋三首相答弁)のが現状だ。

■国際情勢の変化
 長年にわたる政治の不作為により、国民の生命と財産は危険にさらされ続けてきた。もうここらで、政治は真摯に現実に向き合うべきだろう。自衛隊部隊の日報における「戦闘」の定義や意味について延々と不毛な論争をするよりも、よほど国民のためになる。
安倍首相はこの1月の答弁で、敵基地攻撃能力の保有について「国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点から、常にさまざまな検討は行っていくべきもの」とも述べた。当然の話だろう。
 もともと安倍首相は、わが国の敵基地攻撃能力の欠如について問題意識を持っている。まだ当選2回の若手議員だった平成10年9月の衆院安全保障委でも、次のように主張している。
 「日米安保条約第5条は、具体的に日本が攻撃されたときに米国が報復をするという義務規定ではない。わが国が報復する能力を持っていなければ、抑止力に穴が開いてくる」
 「(現状では)基地をたたくのは、すべて米軍がやらなければいけないことになる。この状況は少しおかしいのではないか。すべて米軍の若者の血と生命によらなければ、わが国の生命と財産が守れないかもしれないということになる」
 これに対し、当時の額賀福志郎防衛庁長官は「現在の自衛隊は敵の基地を攻撃する目的で装備体系をしているのではないので、敵基地に対し軍事的な有効な打撃を行うことはなかなか難しい」と答えている。
 この質疑からも18年余がたつにもかかわらず、日本はいまだに自分の手足を縛り続け、国際情勢の変化についていけていない。

■ハードルは低い
 安倍首相は11年4月の衆院日米防衛協力のための指針に関する特別委では、集団的自衛権の限定行使容認を訴え、16年後の27年にはそれを可能とする安保関連法を成立させた。
 このときは、従来の政府解釈の変更が伴ったこともあり、野党や憲法学者らから違憲だとの指摘が相次ぎ、国会前でデモが行われるなどの騒ぎになった。だが、敵基地攻撃能力の保有に関しては歴代内閣が鳩山一郎内閣の統一見解を踏襲しており、ハードルはもっと低いはずである。
 また、稲田朋美防衛相や自民党の高村正彦副総裁、日本維新の会の片山虎之助共同代表も検討に前向きであり、機は熟している。
 安倍首相にはぜひ、国民を守るため敵基地攻撃能力の保有の検討開始に踏み切ってもらいたい。座して死を待ってはならない。(論説委員兼政治部編集委員)

北朝鮮の反発必至=大使館員聴取要請に-正男氏事件(時事N)


【クアラルンプール時事】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が殺害された事件で、捜査に当たっているマレーシア警察が北朝鮮に、在マレーシア大使館のヒョン・クァンソン2等書記官(44)らの事情聴取や、既に本国に戻ったとみられている北朝鮮国籍の4人の容疑者の身柄引き渡しを求めたことに対し、北朝鮮が反発して拒否するのは必至だ。
 今回の事件をめぐって北朝鮮は、遺体の引き渡しなど北朝鮮側の要求に応じないマレーシアを「外国政府と結託している」と批判。22日に発表した大使館声明は聴取や身柄引き渡し要請には直接言及しなかったものの、「最初から(北朝鮮)市民を攻撃対象にし、疑いをかけた」とマレーシア警察の捜査に対する非難を繰り返した。
 一部のメディアは、マレーシアが事情聴取を求めているヒョン2等書記官と高麗航空職員の2人は北朝鮮大使館にいると伝えている。

テロ準備罪審議 不安を煽る言説は慎みたい(読売:社説)


 組織犯罪を起こす意思のない人には、無縁の罪だ。政府はその点を丁寧に説明すべきである。
 組織犯罪処罰法を改正して創設するテロ準備罪の対象に関し、政府が衆院予算委員会で見解を示した。
 一般団体であっても、「目的が犯罪を実行する団体に一変した」場合には組織的犯罪集団として罪が適用される、というものだ。
 宗教法人のオウム真理教が、地下鉄サリン事件を引き起こした。安倍首相は「犯罪集団として一変したわけだから、その人たちは一般人であるわけがない」と説明した。もっともな認識である。
 疑問なのは、民進党などが「一般市民は対象にならないと言ってきたことと矛盾する」と反発している点だ。「共謀罪」法案と同様、テロ準備罪も人権侵害の恐れが強いと印象付ける狙いだろう。
 共謀罪と異なり、適用対象は組織的犯罪集団に限られる。罪の成立には、犯行計画に加え、資金調達など、具体的な準備行為の存在が必要となる。適用範囲がなし崩し的に拡大するかのような言説は無用な不安を煽あおるだけだ。
 テロ準備罪の創設は、国際組織犯罪防止条約の加入に必要な法整備だ。条約は2000年の国連総会で採択され、翌年の米同時テロを経て、テロ集団やマフィアなどによる犯罪に立ち向かう国際的な礎として機能している。
 既に187の国・地域が締結した。首相は「法を整備し、条約を締結できなければ、東京五輪・パラリンピックができないといっても過言ではない」と強調する。
 捜査共助や犯罪人引き渡しに支障が生じかねない今の状況は、一刻も早く改善せねばならない。
 野党の中には、現行法でも対処が可能だ、との声もある。果たしてそうだろうか。
 大量殺人を目的に殺傷能力の高い化学薬品の原料を入手したり、航空機テロのために航空券を予約したりした場合は、現行法の予備罪を適用できない恐れがある。
 重要インフラの誤作動を狙ってコンピューターウイルスの開発に着手した場合には、未遂段階で取り締まる罪が存在しない。政府は、こうしたケースを想定する。
 金田法相は、一般団体が重大犯罪を1回だけ実行することを決定しても、「組織的犯罪集団にはあたらない」との見解も示す。誤解を招かない説明が求められる。
 政府は、3月上旬にも改正法案を国会に提出する。国民の安全を守るため、法の穴をなくし、重大犯罪の芽を摘まねばならない。

海自トップ 日本配属の米海軍士官候補生に講演(NHK)


アメリカ軍と自衛隊の関係強化を図ろうと、海上自衛隊トップの海上幕僚長がアメリカ東部メリーランド州にあるアメリカ海軍兵学校を訪れ、日本に配属される士官候補生に日米同盟の重要性を訴えました。

海上自衛隊はアメリカ海軍との関係強化を図るため、在日アメリカ軍基地に配属される士官を支援するプログラムを新たに立ち上げました。
その一環として、海上自衛隊トップの村川豊海上幕僚長が21日、東部メリーランド州のアナポリスにあるアメリカ海軍の幹部養成機関、海軍兵学校を訪れ、ことし日本に配属されることが決まった士官候補生、およそ40人を前に講演しました。
この中で、村川海幕長は「海上自衛隊とアメリカ海軍の強固な関係は、日米同盟にとって極めて重要であり、ここまで発展させてきた同盟を引き継ぎ、アジア太平洋地域の平和と安定に寄与してほしい」と述べて、日米同盟の重要性を訴えました。
佐世保基地を拠点とする揚陸艦に配属される士官候補生は「日本は中国の脅威の真っただ中にあり、そこで任務に関わりたいと考えて志望した。同盟をさらに強めていきたい」と話していました。
海上自衛隊では今後、日本に配属された士官一人一人に海上自衛官のパートナーをつけ、将来を見据えた信頼関係を構築していきたいとしています。

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