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ドイツ製自走砲を配備 欧米の武器続々、実戦へ(産経N)


ウクライナのレズニコフ国防相は21日、ソーシャルメディアで、ドイツ製の自走式155ミリりゅう弾砲が配備されたと明らかにした。英国防省は21日の分析で、ウクライナ軍が欧米供与の対艦ミサイル「ハープーン」により攻撃を初めて成功させたと発表。ウクライナの要求に応じて提供された欧米製の武器が続々と実戦投入され、今後の戦況に影響を与えそうだ。

レズニコフ氏は供与に謝意を表明し「十分な知識とともに100%効果的に使う」と実戦使用に自信を示した。ドイツは当初、供与に慎重だったが、その後7両の供与を表明していた。
英国防省によると、ウクライナ軍は17日、ハープーンを使用し、黒海のロシア海軍のタグボートを攻撃した。
ボートは、ロシア軍が2月の侵攻直後に制圧し戦略的拠点としている黒海西部のズメイヌイ島に人員や武器を輸送していた。ウクライナは奪還を図っており、攻防が続いている。(共同)
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<君民の絆>の象徴・靖国神社 東京大学名誉教授・小堀桂一郎(産経:正論)


御創建記念日にあたり
6月29日は靖国神社の御創建記念日である。周知の如くこの神社は元来明治2年にこの日付で東京招魂社として創建されたもので、当時はまだ旧暦を用ゐてゐたから新暦なら7月の末に当り、暑い盛りであつた。明治5年末の新暦採用後、旧暦の日付をそのまま新暦に移し、謂(い)はば季節的には1箇月ほど早い時期に繰り上げられた。
令和2年の春以来、諸種の儀式祭典での人寄せを屋外屋内共不可能にしてゐた悪質の感染症も昨今漸(ようや)く終熄(しゅうそく)の兆が見えて来た。靖国神社の崇敬奉賛活動も、青年部の人々は奉仕や教化の諸行事を再開し、7月のお盆に日取りを合せたみたま祭も今年は例年の賑はひを取りもどしてくれるであらう。
此を機会に御創建から今日迄(まで)の百五十余年の歳月、靖国神社が国民の内面生活に占めて来た意味の消長について更(あらた)めて考へてみた。その結果の要点を紙面の制約上、意を尽くせぬことは承知での上で、以下に切詰めて記す。
招魂社御創建以前の段階、明治元年夏の江戸城西大広間で斎行された幕末・維新前夜の国事殉難者の招魂の祭典での御祭文を始めとし、招魂社仮社殿が落成しての最初の祭典、中日に当る盛大な儀式で奉読された三種の祝詞(のりと)に共通して引用されてゐる重要な古典の語句がある。即ち大伴家持の作で万葉集巻18に収録されてゐる長歌に含まれた<大伴氏言立(ことだて)>である。
これは天平時代、聖武天皇の御代に陸奥国から黄金が献上された慶事を言祝(ことほ)ぐ長歌としてよく知られ愛誦(あいしょう)されてゐる作品なのだが、作者家持は、己の属する大伴氏一族が神代の昔から大君の御門(みかど)の守りを務めて来た誇り高き名門の家柄であると言立してゐる。
そしてその忠実な奉仕の覚悟の程を<海ゆかば水漬(みづ)く屍(かばね)、山ゆかば草生(む)す屍…>との千古不滅の名文句で詠ひ上げてゐる事も、万葉集に拠(よ)るまでもなく国民の誰もがよく知つてゐる話であらう。

お社と皇室との強い結びつき
招魂社御創建時の祝詞の中に多少の字句の異同を伴ひながらもこの名句が反復引用され、且(か)つ草創期には連年その祝詞が使用されてゐたらしい形跡は、このお社と皇室との強い結びつきを語つてゐる。その結びつきは現に例祭に勅使が参向する全国16の勅祭社の一つで、それも春秋2度の例祭に両度とも勅使の御差遣を仰ぐのは靖国神社のみといふ緊密さである。
この様に皇室とその譜代の忠臣との親密な関係を軸として発足した靖国神社は、明治時代に日本が経験した2つの対外戦争、殊に強大国ロシアとの大戦争を経た時には御祭神の数がそれまでの約40年間の柱数の約3倍となつた。謂つてみればこの神社の象徴する<君臣の絆>の臣の層が一挙に厚くなつた。
日露戦争が始まつた年の秋に働き盛りの54歳で歿(ぼっ)した小泉八雲はその絶筆となつた『神国日本』の最終章で、全く予期しなかつた日本軍の強さの根柢にあるのは、死ねば招魂社に永く名を留(とど)める事ができるといふ国民の信仰心である、との観察を記してゐる。
この国民の守護神信仰の熱誠は八雲の証言より三十余年の後、昭和12年夏の支那事変の発生により更に大きな試練を受ける事になる。7月の盧溝橋事件、通州事件、8月の蔣介石による対日抗戦総動員令と続く国難到来の実感に国民の緊張は高まり、次々と出征を命ぜられる兵士達の覚悟も悲愴の色彩を帯びて行つた。
この空気を芸術家特有の敏感を以て感得した信時潔の『海ゆかば』は、個々の局地的戦闘では日本軍の連勝であつた12年10月の作曲・発表であるにも拘(かかわ)らず、何か沈痛の気を湛(たた)へた鎮魂曲の如き響を持つてゐた。そしてこの曲の楽譜に作曲家が自筆を以て<大伴氏言立>と副題を明記してゐたといふ逸事も伝へられてゐる。

絆の健在を証示する国民の志
この名曲を戦時下の国民に贈る時、信時の心底に存したのは、国民共有の記憶が持つ力の源泉としての靖国神社に<君民の絆>としての強力な紐帯(ちゅうたい)の役割を期待する祈願だつた。
翌昭和13年1月の日支和平工作の打切声明以降、動員される兵士達は生還を期する事を望めない覚悟の下、<靖国で会はう>を合言葉として勇躍戦場に向つて行つた。靖国に祀られた暁には天皇陛下も御親拝下さる、といふのが庶民出身の兵士達には望外の栄誉であり、戦場に向ふ身にとつての最上の激励であり慰藉(いしゃ)でもあつた。
皇室は、兵士達との間に交されてあつた暗黙の約束を、昭和20年11月の臨時大招魂祭迄は、連年着実にお守り下さつた。然(しか)しその年12月に占領軍総司令部が神道指令を発出して、この日本国の強さの淵源である<君民の絆>を絶ち切るための宣伝工作を開始した。
斯(か)くて皇室の御尊崇を公けに発現し難くなると、この絆の健在を証示するのは国民の側の役割となる。この役割の交替は交渉や談合を一切必要とせぬ、阿吽(あうん)の呼吸を以て速やかに実現した。即ち昭和21年7月の民間遺族会の発案になる、現在のみたま祭の斎行である。(こぼり けいいちろう)

林外相、比周辺海域の安保で協力 次期副大統領と一致(東京新聞)


【マニラ共同】林芳正外相は29日、フィリピンの首都マニラを訪れ、副大統領に就任するサラ・ドゥテルテ氏を表敬し、フィリピン周辺海域の安全保障協力で一致した。東・南シナ海での武力を背景にした一方的な現状変更の試みに対して両国が連携し、法の支配に基づく海洋秩序の維持・強化を目指す。日本外務省が発表した。
 林氏は30日、マルコス氏の大統領就任宣誓式に岸田文雄首相の特使として出席する。中国の海洋進出をにらみ、米国と同盟関係にあり、戦略的利益を共有するフィリピンを重視する姿勢を強調する。

日米韓首脳会談 3か国の安全保障協力 推進する方針で一致(NHK)


スペインを訪れている岸田総理大臣はアメリカのバイデン大統領、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領との日米韓3か国による首脳会談を行い、核実験など北朝鮮によるさらなる挑発行為が懸念されるとして3か国の安全保障協力を推進していく方針で一致しました。

NATO首脳会議に出席するためスペインのマドリードを訪れている岸田総理大臣は日本時間の29日夜9時半すぎからおよそ20分間、アメリカのバイデン大統領、韓国のユン大統領とおよそ5年ぶりとなる日米韓3か国の首脳会談を行いました。
この中で岸田総理大臣は「核実験を含め北朝鮮によるさらなる挑発行為の可能性が深刻に懸念される。日米同盟、米韓同盟の抑止力を高めることを含め日米韓の連携強化は不可欠だ」と述べました。
そして先に行われた3か国の防衛担当の閣僚による会談で弾道ミサイル発射に対処するための自衛隊とアメリカ軍、韓国軍による共同訓練を再開することで一致したことを歓迎し、核実験が行われた場合にも日米韓で対応していきたいという意向を示しました。
そのうえで地域の抑止力を一層強化することが重要だとして、3か国の安全保障協力を推進していく方針で一致しました。
一方、北朝鮮による拉致問題について岸田総理大臣は即時解決に向けたバイデン大統領とユン大統領の支持に感謝を伝え今後の協力を要請しました。

米バイデン大統領「3か国の協力は不可欠だ」
アメリカのバイデン大統領は首脳会談の冒頭「われわれ3か国の協力は朝鮮半島の完全な非核化と自由で開かれたインド太平洋の実現という共通の目標を達成するために不可欠だ。今後もこの形式での対話を行うことを楽しみにしている」と述べて、日米韓3か国の連携をさらに強化していきたいという考えを示しました。
会談のあとホワイトハウスは声明を発表し「歴史的な3者会談だ。3か国の首脳はインド太平洋、特に増大する北朝鮮の脅威への対応をめぐり3か国の協力を深めていくことについて意見を交わした」と意義を強調しました。
またバイデン大統領は会談の中で「日韓両国の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎない」と強調したということです。
バイデン大統領は核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応などで地域の同盟国である日本と韓国との連携を重視していて、3か国の首脳会談を通じて関係が冷え込んだ日韓関係の改善につなげたいねらいがあるとみられます。

韓国ユン大統領「協力の重要性はさらに大きくなった」
韓国のユン・ソンニョル大統領は首脳会談の冒頭「北の核・ミサイルの脅威が高度化し国際情勢がより不安定になる中、3か国の協力の重要性はさらに大きくなった」と指摘しました。
そのうえで「およそ5年ぶりとなる会談は地域やグローバルな問題を解決するため3か国の協力を強化しようという意志を示すものだ。きょうの会談をきっかけに3か国の協力が世界の平和と安定のための重要な中心軸と位置づけられることを期待している」と述べました。
また韓国大統領府の発表によりますと、会談の中でユン大統領は北朝鮮の挑発には強力に対応していくという考えを示す一方で、北朝鮮を対話のテーブルに戻すために協力していくことを呼びかけたということです。
さらにアメリカが核戦力などで日本や韓国を守る「拡大抑止」の強化や、日米韓の安全保障協力の水準を高めていく方法について3か国で緊密に協議していくことにしたと明らかにしました。

ロシア軍 ウクライナの東部など広範囲で攻撃強める(NHK)


NATO=北大西洋条約機構が首脳会議を開きロシアへの対応について議論を深める中、ロシア軍はウクライナの東部に加え南部や中部など広範囲にわたって攻撃を強めています。一方、ロシアのプーチン大統領は外交攻勢も強めていて欧米側をけん制する思惑があるとみられます。

ロシア軍は完全掌握を目指している東部ルハンシク州のウクライナ側の拠点、リシチャンシクへの攻撃を続けています。
さらにロシア国防省は29日、ロシア空軍が東部のドネツク州やハルキウ州、南部のミコライウ州などでウクライナ軍の指揮所や武器庫への攻撃を行ったと発表しました。
ウクライナの非常事態庁によりますと、南部のミコライウ市では29日朝、5階建ての集合住宅にミサイル攻撃があり、これまでに4人が死亡し、2人がけがをしたということです。
27日には中部ポルタワ州のクレメンチュクにあるショッピングセンターが攻撃を受けるなど、ロシア軍はこのところ東部に加え南部や中部など広範囲にわたって攻撃を強めています。
一方、ウクライナ軍の動きについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は28日「ウクライナ軍は近くリシチャンシクを含めルハンシク州から引きあげる可能性が高い」と分析し、ウクライナ側は部隊をより防御しやすい場所に移動させることでロシア軍の部隊を消耗させようとしているという見方を示しました。

プーチン大統領 外交攻勢強める 欧米側をけん制か
こうした中、ロシアのプーチン大統領は29日、中央アジアのトルクメニスタンを訪れて天然資源が豊富なカスピ海沿岸の5か国の首脳会議に出席し、資源開発や輸送ルートの整備などで協力を深めたい考えを示しました。
欧米を中心にロシア産の天然資源に依存しない「脱ロシア化」の動きがみられる中、プーチン大統領としてはエネルギー分野でのロシアの存在感を示すねらいもあるとみられます。
プーチン大統領は30日には首都モスクワでG20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領と会談する予定です。
NATOが首脳会議を開いてNATOの拡大やロシアへの対応について議論を深める中、プーチン大統領としては外交攻勢も強めていて欧米側をけん制する思惑があるとみられます。

「今は1937年と同じ」 英軍首脳、戦争拡大を警告(時事N)


【ロンドン時事】英国のサンダース陸軍参謀総長は28日、英シンクタンクの王立防衛安全保障研究所(RUSI)での講演で、「われわれは今、1937年と同じ状況にいる」と述べ、ロシアのウクライナ侵攻が大規模な戦争に発展する可能性を警告した。第2次世界大戦は1939年、ドイツのポーランド侵攻で始まった。

 サンダース氏は「われわれはまだ戦争をしていない。しかし、(ロシアの)領土拡張を抑えるのに失敗して戦争に巻き込まれることがないよう、迅速に行動しなければならない」と指摘。さらに「ウクライナ侵攻がどのように終結するかは分からないが、その後のロシアは欧州の安全保障にとってさらに大きな脅威となる」と分析した。

中国論がもたらす日本国内分断 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英(産経:正論)


中国を語るほど、危険なことは日本にない。私は、日本で中国について語る際の危険性は3つある、と認識している。

3方面からの圧力
第一は、日本社会からの圧力である。メディアと学界において、中国について語る際、必ずといっていいほど媚中(びちゅう)派か嫌中派かと勝手に色眼鏡で以(もっ)て判断される。冷静な知中派は歓迎されないし、そう標榜(ひょうぼう)したら「人気」も堕(お)ちるとみられる。こうした雰囲気自体が一種の危険な思想で、平和な風土を破壊する力ともなりつつある。
市民社会でも、語り手について中国が好きか、嫌いか、と求めてくる。あるいは中国を敵視しているか、礼賛しているかを見極めようとする。さらには思想的に中国に近いか、それとも距離を取っているかを観察する。私の場合だと、嫌中派でも媚中派でもなく、単なる知中派だと自認している。
第二は、在日中国人社会からの圧力である。ありのままの中国の実態について客観的に書いても、彼らから批判される。相当数の中国人、それも若い中国人ほど「中華民族の大家庭内のごたごたを他人にばらすな」との立場を取る。そういう中国人は、民主主義国家にいながら、独裁政権の「大家庭」を礼賛し、擁護しているに過ぎない。「実家たる中国」について常に思考停止の状態にある。
彼らの考え方を私のような研究者が変えようと努力しても意味がない。中国で徹底的に洗脳教育を受けてきたからである。もっともモンゴル人やウイグル人、それにチベット人にとって、中国はそもそも祖国ではないし、ジェノサイド(集団殺害)を進めてきた暴力的存在以外の何ものでもない。
第三は、本国中国からの圧力である。およそ清朝末期から維新派の康有為や梁啓超のような知識人、孫文のようなテロリスト、蔣介石や郭沫若のようなチンピラが日本に亡命し、羽休めしながら西洋の思想をかじり、本国に帰っていった。本国もまた彼ら中国人即(すなわ)ち漢人には寛容だった。それほど当時の中国は文字通り、「大人(たいじん)の国」だったし、日本の国士たちも狭い左右両翼の対立を越え、シナに関与していた。しかし、今や逆に中国が日本国内の世論形成に影響を与えている。

政権中枢と社会深層に潜む
今の中国は、あの手この手で中国について語る人たちを黙らせようとする。彼らの巨大なメディアを動員して攻撃する。「日中友好」人士を駆り立てて攻撃する。インターネットでSNSなどをフルに使い攻撃する。すべて民主主義側の制度・法律を武器として用いながら民主主義国にいる専門家を黙らせようとする干渉である。
中国からの攻撃に日本は完全に無策である。したがって中国学の専門家には安全感がない。現に国立大学の研究者が中国に呼ばれて中国の研究機関を訪問した際に拘禁された事件も起こっているではないか。国家としての日本はある意味、無責任にして無能である。
私が安心できない最大の理由は、日本政治の中枢部に正真正銘の媚中派勢力が蔓延(はびこ)っているからだ。2020年秋から内モンゴル自治区でモンゴル語教育が事実上、廃止に追い込まれた。新疆ウイグル自治区では100万人以上のウイグル人が強制収容され、女性は組織的に不妊手術を施されているにもかかわらず、人道上の観点から指摘しようとしない。ジェノサイドを示す膨大な量に上る公文書と数千点もの写真が公開されてもまだ証拠不十分だと強弁する。
こうした政治勢力は確信犯の域を越えて、もはや人道に対する犯罪の幇助(ほうじょ)犯になっている、と指摘しておかねばならない。

一種の形を変えた日本論
人道に対する犯罪者の幇助犯たちが糾弾されず中国の実態について語る専門家に厳しいのが、日本社会の現実である。そういう意味で日本は決して成熟した民主主義国家ではない。むしろ独裁国家中国の属国に堕ちていると理解した方が、諦めがつくかもしれない。
政界だけではない。経済界のブルジョアジーは誰よりも沢山(たくさん)、中国関連本を読んでいるはずだ。にもかかわらず、金(かね)儲(もう)けを優先し、人権には基本的に無関心である。定年してからは一層、中国関連の書物を読んでいるようだが、現場の現役の後輩に有益なアドバイスをしているようには見えない。
日本の読者は安全だ。さまざまな中国論の書物を大量に消費しながらも理解が深まったようには見えない。世界のどこよりも『三国志』『水滸(すいこ)伝』を読んでいるにもかかわらず、中国社会の混沌(こんとん)とした実態をみようとしないで、美化するか貶(けな)すかの中国観しかない。
中国論も実際は中国の文化や歴史に関する体系的な哲学というよりも、一種の形を変えた日本論である。中国を語ることで、日本を語ろうとする。中国を礼賛することで日本を批判するか、さもなければ逆のバージョンになる。そして、この中国論は日本国内の世論の分断をもたらしている。対中認識の不一致は確実に国民の思想的分断をもたらし、国家の存亡に関わる水域に達していると指摘しておきたい。(よう かいえい)

自衛隊ヘルメット「88式鉄帽」、戦闘の最前線で使用…ウクライナ兵「塹壕の中で仲間とかぶる」(読売N)


【キーウ(キエフ)=深沢亮爾】日本政府がウクライナに供与した自衛隊のヘルメット「88式鉄帽」が、ロシア軍との戦闘の最前線で使われていることがわかった。実際に日本のヘルメットを着用して従軍するウクライナ軍兵士が読売新聞の取材に応じ、「遠い日本も支援をしてくれたことで、世界全体が我々を支持してくれていると感じることが出来た」と感謝を口にした。

日本が供与したヘルメットを着用するウクライナ軍兵士のスタニスラブ・ビリイさん(本人提供)
 日本政府は3月、ウクライナ側の要請に応じ、自衛隊の防弾チョッキなどの装備品を供与した。露軍との戦闘が激化するウクライナでは、若い男性の間で軍に志願する動きが広がり、供与した装備品はこうして新たに軍に加わった志願兵などに支給されている模様だ。
 取材に応じたウクライナ軍兵士のスタニスラブ・ビリイさん(30)は、露軍侵攻直後の2月下旬に軍に志願し、翌月、軍施設で日本のヘルメットを受け取った。今は露軍が再び攻勢を強める東部ハルキウ州の最前線で任務に就いており、「砲撃の際に 塹壕ざんごう の中で仲間と日本のヘルメットをかぶり、重宝している」と語った。

自衛隊 英軍共同訓練「円滑化協定」早期署名へ 日英首脳一致(NHK)


岸田総理大臣は、G7サミットに合わせてイギリスのジョンソン首相と会談し、自衛隊とイギリス軍が共同訓練を行う際などの対応を定める「日英円滑化協定」の早期署名に向けた作業を進めていくことなどで一致しました。
また、イギリス政府が原発事故のあと続けてきた福島県産食品などの輸入規制措置を29日から撤廃する方針を決めたことに謝意を示しました。
会談は、日本時間の午後4時からおよそ30分間行われました。
冒頭、岸田総理大臣は、イギリス政府が原発事故のあと続けてきた福島県産食品などの輸入規制措置を29日から撤廃する方針を決めたことに謝意を示しました。
そして、岸田総理大臣は、日本の海上自衛隊の練習艦隊が先週、イギリスに寄港したことを踏まえ両国で安全保障上の協力を促進する考えを伝えました。
そのうえで両首脳は、自衛隊とイギリス軍が共同訓練を行う際などの対応を定める「日英円滑化協定」の早期署名に向けて作業を進めていくことで一致しました。
さらに、航空自衛隊の次期戦闘機の開発に関する協力の協議を加速することで一致しました。
また、ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、食料やエネルギー分野の課題などにG7=主要7か国が連携して対処し、影響を受けている国々を支援していくことを確認したほか、中国を念頭に力による一方的な現状変更は認められないという認識を共有しました。

このあと、岸田総理大臣はEU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長と会談し、軍事侵攻を続けるロシアに対する強力な制裁やウクライナへの支援を継続することで一致しました。
そのうえで、インド太平洋地域についても力による現状変更は認められないという認識で一致しました。
また、岸田総理大臣は、EUによる日本産食品の輸入規制を早期に撤廃するよう求めました。

G7声明 ロシアを強く非難 中国念頭に東シナ海などの状況に懸念(NHK)


28日に閉幕したG7サミット=主要7か国首脳会議は首脳声明を発表し、軍事侵攻を続けるロシアを厳しく非難するとともに、ウクライナへの支援に結束して取り組む姿勢を打ち出しました。

また、声明では、中国が軍事活動を活発化させる東シナ海などの状況に深い懸念が示されたほか、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮への厳しい非難も盛り込まれました。
ドイツ南部のエルマウで今月26日から3日間の日程で開かれていたG7サミットは、日本時間の29日夜閉幕し、先ほど一連の会議の成果文書である首脳声明が発表されました。
この中で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「違法で不当な侵略だ」と厳しく非難するとともに「われわれはウクライナの側に立ち、必要な財政的、人道的、そして軍事的支援を提供していく」として、G7としてウクライナ支援に結束して取り組む姿勢を打ち出しました。
そのうえで「ウクライナの防衛を支援し、自由で民主的な未来を確保するため、関係国や関係機関と調整する用意がある」として、ウクライナの将来的な安全保障の強化に向け、支援する方針を示しました。
一方、ロシア産のエネルギーへの依存度を下げる「脱ロシア」については「妥協することなく取り組んでいく」としましたが、アメリカ政府の高官が合意が近いという見通しを示していたロシア産の石油に対する上限価格の設定については「今後模索していく」という表現にとどまり、合意には至りませんでした。

また、声明では、東シナ海と南シナ海の状況について「深い懸念を示す」としたうえで「力や威圧によって現状変更しようという、いかなる一方的な試みにも強く反対する」として、周辺で軍事活動を活発化させる中国を念頭にけん制しました。
そして台湾情勢について「われわれは台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、平和的な解決を呼びかける」としました。
さらに中国に対しては「ロシアに軍事侵攻を停止し、ただちに、かつ、無条件でウクライナから部隊を撤収させるよう圧力をかけることを求める」とロシアに軍事侵攻の停止に向け働きかけるよう呼びかけるとともに「中国の人権状況を深く懸念している。新疆ウイグル自治区での強制労働はわれわれにとって重大な懸念だ」として、中国の人権状況に重ねて懸念を示しました。
声明では、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮について「強く非難する」としたうえで「違法な大量破壊兵器と弾道ミサイル開発計画を破棄するよう求める」として、核・ミサイル開発を放棄するよう強く求めるとともに、非核化に向け対話のテーブルに着くよう呼びかけました。
このほか気候変動対策をめぐり「われわれは開かれた、協力的な気候クラブの目標を支持し、2022年末までの設立に向け友好国などと連携する」として国際的な枠組みを立ち上げ、対策を加速させる姿勢を強調しました。

露大統領、G20参加へ 議長国インドネシアが招待(産経N)


ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は27日、プーチン大統領が11月にインドネシア・バリ島で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)への招待を受け入れたと述べた。対面での出席を考えているとしている。インタファクス通信が伝えた。
ウシャコフ氏は記者団に、議長国インドネシアのジョコ大統領からの招待を受け取ったとし「参加するつもりだと回答した」と述べた。(共同)

梅雨明け猛暑 「命を守る」意識で対策を(産経:社説)


気象庁は27日、九州南部と東海、関東甲信地方が梅雨明けしたとみられると発表した。
関東甲信と東海の梅雨明けは平年より22日も早く、梅雨明け前から連日の猛暑となっている。群馬県伊勢崎市では25日の最高気温が40・2度まで上がり、6月としては観測史上初の40度超えとなった。
これから梅雨明けを迎える地域も含め、平年以上に厳しい暑さが続く可能性がある。「災害級」もしくは「命にかかわる」ほどの猛烈な暑さを想定し、熱中症予防に万全を期したい。

「梅雨明け十日」と呼ばれるこの時季は、日本列島が太平洋高気圧に広く覆われ、一気に暑さが本格化する。近年は夏の暑さが厳しさを増す傾向にある上に、今年は異例の早さで到来した。この時季に体が順応できる気温と実際の暑さのギャップが、今年はいつもの夏以上に大きいことを、頭に入れておく必要があるだろう。
「暑さをしのぐ」という感覚ではなく「命を守る」という意識を一人一人が持って、梅雨明けの猛暑を乗り切りたい。
熱中症は高温多湿の環境で水分と塩分のバランスが崩れ、体温調節機能が急激に低下することによって発症する。水分と塩分をこまめに補給し、睡眠と休養を十分にとって体調を維持することが予防の基本だ。
気温の上昇に体の調節機能が追いつかない場合は、冷房の使用をためらうべきではない。体温調節機能が低い高齢者や乳幼児がいる家庭はもちろん、一般の成人や若者も熱中症リスクを軽視しないことが大事だ。

一方、経済産業省は東京電力管内に「電力需給逼迫(ひっぱく)注意報」を発令し、節電を呼びかけた。冷房以外での節電や、日中は冷房が効いた公共施設や商業施設を活用する「避暑」など、節電と熱中症予防の両立策をもっと具体的に示すべきであろう。
猛暑、酷暑のリスクは今年に限った問題ではない。
たとえば、原則無観客開催となった東京五輪で、観客を守るために検討された屋外でのミスト噴霧や壁面緑化などの対策は、都市部の炎熱対策として効果が期待できるのではないか。
国民の命と生活を守るために、厳しい暑さにも耐えられる街づくりを、推進すべきである。

G7首脳、ウクライナ支援・対露制裁継続を表明…ゼレンスキー氏「数か月以内」決着へ軍事支援要請(読売N)


【エルマウ(ドイツ南部)=池田慶太、山内竜介】ドイツ南部エルマウでの先進7か国首脳会議(G7サミット)は27日午前(日本時間27日午後)、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がオンラインで出席し、ロシアによるウクライナ侵攻への対応を協議した。G7はウクライナ支援と対露制裁を必要な限り続けると明記した首脳声明を発表した。

ロシア軍の侵攻総司令官、ジドコ氏に交代か…人望ないドボルニコフ氏は更迭
 ゼレンスキー氏は岸田首相やバイデン米大統領らが出席したサミット2日目のウクライナ支援をめぐる議論に参加し、東部戦線でロシアと激しい戦闘が続いている現状を説明した。
 欧米メディアが各国政府高官の話として伝えたところによると、ゼレンスキー氏はロシア軍との消耗戦はウクライナ国民の利益にならないとして、「数か月以内」での決着に向けた軍事支援の強化を要請した。ロシアと交渉する可能性についても言及したが、「今はその時ではない」とし、戦況で優位に立つ必要があると訴えた。
 ウクライナ大統領府によると、ロシア軍が東部戦線から離れた首都キーウ(キエフ)などの大都市へのミサイル攻撃を強めていることを受け、ゼレンスキー氏は最新の防空ミサイルシステムの供与を求めた。要請を受け、米国は追加軍事支援として供与する方針を伝えた。
 ゼレンスキー氏はロシアの将来の侵略を抑止するため、ウクライナの「安全を保証」する国際合意を関係国や機関と結ぶよう求めた。G7は首脳声明で安全の保証について「用意がある」と明記した。
 ウクライナ支援に関するG7首脳声明は「財政、人道、軍事、外交的な支援を引き続き提供し、必要な限りウクライナと共にある」と強調した。軍事支援に関しては、「ウクライナの緊急の要求を満たすための取り組みを調整する」と記した。
 軍事侵攻を続けるロシアと侵攻を支援しているベラルーシを強く非難し、無条件での即時停戦とウクライナ領内からの軍撤収を要求した。核兵器や生物、化学兵器の使用をちらつかせるロシアに「責任ある行動と自制を求める」とし、ロシアが核兵器搭載可能なミサイルをベラルーシに配備する可能性を示したことへの「深刻な懸念」を表明した。
 ロシアによる黒海封鎖が招いた世界的な食料危機の責任はロシアが負うと非難し、封鎖解除を求めた。ウクライナの穀物を略奪して輸出したロシア関係者に制裁を科す方針も表明。ロシアからの輸入品に課した関税措置で得られた収入をウクライナ支援に充てることも掲げた。
 対露制裁の継続については、「エネルギー依存を減らす適切な措置をとり、ロシアの輸出収入をさらに減少させる」と強調した。G7各国は、ゼレンスキー氏が会談で求めた追加の対露制裁として、ロシア産石油の取引価格への上限設定導入で最終調整に入った。

「電力需給ひっ迫注意報」東京電力管内で28日も継続 政府(NHK)


東京電力の管内では厳しい暑さが続いている影響で28日も電力需給が厳しくなる見通しだとして政府は「電力需給ひっ迫注意報」を継続します。熱中症に十分注意して冷房などを適切に使用しながら、できるかぎりの節電を求めています。
関東地方では厳しい暑さが続いていることから政府は、東京電力の管内に初めて「電力需給ひっ迫注意報」を発令し、27日には家庭や企業にできるかぎりの節電を呼びかけました。

東京電力によりますと、27日は節電の効果とみられる需要減少やほかの電力会社からの電力融通などによって供給が増え、ひっ迫は回避されました。
関東地方は梅雨明けが発表され、28日も各地で厳しい暑さが見込まれるため、政府は東京電力の管内で「電力需給ひっ迫注意報」を継続します。
午後3時から午後6時まで、特に午後4時から午後5時の時間帯は電力需給が厳しいとして熱中症に十分注意し、冷房などを適切に使用しながらできるかぎりの節電を求めています。
厳しい状況を受けて東京電力が出資する火力発電事業者JERAは、今週金曜日の7月1日に運転再開予定だった千葉県の火力発電所を29日に前倒ししますが、28日は間に合いません。

東京電力によりますと、歴史的な暑さが続くなかで、28日も電力需要はこの時期としてはまれな高水準になると見込んでいます。
電力会社の想定より気温が1度上がるだけで150万キロワット程度需要が増えるということで気温の推移をにらみながら厳しい電力需給が続きそうです。
また29日は北海道電力、東北電力、東京電力のそれぞれの管内で電力供給の余力を示す「予備率」が5%を下回る可能性があるとして、電力3社は新たに設けられた「電力需給ひっ迫準備情報」を28日、初めて出しました。
各社は29日に向けて家庭や企業に対して、節電の準備を進めるよう求めています。

ロシア軍 ミサイル攻撃でG7けん制 プーチン大統領 外国訪問へ(NHK)


ロシア軍は、ウクライナの首都キーウなど各地にミサイル攻撃を繰り返し、ウクライナへの軍事支援について話し合われているG7サミット=主要7か国首脳会議へのけん制を強めています。さらにプーチン大統領は、28日から軍事侵攻後初めてとなる外国訪問を行う予定で、旧ソビエトの友好国との結束を確認し欧米に対抗したい狙いとみられます。

ロシア国防省は27日、ウクライナ東部ルハンシク州で州内最後の拠点とされるリシチャンシクの周辺を攻撃したほか、東部のドネツク州やハルキウ州それに南部のミコライウ州でもミサイル攻撃を行ったと発表しました。
また、26日には首都キーウの兵器の工場を攻撃したと発表したほかウクライナ政府によりますと、27日には中部のポルタワ州でもショッピングセンターが攻撃され、民間人の犠牲者が出ています。
キーウなどに対する攻撃についてウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアは国際的な行事があるたびに攻撃をエスカレートさせている」と述べ、ウクライナへの軍事支援について話し合われているG7サミットに対して、ロシアがけん制を強めていると非難しました。

プーチン大統領 軍事侵攻開始以来の外国訪問へ
プーチン大統領は、G7サミットへの対抗とも受け取れる動きを見せています。
28日には、ロシアとともにBRICS=新興5か国と呼ばれるブラジルのボルソナロ大統領と電話で会談しました。
ロシア大統領府によりますと、会談の主要な議題のひとつは食料安全保障で、プーチン大統領は、欧米の制裁が、食料や肥料の円滑な供給を妨げていると批判した上で、ロシアは農業大国のブラジルに途切れなく肥料を供給すると強調したということです。
さらにプーチン大統領は、ことし2月に軍事侵攻を始めて以来初めてとなる外国訪問を行う予定で、28日には中央アジアのタジキスタンで首脳会談に臨みます。
続く29日には、石油や天然ガスが豊富なカスピ海沿岸のトルクメニスタンを訪れ、イランやアゼルバイジャンなど沿岸5か国の首脳会議に出席し、ロシアが勢力圏と見なす旧ソビエトの友好国や、中東のイランとの結束を確認したい思惑とみられます。
また30日には、G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領とモスクワで会談する予定で、ロシア大統領府は、ことし11月のG20首脳会議にプーチン大統領が対面で出席する意向を27日に明らかにしました。
現在、ドイツで開かれているG7サミットの閉幕後、29日からはスペインでNATO=北大西洋条約機構の首脳会議が始まることから、プーチン大統領としては、外交攻勢に乗り出すことで、友好国との結束を確認し、欧米に対抗したい狙いがあるとみられます。

「主権は存続」と強調 米長官、プーチン氏失敗(産経N)


ブリンケン米国務長官は26日放送のCNNテレビで、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領の戦略的目標は失敗しており「主権を持ち独立しているウクライナは存在し続ける」と強調した。一方、東部ではロシアの侵攻とウクライナ軍の反撃で激しい戦いが続いているとの認識を示した。

ブリンケン氏は、プーチン氏の戦略的目標は、ウクライナの主権と独立を奪って地図上から消し去り、ロシアに組み込むことだったと指摘。プーチン氏が「実現しようとしたことは成功しない」と述べた。
さらに、プーチン氏は、北大西洋条約機構(NATO)を分裂させようとしているとした上で、スペインで開幕するNATO首脳会議で同盟国は結束を示すと強調した。(共同)

エネルギー論戦 安定供給の具体策示せ 節電では危機を乗り切れぬ(産経:社説)


参院選の論戦が本格化する中で、原発・エネルギー政策が大きな争点として浮上している。
経済産業省は26日、猛暑に伴って東京電力管内の27日夕の電力需給が逼迫(ひっぱく)し、供給予備率が5%を下回る見通しとなったとして、節電を呼びかける「需給逼迫注意報」を初めて発令した。
こうした電力不足を打開するには、原発の再稼働などで電力供給を増強する必要がある。今回の選挙戦では自民党だけでなく、野党の日本維新の会や国民民主党も「安全性を確認した原発の再稼働を進める」との公約を掲げた。
暮らしと産業を支える電力の安定供給を確保するため、その具体的な手順も示すべきだ。

「原発の活用」実行せよ
21日の公開党首討論会で、厳しい電力需給への対応を問われた岸田文雄首相(自民党総裁)は、「今後しっかりと考えていかないとならない」と語り、企業や家庭に省エネを促す考えを示した。これではあまりに危機感が乏しいと言わざるを得ない。
政府は節電した家庭にポイントを付与したり、事業者の節電分を買い取ったりするなどの仕組みを設け、政府として補助する構えだ。世界的なエネルギー価格の高騰で家庭や企業の電気料金はこの1年で大きく値上がりしている。節電すれば、その分だけ料金負担を軽減できる。
ただ、こうした節電では直面する電力危機は乗り越えられず、電力不足の根本的な解決にもつながらない。現在の電力不足は原発再稼働の大幅な遅れに加え、電力自由化や脱炭素を背景に火力発電所の休廃止が進んだのが原因だ。原発活用や火力発電に対する安定投資を通じ、電力供給を着実に増やさなければ、厳しい需給逼迫を改善できないのは明白である。
しかし、各党の公約からは明確な処方箋が見えない。国内33基の原発のうち、安全審査に合格して再稼働に至ったのは10基にとどまり、足元で稼働しているのは4基にすぎない。自民が訴えるような「原発の最大限の活用」を果たしているとは到底言えない。
そうした原発の再稼働の遅れは、原子力規制委員会の安全審査の長期化が大きく影響している。原発は発電過程で温室効果ガスを排出しない脱炭素電源としてだけでなく、安定電源としても活用できる。岸田首相も「審査の効率化が必要」としており、今後の論戦で審査の効率化や迅速化に向けた取り組みを明示してほしい。
一方で、立憲民主党などは脱炭素を訴え、再生可能エネルギーの拡大を強調している。これではわが国の電力不足は一向に解消できず、電力の安定供給も実現できない。立民は節電に依存するような脆(ぜい)弱(じゃく)な電力供給体制を容認するつもりか。有権者は各党の政策を冷静に見極める必要がある。
立民などは「原発に依存しない社会を目指す」と脱原発も掲げている。原発や火力発電に代えて太陽光などの再生エネの拡大を唱えるが、今年3月に東日本で初めて電力需給逼迫警報が発令された際には、悪天候で太陽光発電は機能しなかった。そうした場合の電力をどう確保するかなどの具体的な対策も提示すべきだ。

冬の厳しい需給直視を
政府の電力需給見通しによると、来年1~2月の東京電力管内の供給予備率はマイナスとなり、夏以上に厳しい電力不足が見込まれる。冬場に電気が使えなくなれば、国民の生命や健康に影響が出かねない。現在の日本は、そうした厳しい電力危機を迎えているとの認識が不可欠だ。
ロシアのウクライナ侵略に伴い、世界ではエネルギー安全保障の取り組みが加速している。とくにわが国は海外からの資源輸入に依存している。こうした中で日本を含む先進7カ国(G7)は、ロシア産の石油と石炭の禁輸を決めた。今後は液化天然ガス(LNG)への波及も必至だ。非常時に備えて調達先のさらなる多様化も急ぐ必要がある。
参院選は、地球温暖化防止に向けた脱炭素に偏重したエネルギー政策を見直す好機である。エネルギー安全保障やコストを含めた多角的な視点で、バランスの取れた電源構成を確保することが何より欠かせない。
そのためには今の電力危機に向き合い、有権者受けを狙う理想論ばかりを唱える政党の公約を厳しく精査しなければならない。

侵攻・コロナ禍、生活直撃 参院選100人アンケート(東京新聞)


参院選(7月10日投開票)を前に、共同通信が全国の有権者100人にアンケートを実施したところ、ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス禍により、経済的影響を感じていると回答した人が85人に上ったことが26日分かった。相次ぐ値上げや今も続く外出控えなどが生活を直撃していることが浮き彫りになった。
 また、侵攻開始後、戦争放棄などを定めた憲法9条の改正について考えに変化があったかどうかを聞くと、23人が「改正すべきだという考えに変わった」と回答した。
 アンケートは6月9~20日、共同通信が全国の10~80代の男女100人に取材して回答を得た。

G7 日独首脳会談 ヨーロッパとインド太平洋の安全保障で一致(NHK)


G7サミット=主要7か国首脳会議に出席するためドイツを訪れている岸田総理大臣はショルツ首相と首脳会談を行い、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は不可分だという認識で一致し、ウクライナ情勢への対応などで引き続き協力していくことを確認しました。

岸田総理大臣は、日本時間の26日夜11時半すぎから、G7サミットのことしの議長国を務めるドイツのショルツ首相と会談し、ウクライナ情勢をはじめ、気候変動やエネルギーなど今回のサミットで扱う諸課題について意見を交わしました。
ロシアの軍事侵攻が長期化し、中国がロシアに配慮する姿勢を示す中、両首脳は、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は不可分だという認識で一致し、ウクライナ情勢への対応や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて引き続き協力していくことを確認しました。
また、日本とドイツの首脳が参加する新たな政府間協議や、外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」の開催に向けて調整を進め、両国の安全保障協力をさらに強化していくことを確認しました。
そして、来年、広島で開くG7サミットなどに向けて連携していくことでも一致しました。

フランス マクロン大統領とも会談
また岸田総理大臣は、日本時間の27日午前1時前からおよそ40分間、フランスのマクロン大統領と会談しました。
岸田総理大臣が、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は不可分であり、フランスのインド太平洋への関与の継続・強化に期待を示したのに対し、マクロン大統領は、安全保障や経済などさまざまな分野で両国の協力を強化していきたいという認識を示しました。

「脱炭素」からの修正を迫られるドイツ
ヨーロッパ最大の経済大国ドイツでは、輸入する天然ガスのうち55%をロシア産が占めていましたが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻のあと、ロシアへの依存から脱却する取り組みが始まっています。
ドイツでは、ロシア最大の政府系ガス会社が、今月中旬、ドイツ向けの主要なパイプライン「ノルドストリーム」を通じて供給する天然ガスの量を大幅に減らすと発表したあと、ロシアからの供給量が60%ほど減少し、警戒感が高まっています。
このためドイツ政府は、暖房の使用で需要が増える冬場に向けた十分な量のガスの貯蔵が必要だとして、今月23日、ガスの供給の緊急事態に備える警戒レベルを3段階のうち上から2番目に引き上げると発表しました。
ドイツ政府は、国民や企業に対してガスの節約に協力するよう呼びかけているほか、ガスの消費を抑えるため、一時的に、石炭火力発電所を稼働させて必要なエネルギーを補う方針も明らかにしました。
ドイツは、脱炭素社会の実現を目指して石炭の利用からの脱却を強く訴えてきましたが、ロシアからのガスの供給の先行きに不透明感が増す中、これまでとは逆行する対応を迫られる事態に追い込まれた形です。
エネルギー政策を担当するハーベック経済・気候保護相は会見で「ロシアはエネルギーを武器にドイツに攻撃を加えている」と強く非難するとともに、石炭火力発電の拡大は、国民と経済を守る措置だとして理解を求めました。
ただ、ハーベック氏は、環境政策を重視する「緑の党」の前党首でもあるため、経済団体のイベントに出席した際に、今回の措置について「二酸化炭素の排出を増やすことになるので極めて不愉快だ」と述べ、不本意な対応を迫られた胸の内を明かしました。
市民からは「石炭の利用拡大はよくないが、ロシアの恐喝にも屈してはならない」などと、脱炭素に逆行したとしても、ウクライナを支援するためにロシアを制裁で封じ込めるべきだといった意見や、「こうなることは、あらかじめわかっていたことであり、軍事侵攻の前からロシアへの依存を減らすべきだった」などと、これまでの政策を批判する意見が聞かれました。

【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(27日の動き)(NHK)


ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 中央アジアへ ウクライナ侵攻後初の外国訪問
国営ロシアテレビの番組「モスクワ・クレムリン・プーチン」は26日、プーチン大統領が今週、中央アジアのタジキスタンとトルクメニスタンを訪問する予定だと伝えました。
プーチン大統領が外国を訪問するのはことし2月に行われた北京オリンピックにあわせて中国を訪れて以来で、ウクライナへの軍事侵攻を開始してから初めてです。
このうちトルクメニスタンでは、豊富な天然資源があると言われるカスピ海沿岸のアゼルバイジャンやイランなど5か国の首脳会議に出席するとしていて、世界的にエネルギー価格が上昇する中天然ガスが豊富なロシアとしては存在感を示したいものとみられます。
またプーチン大統領は勢力圏ととらえる旧ソビエトの国々を訪問することで引き締めを図りウクライナ情勢をめぐり対立を深める欧米をけん制するねらいがあるものとみられます。

G7会場近く ウクライナ出身者ら さらなる支援を訴え
G7サミット=主要7か国首脳会議の会場に近いドイツ南部の街では、26日、ドイツに住むウクライナ出身の人や、ロシアの軍事侵攻後に逃れてきた人たちが、G7各国の首脳へさらなる支援を訴える集会を開きました。
街の中心部で開かれた集会にはおよそ400人が参加し、それぞれ「戦争を止めて」とか「ウクライナ人の命を救って」などと書かれたプラカードを掲げていました。
参加した多くの人は、ウクライナがロシアの攻勢にさらされるなかG7に強力な兵器の供与を求めていて、ドイツに住むウクライナ出身の男性は「ウクライナでは毎日、多くの兵士、それに市民が犠牲になっている。ウクライナには勇敢な兵士がいるが戦うための武器が必要だ」と話していました。
また、同じくドイツに住む20代の女性は「私たちウクライナ人は生き続けたいのに、ロシアはそれを許さない。ウクライナは武器がなければ生きていけない」と話し、軍事支援の強化を訴えていました。

キーウへの攻撃 G7をけん制するねらいか
ロシア軍が首都キーウを攻撃したことについて、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は26日、「これはプーチン一味によるG7へのメッセージだ。『私は、キーウの中心部、君たちの大使館のすぐ近くにミサイルを撃っている。それで君たちはどうする?ルーブルでガスの代金を支払うのを拒むか?われわれの石油、穀物、金属はいらないか?』と、さげすんだ態度でロシアの指導者は問うているのだ」とツイッターに投稿し、ロシアへの圧力強化などを巡ってドイツで首脳会議を開いているG7=主要7か国をけん制するねらいがあるという見方を示しました。

「敵に命中」 ウクライナ軍、ハイマースを「実戦使用」 米が供与(産経N)


ウクライナ軍は東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクから撤退し、隣接するリシチャンスクを拠点に態勢の立て直しを図る。米シンクタンクの戦争研究所は24日、ウクライナ軍が同市の高台を拠点に抗戦すればロシア軍を撃退することができると分析。一方で、ウクライナ軍が同市の本拠地を脅かされれば、同市から撤退する可能性もあるとした。
ウクライナ軍のザルジニー総司令官は25日、米国が供与した高機動ロケット砲システム「ハイマース」を実戦使用し「敵に命中させた」とフェイスブックで明らかにした。米欧が支援する武器を活用しロシア軍を押し返す考えだ。
ロシア国防省報道官は24日、ロシア側部隊がリシチャンスクの南方に到達し、市を封鎖したと発表。これに対し、ルガンスク州知事は25日、ロシア軍が市近郊へ空爆を続け、市を南方から包囲しようとしていると通信アプリに投稿した。(共同)

国際貢献の努力を重ねたい: PKO法30年(朝雲:時の焦点)


国際社会の平和と安定に協力することは、日本の信頼を高め、国益の確保につながる。自衛隊は蓄積した経験を生かし、積極的に貢献することが重要だ。
 自衛隊の本格的な海外派遣に道を開いた国連平和維持活動(PKO)協力法が、1992年6月15日の成立から、30年を迎えた。
 協力法に基づき、日本はカンボジアや東ティモール、ハイチ、南スーダンのPKOなど29の活動に、延べ1万2500人以上を派遣した。物資協力も30件にのぼる。
 紛争後の国づくりに携わった自衛隊員の規律正しい仕事ぶりは、国際社会に高く評価されている。活動に従事した要員に感謝したい。
 岸田首相は6月10日、シンガポールで行われたアジア安全保障会議で、「国際社会が前回、大きな転換期を迎えたのは30年前だ」と述べ、協力法の成立当時を振り返った。日本は、国連PKO予算の8%を負担し、米国、中国に次ぐ財政支援を行っている。国際秩序の維持に向け、日本の果たす役割を広げねばならない。
 日本は現在、南スーダンのPKOとエジプト・シナイ半島の多国籍軍監視団に、それぞれ司令部要員を派遣している。航空自衛隊は、ウクライナ難民向けの救援物資をポーランドなどに輸送している。
 PKOへの部隊派遣は、2017年に南スーダンから撤収したのを最後に途絶えている。PKOの主流が、治安維持が難しい地域での住民保護など危険度が高い活動に移っているためだ。部隊派遣は主に途上国が担っている。
 日本は、国連や派遣国と協力し、要員の訓練などを行う「国連三角パートナーシップ・プログラム」に資金を出し、工兵訓練や医療救護などを指導している。派遣国の技術や能力を高めるため、取り組みを強化することが大切だ。

 PKO協力法の制定は、1991年の湾岸戦争がきっかけだった。日本が米国主導の多国籍軍に巨額の支援を行ったにもかかわらず、人的な貢献がないことが内外の批判を浴びた。
 停戦後にペルシャ湾に機雷掃海の部隊を送り、さらに法整備の機運が高まった。
 内閣府の世論調査では、PKOなどへの参加に肯定的な回答をした人は、1994年は59%だったが、2021年は84%に達した。国民の支持は定着したと言えるだろう。
 自衛隊の海外派遣を巡っては、2007年にテロ対策特別措置法が参院第1党の旧民主党の反対で失効し、海上自衛隊によるインド洋での給油活動が中断を余儀なくされたことがある。
 政局を優先した議論は、国際社会には通用しない。これからも幅広い活動を展開してもらいたい。
 夏川 明雄(政治評論家)

ウクライナ 「欧州の一員」へ踏み出した(読売:社説)


ロシアの侵略を受けているウクライナが、欧州に迎えられる一歩を踏み出した。しかし、欧州連合(EU)加盟を実現するには、いくつもの課題を解決しなければならない。

 EUが首脳会議で、ウクライナとその隣国モルドバをEUの「加盟候補国」として承認した。
 ウクライナが加盟を申請したのは、ロシアの侵略開始直後の2月末、モルドバは3月だ。候補国の承認手続きは通常、数年かかる。特例扱いのスピード承認は、両国に対するEUの連帯と支援を示す象徴的なメッセージと言える。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は「歴史的で特別な瞬間だ。ウクライナの未来はEUの中にある」との声明を出した。ロシアと戦っている国民を勇気づける効果は大きいだろう。
 ただ、実際に加盟を実現するには、民主主義や人権、法の支配を保障する安定した制度を持つことや、市場経済が機能していることなど、EUが求める基準を満たさねばならない。
 ウクライナは汚職体質を長く批判されてきた。様々な改革を進めて、本格的な加盟交渉の開始にたどり着くだけでも、数年はかかるとみられている。戦禍から復興し、EU内で競争できる経済力を備えるのも容易ではあるまい。
 EUは今回、ウクライナへの最大90億ユーロ(約1兆2800億円)の財政支援や、穀物輸出ルートの確保を後押しすることを決めた。安定した支援を継続して実施できるよう、EU各国が結束を維持することが重要である。
 侵略の長期化に伴い、対露外交や停戦のあり方を巡り、EU内で意見の違いが露呈している。

 ドイツやフランスは、プーチン露大統領を過度に追い込むべきではないとし、対話を通じて早期停戦を図る姿勢が目立っている。
 一方、ロシアに近接する東欧のポーランドやバルト3国などは、安易な停戦はロシアの支配地域拡大を既成事実化し、さらなる侵略につながりかねないとして警鐘を鳴らしている。
 プーチン氏にこうした温度差につけ込まれることがないよう、関係国は調整を進めるべきだ。
 今月のフランス下院選では、極右と急進左派がマクロン政権への不満票を集めて躍進し、与党は過半数を維持できなかった。
 侵略と対露制裁に伴う物価上昇は各国共通の課題だ。エネルギーの代替輸入先の確保や低所得層への支援策などを通じ、国民への打撃を緩和しなければならない。

岸田首相 G7サミットへ出発「G7の結束示す機会に」(NHK)


岸田総理大臣はG7サミット=主要7か国首脳会議などに出席するため、26日未明ドイツに向けて出発しました。
これに先立って、岸田総理大臣はロシアによるウクライナへの軍事侵攻や物価高騰などの課題でG7の結束を示す機会にしたいという考えを示しました。
岸田総理大臣は日本時間の26日からドイツで開かれるG7サミット、そしてスペインで開かれるNATO=北大西洋条約機構の首脳会議に出席するため、午前0時すぎ羽田空港を政府専用機で出発しました。

これに先立って岸田総理大臣は昨夜、総理大臣公邸で記者団に対し「世界が歴史の岐路に立つ中、ロシアによるウクライナ侵略への対応に加え、物価対策を含む世界経済、インド太平洋などの地域情勢、気候変動といった課題について率直に議論を行いG7の結束を示す機会にしたい」と述べました。
また「日本の総理大臣として初めてNATOの首脳会議に出席する。この機会を捉えてNATOとの連携を新たなステージに引き上げたい」と述べました。
さらに、国政選挙が行われている中での外国出張について「いままさに世界の国際秩序が揺るがされている状況の中で重大な会議が開かれている時に、もちろん選挙は大事だが日本の国益のために会議に参加する意味は大変大きい」と述べました。
一方、岸田総理大臣は同じくNATOの会議に出席する韓国のユン・ソンニョル大統領との首脳会談を行うかどうか問われたのに対し「現在、会談は予定されていない。これまでの日本の一貫した立場に基づいて、この会談についてどうするか考えていきたい」と述べました。

ウクライナ東部 セベロドネツクがロシア軍の支配下に(NHK)


ウクライナ東部のルハンシク州で激しい攻防が続いてきたセベロドネツクの市長は街が完全にロシア軍の支配下に置かれたことを認め、ロシア国防省も街を掌握したと発表しました。ウクライナ側は隣接する都市に拠点を移し、抵抗を続ける構えです。

ウクライナ東部では、ルハンシク州の完全掌握を目指すロシア軍がウクライナ側が拠点とするセベロドネツクと、川を挟んで隣接するリシチャンシクに対して3か月以上にわたり攻勢を強めてきました。
ウクライナの通信社によりますとセベロドネツクのストリュク市長は25日「街は完全にロシア軍の支配下に置かれた。1日も早く、ウクライナ軍が奪還することを期待している」と述べ、撤退を認めました。
一方で、ストリュク市長は「ウクライナ軍は撤退したことでロシア軍に包囲されなかった。リシチャンシクは地理的に守られている」と述べ、ウクライナ側としては、戦闘で有利な高台に位置するリシチャンシクに拠点を移し、抵抗を続ける構えです。
これに対してロシア国防省のコナシェンコフ報道官も25日、セベロドネツクを完全に掌握したと発表しました。
また、ロシア側はリシチャンシクに南方から部隊を進め、25日には市街戦が始まったと主張しており、攻防の激化が予想されます。

ウクライナ軍「初めてベラルーシの領空から空爆された」と指摘
またウクライナ東部ではルハンシク州の隣のドネツク州でも戦闘が激しくなり、ロシア国防省は25日、ドネツク州をミサイルで攻撃し装甲車などを破壊したと発表しました。
さらに25日には、北部や西部の各地でも複数のミサイル攻撃が確認され、北西部の都市ジトーミルのスホムリン市長は航空機がベラルーシの方向から侵入しミサイル24発を発射したとしています。
このほか、ウクライナの北部を管轄する軍の司令部によりますと、北部のチェルニヒウ州でも合わせて20発のミサイル攻撃が確認され、一部はベラルーシの方向から侵入した航空機が発射したということです。
ウクライナ軍の情報機関はロシア軍の爆撃機が攻撃したという見方を示したうえで「初めてベラルーシの領空からウクライナが空爆された」と指摘し、同盟関係にあるロシアとベラルーシをそれぞれ非難しました。

習氏の側近・王氏が公安相に 治安部門を全面掌握(産経N)


【北京=三塚聖平】中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は24日、公安相に王小洪(おう・しょうこう)氏を起用する人事を決めたと発表した。王氏は、習近平国家主席の福建省勤務時代からの側近として信頼を置かれており、今秋に開かれる共産党大会に向けて習氏が党内外ににらみをきかせるための人事とみられる。

王氏は昨年11月に公安省内の党組織のトップに任命されていた。今回、閣僚ポストにも就くことで、公安部門を全面的に掌握することになる。
王氏は、習氏が福建省福州市党委書記を務めていた1990年代に、同市公安局副局長などとして仕えた。習指導部発足後には、首都の治安トップである北京市公安局長に起用され、2016年から公安次官を務めていた。
公安・司法部門をめぐっては20年以降、孫力軍(そん・りきぐん)元公安次官や傅政華(ふ・せいか)前司法相ら有力幹部の摘発が続いている。同部門は、党・政府高官の個人情報を握っており、絶大な権力を持つ
習氏は、敵対する政治勢力の幹部を反腐敗キャンペーンで失脚させるなどして党内基盤を固めているが、自身の総書記3期目入りを目指す党大会に向けてわずかなリスクも排除しようと、公安・司法部門の統制を強化していると指摘されている。

世界食料危機 「プーチン飢饉」許されぬ(産経社説)


ロシアによる侵略でウクライナからの穀物輸出が滞り、小麦などの食料価格が世界的に高騰している。国連のグテレス事務総長は「前例のない飢餓と貧困の波を引き起こす恐れがある」と警鐘を鳴らしている。

ロシア軍は、穀物の保管や輸送を担う倉庫、鉄道などを破壊してきた。ウクライナ最大の輸出拠点である黒海沿岸の港湾も攻撃し、船舶の出入りを阻んでいる。ウクライナのものであるにもかかわらず、占領地の穀物を奪っているという報道もある。
ロシアのプーチン大統領は、世界へ流通させるべき食料を、戦争に勝つための「武器」と心得ているようだ。非道な行為には強い憤りを覚える。
ウクライナとロシアは有数の穀物輸出国で、両国で小麦輸出量は世界の約3割、トウモロコシ輸出量は約2割を占める。両国産穀物への依存度の高い中東、アフリカの国々にとって、事態は深刻だ。国連によると、イエメンでは年末までに人口の6割強にあたる1900万人が飢餓に直面する。
プーチン氏は、食料危機は「新型コロナウイルス感染拡大で始まったもので軍事作戦は無関係だ」などとうそぶいている。新興5カ国(BRICS)関連のビデオ会合では、食料価格の世界的高騰は「対露経済制裁のせい」と米欧に責任を押し付けた。食料供給の条件として対露制裁解除を要求するなど独善的姿勢を改めない。

ウクライナのゼレンスキー大統領が「ロシアはアフリカを人質に取っている」と非難したのはもっともだ。
飢饉(ききん)になりかねない世界的な食料危機はひとえにプーチン氏に責任がある。国際社会は連帯し、手立てを講じなければならない。
ウクライナには2000万トン以上の穀物が滞留しているとされる。陸路による輸出は、隣国のポーランドやルーマニアとの間で鉄道レールの幅が異なるなどの理由から一気には進まない。
黒海から地中海へ抜ける安全な海上輸送ルートを確保しなければならないが、ロシア海軍の存在が立ちはだかっている。
近くドイツで開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)などでも食料危機への対応は主要テーマとなる。先進国が先頭に立ち、途上国、貧困国を支援するメカニズムを構築する必要がある。

核禁条約会議 理想と現実の溝をどう埋める(読売:社説)


ウクライナを侵略したロシアは、核兵器使用の脅しをかけて、力による領土拡大を図っている。この厳しい現実と核廃絶の理想の溝を埋める手立てを考えねばならない。

 核兵器の開発、保有、使用、威嚇などを包括的に禁じる核兵器禁止条約の初の締約国会議がウィーンで開かれた。条約は昨年発効し、60か国以上が批准している。
 米英仏中露の核保有国は参加せず、規定には縛られない。条約は核の抑止力としての役割も否定しているため、米国の「核の傘」の下で安全保障を図る日本や欧州の同盟国も参加していない。
 核兵器が現実の世界において大国間戦争を防ぐ機能を果たしていることに目を向ける必要がある。ウクライナ危機で、米露が直接の軍事衝突を避けているのも、両国が破滅的な核戦争につながる危険を認識しているためだろう。
 スウェーデンとフィンランドは軍事的中立を転換し、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を進めている。ロシアの脅威から自国を守るには、NATOの「核の傘」が有効だとする判断からだ。
 締約国会議では条約参加を呼びかける文書が採択されたが、こうした現実を無視していては、かけ声倒れに終わるのではないか。
 NATO加盟国のドイツは会議にオブザーバー参加する一方、日本は見送った。
 ドイツは自国内にある米国の核兵器を有事に使用できる「核共有」制度を持っている。核抑止体制に直接関与しているため、核禁条約支持と誤解される余地はない。
 日本は核を持たず、米国の核戦力に依存している。核禁条約に前向きの印象を与えれば、日米の核抑止体制の信頼性を損ないかねない。参加見送りは妥当だ。
 中露は核兵器の増産や改良を進め、米英仏は対抗して核抑止力の強化に動いている。スウェーデンの研究機関は今月発表した報告書で、世界の核弾頭数は今後10年間で増加に転じると予測した。
 核保有国と非保有国が協力し、核軍拡に歯止めをかけるための枠組みは、世界191か国・地域が締約している核拡散防止条約(NPT)しかない。NPTは米英仏中露に核兵器保有を認める一方、核軍縮交渉も義務づけている。
 岸田首相は8月のNPT再検討会議に日本の首相として初めて出席する方針だ。核の非人道性と、核が安全保障に果たす役割の双方を深く知る立場から、核軍縮推進に向けて各国をつなぐメッセージを発してほしい。

日米が 「拡大抑止」重要性を確認 事務レベル協議(NHK)

アメリカの核戦力などで日本を守る「拡大抑止」をめぐり、日米両政府の担当者が協議し、バイデン政権の新たな核戦略の指針について意見を交わしたうえで「拡大抑止」の重要性を改めて確認しました。

先月の日米首脳会談では、アメリカの核戦力などで日本を守る「拡大抑止」について、両国間の協議を通じて強化していくことを確認しました。
これを受けて外務・防衛当局の事務レベルによる「日米拡大抑止協議」が、アメリカで現地時間の今月21日から2日間行われ、日本からは外務省の金井北米局参事官と防衛省の大和防衛政策局次長が出席しました。
協議ではバイデン政権の新たな核戦略の指針となる「核態勢の見直し」に基づき、核兵器の現状の能力や政策について意見を交わしたうえで「拡大抑止」の重要性を改めて確認しました。
また、一行は核ミサイルを搭載可能なアメリカの原子力潜水艦「メリーランド」を視察しました。
協議は2010年以降、定期的に開かれていて、今回は去年4月にテレビ会議形式で行われて以来、およそ1年ぶりです。

ウクライナ侵攻4か月 終結への道筋見えず 今後のシナリオは(NHK)


ウクライナ東部ルハンシク州の知事は、ロシア軍との激しい攻防が続いてきたウクライナ側の拠点、セベロドネツクからウクライナ軍の部隊が撤退すると明らかにしました。
一方、これまでの戦闘でロシア側の損失も大きいことから、ウクライナ側は、欧米から供与される兵器を使って攻勢に転じる構えで、戦闘の終結に向けた道筋は見えない状況です。
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから、24日で4か月がたちます。
ロシア軍は、東部2州のうちルハンシク州の完全掌握を目指し、ウクライナ側が拠点とするセベロドネツクや、隣のリシチャンシクに、重点的に戦力を投入してきました。
ロシア国防省は24日、▽過去5日間で、周辺の地域を相次いで掌握し▽セベロドネツクの南方では、ウクライナ側の兵士およそ2000人を包囲していると発表しました。
ルハンシク州のハイダイ知事は24日、地元メディアに対して「残念ながら、ウクライナ軍はセベロドネツクから撤退せざるを得ない」と述べ、防衛にあたってきた部隊が別の拠点に移動することを明らかにしました。
そして、セベロドネツクの隣のリシチャンシクにもロシア軍の部隊が向かっていると危機感を示しました。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は23日、2つの都市をめぐる攻防でのロシア軍の優位を認めたうえで「ウクライナ軍は、ロシア軍の侵攻を遅らせ、部隊に打撃を与えるという基本的な目標を達成している」と分析しています。
そのうえで「ロシア軍の攻撃は、今後数週間、停滞し、ウクライナ軍に反撃の機会を与える可能性が高い。セベロドネツクを失うことは、ウクライナにとって損失だが、この戦いはロシアの決定的な勝利にはならないだろう」と指摘し、今後も一進一退の攻防が続くという見通しを示しました。
またイギリス国防省は24日の分析で、▽ロシア空軍が、戦闘に参加する軍用機の乗組員として退役軍人を搭乗させたと、兵員不足を指摘しました。
さらに▽軍用機のパイロットが、軍用ではなく商業用のGPS装置を使っていたとみられるとして、ロシア軍の装備品の課題も指摘しています。
東部での劣勢が伝えられるなか、ウクライナのレズニコフ国防相は23日、射程が長く、精密な攻撃が可能な高機動ロケット砲システム=ハイマースがアメリカから届いたことを明らかにするとともに、欧米の軍事支援を弾みに攻勢に転じる構えを示しました。
ハイマースについては23日、アメリカ国防総省が、4基を追加供与すると発表していて、合わせて8基が供与されることになります。
ウクライナでは、ロシア軍とウクライナ軍双方の兵士の犠牲や兵器の損失が拡大し続ける消耗戦となっていて、戦闘の終結に向けた道筋は全く見えない状況です。

米シンクタンクが示す今後の「3つのシナリオ」
アメリカのシンクタンク「アトランティック・カウンシル」は、先月末、戦況によって状況が変化するため断定はできないと前置きしたうえで、今後考えられる展開について3つのシナリオを提示しました。

シナリオ1.「ウクライナは徐々に追い込まれていく」
ロシアは、ウクライナ東部から、すでに併合している南部クリミアにつながる陸続きの地域の支配を強めていく。
そして、南部の港湾都市オデーサを壊滅させるか封鎖することで、ウクライナを海に面することのない内陸に封じ込める。
プーチン大統領は、ウクライナ全土でインフラ施設への攻撃を続け、南部と東部の一部を併合するとともに、ロシア国内においては、反戦などの世論を抑えて一方的に勝利宣言をする。
プーチン大統領は、来年の早い時期に停戦を呼びかけるものの、和平に向けて合意する用意はない。
プーチン大統領は、モルドバにつながる地域など、将来的にはより広い範囲の土地を得たいと望んでいる。
来年になっても、NATOの加盟国は、領土を取り戻そうとするウクライナへの軍事支援を続ける。
しかし、来年の後半までには、経済的な負担や難民への対応、それに核攻撃のリスクを含めた緊迫の高まりへの懸念から、欧米側の合意や結束にほころびが生じ、このうち、ドイツとフランスが中心となって和平に向けた交渉を働きかけることになる。

シナリオ2.「ロシアは戦果を得ることができない」
東部ドンバス地域などで反撃が成功するなど、ウクライナ軍の戦術によって、ロシア軍は、来年の初めまでに軍事侵攻を開始した2月24日以前の支配地域にまで押し戻される。
しかし、ロシア側の強固な守りに阻まれ、ウクライナ側がさらに前進することまでは難しい。
プーチン大統領は、経済の崩壊などに対する国民の不満の高まりに直面し、ウクライナとの和平合意の締結に向けた圧力にさらされる。
来年初めごろから、世界的な経済危機を理由に、トルコ、カタール、インドが調停者として停戦を強く求める。
一方、ヨーロッパの指導者も外交的な枠組みを求め始めるようになる。
フランスのマクロン大統領は、解決策を見いだすため、中国の習近平国家主席とともに協議を呼びかける。
協議の枠組みは、ウクライナをはじめ、ロシアを含む国連安全保障理事会の常任理事国5か国に、ドイツを加えたもの。
中国は、プーチン大統領の計画を損なうようなことはしたくないが、経済上の理由からもほかに選択の余地はない。

シナリオ3.「ウクライナがほぼすべてを取り戻す」
ウクライナへの欧米の軍事支援が、大幅に増加するのに対して、ロシア軍は、兵士たちの士気がうせるとともに制裁によって軍の装備品などが補給できなくなることで、クリミアを除いてウクライナからの完全な撤退を余儀なくされる。
これによって、ウクライナは、クリミア奪還に向けた準備を始める。
欧米の軍事支援を止めるため、ロシアによる核を使った報復のリスクが高まる。
そして、ウクライナが攻撃を開始し、フランスと中国による仲介が失敗することで、第3次世界大戦の可能性が一気に高まることになる。
プーチン氏は、再選を目指す大統領選挙の1年前にあたる来年半ばごろ、国民の怒りによって権力を維持することが脅かされることになる。
隣に「巨大な北朝鮮」が現れることを恐れるヨーロッパは、ロシアがエネルギー収入などで得た一部を賠償金としてウクライナの復興基金に充てる見返りとして制裁緩和のための模索を始める。
これらのシナリオを発表した「アトランティック・カウンシル」は、次に戦場で何が起きるかによって現在、こう着状態にある戦闘が最終的にロシアとウクライナのどちらに有利になるのかが決まるとしています。
では、現在の戦況はどうなっているのか。
防衛省防衛研究所の兵頭慎治政策研究部長は、「東部のセベロドネツクなど局所的にロシアが優勢だという見方ができたとしても、今後、ロシア軍が東部2州の完全制圧を短期間で達成するのは難しい。一方でウクライナ軍も、ロシア軍が支配している地域を大幅に奪還することは難しく、ロシア側もウクライナ側もみずからの支配地域を大きく変更することができない状況にある」と話しています。
そのうえで、今後の鍵を握るとみられる欧米からウクライナへの軍事支援について、「今後いつまで、そして、どの程度の兵器を供給し続けるのかということに関して、各国の間で温度差が見られつつある。背景にはウクライナへの『支援疲れ』のようなものがあるのではないか」と指摘しました。

欧米各国の立場 対応の違い浮き彫りに
ロシアとウクライナの停戦に向けた交渉が中断したまま進展が見られない中、ウクライナ情勢をめぐっては、欧米各国の立場や対応の違いが浮き彫りになっており、今後の展開は依然として見えにくい状況が続いています。
このうちアメリカは、バイデン大統領が、先月21日、ウクライナへの兵器の供与や人道支援などを強化するため、およそ400億ドル、日本円にして5兆円余りの追加の予算案に署名し法律が成立しました。
アメリカは、軍事面では、▽携帯型の地対空ミサイル「スティンガー」や、▽対戦車ミサイル「ジャベリン」などを供与してきましたが、ウクライナが求める長距離ミサイルの供与には慎重で、ロシアを過度に刺激したくないという思惑もあるとみられます。
イギリスは、ジョンソン首相が今月17日、ウクライナの首都キーウを訪問してゼレンスキー大統領と会談し、その後の記者会見で「ウクライナの人々がプーチン大統領とは妥協できないことはよく理解できる」と述べ、財政面や軍事面での支援が引き続き必要だと強調しました。
フランスは、マクロン大統領が、今月3日に伝えられたフランスの新聞のインタビューで「ロシアに屈辱を与えてはならない。外交的な手段で出口を作ることができなくなるからだ」と述べました。
この発言は、停戦交渉でフランスが仲介役を担うためにもロシアのプーチン大統領と対話ができる関係を維持したいという考えを示したものでしたが、ウクライナ側の強い反発を招く結果となりました。
ドイツは、ショルツ首相が、先月13日、プーチン大統領と電話で会談し、一刻も早く停戦を実現し外交による解決を模索するよう促したほか、先月28日には、マクロン大統領とともにプーチン大統領との3者による電話会談を行いました。
この会談についてドイツ側は、ショルツ首相とマクロン大統領は、プーチン大統領にゼレンスキー大統領との直接交渉を呼びかけたとしています。
ただ、ロシアと対話するフランスとドイツの首脳については、ポーランドのドゥダ大統領が、今月8日、ドイツメディアとのインタビューの中で「第2次世界大戦の最中に、ナチス・ドイツを率いるヒトラーと電話でやり取りするのと同じだ」と批判しました。
このほか、ロシアと地理的に近いバルト3国は、今回の軍事侵攻に危機感を強めており、このうちリトアニアでは、先月10日、議会がロシアの軍事侵攻を「ウクライナ人に対する集団虐殺」だとする決議案を全会一致で採択しました。
一方、ロシアへの制裁をめぐっては、EU=ヨーロッパ連合が、先月30日の首脳会議で、ロシア産の石油の輸入禁止で合意しましたが、ハンガリーが自国のエネルギー確保が脅かされるとして強く反発し、パイプラインによる輸入については、当面除外されることになりました。
このように、ウクライナ情勢をめぐっては、欧米各国の立場や対応の違いが浮き彫りになっており、今後の展開は依然として見えにくい状況が続いています。

各国表明のウクライナ支援総額
各国が表明したウクライナに対する軍事支援や人道支援などを含む支援の額について、ドイツの「キール世界経済研究所」が、ことし1月から今月7日までの総額をまとめ、今月16日に発表しました。
それによりますと、▽総額は780億ユーロ、日本円でおよそ11兆円となっていて、▽このうちアメリカは、もっとも多い426億ユーロ、日本円でおよそ6兆円で、全体の半分以上を占めています。
次いで、▽EU=ヨーロッパ連合は155億ユーロ、日本円でおよそ2兆2000億円、▽イギリスは48億ユーロ、日本円でおよそ6800億円、▽ドイツは32億ユーロ、日本円でおよそ4500億円、▽ポーランドは27億ユーロ、日本円でおよそ3800億円などとなっています。
また、支援額が各国のGDP=国内総生産に占める割合については、多い順に、▽エストニアが0.87%、▽ラトビアが0.73%、▽ポーランドが0.49%、▽リトアニアが0.31%などとなっていて、ロシアに地理的に近く、歴史的にもロシアを脅威と捉えてきた国々が上位を占めています。
これについては、ヨーロッパの主要国であるドイツやフランスは、いずれも0.1%未満となっています。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐってヨーロッパ各国の国内世論には違いも見られます。
ヨーロッパの調査研究機関「欧州外交評議会」が、ことし4月下旬から先月中旬にかけてヨーロッパの10か国で、合わせて8000人を対象に調査を行いました。
調査では、▽「たとえ領土をロシアに渡すことになったとしても、もっとも大事なのは可能なかぎり早く停戦することだ」という回答を選択した人たちを「和平派」としています。
一方、▽「たとえさらに多くのウクライナ人が殺されたり、避難を余儀なくされたりしても、もっとも大事なのは侵攻したロシアを罰することだ」という回答を選択した人たちを「正義派」としています。
調査結果をみると、▽「和平派」が35%なのに対し、▽「正義派」が22%、▽「どちらとも言えない」が20%となりました。
国別に「和平派」と「正義派」の割合をみると、▽イタリアは52%と16%、▽ドイツは49%と19%、▽ルーマニアは42%と23%、▽フランスは41%と20%などと、調査が行われた10か国のうち9か国で「和平派」が「正義派」を上回っていることがわかりました。
一方、▽ポーランドだけは、逆の傾向を示して16%と41%となっており、「正義派」が「和平派」を上回る結果となりました。

専門家「各国の立場に一定の違い 対ロ圧力では結束」
ウクライナ情勢をめぐる欧米各国の対応について、国際安全保障に詳しい慶應義塾大学の鶴岡路人准教授は、各国の立場には一定の違いはあるものの、経済制裁などでロシアに対して圧力をかけていく点では結束していると分析しています。
このうち、ヨーロッパの中でもロシアと地理的に近い場所に位置するポーランドやバルト3国については「ロシアを負けさせるべきだという主張を非常に強く打ち出している」として、ロシアに最も厳しい姿勢で臨んでいる立場だと分析しています。
背景として鶴岡氏は「これらの国々は、侵略戦争によってロシア側にも得るものがあったという結末になってしまうと、ロシアは再び侵略すると考えている。その場合、次に侵略される対象が自分たちの国になると真剣に考えている」と指摘しています。
また、同じヨーロッパでも、ドイツとフランスについては「ロシアの脅威に対する差し迫った切迫感はない。ロシアを排除して孤立させても、中長期的にはヨーロッパの安全は保障できないと考えている」として、ロシアとの対話を重視する立場だと位置づけています。
アメリカについては「ヨーロッパ各国の中で、ロシアに厳しい姿勢の国と甘い対応だと言われる国との中間に位置している」と分析しています。
そのうえで「バイデン大統領が『ウクライナに関する決定をウクライナ抜きで行うことはない』と繰り返し強調しており、この原則は非常に重要だ」と述べ、ウクライナとの合意形成に基づく支援を行う姿勢を維持していると指摘しています。
欧米各国の対応について、鶴岡氏は「いつも『足並みが乱れている』と指摘されるヨーロッパ各国だが、今回は足並みが極めてそろっている。アメリカとヨーロッパの間でも高いレベルで結束できている」として、各国の立場には一定の違いはあるものの、経済制裁などでロシアに対して圧力をかけていく点では結束していると分析しています。
一方、今後の見通しについては「ウクライナにとっては、領土内のロシア軍を押し返すことがいまの戦争の目的であり、それが勝利だ。ロシアが勝ったという形にしてはならないというのが国際社会の一致した考えだ」と述べています。
鶴岡氏は、戦闘の長期化が世界各国の政治経済にも影響すると指摘しています。
今月19日に行われたフランスの議会下院にあたる国民議会の選挙で、与党連合の議席が過半数を下回る結果となったことについて「ウクライナ情勢を受けた物価高騰に対応しきれなかった政府への不満が背景にあると言える」と分析しています。
そのうえで「ロシアにとって『物価高騰の責任は欧米各国の経済制裁にある』と主張することは、ほぼ唯一残された手段となっている」と指摘しました。

バイデン政権 ウクライナ支援強化しながら国内対応の課題
ロシアによる軍事侵攻から4か月を迎える中、アメリカのバイデン政権は、ウクライナへの軍事支援を一段と強化しています。
一方、アメリカ国内では、秋の中間選挙まで5か月を切り、国民のウクライナへの関心は薄れつつあり、バイデン大統領は、ウクライナ危機に対応しながら、選挙を見据え、インフレ対策など国民の暮らし向きを目に見える形で改善させるという大きな課題に直面しています。
アメリカのバイデン政権は、ウクライナ東部地域でロシア軍が攻勢を強めていることを受けて、軍事支援を一段と強化し、これまでに、▽対艦ミサイル「ハープーン」や▽高機動ロケット砲システム=ハイマースなどの兵器の供与を発表しました。
国務省によりますと、ウクライナへの軍事支援額は、ことし2月のロシアの侵攻以降、61億ドル以上、日本円にして8200億円以上に上ります。
さらに、バイデン政権は、軍事侵攻の長期化も見据え、多国間の枠組みでの支援にも力を入れています。
これまでに、NATO=北大西洋条約機構の加盟国などが参加する国際会合を3回、主催し、今月15日の会合では、ドイツが多連装ロケットシステムを供与する方針を示すなど、ヨーロッパ各国からの武器の供与の旗振り役も担っています。
一方、アメリカ国内ではことし11月の中間選挙まで5か月を切る中、バイデン大統領の支持率は、世論調査の平均値で、40%を下回り、就任以降、最も低い水準に低迷しています。
さらに、アメリカ国民のウクライナへの関心は薄れつつあります。
調査会社イプソスが行っている世論調査によりますと、「アメリカが直面する最も重要な問題は何か」という質問に対し、「戦争と外国の紛争」と答えた人の割合は、侵攻直後のことし3月上旬は、「経済、失業、雇用」と答えた人の割合に次いで多い17%だったのに対し、3か月後の今月は、3%でした。
これに対し、今月、「経済、失業、雇用」と答えた人の割合は最も多い32%で、国民の関心は目の前の生活へと移っていることがわかります。
その大きな原因の1つがアメリカ国内で続く記録的なインフレです。
先月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて8.6%の上昇と、およそ40年ぶりの記録的な水準に達しました。
バイデン大統領は今月10日、「プーチン氏による値上げがアメリカに打撃を与えている」と述べ、インフレの原因は軍事侵攻を続けるロシアだと非難し「物価を下げるためであれば、できることは何でもする」としています。
バイデン大統領は、車社会のアメリカに欠かせないガソリンの価格の上昇に歯止めをかけようと、石油大手のエクソンモービルなど7社にみずから書簡を送り、速やかに供給を増やすよう求めました。
また、来月中旬には、これまで人権問題などで関係が冷え込んでいた産油国、サウジアラビアを訪問すると発表しました。
バイデン大統領としては原油の増産を促すことで、ガソリン価格の抑制につなげたい考えです。
さらに、トランプ前政権が中国からの輸入品に課した関税の一部引き下げを検討していることも認めています。
こうしたあの手この手のインフレ対策の背景には、11月の中間選挙で、与党・民主党が敗れれば、残り2年間、議会の協力を得られず、思うように政策遂行ができないいわゆる「レームダック」に陥ることがあります。
バイデン大統領は、長期化しつつあるウクライナ危機に対応しながら、国内では選挙を見据え、国民の暮らし向きを目に見える形で改善させるという大きな課題に直面しています。

米 専門家「バイデン政権 選挙に向け国内問題に注力か」
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから4か月となる中、アメリカの専門家からは国民の関心が記録的なインフレなど身近な問題に移りつつあり、バイデン政権は、秋の中間選挙に向け、一段と国内問題に力を入れることになるとの見方が出ています。
アメリカ政治が専門のオハイオ州、ヤングスタウン州立大学のポール・スラシック教授は、NHKのインタビューの中でウクライナ情勢について「アメリカでは、ここまで長期化すると考えられていなかったことに加え、アメリカが直接、ウクライナに軍を派遣していないこともあり、人々の関心がやや薄れつつある」と述べ、国民の関心がインフレなど身近な問題に移りつつあるという見方を示しました。
そして「バイデン政権がいま行おうとしているのは、ガソリン価格の高騰はロシアのせいだと非難することで、インフレなどの経済問題とウクライナでの戦争を結び付けることだ」とし、「選挙が近づくにつれて、一段と、国内問題に焦点を当てていくことになるだろう」と述べ、バイデン政権は支持率の低迷に悩む中、投票まで5か月を切った中間選挙に向けて、今後、一層、内政に重きを置くようになると指摘しました。
また、このことがアメリカの戦略に与える影響について、スラシック教授は「アメリカはウクライナに対し、400億ドルの巨額の支援を行うとしているが今後、大きな資金的援助が難しくなってくる可能性がある。特に野党・共和党の候補者の中には、国内で財源が必要なときにそうした資金を提供することに疑問を投げかける人がいる」と述べました。
そのうえで「問題は、ウクライナが死活的に必要だとする武器を提供するため、アメリカがどれだけ進んで資金を投入し続けるかだ」と述べ、中間選挙が近づくなか、戦闘の長期化はアメリカの軍事支援のあり方に影響を与える可能性があるという見方を示しました。

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