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首相ウクライナ訪問で茂木氏「安全確保は当然」国会事前承認は不要(産経N)


自民党の茂木敏充幹事長は27日の記者会見で、岸田文雄首相が模索するウクライナ訪問に関し、国会の事前承認は不要との認識を示した。「ウクライナは激しい戦闘状況が続いている。安全面の確保や不測の事態の対応に十分な配慮が必要なのは当然だ」と述べた。「首相が現地を視察し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行うことは有意義だ」と重ねて語った。
首相を含む閣僚が国会開会中に海外訪問する際は事前承認を得るのが慣例となっている。ただ、渡航の日程などが明らかになり安全確保が難しくなるとの指摘が出ている。
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一人一人が「安全保障」の思考を 麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男(産経:正論)


戦争しないために備える
40年前のことである。米国に留学中、隣家の主婦に「米国の安全保障」について質問したことがある。内容はともかく、滔々(とうとう)と自説を述べる姿に感動した。帰国後、近所の主婦に「日本の防衛」について質問したら「反対」と返ってきた。その落差に大変失望したことを覚えている。
ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮の核・ミサイル、中国の力を振りかざした権威主義的動向などにより、日本人の意識にも徐々に変化がみられる。だが相変わらず「平和」という言葉は乱用気味で、それを確保する具体策になると口を閉ざす。先日テレビで「平和のためには、いくら税金をつぎ込んでもいいが、ミサイルにつぎ込むというのはチョットねえ…」とコメンテーターが語っていた。あなたの言う「平和のため」の具体策とは何?と聞きたくもなる。
誰しも戦争より平和が良いに決まっている。だが「平和」をいくら叫んでも「戦争反対」を連呼しても、平和は得られない。平和は得るものではなく、努力して獲得するものである。「汝(なんじ)、平和を欲すれば戦争に備えよ」と戦略家は語っている。昨年、安全保障関連3文書改定に向けた有識者会議でメディア出身の委員が「戦わないために戦える備えを常に維持することだ」と述べた。さすが有識者と感心したが、現役記者時代に主張してもらいたかった。

退官の日の思い
国防や安全保障は本来逆説的なものである。懸念される事態に万全の態勢で準備しておけば、そのような事態は発生しにくくなる。それが抑止力であり、平和を獲得する最良の方策である。筆者はこれを信じ、戦闘機操縦者として人生の半分を国防にささげた。退官の日、厳しい訓練で磨いた技を使う機会がなくて良かったと心底思った。何事もないことの大切さ。「我が汗、無駄なれ」と今日も訓練に汗している後輩達がいる。理解し応援してやってもらいたい。
周辺がきな臭くなっている。この期に及んで、憲法9条を守ってさえいれば、平和が維持できるという人がいる。日本が戦争を放棄しても、戦争が日本を放棄しない。最悪に備えて抑止力を高めなければ、台湾有事は起こりうる。台湾有事が起きれば、戦争の惨禍は南西諸島に及ぶ。だが南西諸島にはとどまらないだろう。戦争は一旦起こると、取り返しのつかない悲惨な状況となる。ウクライナを見るまでもない。戦争抑止のために、あらゆるリソースを突っ込む方がよほど安価で安全である。
戦後、大学から「軍事」や「戦略」などの講座が消えた。軍事や国防をタブー視することが「平和国家」だとする「空気」が未(いま)だに蔓延(まんえん)している。学者が集う日本学術会議が軍事研究を行わないことを標榜(ひょうぼう)している悪影響は大きい。
防衛省が実施する安全保障技術研究推進制度(先進的技術の基礎研究を公募する制度)には異を唱えながら、中国に招聘(しょうへい)されたら、人民解放軍傘下の国防7大学で研究を実施する。中国軍なら良くて、防衛省ならなぜダメなのか。学問に国境はないという。だが学者には祖国があるはずだ。そもそも日本で軍事研究をすれば、日本が再び侵略戦争をするとでも本当に思っているのだろうか。象牙の塔に籠もっていないで、広く国際情勢に目を見開いてはどうか。
戦争中、悲惨な体験をし、戦後には住む家もなく、ひもじい思いをした先人達が「戦争」「軍事」などの言葉を聞くと、条件反射的に「反対」と思考停止するのを理解できないわけではない。だが見たくない戦争から目を背けず、戦争を未然に防止すべく国際社会と連携し、時には血を流す覚悟も持たなければ平和は勝ち取れない。

平和を維持するための基本
米軍の友人が日本の思考を「オストリッチ・ファッション」と揶揄(やゆ)していた。オストリッチ、つまりダチョウは危機が迫ると穴に首を突っ込む習性があるという。真実に向き合わず、無知ゆえの安心の上に成り立っている虚妄の平和を享受する。安全保障をワシントンに丸投げできたからこその日本の得意技だった。頼みの綱の米国も相対的な力の低下は否めない。
昨年10月、米国は国家安全保障戦略で「統合抑止力」という概念を打ち出した。「われわれは軍事力近代化と国内の民主主義強化に取り組む。同盟国もその種の能力に投資することや、抑止力を高めるのに必要な計画の立案に着手することなどによって、同じく行動するよう求める」と。もう米国だけに任せず、同盟国も手伝ってくれという米国の悲鳴である。もはや米国に丸投げして安逸をむさぼることはできなくなった。
「戦争のことを考えなければ平和が続く」といった愚昧さから、そろそろ目を覚まさねばならない。国家の安全保障とは、つまるところ国民一人一人が真剣に国の行く末を考えることである。考えたくないことを考える。最も起こってほしくないことを考える。これが安全保障の基本である。平和を維持するためにも、この基本に立ち返ろうではないか。(おりた くにお)

中国の「和平案」 まずロシアに撤退を求めよ(読売:社説)


中国が本気でウクライナ危機の解決を目指すというのなら、まずロシアに軍部隊の撤退を求めるのが筋である。それがなくては、国際社会の理解は得られまい。

 ロシアのウクライナ侵略から1年に合わせ、中国が自国の立場を示す文書を発表した。
 主権と領土の一体性の尊重や、停戦の実現、和平交渉の開始など12項目を提案し、一見すると、「和平案」と受け取れる内容だ。ロシアが核の威嚇を続ける中で、核兵器使用や原子力発電所への攻撃に反対する立場も明記した。
 中国はこれまで、侵略を批判せず、ロシア産原油の輸入拡大などでロシアを支えてきた。一方で、事態が長期化すれば、経済の回復や欧州との関係改善が遅れることにもなるため、早期収拾が望ましいという事情もある。
 今回の提案は、中国が中立的で、和平に積極的だとの印象を国際社会に広く植え付けようという戦術に見える。
 問題は、和平案が停戦を実現するための具体策に言及していないことだ。露軍がウクライナから撤退することなしに、停戦や交渉を促すことは、結果的にロシアの支配を正当化することになる。

 習近平国家主席はこの1年でロシアのプーチン大統領と4回会談しているが、ウクライナのゼレンスキー大統領との対話は行っていない。ウクライナ側の主張に直接耳を傾けずに、どうやって和平を達成するというのか。
 米国は、中国がロシアに、これまで自制してきた殺傷力のある武器の提供を検討しているとして、強い懸念を示した。中国企業がロシアとの間で、自爆型無人機の売却や製造支援を交渉しているとも報じられている。
 中国が、ロシアの早期の勝利を導くために、武器支援という一線を越えようとしているとすれば、危険極まりない。
 支援に踏み切れば、中国はロシアによる主権と領土の侵害に直接加担することになる。国際社会の対中圧力強化によって孤立が深まるのは確実だ。ロシアに武器を提供する意思がないというなら、明確に表明すべきではないか。
 プーチン氏は、中国高官との会談で、習氏のロシア訪問を待ち望んでいると強調した。侵略の泥沼化を受けて、中国依存が強まっていることの表れである。
 中国のロシアへの影響力は増大した。習氏はこの状態を踏まえ、和平への道は露軍撤退しかないことをプーチン氏に説くべきだ。

米の巡航ミサイル“トマホーク” 岸田首相「400発取得の予定」(NHK)


「反撃能力」の行使に向けて政府が取得するとしているアメリカの巡航ミサイル「トマホーク」について、岸田総理大臣は、400発を取得する予定だと明らかにしました。
政府は、敵のミサイル基地などをたたく「反撃能力」を行使するため、敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」としてアメリカの巡航ミサイル「トマホーク」を取得する方針で、新年度予算案に2113億円を計上しています。

岸田総理大臣は27日の衆議院予算委員会で、立憲民主党から「トマホーク」を取得する予定の数を問われたのに対し、「400発を予定している」と明らかにしました。
その上で「自衛隊が保有するミサイルの弾数や単価は継戦能力が明らかになることなどから公表していないが、トマホークに関しては大変関心が高いことや、アメリカの議会プロセスの一環として売却の可能性がある最大数量が公表されることから示すことにした」と説明しました。
また、浜田防衛大臣は衆議院予算委員会の理事会で、与党側が「最大で400発」と説明したことについて、「取得予定は400発だが、アメリカ側の説明では『最大400発』ということだ」と述べました。
一方、立憲民主党が求めていた「反撃能力」を行使する具体的な事例について、政府は「具体的にいかなるケースでいかなる対応をとるかを明らかにすることは、国の安全を害するおそれがあることから、安全保障上控えるべきであり、事例を示すことは困難だ」とする見解を示しました。

米海軍哨戒機 台湾海峡の上空を飛行 中国軍は非難(NHK)


アメリカ海軍のP8A哨戒機1機が27日、台湾海峡の上空を飛行しました。
アメリカ海軍第7艦隊と台湾国防部が発表したもので、このうち第7艦隊は「国際法にのっとった行動であり、自由で開かれたインド太平洋に対するアメリカの関与を示すものだ」としています。
中国軍で台湾方面などを管轄する東部戦区の報道官は、この哨戒機の台湾海峡上空での行動を「すべて監視し、把握していた」と主張した上で「アメリカの行為は台湾海峡の平和と安定を脅かすものであり、われわれは断固反対する」と非難しました。

中国の対ロシア武器提供に警告 米高官、無人機や弾薬か(産経N)


サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は26日放映のABCテレビで、ウクライナに侵攻を続けるロシアへの中国の武器提供疑惑に関し「(中国は)まだ検討対象から外していない」との見方を示した。欧州の同盟国と共に、実行すれば「大変な過ち」になると中国に警告していると述べた。

CNNテレビは複数の米情報筋の話として、中国がロシアに提供を検討しているのは無人機と弾薬だと報道。侵攻開始以降、ロシアから繰り返し要請を受け、過去数カ月間で中国指導部が活発に議論してきたという。
サリバン氏は、米軍が10~12日に米国やカナダの上空で三つの飛行物体を撃墜後も「米領空に飛来する未確認の飛行物体には警戒を続けている」と説明した。レーダーの精度は高めたままの状態を保っていると語った。(共同)

中国は武器供与の懸念に説明を 林外相、対ロシア支援巡り(東京新聞)


林芳正外相は26日のNHK番組で、中国がウクライナに侵攻するロシアへの支援として武器供与を検討しているとの米国の懸念を踏まえ「しっかりと中国には説明してもらわなければならない」と強調した。
 ロシアとウクライナの停戦に関しては「一方的な侵略が正当化されるような結論になれば禍根を残す。国際社会に誤ったメッセージを発することになる」として、ウクライナ側の意向を尊重すべきだとの考えを示した。
 同時に、国際社会には「ウクライナ支援疲れがある」と指摘。先進7カ国(G7)議長国として、支援継続に向けたG7メンバーや同志国の結束維持に尽力する決意も示した。

中国の無人機、日本領空に迫る飛行が急増…防衛省幹部「近年は毎日のように確認」(読売N)


中国が東シナ海とその周辺で日本領空に迫る無人機の運用を急増させている。航空自衛隊の緊急発進(スクランブル)は2013年9月から計15回で、このうち21年8月以降は12回に上る。台湾有事を念頭に置いた動きとみられ、日本は領空侵犯時の武器使用基準を緩和するなど、対策強化に乗り出した。

 防衛省によると、空自のスクランブルは飛行ルートを分析し、領空侵犯の恐れがある場合に実施されている。東シナ海上空での中国無人機の飛行は「近年、毎日のように確認されている」(防衛省幹部)のが実情だ。
 実際に領空侵犯があったのは1回で、沖縄県の尖閣諸島上空に17年5月、中国海警局のものとみられる小型無人機が侵入した。

 中国の無人機に対するスクランブルは13年9月が最初で、17年5月と18年4月にも行われ、19年と20年はゼロだった。
 様相が変わったのは、中国が台湾有事を想定した軍事演習を強化した21年夏だ。同年8月や22年7、8月には、攻撃型の「TB001」が東シナ海から沖縄県宮古島と沖縄本島間の宮古海峡を通り、太平洋に出る動きを見せた。今年1月には、高高度を長時間滞空する偵察機「WZ7」の太平洋進出も初めて確認された。
 こうした飛行は、台湾有事などをにらんだ中国軍の構想「A2AD(接近阻止・領域拒否)」と符合する。米艦船などに対し、TB001はミサイル攻撃、WZ7は追尾を想定して演習を行っているとの見方がある。
 防衛省は今月、過去3回にわたって領空侵犯していた気球を中国の偵察用と推定。気球や無人機が領空を侵犯した場合に備え、自衛隊の武器使用基準を緩和し、正当防衛などに該当しなくても撃墜できるようにした。ただ、17年5月の事例では、無人機は5分間程度で領空から出たが、尖閣上空などに長時間とどまった場合、政府は撃墜するかどうか、難しい判断を迫られる。
 空自の航空総隊司令官を務めた武藤茂樹・元空将は、「中国は実戦を想定した無人機の運用を加速させている。尖閣諸島の実効支配を狙い、艦船の領海侵入に続き、無人機の領空侵犯を常態化させる恐れもある」と指摘している。

林外相 “国際世論形成へ 「グローバル・サウス」と連携を“(NHK)


ウクライナ情勢をめぐり、林外務大臣はNHKの日曜討論で、力による現状変更を容認しないという国際世論の形成に向けて、G20=主要20か国の議長国インドに働きかけながら、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国との連携を図っていきたいという考えを強調しました。

この中で林外務大臣は、国連総会の緊急特別会合で全体の7割以上に当たる141か国の賛成を得て、ウクライナでの永続的な平和などを求める決議が採択されたことに触れ、「世界のどこであっても、力や威圧による現状変更は決して認められないという認識が世界に共有された」と指摘しました。
そのうえで、「国際世論を背景に、しっかりとロシアへの厳しい制裁とウクライナ支援を続け、結束を維持していくことが大事だ。G7やそのほかの同志国との結束を図っていく」と述べました。
そして、力による現状変更は容認しないという国際世論の形成に向けて、G20の議長国インドに働きかけながら、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国との連携を図っていきたいという考えを強調しました。
一方、5月のG7広島サミットにウクライナのゼレンスキー大統領を招待するかについては、「決まったことはないが、いろいろな選択肢を幅広く検討すべきだ」と述べました。

ロシア軍 東部で攻撃強める一方 “装甲車破壊”で戦力消耗か(NHK)


ウクライナでは東部ドネツク州の拠点、バフムトに対し、ロシア軍が攻撃を強め、ウクライナ側は市民に死傷者が出ているとしています。一方、イギリス国防省は同じドネツク州内でロシア軍の精鋭部隊の装甲車が破壊されているのを確認したとしていて戦力を消耗していることもうかがえます。

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は26日、ロシア軍のロケット弾による激しい攻撃が前日の夜から朝まで続いたとみずからのSNSで明らかにしました。
この攻撃で、ウクライナ軍の拠点バフムトやその近郊の町で市民3人が死亡し、4人がけがをしたということです。
一方、イギリス国防省は26日、ドネツク州の激戦地のひとつ、ブフレダルを撮影した衛星写真の分析として郊外でロシア軍の装甲車10台が破壊されているのを確認したとしています。
イギリス国防省は、この装甲車はロシア軍の精鋭部隊とされる第155海軍歩兵旅団のものとみられるとして、「この部隊は経験の浅い動員兵を補充せざるを得なくなっていて能力が格段に低下しているとみられる」と分析しています。
ロシア側は、バフムト周辺の集落の掌握を宣言するなどわずかに占領地域を拡大していると見られていますが戦力を消耗していることもうかがえます。

米、同盟国に警告せず; 中国気球偵察(朝雲:時の焦点)


米軍が2月4日、南部サウスカロライナ州沖の大西洋上空で中国の偵察気球を撃墜した件では、米政府内の誰が中国の空中偵察プログラムを知っていたかなど、依然、不明な点も残る。
 しかし、当初は、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は同気球を発見できなかったとか、政府も全く関知しなかったとか主張していたが、「ワシントン・ポスト」紙(7日)の特ダネを皮切りに、メディアの取材で次第に広範な情報が洩れてきた。
 米当局者数人が匿名を条件に明かしたところでは、気球による中国の偵察工作は過去数年間行われてきており、基地は同国南部・海南島にある。

 中国にとって戦略的重要性を増す国や地域の軍事拠点・施設の情報収集が目的で、日本、インド、ベトナム、台湾、フィリピンを対象に偵察を続けてきた。
 複数の当局者は、偵察作戦は中国空軍が実施しているもので、5大陸で気球が発見されたことを明らかにした。
 当局者の一人は「中国は、信じられないほど古い技術と近代的な通信・偵察能力を結び付けて、他国の軍事情報を収集している。大掛かりな工作だ」と述べている。
 それほど大掛かりな偵察気球作戦について、バイデン政権は同盟国に注意を喚起してきたのだろうか? 答えは多分「ノー」。同盟国は今になって説明を受けているのだ。
 今回の問題に詳しい米政府高官によると、シャーマン国務副長官は2月6日、約40カ国の在ワシントン外国大使館から約150人を国務省に集め、中国の偵察気球工作についてブリーフィングを行った。
 同時に、海外の全米大使館にも気球工作の「詳細な情報」を送り、任地国政府との間で情報の共有を認めている。
 これとは別に、米当局者は、国内の軍事施設が中国の工作のターゲットになっている日本などの政府当局者と、偵察気球に関する細目について情報共有を開始した。
 「これには同盟国の関心が極めて高い」(米政府高官の一人)そうだ。当然だろう。同盟諸国も中国の偵察作戦の標的になって以来、米政府は関係する国々に何も伝えないできた。これは、「反中国同盟」で結束し、維持を図っていく方法とは言えない。
 米政府はこれまでも、「われわれは対北朝鮮政策に真剣に取り組んでいる」「中国問題は米国に任せておけ」という姿勢をアジア諸国に納得させるのに十分な努力をしてこなかった。これでは十分な信頼も集まらない。
 そして現在、アジアで最も緊密な同盟国(のはず)の日本にやっと、「中国の偵察気球によって日本はスパイされている」とブリーフしているのである。
 「偵察気球の全体規模は分析中。スパイ飛行は2018年以来、『数十回』に上る」(当局者)。何も知らないと言っていた政府が突然、大変な“物知り”に見えてくる。
草野 徹(外交評論家)

沖縄北部の無人島 土地規制法の改正必要だ(産経:社説)


沖縄県北部の無人島、屋那覇島が注目されている。島の約半分を東京都内の中国系企業が取得したためだ。
この島は安全保障上重要な土地の利用を規制する土地利用規制法の対象外だが、松野博一官房長官は記者会見で、「関連動向について注視していく」と語った。
沖縄の島々は中国が海洋進出を図る第1列島線上にあり、どのように利用されるかは、日本の安全保障に関わる。政府には懸念を常に払拭する対応が望まれる。

昨年施行された土地利用規制法では、自衛隊基地や重要インフラ施設の周辺約1キロと国境離島を「注視区域」とし、土地所有者の国籍や氏名、利用状況を調査できる。特に重要な箇所は「特別注視区域」に指定し、不動産売買時には事前に国籍や氏名を届け出ることを義務付けている。
だが、官房長官が「注視」すると明言した屋那覇島は指定外だった。令和3年2月に中国系企業が島のおよそ半分を購入したとされるが、それが分かったのも、関係者とみられる中国人女性が今年1月末、動画投稿アプリで島の様子を映し、「島を購入した」と発信したのがきっかけだ。

政府は事前に把握もできておらず、注視するといっても土地利用規制法上の対応はとれない。会見でできもしないことを言って、ごまかしているだけではないかと勘繰られても仕方あるまい。
屋那覇島は、沖縄本島から約20キロ西の東シナ海側に位置する。購入した中国系企業のホームページによると、同島でリゾート開発計画を進めるのだという。
だが、この島の周辺の海は浅く、重機を搬入する船舶が接岸できる港湾施設はない。中国系企業が購入した土地は虫食い状態で、売却を拒む地権者も存在している。直ちに安保上懸念のある施設の建設などが行われるとは考えにくい。ただし、無人島は周囲の目が行き届きにくい点は常に忘れてはならない。

中国には、共産党政権が有事と認めた際、海外在住の中国国民が所有する土地や施設を徴用できると定めた国防動員法や国家情報法が存在している問題もある。
今回の事案で土地利用規制法がザル法であることが改めて分かった。政府は法律の不備を直視し、日本と国民を守るため十分な手立てを講じなければならない。

日米、爆撃機訓練を強化へ 北朝鮮ミサイル発射に対抗(東京新聞)


政府は、北朝鮮による弾道ミサイル発射への迅速な対抗措置として、米軍の核兵器搭載可能な爆撃機との日米共同訓練を強化する方針を固めた。政府関係者が25日、明らかにした。「柔軟に選択される抑止措置(FDO)」と呼ばれる概念に基づき、米軍の核抑止力を誇示するのが狙い。北朝鮮が反発を強め、さらなる緊張を招く恐れもある。
 米国が主導するFDOは、相手国の活動に明確なシグナルを送るのが目的。2015年4月に改定された日米防衛協力指針(ガイドライン)に明記され、昨年12月改定の国家安全保障戦略にも強化方針が盛り込まれた。
 北朝鮮が今月18日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)級ミサイルを日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾させた際は、翌19日に航空自衛隊のF15戦闘機が米空軍B1爆撃機を護衛しながら飛行する戦術訓練を日本海上空で実施した。爆撃機は空対地ミサイルで北朝鮮を攻撃することが可能だ。
 関係者によると、米側が日韓両国に呼びかけ、昨年から北朝鮮の挑発度合いに応じて速やかに対抗措置を取るようになった。

G7首脳会議 秩序回復へ日本の役割は重い(読売:社説)


先進7か国(G7)の首脳が、ロシアによる侵略と戦うウクライナへの支援で足並みを 揃そろ えた意義は大きい。国際秩序の回復に向け、日本は役割を果たしていかねばならない。

 日本がG7の議長国となって今年初めての首脳会合が、オンラインで開かれた。
 終了後に発表した首脳声明では、新たな対露制裁を行う方針を打ち出したほか、中国などを念頭に、「第三国」に対してロシアへの物的支援の停止を求めた。
 岸田首相は、ウクライナのインフラ復旧などのため、55億ドルの追加援助を行うと表明した。
 侵略開始から1年が過ぎたが、戦争終結の道筋は見えない。
 戦局が芳しくないことから、プーチン露大統領は、核戦力を増強する方針を示した。今後、核の威嚇を一層強める可能性がある。
 日本はロシアの動向を注視しつつ、G7議長国の立場を積極的に活用し、制裁強化など具体的な取り組みを主導すべきだ。
 首脳会合に参加したウクライナのゼレンスキー大統領は、様々な支援の継続を求めた。
 日本は、装備品の輸出などを自衛隊法などで制限している。戦車などの供与は欧米に委ねる代わりに、医療の提供や越冬支援といった役割を担うことが不可欠だ。

 戦後長い間、世界の様々な紛争は、日本にとって縁遠いと思っていた人は多いはずだ。だが、現実に国連憲章を踏みにじる侵略行為が行われ、また、日本周辺の安全保障環境が悪化した今、国際情勢を傍観することはできない。
 米欧などと協調して、ウクライナを支援することは、日本の安全に直結しよう。G7で唯一のアジアの国である日本の取り組みが、アジア全体の評価を左右することも認識しておきたい。
 一方、国連総会では、ロシア軍の無条件撤退や、ウクライナの平和の達成を求める決議が採択された。日米欧など141か国が賛成し、ロシアや北朝鮮など7か国が反対、中国やベトナム、南アフリカなど32か国が棄権した。
 日本は長年、政府開発援助(ODA)で東南アジアなど途上国の国造りを支援してきた。1993年にはアフリカ開発会議(TICAD)を創設して会合を重ねており、日アフリカ関係は良好だ。
 日本はこうした実績を生かし、欧米にはできない外交を展開する必要がある。国際法を無視したロシアの行動を容認すれば、途上国の安全や繁栄も見込めなくなることを訴えていきたい。

【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)(NHK)


ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア イラン製の攻撃用無人機使い果たしたか
イギリス国防省は25日、ロシアがウクライナで攻撃に使っていると指摘されるイラン製の無人機について、今月15日ごろ以降、ウクライナで使用されたという報告はないとする分析を発表しました。
そのうえで「ロシアはイラン製の無人機の在庫を使い果たした可能性が高い。ロシアはおそらく追加の供与を求めるだろう」と指摘しました。
アメリカ・ホワイトハウスの高官は24日、ロシアは欧米からの制裁などの影響で、戦闘を継続するためにイランや北朝鮮に頼らざるを得なくなっているという見方を示しています。
ロシア、ウクライナともに必要な兵器の確保が今後の戦況に影響することになりそうです。

G20財務相・中央銀行総裁会議 共同声明まとめられず
インド南部のベンガルールで開かれていたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は2日間の討議を終えて、日本時間の25日夜、閉幕しました。
ウクライナ侵攻を強く非難し世界経済に及ぼす影響を懸念する日本や欧米などに対して、ロシアと中国が反対意見を示したことから議論の成果となる共同声明をまとめることができませんでした。
G20の閉幕後、議長国のインドが討議の内容を議長総括という形で公表しました。
それによりますと、日本や欧米各国など参加メンバーのほとんどがウクライナ侵攻を強く非難し、侵攻の長期化がエネルギーや食料の供給不安を招くなど世界経済に悪影響を及ぼしていると主張したということです。
これに対してロシアと中国が反対意見を示したことから共同声明の採択は見送られました。

圧政下のウクライナ(産経抄)


映画好きだった安倍晋三元首相に薦められ、『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』を見たのは2年前の今頃だった。ソ連(現ロシア)に赴き、肥沃(ひよく)な大地であるはずのウクライナに潜入した英国人記者が目撃したものは誰もが飢え、家族の遺体まで食べる衝撃的な光景だった。
▼スターリンによる圧政下、ウクライナで収穫された穀物はほとんどがモスクワへ送られた。1932年から33年にかけては、人災的な飢饉(ききん)(ホロドモール)で300万人以上が餓死したという。現在のロシアによる侵略に対し、ウクライナ軍の士気が高い一因はこの記憶ではないか。
▼「(戦争を終結させるには)ウクライナがギブアップすればいいという話には賛成できない」。24日の小紙千葉県版で、ウクライナから日本に避難中のナセドキナ・オルガさんが強調していた。降伏すれば平和と安全が訪れる保証は、ありはしないのである。
▼「1年前、世界は(ウクライナの首都)キーウの陥落を覚悟していた」。米国のバイデン大統領は21日の演説で振り返った。当時は日本政府内でも「いずれウクライナは負ける」(高官)との見方が支配的だった。二度とロシアの支配は受けないというウクライナの決意を見誤っていたのである。
▼その点は大ロシア主義に酔い、兵を進めたロシアのプーチン大統領も同じだろう。早々に片を付けるつもりが、1年たってむしろ押し返されている。安倍氏は昨年4月、「プーチンは、ウクライナのゼレンスキー大統領は逃げ出すと思っていたのではないか」と語っていた。
▼惜しまれるのは、断固として屈服しないという固い意志を、ウクライナが事前に十分発信できていなかったことである。わが国もこの教訓に学ぶべきだろう。

「3文書」の求めるサイバー防御 NTT サイバー専門家・松原実穂子(産経:正論)


昨年12月に閣議決定された国家安全保障戦略を含む安保3文書では、サイバーセキュリティについてかなり踏み込んだ。
筆者が注目したのは、国内外の官民連携に防衛省・自衛隊も含めて、初めて具体的な記述が盛り込まれた点である。
例えば、「自衛隊以外へのサイバーセキュリティを支援できる態勢」の強化、「諸外国や関係省庁及び民間事業者との連携により、平素から有事まであらゆる段階において、情報収集及び共有を図る」などの表現が3文書に含まれた。

安全保障危機に繫がる攻撃も
防衛省・自衛隊を含めた日本一丸となってのサイバーセキュリティ強化が不可欠なのは、重要インフラへのサイバー攻撃が安全保障に直結し得るためだ。
たとえ金銭目的のサイバー攻撃が1社に対して仕掛けられたとしても、被害が、サプライチェーン(供給網)で繫(つな)がっている様々な業種へドミノ式に拡大しかねない。工場からの部品やエネルギーの供給停止によって、経済危機、ひいては安全保障上の危機に発展する恐れは十分あるのだ。
そのリスクは、2021年5月の米コロニアル・パイプライン社がランサムウェア攻撃を受け、5日間稼働を停止し、米国の数千カ所におよぶガソリンスタンドでの燃料不足、アメリカン航空の航路変更に発展したことからもうかがえよう。
厄介なのは、事前にどのサイバー攻撃が安全保障上の危機になり得るか、予想がつきにくい点だ。有事になってから右往左往し、防衛省・自衛隊の担当連絡先を探しているようでは遅きに失する。
だからこそ平素から防衛省・自衛隊を含め各省庁と重要インフラ企業がサイバー攻撃の手口や対策について情報共有することが肝要となる。いざというときに備え、関係者間でのサイバー版「防災訓練」の定期的な実施、役割分担の確認もしておかねばならない。

台湾の年次演習から学べ
ただ、有事にはサイバーと火力を組み合わせた攻撃が発生する。ロシアの侵攻を受けたウクライナでは、エネルギーや電力など民間の重要インフラが、多くの砲撃やサイバー攻撃による被害を受けている。
ウクライナの占領地域においては、重要インフラ施設と内部のITネットワークが接収されてしまい、内部からサイバー攻撃を仕掛けられた例もあるという。
そのため、ウクライナのその重要インフラ企業では、危機対応計画の見直しを迫られた。占領された地域では、社員が避難する前に上司へ通報を入れ、ネットワークアクセスを遮断できるようにした。乗っ取りを防ぐためである。
台湾の国防部(国防省)は、1984年以降、中国の侵攻を想定した大規模軍事演習「漢光演習」を毎年行ってきた。遅くとも2021年からは重要インフラ企業が参加している。台湾軍が重要インフラ施設に駆け付けて守るシナリオも試しており、消防や警察も演習に加わっているとのことだ。
重要インフラは、平時有事を問わず、国民の生命と経済活動を支える安全保障の要だ。政府一丸となって、いかに国民を守るのかを考える上で、台湾での演習の組み立て方はいろいろ参考になる点があるのではないか。

日本の取り組みと強みの発信
サイバー攻撃が国境を超えて仕掛けられ、その被害が業種や国境をまたいで広がる可能性がある以上、国際的な官民連携、情報共有が必須となる。
しかし、協力するに値する相手国と思われなければ、サイバー攻撃の手口や攻撃者など機微な詳細情報の提供は期待できまい。
それ故、平素から日本の取り組みと強みを相手国にしっかり伝えることが求められる。それが日本の仲間を世界で増やし、抑止力に繫がっていくだろう。
筆者はたまたま岸田文雄首相・バイデン大統領の日米首脳会談が行われた1月中旬の週にワシントンDCを訪れていた。安保3文書が高い評価を受け、日米協力強化の機運を肌身で感じられたのは嬉(うれ)しかったが、気になったのは「日米関係の最大のネックは、日本のサイバーセキュリティだ」と複数の方から言われたことだった。
筆者はその都度即座に反論した。米セキュリティ企業「プルーフポイント」の一昨年の調査では、日米英豪仏独西の7カ国のランサムウェア感染被害と身代金の支払い率を調べたところ、日本はダントツで低い。しかも、コロニアル事件など大きな被害は、日本ではなく、米国で頻繁に起きている。
すると、少なくともその事実については、納得してもらえたようだった。だが、こうした疑念を持つ人が多数派である限り、日本は対等なパートナーにはなれない。
日本は幸いにも、サイバーセキュリティ上も、重要インフラ防御上も大切な要素を網羅した安保3文書を作ることができた。だが、官民連携も情報発信も、まさにこれから正念場を迎えるのだ。(まつばら みほこ)

沖縄無人島 中国系の取得に懸念拭えない(読売:社説)


沖縄県の無人島の土地が外国人の手に渡ることは、安全保障の観点から懸念が拭えない。政府は利用状況の把握など、適切に対処すべきだ。

 沖縄県伊是名村の無人島・屋那覇島の51%の土地を、東京都内の中国系企業が2年前に取得していたことが分かった。中国人女性が「無人島を買った」と、島の様子を撮影した動画をSNSに投稿したことから発覚した。
 女性は、親族の企業名で購入したと話し、登記簿上は中国系企業の所有になっているという。
 この企業は不動産投資やリゾート開発を手がけており、屋那覇島についてもホームページで取得を明らかにし、「リゾート開発計画を進めている」と記している。
 だが、村によると、購入から2年たっても開発の動きはないといい、不可解だ。島には電気やガスなどのインフラも整備されていない。開発には行政との事前調整が必要で、国や地元自治体は今後の動向を注視せねばならない。
 女性の投稿をきっかけに、SNSには「中国の領土となった」などの書き込みが相次いだ。所有者が誰であれ、領土が外国に移ることはないが、誤った認識が広がることは好ましくない。
 屋那覇島は面積が約74万平方メートルあり、規模の大きい無人島だ。沿岸部の大半を含む26%は今も村が所有する。村は今回の土地について2年前に所有者の変更を把握したものの、買ったのが中国系企業だとは知らなかったという。
 日本を取り巻く安全保障環境は悪化しており、沖縄は地理的に重要な位置にある。
 屋那覇島から約25キロの距離にある伊江島には、在日米軍の伊江島補助飛行場が置かれている。極東最大の米空軍嘉手納基地までも約60キロしか離れていない。

 昨年施行された重要土地等調査
・規制法は、国が自衛隊や在日米軍基地などの周囲約1キロや、国境離島を「注視区域」などに指定し、土地がどう使われているかを調査できると定めたが、国境の起点ではない屋那覇島は対象外だ。
 中国には、国の情報収集活動に協力するよう国民に義務づける国家情報法がある。島が米軍を監視するための拠点などに使われる恐れがない、とは言い切れまい。
 日本には約6400もの無人島がある。地方の人口減少で増加を続けており、国はその実態を十分に確認できていない。政府は、必要な場合には実情を調査できるよう、規制法の規定を見直すことも含めて検討してほしい。

ドイツ製の戦車「レオパルト2」 初めてウクライナに引き渡し(NHK)


ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから1年となる24日、ウクライナが求めてきたドイツ製の戦車「レオパルト2」が初めてウクライナに引き渡されました。

引き渡されたのは、ポーランドが保有する「レオパルト2」の4両で、モラウィエツキ首相が首都キーウを訪れて発表しました。
モラウィエツキ首相と会談したウクライナのシュミハリ首相は、みずからのツイッターに、戦車を前に握手する2人の写真を投稿し「ウクライナを勝利に近づける決定的な一歩を踏み出したことに感謝する。私たちは戦車連合の拡大を待っている」と呼びかけました。
また、ドイツ政府は24日、ウクライナへ供与する「レオパルト2」の数を4両増やすと発表しました。
ドイツは、先月、ドイツ軍が保有する「レオパルト2」14両の供与を決め、この戦車を保有するヨーロッパのほかの国と合わせて2個大隊、62両の供与を目指しています。
発表によりますと、ドイツが供与する戦車を増やすことにより、スウェーデン、ポルトガルが供与する戦車と合わせて1個大隊を構成する31両がそろうということです。

ゼレンスキー大統領“徹底抗戦” ロシア軍は作戦継続を表明(NHK)


ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから1年となる24日、ロシア軍は作戦は継続していると表明し、軍事侵攻は2年目に入りました。これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は国内外のメディアを前に会見し「勝利は必然だ」と述べ、ロシア側に徹底抗戦する決意を改めて示しました。
ロシア国防省は、ウクライナへの軍事侵攻を始めてから1年となる24日「ロシア軍は特別軍事作戦を継続している」としたうえで、東部ドネツク州の最前線への攻撃を行ったと発表しました。
そのうえで、この1日の間にウクライナ側の兵士を最大で240人殺害したとしたほか、戦車やりゅう弾砲などを破壊したと主張しています。
これに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、首都キーウで、国内外のメディアを前に記者会見を行いました。

この中で、ゼレンスキー大統領は「ウクライナのパートナーが約束を果たし、われわれ全員が課題を実行すれば勝利は必然だ」と述べ、欧米各国に戦闘機などさらなる兵器の供与を呼びかけるとともに、ロシア側に徹底抗戦する決意を改めて示しました。
現在の戦況について、イギリス国防省は24日「ロシアは現在、新しい領土の獲得に焦点を当てているのではなく、主にウクライナ軍の劣化を目指している」という分析を公表し、ロシア側がこの数週間で作戦の方針を変えた可能性があるという見方を示しました。
そのうえで「ロシアの指導部は、人口と資源の面でのロシア側の優位性が、最終的にウクライナを疲弊させると考えている」として、長期戦に持ち込もうとしていると分析しています。
記者会見でゼレンスキー大統領は、中国が発表したロシアとウクライナに対話と停戦を呼びかける文書について「ウクライナ情勢に関わるつもりなのであればこれは重要なシグナルだ」と評価しました。
そのうえで、習近平国家主席と会談したい意向を示し「会談が両国にとって有益になる」としています。
また、G7=主要7か国の議長国を務める日本について「日本からの支援はこれまでも非常に重要なものだった。私は岸田総理大臣にウクライナを訪れるよう何度も打診している。いつになるかはわからないが訪問を心待ちにしている」と述べました。
記者会見は合わせておよそ2時間半に及び、ゼレンスキー大統領が記者との記念撮影に応じる場面もありました。
最後に家族について聞かれ、ことばを見つけるのは難しいとしながら「妻を誇りに思っている」と答えていました。

ロシアの侵略1年 ウクライナと連帯強めよ 岸田首相はキーウ訪問果たせ(産経:社説)


ロシアのプーチン大統領が帝国主義的妄執に憑(つ)かれて始めたウクライナ侵略から1年が経(た)った。
無辜(むこ)のウクライナ国民数万人を殺傷し、なお非道の侵略を止めない。冷戦終結後の世界の秩序を破壊し、国際法を踏みにじって恥じない。最大限の非難に値する。
800万人超の同国民が国外への避難を余儀なくされ、日本にも2千人余が滞在している。
プーチン氏は年次教書演説で、一方的に併合したウクライナ東南部4州とクリミア半島の支配を続けると言明した。これも明白な国際法違反で、独立主権国家からなる世界への挑戦だ。
ロシア軍は全占領地から即時無条件で撤退すべきである。

占領地から即時撤退を
首都キーウを電撃訪問したバイデン米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領に「独立と主権、領土の一体性への揺るぎない支持を示すために来た」と述べた。防空警報が鳴り響く中、両大統領は抱擁し、並んで歩いた。自由・民主主義陣営の結束を示す象徴的光景だった。
バイデン氏は5億ドル(約670億円)の追加軍事支援と新たな経済制裁を表明した。ミュンヘン安全保障会議ではスナク英首相が「今後3カ月で昨年1年間以上の兵器を供与する」と約束、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン前事務総長は本紙との会見で「ウクライナが求める武器を全て与えることが最善」と語った。
プーチン氏のロシアは、停戦さえ再侵攻への準備に利用しかねない危険な専制国家だ。ウクライナはそれを分かっており、独立を追求し、国土から侵略者を追い出そうと懸命に抗戦している。
首脳が戦時下のウクライナ入りを果たしていない先進7カ国(G7)は日本だけとなった。しかも日本はG7議長国である。岸田文雄首相は連帯と結束を主導しなければならない立場だ。
岸田首相は「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と危機感を表明してきた。侵略者ロシアが万が一勝利すれば、中国による台湾侵攻を誘発しかねない。
ウクライナを支えることは自由と民主主義、日本を含む世界の平和を守ることに直結する。岸田首相がキーウの地に立つことこそ、ウクライナを勇気づけ、日本の国際的信頼と存在感を高める。訪問を必ず実現してもらいたい。
プーチン氏は年次教書演説で「戦場でロシアを負かすことは不可能だ」と嘯(うそぶ)いたが、戦況にも戦果にも触れずじまいだった。英国防省は1年間のロシア軍の死傷者を最大20万人と分析する。徴兵を嫌って国の将来を担うエリート層数十万人を含む数百万のロシア人が国外へ脱出した。ロシアの最近の世論調査では「和平交渉再開」への賛意が過半数となった。

プーチン氏に勝利ない
厭戦(えんせん)機運が兆す中でプーチン氏は、独裁者スターリンがヒトラーに勝利した第二次大戦の独ソ戦を引き合いに、自身の侵略戦争を「祖国防衛戦争」とすり替えている。独ソ戦の天王山となったスターリングラード攻防戦80年の行事では「ナチスの思想が現代的な姿をして再びわが国の安全保障に脅威を与えている」と演説した。
だが、外交専門家の米ニューヨーク市立大のウィース教授は「ロシアこそウクライナの人々と歴史を抹殺しようとしてナチス以来の大規模な戦争犯罪を行っている」と指摘した。その通りである。
侵略者はロシアである。事実を転倒させたプーチン氏の捏造(ねつぞう)には何の説得力もない。
ブリンケン米国務長官は中国外交トップ、王毅共産党政治局員との会談で「中国がロシアに殺傷兵器を供与するとの情報がある」として、決して供与しないようくぎを刺した。王氏はモスクワに飛び、プーチン氏との会談で「(中露関係は)第三国による脅迫や圧力に打ち負かされることはない」と語った。
力による現状変更を狙う中露両国の接近、とりわけ中国による対露武器供与を西側は防がなければならない。
バイデン氏はキーウ訪問後、ポーランドで演説し、「決してロシアの勝利はない。プーチン氏の領土と権力への欲望は失敗し、ウクライナ国民の自国への愛が勝利する」と語った。プーチン氏に勝利を与えてはいけない。日本を含む世界がウクライナとの連帯を改めて強めるべき時である。

露の侵攻1年、日本人の意識変化 青山学院・新潟県立大名誉教授 袴田茂樹(産経:正論)


遠くの出来事ではない
ロシアによるウクライナ侵攻から1年になる。メディアでは国際関係や軍事の専門家たちが、今回の事件は遠い他所事(よそごと)ではなく、日本にも深く関係のある問題だと認識せよと警告している。先進7カ国(G7)の中で、今年議長国になっている日本が唯一、露に領土を不法占領されている国だから、というだけでなく、アジアでも同様の事態が生じないという保証はないからだ。日本人の「平和ボケ」とよく言われるが、最近私が最も関心を持っている問題は、ウクライナ侵攻後の1年で、日本人の安全保障意識とか国防意識がどれだけ変わったかである。
昨年12月に政府が安保3文書を改定し、反撃能力を保有する方針を閣議決定したが、最も大きく変化したのは、日本は防衛力あるいは軍事力を強化すべきだと、日本国民の半数以上が考えるようになったことだろう。昨年11月末の日経新聞の世論調査では「相手のミサイル発射拠点などを叩(たた)く反撃能力を日本が保有することの是非」に対して、65%が賛成した。
日本政府は昨年、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えた。情報化時代の今日では、米国が露によるウクライナ攻撃を正確に予測したように、ミサイル等による攻撃開始前でも、その攻撃開始の動きを正確に捕捉できる場合があるからだ。しかし前者の表現は日本の国是の「専守防衛」に反するという誤解も招く。専守防衛という概念が今も成り立つのかという疑問もあるが。

「反撃能力」への批判
読売新聞と米ギャラップ社が共同で行った昨年11月の世論調査の結果では「日本の防衛力強化」に対して、日本国民の68%が賛成した(読売12月15日)。ただ、今年1月6日の朝日の世論調査では「敵基地攻撃能力」の賛否を問う調査結果として、賛成56%と報道している。朝日は、前述の理由で政府が公式表現を「反撃能力」と言い換えたにも拘(かか)わらず、一貫して「敵基地攻撃能力」という言い方を変えていない。毎日も昨年5月に「反撃能力」への言い換えを批判している。防衛、反撃のためにも、つまり専守防衛のためにも状況によっては敵基地を叩く必要が生まれるが、朝日の世論調査は、国是である専守防衛に「敵基地攻撃能力」は反するという、国民の批判的反応を期待しているのであろう。
興味深いのは、この朝日の世論調査の結果でも(世代別の数字もある)、30歳未満の若者(18~29歳)は65%が「敵基地攻撃能力」に賛成している。最も賛成率が少ないのは、戦後の日教組的な「平和憲法教育」で育った70歳以上だが、それでも51%で過半数だ。
横道にそれるが、「クリミア併合」に対する日本の対露制裁参加へのプーチン大統領の批判の言葉から、彼の思考法の特徴を指摘しておきたい。2014年に露が「クリミア併合」の挙に出た後、日本もG7の一員として対露制裁に加わった。日本が対露制裁に加わったことに対してプーチン氏は怒り、「クリミアは何処(どこ)にある(Где Крым)?」と日本を批判した。
つまり日本から遠く離れているクリミア問題は、日本に何の関係があるのか、との批判だ。地理的な位置と関係なく、他国の侵略は国際法違反との発想が、あるいは領土を露に不法侵害されているという点で、日本とウクライナは同じ立場にあるという見地がプーチン氏には希薄で、大国の特殊権益圏とか友好国、非友好国といった地政学的発想が、彼の国際感覚の中心になっていることが分かる。

戦わない人はどうする
日本人の安全保障意識の変化に戻ろう。17年から20年の調査であるが(World Values Survey HP)「もし戦争が起こったら国のために戦うか」との質問に、79カ国の国民(18歳以上の男女)が答えている。「戦う」と答えたのは、日本は最低で13・2%だ。下から2番目のリトアニアでも32・8%で、日本の2倍以上である。「自国のために戦う意思」を問う別の調査では、日本は11%という数字もある。
露によるウクライナ侵攻後の日本での調査では、「日本が侵略されたら戦うか」との質問に「戦う」と答えたのは28・2%である(22年8月調査・MAMOR 22年12月号)。2倍以上に増えているのは、ウクライナ人の驚くべき高い士気(8~9割以上の国民が、領土を失っての和平よりも「戦う」ことを選択)の影響であろう。自衛隊のある最高幹部も、ようやく日本国民の約3割が、「戦う」意思を示したと喜んでいた。国民意識の大きな変化に間違いはない。
問題は、この意識の変化後でも、今の日本国民を露のウクライナ侵攻前の79カ国の国際比較の中に置くと、国を守る意識は世界最低ということだ。では戦わない人はどうするのか。ある調査によると、「国外・国内避難」が約6割、「何もしない」が約4割だ。「平和ボケ」は変わらない。(はかまだ しげき)

露侵略から1年 暴力の支配許さぬ決意と連帯(読売:社説)


大国による侵略の残虐さと、それに徹底抗戦することの大切さを認識させられた1年だった。
 世界は、「力の支配」に屈するかどうかの分岐点に立っている。各国は自分の身に置き換えて危機感を共有し、法に基づく国際秩序の回復に努めなければならない。

 ◆世界を変えた「士気」
 ロシアがウクライナへの侵略を始めてから24日で1年となった。露軍は当初、短期間で首都キーウを攻略し、ウクライナを支配下に置く目算だったようだが、激しい反撃で前進を阻まれ、首都の手前で撤退に追い込まれた。
 ウクライナの東・南部では、ロシアは占領地を広げたが、昨年秋以降、戦線は 膠着こうちゃく 状態に陥っている。ロシア側の死傷者は20万人以上に達したと推計され、予備役の動員を余儀なくされた。
 ロシアとウクライナの国力や軍事力の差を考えれば、1年前にこうした状況を予想できた人は多くなかったはずだ。
 ウクライナの抗戦を支えてきたのは、侵略者から国を守り抜くという国民の決意と、防衛体制構築の努力と言える。
 ロシアが2014年にクリミアを一方的に併合し、東部への軍事介入を続ける中で、ウクライナは軍の態勢強化や兵器の拡充を進めた。ゼレンスキー大統領はキーウにとどまり、国民に結束を訴え、世界に支援を呼びかけてきた。
 ウクライナでの世論調査では、「クリミアを含む全領土の奪還まで戦いをやめない」という回答が9割を占めたという。
 人口4100万人のウクライナで800万人が国外に避難し、残る人々も日々、砲火にさらされているが、士気の衰えは見えない。ロシアの支配下での停戦はありえないと考えているからだろう。
 日本など多くの国にとって、学ぶべき点は多いのではないか。
 当初は様子見だった欧米諸国がウクライナの戦う決意をみて結束を固め、軍事支援を拡大していることもロシアの誤算だろう。

 ◆米欧日の結束が重要だ
 米国のバイデン大統領は、侵略1年に合わせてキーウを訪問し、揺るぎない支援を約束した。
 空襲警報が鳴り響く中で、バイデン氏とゼレンスキー氏がともに歩く姿は、ロシアの軍事的威嚇には屈しないという象徴的なメッセージになったはずだ。
 この1年で、先進7か国(G7)と北大西洋条約機構(NATO)は一体感を増した。北欧のスウェーデンとフィンランドは、もはや中立政策では安全を保てないとみてNATOに加盟申請した。
 ロシアの侵略が不問に付されるようなことになれば、大国が力で小国を支配する弱肉強食の世界になってしまうという危機感を共有しているからだ。
 ただ、侵略の長期化や、ロシアとの貿易関係の縮小を受けて、支援する側にも、エネルギー高や財政負担に対する不満が高まる恐れがある。ロシアとの対立激化が核戦争や世界大戦につながる事態も防がねばならない。
 ウクライナの国民が満足する形での停戦や、侵略を二度と受けない安全保障の枠組みをどう実現していくか。米欧日には引き続き、適切かつ強力な支援が求められる。
 世界はこの1年、露軍の残忍な戦争犯罪を目の当たりにしてきた。キーウ近郊ブチャでは、多くの民間人が拷問、虐殺された。
 ウクライナ各地で原子力発電所などのインフラ施設や住宅、病院まで攻撃を受けた。大勢の子供がロシアへ連れ去られ、大半は自国に戻れないでいる。
 国際社会は、こうしたロシアの戦争犯罪も追及し、責任者を処罰しなければならない。

 ◆プーチン氏を追い込め
 事態が泥沼化した全ての責任は自らの誤りを直視しないプーチン大統領にある。「目的を達成するまで戦闘をやめることはない」と公言しており、ウクライナ支配の野望を捨てる兆しは見えない。
 持久戦を続けているうちに、ウクライナと米欧が消耗し、ロシアに有利な形で停戦に持ち込めると考えているのだろう。
 ロシアを追い込むには、米欧日の取り組みに、南半球を中心とする新興国・途上国の「グローバル・サウス」が加わることが重要だ。侵略に反対し、国際秩序を守ることが途上国の安定と利益につながると説く必要がある。
 こうした国々の多くは、エネルギーや食料価格の高騰に苦しんでいる。日本は国連とともに、途上国支援を主導し、協力の輪を広げていくべきだ。

ロシアのウクライナ軍事侵攻から1年 長期化避けられない情勢(NHK)


ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから、24日で1年となります。
ロシアは、欧米との全面的な戦いの構図になっているとして、兵力の増強を図り、欧米の軍事支援を受けるウクライナも、領土の奪還を果たすまで停戦に応じない構えで、戦闘が一層長期化するのは避けられない情勢です。
ロシアのプーチン大統領は、1年前の2月24日、ウクライナ東部のロシア系の住民を保護する「特別軍事作戦」だとして、ウクライナへの軍事侵攻を始めました。
ロシア軍は、動員兵も戦地に派遣するなどして兵力の増強を図り、当面は東部ドネツク州とルハンシク州の完全掌握をねらって大規模な攻撃を行っています。
これに対して、ウクライナ軍は、欧米側から供与された兵器を駆使しながら反撃を続けています。
ウクライナ軍は23日、ロシア軍がこの1年でおよそ8500回のミサイル攻撃や空爆を行い、1100回もの無人機による攻撃を繰り返したと発表しました。
国連人権高等弁務官事務所によりますと、確認できただけでも、これまでに8000人を超えるウクライナの市民が死亡したということです。
また、双方の兵士の死傷者も増え続け、このうちイギリス国防省は、今月、ロシア軍の兵士や民間軍事会社の戦闘員の死傷者数があわせて20万人にも上る可能性を指摘しています。
プーチン大統領は23日、核弾頭が搭載できる新型の大陸間弾道ミサイルを実戦配備するとして、核戦力を誇示しました。
いまや欧米との全面的な戦いの構図になっているとして、軍事侵攻を継続する姿勢を強めています。
一方、ゼレンスキー大統領も、占領された領土の奪還を果たすまで停戦に応じない構えで、この春以降、大規模な反転攻勢に乗り出す考えとみられます。
停戦は見通せず、戦闘が一層長期化するのは避けられない情勢です。
これまでの戦況 ロシア 苦戦強いられる
侵攻開始から1年。ウクライナ軍は欧米諸国から供与された兵器を駆使して抵抗を続け、ロシア軍は苦戦を強いられました。
去年2月24日、ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部ドンバス地域の住民の保護やウクライナの「非軍事化」などを目的に掲げて
「特別軍事作戦」を行うと宣言。
ロシア軍は、ウクライナの北部、東部、南部の3方向から部隊を進め、3月には南部ヘルソン州を掌握しました。
これに対してウクライナ軍は、アメリカの対戦車ミサイル「ジャベリン」などを駆使して抵抗。
ロシア軍は補給線が分断され、首都キーウの早期掌握を断念し、北部から撤収しました。
しかし撤収直後にキーウ近郊のブチャなどで数百人の住民の遺体がみつかり、一部に拷問など残虐な行為の形跡が残っていたことから、国際社会ではロシアの戦争責任を追及する声が高まりました。
ロシア軍は東部や南部で攻撃を強め、激しい戦闘の末、5月には東部ドネツク州の要衝マリウポリを掌握。さらに7月には東部ルハンシク州の完全掌握を宣言しました。
その後、ロシア軍は後退を続けます。
ウクライナ軍はアメリカから新たに供与された高機動ロケット砲システム=ハイマースなどを投入して反転攻勢に乗り出し、ロシア軍は9月、要衝のイジュームを含む東部ハルキウ州のほぼ全域を奪還されました。
10月にはドネツク州のリマンからの撤退を余儀なくされ、ロシア国内の強硬派は軍の指導部を批判しました。
さらに11月には、南部ヘルソン州でも反転攻勢を受け、州の中心都市ヘルソンを含むドニプロ川西岸の地域から撤退しました。
ウクライナ軍の総司令官は、ロシアに掌握された領土のうち40%を去年末までに奪還したと発表しています。
9月、プーチン大統領は、職業軍人だけでなく、有事に招集される予備役を部分的に動員すると表明。
さらに東部のドネツク州とルハンシク州、南部のザポリージャ州とヘルソン州のあわせて4州の一方的な併合に踏み切りました。
9年前のクリミア併合に続く、力による一方的な現状変更に対して、ウクライナ政府は反発を強め、このあと、ロシアの支配地域にある重要インフラやロシア国内の軍事施設などへの攻撃が相次ぎました。
10月には、ロシアが事実上支配するウクライナ南部のクリミアとロシア本土を結ぶ橋で大きな爆発が起き、橋の一部が崩落。
12月には、ロシア中部リャザン州のほか南部のサラトフ州とクルスク州の空軍基地や石油施設で爆発や火災が相次ぎ、ロシア側は、ウクライナ軍の無人機に攻撃されたとしています。
ロシア側は、報復としてウクライナの民間インフラへの攻撃を強めました。
この際、発電所や変電所などが標的となり、ウクライナでは深刻な電力不足が引き起こされました。
また住宅や集合住宅にミサイルが着弾し、多くの犠牲者が出るケースも相次いでいます。
こうした攻撃には精度の低いミサイルやイラン製の無人機が使用され、ロシア軍で兵器が不足しているためではないかとみられています。
冬の間、東部の前線では、双方が長い塹壕(ざんごう)を掘って防衛線を築き、一進一退の攻防を繰り返す、いわゆる塹壕戦が続いています。
こうした中、侵攻から1年の節目が近づき、ウクライナ側は、ロシア軍が動員した兵士を前線に投入し、大規模な攻撃を仕掛けるのではないかと警戒を強めました。
焦点となっているのが、ドネツク州のウクライナ側の拠点バフムトで、このところ、ロシア軍やロシアの民間軍事会社ワグネルは、バフムトの周辺で攻撃を激化させています。
NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は、ロシア軍がすでに大規模な攻撃を始めているという認識を、今月13日に示しました。
ロシア軍の苦戦は人事にも現れています。
去年10月、ロシア国防省は軍事侵攻の総司令官に陸軍出身のスロビキン氏を任命したと発表しました。2017年以降、シリア内戦に介入したロシア軍の指揮を執ったとされ、任命により戦況の立て直しを図ったとみられています。
しかしスロビキン氏はことし1月、就任からわずか3か月で総司令官から副司令官に降格しました。
代わって総司令官となったのは、制服組トップのゲラシモフ参謀総長です。
参謀総長が特定の作戦で指揮を執るのは異例で、国防省は「任務の規模拡大に対応するため」などとしていますが、指揮系統の混乱などの問題を解消したい思惑があるとも指摘されています。
この春には、ウクライナ軍に欧米の主力戦車が届き始め、反転攻勢が強まるという見方が広がっていて、ゲラシモフ参謀総長がこれを抑え込もうと、一層攻撃を強化することが懸念されています。

ウクライナ 善戦の理由は
ウクライナ軍が一部で領土奪還を果たすなど、当初想定されていた以上に善戦している理由としては、まず、欧米側から供与された兵器を活用して反転攻勢につなげてきたことがあげられます。
対戦車ミサイル「ジャベリン」や地対空ミサイル「スティンガー」といった、兵士が肩に担いで発射できる機動性を兼ね備えたこれらの兵器は、キーウ近郊などの市街戦でも活用されました。
戦線が東部や南部に移ったあとは、戦況を大きく変えることができる「ゲームチェンジャー」とも言われた高機動ロケット砲システム「ハイマース」が威力を発揮しています。
ウクライナ軍は、GPSによる誘導で精密な攻撃ができるというハイマースの特徴を生かし、ロシア軍の弾薬や物資の供給網のほか、指揮所などの軍事拠点を長距離からピンポイントで攻撃しています。
また、ウクライナ側は、欧米側から供与された偵察用の小型ドローンやIT技術を駆使した戦術なども効果的に活用することで、火力で優位に立つロシア軍の侵攻を一部で食い止めることができたとみられます。
一方、軍に所属していない市民も各地で「パルチザン」組織を作り、ロシア軍への攻撃を続けていることも善戦の背景にあるとみられます。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、去年11月に公表した分析で「パルチザンによる効果的な攻撃によってロシアは、前線の兵力を後退させることを余儀なくされている。ロシアは、パルチザン活動にうまく対抗できておらず、その能力もなさそうだ」と指摘しています。
また、パルチザン組織は、それぞれ地元で入手したロシア側の拠点や車両などに関する情報を提供することでもウクライナ軍を支え続けているとみられています。
ウクライナでは「勝利を信じている」とする国民は95%に上るという世論調査もあり、人々の士気は高いままです。
戦闘を続ける「意志」が強固である以上、今後もウクライナ軍が善戦できるかどうかは、戦車のほか、射程の長いロケット弾やミサイル、それに戦闘機が欧米から供与されるなどして、戦闘を継続する「力」が強化されるかにかかっているといえます。

ウクライナ 市民の犠牲者 増え続ける
ウクライナではこの1年、市民の犠牲者が増え続けました。
国連人権高等弁務官事務所は、軍事侵攻が始まった去年2月24日以降、ことし2月15日までに、確認できただけでも8006人のウクライナ市民が砲撃や空爆などによって死亡したと発表しました。
このうち487人は18歳未満の子どもだということです。
また487人の子どものうち、年齢が確認できたのは441人で、年齢別では、17歳の死者が49人と最も多く、次いで14歳が44人でした。さらに、1歳の赤ちゃんが22人、1歳未満も7人亡くなっています。

地域別では、市民の犠牲は特に東部に多く、
▼ドネツク州で最も多い3810人、
▼ハルキウ州で924人、
▼ルハンシク州で485人と、
東部の3つの州だけで5000人を超えます。
それ以外では、
▼首都キーウと周辺のキーウ州であわせて1017人、
▼南部のヘルソン州で447人などとなっています。
また、けがをした市民はウクライナ全土で1万3287人に上るとしています。
国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が続く地域での死傷者の数については、まだ正確に確認がとれていないとして、実際の数は大きく上回るという見方を示しています。
ロシア側 民間軍事会社ワグネルが存在感増すなかで
ウクライナへの軍事侵攻で、ロシア側は、正規のロシア軍とは別に、民間軍事会社、ワグネルの戦闘員を前線に投入しています。
ワグネルはプーチン政権に近いとされるエフゲニー・プリゴジン氏が代表を務める組織で、これまで内戦中のシリアや政情不安が続くアフリカの国々などに戦闘員を派遣し、ロシアの国益のために活動してきました。
プリゴジン氏は、大統領府や軍などに食事を提供するビジネスで財をなしたとされる実業家で、「プーチン大統領の料理人」とも呼ばれ、去年9月には自分がワグネルの創設者だと初めて認めました。
今回の軍事侵攻でワグネルは、刑務所で服役中の受刑者を「戦えば特赦を受けられる」と勧誘して集め、前線に大勢の戦闘員を送り込みました。
アメリカ ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、先月、ワグネルは4万人の受刑者を含む5万人の戦闘員を送り込んだとした上で、今月には推計でおよそ9000人の戦闘員が死亡したという見方を示しています。
しかし、ワグネルが存在感を増す中で、ロシア国防省との対立も表面化しました。
先月、東部ドネツク州のソレダールがロシア側に掌握された際には、プリゴジン氏がワグネルの部隊だけで掌握したと主張したのに対し、国防省は軍の功績だと発表しました。
この際、プリゴジン氏が「ワグネルの勝利を奪おうとしている」とSNSで批判したことを受けて、ロシア国防省は新たな声明を発表し、「ワグネルの志願兵の勇敢な行動によっても達成された」と表現を修正しました。
これについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、「ワグネルと国防省の対立を浮き彫りにしている」と分析しています。
さらに今月21日、プリゴジン氏は「ロシアの参謀総長と国防相が、ワグネルに弾薬を供給しないよう指示を出している」とする音声メッセージをSNSに投稿した上で、「まさにワグネルを破壊しようとする試みだ。ワグネルがバフムトのために戦い、毎日、何百人もの戦闘員を失っている今、祖国への反逆にも等しい」とロシア軍を正面から非難し、軍とワグネルの確執は深まっているものとみられます。

ウクライナから日本に避難 2302人(2月15日時点)
出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから日本に避難した人は、ことし2月15日時点で2302人となっています。
性別は、男性が602人、女性が1700人。
年代別では、
▽18歳未満が439人、
▽18歳以上と61歳未満がそれぞれ1563人、
▽61歳以上が300人です。
入国日を月別にみると、
▽去年3月が351人、
▽去年4月が471人と最も多く、
その後は減少傾向が続き、
▽ことし1月は35人、
▽2月は15日までに29人となっています。
一方、入国した人のうち、112人がすでに日本から出国しているということです。
日本に親族や知人、団体などの身元引受人がいない人については、政府が一時滞在先のホテルを確保して生活支援を行っていて、ことし2月15日時点で64人がホテルに滞在しています。
また、政府は避難してきた人たちに90日間の短期滞在を認める在留資格を付与し、本人が希望すれば就労が可能で1年間滞在できる「特定活動」の在留資格に変更することができます。
この在留資格に変更すると、住民登録をして国民健康保険に加入したり、銀行口座を開設したりすることができ、ことし2月15日までに1998人が「特定活動」に変更したということです。
出入国在留管理庁は、この在留資格について、希望があれば1年間延長するほか、身元引受人がいない人に対して、支給している生活費の支援もさらに1年間継続するということです。
出入国在留管理庁は、「避難が長期化し、定住を求める避難者も出始めている。定住には就労や日本語教育などの支援が重要になるため、自治体とも連携し、支援を続けていきたい」としています。

岸田首相 G7議長国としてウクライナ情勢対応で国際社会主導を
ロシアのウクライナ侵攻から1年となることを受けて、岸田総理大臣は、G7=主要7か国の議長国としてオンラインでの首脳会合を開き、結束を確認したいとしていて、ウクライナ情勢をめぐる対応で国際社会を主導し、5月の広島サミットにつなげる考えです。
侵攻1年にあわせて開かれた国連総会の緊急特別会合で、林外務大臣は、ロシアに対して無条件で軍を撤退させるよう改めて求めるとともに、「ロシアはすべての行為について適切な形で責任を問われなければならない」と訴えました。
侵攻が始まって以降、政府はG7各国と足並みをそろえて、ロシアと同盟国のベラルーシに対し、政府関係者らの資産凍結や輸出入の制限などの制裁を科し、段階的に強化してきました。
また、ウクライナや周辺国などへの財政支援や人道支援として総額およそ15億ドルを決定し、順次実施しているのに加え、岸田総理大臣は今週、新たに55億ドルの追加支援を行うことを表明しました。
岸田総理大臣は24日夜、記者会見を行い、今後の政府対応を説明することにしています。
このあとG7の議長国として、ウクライナのゼレンスキー大統領も招いてオンラインでの首脳会合を開き、結束してロシアへの制裁とウクライナ支援を継続する方針を確認したいとしています。

国連総会緊急特別会合 ロシア撤退やウクライナ平和の決議採択(NHK)


ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて1年となるのにあわせ、国連総会の緊急特別会合では、ロシア軍の即時撤退やウクライナでの永続的な平和などを求める決議案の採決が行われ、欧米各国や日本など141か国の賛成多数で採択されました。
この1年間に国連総会でロシアに対する決議が採択されたのは6回目です。
一方で、ロシアなど7か国が反対、中国など32か国が棄権しました。

林外相 ウクライナの平和求める決議案に賛成を呼びかけ
ニューヨークを訪れている林外務大臣は、日本時間の24日未明、国連総会の緊急特別会合に出席し、演説しました。
この中で、林大臣は「193の国連加盟国は異なる立場を代表し多様な意見があるが、ウクライナの平和を望むという一点では一致できると信じている」と述べた上で、ウクライナが提出し日本などが共同提案国となった、ウクライナの平和を求める決議案に賛成するよう呼びかけました。
また、ロシアに対し即時に無条件で軍を撤退させるよう改めて求めるとともに、核兵器の使用や威嚇は決して許されないと強調し、ほかの国は、直接的にも間接的にもロシアへの支援を控えるべきだと訴えました。
そして「ウクライナの人々の悲惨な状況を思うと胸が張り裂けそうになる」として、国際社会と連携してウクライナへの支援を継続する方針を示しました。
さらに、国連の信頼を回復する必要があると指摘し、安全保障理事会の改革だけでなく国連全体の機能強化が必要だと訴えました。

日米韓イージスが共同訓練 北朝鮮ICBM発射で(産経N)


防衛省統合幕僚監部は22日、北朝鮮が18日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したのを踏まえ、日米韓3カ国のイージス艦が日本海で22日午前に共同訓練を実施したと発表した。
日米韓の連携でさらなるミサイル発射をけん制する狙い。防衛省は「地域の安全保障上の課題に対応するため協力を推進し、ルールに基づく国際秩序を強化するとのコミットメントを示した」と説明。日米韓は昨年10月にも北朝鮮のミサイルに対応し、イージス艦同士の訓練をしている。
防衛省によると、弾道ミサイルの発射を想定した情報共有など各種戦術を訓練した。海上自衛隊のイージス艦「あたご」と、米韓両国のいずれも駆逐艦が参加した。
3カ国はICBMが発射された翌日の19日には、米軍の戦略爆撃機が入り、米韓両軍、航空自衛隊と米軍それぞれで共同訓練をしていた。(共同)

自衛隊「衛生機能」変革の実現を 日本医科大学特任教授・松本尚(産経:正論)


昨年末、政府は安全保障3文書を改定する閣議決定を行った。ここでは、反撃能力の保持や継戦能力の強靱(きょうじん)化、自衛隊施設の抗堪(こうたん)性増強など、そしてそれらのために防衛費をGDP(国内総生産)比2%まで増額することなどが示された。わが国を取り巻く安全保障環境の厳しさを考えれば、至極当然と言える内容である。

有事の際の外傷診療能力
筆者は3文書のうち「国家防衛戦略」と「防衛力整備計画」における自衛隊衛生科の能力強化についての記述が、過去の内容から大きく前に踏み出したことに注目している。
有事の際の衛生科の外傷診療能力については、月刊「正論」令和2年10月号の中でも論考したが、このときから2年余りの時を経て「衛生機能の変革」という言葉をもって具体的かつ意欲的な内容が記されたことはおおいに評価したい。本稿ではその一部を紹介しながら、それらを実現するために何が必要かを考察する。
まず、衛生機能の基本的な考え方として、従来の隊員の壮健性維持重視から、隊員の生命・身体を救う組織への変革を謳(うた)っている。陸海空自衛隊で共通する衛生機能の統合的運用や戦傷医療に対する能力の向上を掲げ、具体例として南西地域における医療拠点の整備と、南西地域の第一線から本州等の後送病院までのシームレスな医療提供態勢の確立を目標としている。
特に、戦時外傷に対する診療能力を高めることは自衛隊員の生命を守るために必須であるが、衛生隊員養成に緊急外科手術に関する新たな教育課程を設けて、計画的に要員の育成を図ることが明記されている点は、筆者のこれまでの主張が十分に理解されたものと思量する。
平時の戦傷外科診療能力を高めるためのシミュレーション・トレーニングや、有事最前線での第一線救護衛生員の処置に始まり、展開された後方医療施設や艦船内での外科手術とそれに続く後送までを行う「戦傷対応総合訓練」の実施と、これらを達成させるための十分な予算確保を求めたい。

戦傷医療の教育研究を
輸血製剤の準備についても具体論を提示している。戦傷医療における失血死を防ぐには、血液の確保が極めて重要であるが、現在、わが国においては法律で輸血用血液製剤の製造の許可を受けているのは日本赤十字社のみである。日本赤十字社との連携はもちろんのこと、法に基づく省令を早急に改正し、自衛隊内で輸血製剤を自律的に確保・備蓄する態勢を作らなければならない。
さらに、防衛医科大学校での戦傷医療についての教育研究を進めるとしている。同校が全国82の医学部の〝one of them〟にしかなっていないことを省みて、その存在意義を見直そうとする決意を感じる。
もちろん同校は文部科学省の定めるカリキュラムに従って医学教育が行われなければならないものの、卒業生は医官・看護官として自衛隊に配属される以上は、他の医学部とは異なり戦傷医療についての知識・技術を在校中から修得しておくことは当然であろう。平時における隊員の壮健性維持のために要求される診療専門性は民間の医療機関でも代替可能であると考えられ、卒前教育のカリキュラムや卒後の専門性選択についても抜本的検討が必要である。
また、現役の医官・看護官の臨床経験値を増すために積極的な部外研修についても触れている。現状では部隊での任務や自衛隊の有する病院での診療等によって部外研修に出す人員が限られているが、陸海空の医官・看護官を一元的に運用すること等によってさらなる業務の効率化を図り、民間での戦傷医療研修を多く実施してほしい。

変革推進できる人材配置
だが、衛生科の変革が達成されるまでには少なくとも10年の期間を要するであろう。この間の有事発生も危惧されることから、その際には民間の外傷診療チームを後方に待機させるプランも併せて検討することを求めたい。これについては昨年2月の衆議院予算委員会第一分科会において岸信夫防衛相(当時)が「自衛隊法第103条第2項により、医療関係者に対し、医療に関する業務従事を命ずる制度のある」ことに言及し、「この法律の枠組みを活用する」との答弁をしていることから、具体化に向けた議論が開始されることを期待する。
「衛生機能の変革」は本当にできるのか。所管は防衛省内局、陸海空自衛隊、各幕僚、自衛隊病院、防衛医科大学校と多岐にわたるが、それぞれがバラバラに行動したのであれば統合的、包括的な変革は達成できない。これら「変革のメニュー」を一つのパッケージとして捉え、進捗(しんちょく)を俯瞰(ふかん)し牽引(けんいん)する防衛省政務三役直轄の司令塔がぜひとも必要である。政府および防衛省には、状況をよく理解して、変革を推進できる人材をしかるべきポジションに就け、強力に事に臨むことを進言する。(まつもと ひさし)

侵略戦争はプーチン主義の「総決算」 日ロ関係は冬の時代に(東京新聞)


<ウクライナ危機を読み解く>
 ロシアがウクライナへの全面的な侵略戦争を始めて24日で1年。世界有数の戦力を誇っていたロシア軍は、米欧が供与した近代的兵器を駆使して士気も高いウクライナ軍に苦戦している。昨年9月末にウクライナ東南部4州の併合を一方的に宣言したものの、肝心のドネツク州全土の攻略は難航し、プーチン大統領は国民に最低限の「成果」を示すことすらできない。

◆刷り込まれた攻撃的愛国主義
 プーチン氏は内心穏やかではないはずだ。しかし国内基盤は揺らいでいない。侵攻が誤った判断だったとも、まして失敗だったとも、考えてはいないだろう。
 ロシアのエリート層は侵攻を予想しておらず当初はショック状態だったが、ほとんどは離反せず、ロシアの旗の下に結集している。世論調査では部分動員が行われた昨秋以降も侵攻への支持は7割を超える。大ロシア的な帝国意識や第2次大戦の対独戦勝を神格化する攻撃的な愛国主義や反欧米主義は、22年間のプーチン時代で国民に刷り込まれていた。侵略戦争はこうしたメンタリティーを基底にしたプーチン主義の「総決算」ともいえよう。

◆ロシア正教会も後押し
 プーチン体制は侵略戦争を遂行する中で、全体主義やファシズムに類似した体制に変異しつつある。キーウ(キエフ)郊外ブチャでの虐殺や、ウクライナ人のロシアへの大量強制移送、密告の奨励、愛国イデオロギーを注入する学校教育の推進など、非合理で暴力的な政策は枚挙にいとまがない。
 プーチン氏は昨年9月の「4州併合演説」で、欧米のリベラリズムを悪の根源であるかのように断罪。「西側エリートの独裁は人間を否定し、信仰と伝統的価値を破壊し、悪魔崇拝の特徴を帯びている」と述べた。ナチズムを擁護した20世紀初頭の反動的な亡命思想家イワン・イリインの影響が濃厚で、演説の締めくくりも「ロシア人の霊力を信じる」というイリインの言葉だった。
 さらに重要なのは、多くのロシア国民の精神的なよりどころであるロシア正教会が、侵攻を積極的に後押ししていることだ。キリル総主教はウクライナに侵略したロシア軍人を賛美したとして国際的な批判を浴びた。ギリシャ正教会など各国の正教会聖職者らは侵攻後、合同で「ロシア政府の恥ずべき行動は非正教的で、非キリスト教徒的だ」と非難。正教徒にとり「歴史的な脅威」であるとしてロシア正教会を「異端」と認定した。「ロシア世界」を絶対視するロシア正教会は、国際社会でカルト的な存在になる恐れがある。

◆深刻な「プーチン主義」
 日ロ関係も冬の時代を迎えた。日本はウクライナ同様、領土を不法占拠されているが、愛国主義を強めるロシアは日本の北方領土返還要求に対し、さらに敵対的な姿勢で臨むのは間違いない。シベリア抑留問題についても非人道行為の事実を否定し、瀬島龍三・元伊藤忠会長ら「戦犯」として抑留された旧日本軍人の名誉回復措置を破棄した。
 プーチン氏のロシアはもはや後戻りできないだろう。自国を特別な存在とみなす時代錯誤で偏狭なイデオロギーに固執し、侵略に突き進むことで発展の道を完全に閉ざした。
 クーデターが起きる可能性も低い。何らかの理由でプーチン氏が突然退場しても事態を根本的に打開しないだろう。「プーチンなきプーチン主義」が継続するからだ。20年以上かけて念入りに構築されたプーチン主義が根本転換しない限り、ロシアは日本や世界にとって深刻な脅威であり続ける。(編集委員・常盤伸)

岸田首相のウクライナ訪問 調整続く 最大の課題は安全確保(NHK)


ロシアの軍事侵攻が始まって以降、G7=主要7か国の首脳が相次いでウクライナを訪れる中、政府内では5月の広島サミットまでには岸田総理大臣の訪問を実現すべきだという声が出ていて、調整が続く見通しです。
ロシアの侵攻開始から1年となるのを前に、ウクライナには20日にアメリカのバイデン大統領が、21日にはイタリアのメローニ首相が相次いで訪れてゼレンスキー大統領と会談し、連帯の意思を表明しました。

軍事侵攻以降、ウクライナにはG7のうち岸田総理大臣以外の首脳はすでに訪れています。
政府内では、日本もゼレンスキー大統領からの招待を受けているのに加え、G7の議長国としての立場からも5月の広島サミットまでには訪問を実現すべきだという声が出ています。
一方、最大の課題は「安全の確保」で、ほかのG7各国は軍隊や特殊機関なども動いて訪問を実現したとされる一方、日本には自衛隊が対応できる明示的な規定がないことや、事前に国会に対して総理大臣の海外出張を報告する慣例があることなどから情報保全が難しいという指摘があります。
ただ、「国会への報告」をめぐっては、22日に与野党双方から、ウクライナを訪問する際は安全確保のための情報保全を最優先し、例外的に事後報告を認めるという意見もあり、政府としてはこうした点も踏まえて訪問が実現できないか調整が続く見通しです。

米韓 北朝鮮の核脅威想定の図上演習実施へ 北朝鮮は軍事挑発も(NHK)


アメリカと韓国は、北朝鮮の核の脅威を想定した図上演習を22日、アメリカ国防総省で行います。弾道ミサイルを相次いで発射した北朝鮮が、演習への反発を口実にさらなる軍事挑発に出る可能性もあります。
韓国国防省によりますと、北朝鮮の核の脅威を想定した図上演習「拡大抑止手段運用演習」は22日、アメリカ国防総省で行われる予定で、米韓両国の国防当局幹部のほかアメリカのインド太平洋軍司令部や在韓アメリカ軍司令部からも担当者が参加します。

この演習が行われるのは8回目で、おととし9月以来となります。
韓国側は「北の核の脅威と核使用のシナリオを想定し、危機管理や軍事的対応を検討する」としていて、アメリカの核戦力を含む抑止力で韓国を守る「拡大抑止」の強化策について意見が交わされる見通しです。
また、参加者は23日に南部ジョージア州にある原子力潜水艦の基地を訪問する予定で、韓国の通信社、連合ニュースは「アメリカの『拡大抑止』の意志と強固な同盟関係を誇示する機会になる」と伝えています。

一方で北朝鮮は、今月18日にICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星15型」1発を、20日には「超大型ロケット砲」と呼ぶ短距離弾道ミサイル2発を発射し、再び対決姿勢を強めています。
米韓両国は、今回の図上演習に続いて、来月中旬に合同軍事演習を行う予定で、北朝鮮が演習への反発を口実に、さらなる軍事挑発に出る可能性もあります。

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