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首相9条改正発言 改憲勢力結集へ布石 保守層に意欲アピール(産経N)

21日投開票の参院選が終盤戦を迎える中、公明党などへの配慮から憲法について発言を避けてきた安倍晋三首相(自民党総裁)が9条改正の必要性に言及し始めた。各種世論調査で「自公優勢」が伝えられるものの、改憲のパートナーに想定していた日本維新の会などは伸び悩む。首相の発言からは、改憲への変わらぬ意欲を保守層にアピールすることで、選挙後に流動化する与野党政局で主導権を掌握しようという思惑も垣間見える。
                  ◇

 「国内では自衛隊は軍隊ではないといわれているが、海外では軍隊として認識してもらっている。軍隊として認識してもらわなければ国際法の社会の中での行動ができない」

 15日放映の長崎国際テレビの番組インタビューで、首相は自衛隊を他国並みに軍と位置づける意義を強調し、持論の9条改正を主張した。

 首相は4月23日の参院予算委員会で「参院選でも堂々と96条改正を掲げて戦うべきだ」と憲法を争点化する考えを示していた。しかし、今月4日の公示以降は京都府や大阪府で「日本を誇りある国にしていくためにも憲法改正にもしっかりと取り組んでいく」と訴えた以外、街頭演説で改憲の必要性に触れる機会はほとんどなかった。

改憲に慎重な支持層を抱える公明党への配慮が理由の一つだが、これでは選挙後も公明党に憲法問題で手綱を握られ続ける恐れもあった。自民党の憲法改正草案作りに携わったベテラン議員は首相の発言について「自公優勢に揺るぎが見られず、保守層にアピールする余裕が出てきたのだろう」と分析する。

 これに早速反応したのが党内に改憲派を抱える民主党だ。海江田万里代表は16日の神奈川県海老名市での街頭演説で「首相は選挙に勝てそうだから『9条を変えたい』と言い出したが思い上がりだ。自民党に勝たせると暴走する可能性がある」と一線を画する姿勢を強調し、党内の改憲派が首相の誘いに乗らぬよう予防線を張った。

 一方、日本維新の会の松井一郎幹事長は16日、大阪府大東市内で記者団に「周辺諸国は非常にいい人ばかりで、だから日本は安全だというのは自立する国家としては違う」と首相発言に理解を示した。ただ同党は「自民党にやる気がなかったら動かない。もっと憲法にこだわってもらいたい」(橋下徹共同代表)と憲法問題で“沈黙”を続ける首相を批判していただけに、とまどいも隠せない。

 みんなの党は「憲法改正の前にやるべきことが山のようにある」(渡辺喜美代表)として現状では改憲に距離を置く姿勢を示す。改憲発議に必要な衆参3分の2勢力の結集にはみんなの党の協力は不可欠。賛同を条件に、持論とする公務員制度改革などに逆に首相を引っ張り込もうという戦略も透けてみえる。

 参院選終盤に飛び出した首相発言が選挙後の改憲勢力の動きに一石を投じたことだけは間違いない。
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